2016/09/20
2016年9月20日掲載
環境省は全国の水道施設を対象に小水力発電の導入可能性を調べ、2015年度に少なくとも563地点で発電出力19メガワット弱の潜在能力があることが分かった。全国の自治体など1888事業者にアンケートを送付し、回答があった1536事業者の中から導入可能性の高い895地点を抽出。協力を得られた563地点について流量・水位や設備状況など詳細な情報を収集し、整理・分析した。
合計の発電潜在能力は1万8742キロワットで、563地点のうち274地点が出力20キロワット以上だった。全体の年間発電電力量は1億5847万キロワット時になり、二酸化炭素(CO2)9万2000トン分の排出削減効果が見込まれるという。
水道施設には導水・配水などの圧力差を、小水力発電に生かせる箇所が散在している。全国の水道事業者が消費する年間電力量は約74億キロワット時で、電力需要全体の約0・8%を占める実態もあり、環境省は13年度から水道施設への太陽光発電なども含めた再生可能エネルギー、省エネ設備導入を推進する施策を展開。だが、小水力発電を導入している水道施設の割合は現状で全体の2・7%にとどまっている。
2016/09/15
2016年9月15日掲載
環境省と厚生労働省が全国1500以上の水道事業者を対象に、水道の施設を利用した小水力発電の導入ポテンシャル調査を実施した。水源から浄水場や配水池へ流す水の圧力差を使って、全国の274カ所で発電できることがわかった。北海道から九州・沖縄まで各地に可能性が広がっている。
[石田雅也,スマートジャパン]
水道事業の中核になる浄水場や配水池には、標高の高い場所にある水源から大量の水が常に流れてくる。この水流が生み出す圧力差のエネルギーを発電に利用できるのだが、実際に発電設備を導入している水道施設は全体の2.7%に過ぎない。
環境省と厚生労働省は小水力発電によるCO2(二酸化炭素)の排出量削減と水道事業者の収入拡大を推進するため、全国1500以上の水道事業者を対象にアンケート調査を実施した。その結果、小水力発電を実施できる可能性がある施設は全国に563カ所あることが明らかになった。
地域ブロック別に見ると、中部が最も多くて103カ所、次いで中国・四国の99カ所、九州・沖縄の91カ所と続。関東にも83カ所あり、そのうち発電能力が20kW(キロワット)以上になる可能性がある施設数は65カ所で最も多かった。
全国で20kW以上の発電能力を見込める施設は合計で274カ所にのぼり、発電能力を合計すると1万9000kWに達する。水量をもとに算出した年間の想定発電量は1億5800万kWh(キロワット時)になった。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して4万4000世帯分に相当する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は95%になり、水道を流れる安定した水量で電力を供給できるメリットがある。
1カ所あたり年間1900万円の売電収入
小水力発電による電力の供給量が増えることで、CO2排出量は全国で年間に9万2000トンを削減できる。さらに発電した電力を固定価格買取制度で売電すれば、1kWhあたり34円(税抜き)で年間に53億円の収入を見込める。1カ所の平均額は1960万円になり、買取期間の20年間の累計で4億円近い収入を得られる計算だ。売電収入によって水道施設の維持管理費を軽減できる効果は大きい。
水道施設で小水力発電を実施する方法の1つとして、水道管そのものに発電設備を組み込む方法がある。環境省の実証事業で開発した「管路用マイクロ水力発電システム」が代表的な例で、これまでに富山県の南砺市、福島県の相馬市、兵庫県の神戸市の水道施設で導入実績がある(図4)。
発電能力は1台で22kWと75kWの2種類がある。水道管1本ごとに1台ずつ水車発電機を設置する方法で、1カ所の施設に複数台を導入することも可能だ。相馬市の水道施設では3台を導入して、最大79kWの電力を供給できるシステムを構築した。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1609/15/news038_2.html
2016/09/15
2016年9月15日掲載
JNC(東京都千代田区)は、7日、熊本県に所有する小水力発電所2ヵ所の改修工事を完了し、9月1日より新たに営業運転を開始したと発表した。
