2014/10/24
2013/12/19
福岡県は発電に利用していない県営ダムから再生可能エネルギーを取り出そうとしている。手段は放流水を利用した小水力発電。12のダムについて投資回収年数などを計算。最も効果的な2つのダムについて自治体主導の発電計画が進み始めた。
[畑陽一郎,スマートジャパン]
福岡県は市町村と連携して県営ダムから電力を取り出す試みを進めている。これまで発電に使われていなかったダムからの放流水を、小水力発電のエネルギー源として使うというもの。
2013年7月には既に発電を行っているダムを除く12の県営ダムについて、採算性の検討結果を公表。4つのダムが有望だと発表した。「発表した結果に基づいて立地自治体と協議していく。県の試算では採算が取れない評価になったダムでも手法によっては可能性が残っている」(福岡県企画・地域振興部総合政策課エネルギー政策室)。
4つのダムとは瑞梅寺(ずいばいじ)、藤波(図1)、力丸、陣屋だ。図2には投資効果が高い上位6位のダムを示した。4つのダムは20年以内に投資を回収できることが分かる。図3では12のダム全てについて結果を示した。発電施設の配置計画や最適な規模を設定し、工事費用と保守費用を勘案したものだ。売電収入では固定価格買取制度(FIT)を前提としている。
図2 ダムに対する投資効果の試算結果(上位6位) 出典:福岡県
図3 ダムに対する投資効果の試算結果(全12ダム) 出典:福岡県
県は小水力発電を再生可能エネルギーの地産地消モデルの1つだと捉えている。ダム共同事業者や市町村と小水力発電の実施について協議する他、事業化が決まった際には技術的支援と事業費の支援を用意している。技術的支援とは計画の策定や設計に関する指導・助言だ。事業費の支援は2段階に分かれる。2013年度は導入可能性調査の補助金として500万円を提供し、2014年度以降に設備導入補助事業として採択された場合、最大1億円を補助する。
端梅寺ダムに続いて藤波ダムに着手 2013年8月にはまず端梅寺ダムについて糸島市が発電に向けた具体的な検討に入った(関連記事)。2015年度末からの発電開始を目指す。県営ダムを対象とした市町村による小水力発電としては九州初だという。
続いて2013年12月には藤波ダムについてうきは市が具体的な検討を開始した。藤波ダムの計画では概算事業費を3億4500万円と試算している。まず、2013年度第4四半期に導入可能性調査を進める。2014年度は実施設計と諸手続きに充て、2015年度と2016年度に工事を進める。発電を開始するのは2016年度第4四半期末だ。
藤波ダムは筑後川水系の巨瀬川(こせがわ)にある多目的ダム(図4)。2010年3月に完成した比較的新しいダムであり、発電には使われていない。ダムの高さ(堤他)は52.0m、総貯水容量295万m3。小水力発電に使う最大使用水量として0.55m3/sを想定しており、最大出力は153kWだ。想定年間発電量は86万kWh。従って、設備利用率は64%という計算になる。国家戦略室の「コスト等検証委員会」では、電源コストを検証する場合に小水力発電の設備利用率を60%としているため、平均以上の能力があることが分かる。
県の試算によれば、固定価格買取制度(FIT)を利用し、買取価格が34円/kWh(税別)の場合、年間の売電収入は約2900万円となる。うきは市は発電した電力を売電に充てるか、需要先に供給するのかを今後決定する。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1312/19/news036.html
2013/12/02
その一環として、県営ダムの放流水を活用した小水力発電について、事業の採算性の検討を行い、7月31日に公表した検討結果を踏まえ、ダムの共同事業者及び地元市町村と発電事業の実施に向けて協議を行ってきたところです。
○ このたび、藤波ダムにおいて、うきは市が発電事業者として、平成28年度の発電開始に向け具体的な検討に入ることになりました。
市町村による県営ダムの放流水を活用した小水力発電の取り組みは、県内では瑞梅寺ダムの糸島市に続いて2例目です。
○ 県としては、再生可能エネルギーの地産地消モデルの構築につながるこの取り組みを支援するとともに、他のダムにおいても、引き続き発電事業の実施に向けて共同事業者と協議を進めてまいります。
○ 今後とも、導入可能性に関する様々な情報提供、環境整備に努め、市町村や民間事業者等による再生可能エネルギーの導入を支援するとともに、県自らも県有施設への再生可能エネルギーの導入をさらに進めてまいります。
2013/11/27
福岡県は2013年8月26日、県営瑞梅寺ダムの放流水を活用した小水力発電の取り組みについて、糸島市を発電事業者として2015年3月からの発電開始に向けて具体的な検討に入ると発表した。
県は、市町村等と連携して地域の資源や特性を活かした再生可能エネルギーの導入を積極的に推進しており、 12基のダムのうち4基について採算が見込まれるとの結果から、治水や利水などを目的にダム建設に出資した事業者とともに同取り組みの実施に向けて協議を行ってきた。
市町村による県営ダムの放流水を活用した小水力発電の取り組みは九州では初めてで、全国的にも先駆けとなる。県は、再生可能エネルギーの地産地消モデルの構築につながるとして同取り組みを支援するとともに、他ダムにおいても実施に向けての協議を進めていく方針。
2013/09/03
福岡県は発電事業を実施していない県営ダムを対象に小水力発電の可能性を検討して、収益性の高いダムから発電事業に着手する。第1弾は地元の自治体が事業者になり、2014年度中に運転を開始する予定だ。売電収入によって20年間に1億4800万円の利益を生み出せる見込みである。
[石田雅也,スマートジャパン]
県営ダムで実施する小水力発電の第1弾に決まったのは、県西部の糸島市にある「瑞梅寺(ずいばいじ)ダム」である(図1)。もともと洪水対策のために1977年に造られたダムで、高さは64メートル、総貯水量は242万立方メートルある。このダムから下流に常に放流している水量を生かして発電する。
発電に利用できる水量は最大で毎秒0.3立方メートルになる。この水流を水車式の発電機に通すことで99kWの電力を作り出す(図2)。年間の発電量は66万8000kWhになる予想で、約200世帯分の電力使用量に相当する。固定価格買取制度では200kW未満の小水力発電の買取価格は1kWhあたり34円であることから、年間の売電収入は2270万円になる。買取期間の20年間で4億5400万円の収入を期待できる・・・