今回、営業運転を開始したのは「七滝川第一発電所」と「竹の川発電所」だ。同社は、国内に13ヵ所の水力発電所(最大出力合計93,600kW)を保有しており、今回営業運転を開始する2ヵ所も含め、すべて「流れ込み式」の発電方式を採用している。河川水からごみを除去し、水路を通して水槽へ導き、水圧鉄管を落下させることで水車を回し、電力をつくる。大規模なダムを必要としないため環境負荷が低く、二酸化炭素排出量も少ない。
今回改修された2ヶ所の発電所の概要は下記のとおり。
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2016/09/15
2016年9月15日掲載
国際エネルギー機関(IEA)は14日、2015年の世界のエネルギー関連投資額が前年比で8%減少し、約1兆8000億ドル(約184兆円)だったと発表した。原油や天然ガスの価格下落に伴い、こうした分野が落ち込んだ。
このうちエネルギーの効率利用に向けた支出を除いた投資額は約1兆6000億ドル。原油安に伴い、米国ではシェールオイル関連が減少。米国の投資額は2810億ドルとなり、中国の3150億ドルを下回った。日本の投資額は430億ドル。原子力への投資は米国や欧州と同じく「ゼロ」だった。
一方、再生可能エネルギーの投資は風力や太陽光、水力による発電を中心に伸び、世界の投資額は2880億ドルに達した。国別では中国(900億ドル)、米国(390億ドル)、日本(300億ドル)が多かった。【共同】
2016/09/15
2016年9月15日掲載
消費者が電力会社を選べる電力の小売り自由化から間もなく半年。環境に優しい再生可能エネルギーを主体として家庭に供給する新電力会社が増えている。こうした趣旨に賛同して、エコな電気を選ぶには、どこをみたらよいのか。再生エネを応援する市民団体に、選ぶポイントや課題を聞いた。
「消費者が何を選ぶかが大事」。太陽光や風力など再生エネ重視の電力会社を応援する市民運動「パワーシフト・キャンペーン」運営委員会の吉田明子さんは力を込める。
キャンペーンは、「脱原発」への市民参加を推進する目的。原発を持つ大手電力会社から、再生エネを中心に据える新電力会社に切り替えれば、脱原発を推進できると、地球規模の環境問題に取り組む国際的なNGO「FoE Japan」などが展開している。キャンペーンのホームページでは、委員会が考える電力会社を選ぶ際の五つのポイント=図=を各電力会社の代表や担当者に直接聞いて、紹介している。
紹介する新電力は、電力自由化が始まった四月時点では十社。そのうち、家庭向けに電力を供給していたのは四社のみだった。現在は十七社に増えている。家庭向けに供給する会社も、試験供給も含めると十社以上に上るという。
再生エネを前面にアピールしている会社でも、必ずしもエコに配慮しているとは限らない。大規模太陽光発電施設(メガソーラー)設置のために森林を伐採したり、電気を多く使うほど割安になる仕組みをPRしたりしている会社もある。
今後は、再生エネの絶対量の少なさも課題になりそうだ。大規模な水力発電を除くと国内の再生エネの割合は5%。さらに、その電源となる発電施設のほとんどは大手の所有で、新電力が再生エネを調達するのは簡単ではない。
環境保護団体「気候ネットワーク」によると、現在、石炭火力発電所の新設計画は全国で四十八。石炭は低価で仕入れられ発電コストも安いが、二酸化炭素(CO2)排出量は天然ガスの約二倍。吉田さんは「石炭火力を選べば、温暖化対策でCO2の出ない原発推進を、という流れにつながる」と危惧する。
委員会が推薦する電力会社の紹介サイトは「パワーシフト・キャンペーン」で検索。
予想以上の契約数 新電力「Looop」
「契約数は予想以上です」。委員会が紹介する新電力の一つ、Looop(ループ、東京)の担当者は、こう話す。
四月の電力自由化とともに家庭向けの供給を開始。当初は一年間で二万件の契約を見込んでいたが、これまでに東京、中部、関西電力管内で計二万三千件の契約があった。
供給する電力は、国の再生エネ固定価格買い取り制度(FIT)を通じた太陽光などが26%。九月からは東北でも一般家庭の受け付けを始めた。
地域の新電力も準備を進めている。愛知電力(愛知県一宮市)は夏から試験的に家庭向けの供給を開始。既に約八十カ所の事業所に供給しており、上本貴雅代表取締役は「一般家庭も年内に始めたい」と言う。
同社は地元の太陽光発電を中心に電力を調達し、電源構成の45%(四月時点)をFIT電気が占める。上本さんは「地域貢献につながるビジネスを展開したい」と話す。
(寺西雅広)
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2016091502000005.html