過去に投稿された記事の一覧です。

2016/09/14

もと発電所の美術館で見る、原始と現代の「人」。【CasaBRUTUS】

2016年9月14掲載
 独特のプリミティブな造形を作り出す加藤泉と、意味ありげな場景を描く陳飛。日本と中国、2人の作家がもと発電所だった美術館で共演します。大空間で出会う二人の作品に注目です。
 加藤泉と陳飛(チェン・フェイ)は二人とも、個性的な「人」の表現で評価されているアーティスト。1969年生まれの加藤が作り出す人間のイメージは一目見たら忘れられない強烈な風貌で人気だ。離れた大きな眼や、黒や白、赤などに塗られた顔面が胎児や民俗彫刻を連想させる。身体はときに植物や大地と一体化したようにも見える。無垢のエネルギーを発散する、生命力の強い存在を思わせる。
 陳飛は1983年中国生まれ。一人っ子政策後に生まれ、急速な近代化の中、外国の資本主義と中国の共産主義との間で揺れる、「ポスト1980年代」に属する作家だ。大学で映画を学んだ彼の作品は謎めいたストーリーを感じさせる。一見、さらっとした筆致で描かれるドライな画面に登場する人々には何か複雑な過去や関係があるのではないか、そんなことを深読みさせてしまう。
 加藤の絵は原始へ遡るような、生物学的な「原型」を思わせる一方、陳の絵には急速に変化する社会を泳ぎ切ろうとする「現代人」が登場する。それらは正反対のもののように見えて、同じ人間の裏表でもある。友人どうしである彼らは国も世代も異なるけれど、互いに刺激しあう関係だ。前よりももっと近くなった国の間で交わされるアーティストの対話から新しい価値観が生まれている。
 会場となる「入善町 下山芸術の森 発電所美術館」は旧黒部川第二発電所を改修した美術館。巨大な発電機を取り外した広大な空間には、壁に水力発電に使った導水管が口を開け、他の美術館にはないインダストリアルな風情を見せる。出品される3mを超える加藤の大型彫刻や、陳の大作の新作絵画でまた違う表情を見せるはず。北陸新幹線の開通で東京からのアクセスも便利になった美術館に出かけてみよう。

http://casabrutus.com/art/26547

2016/09/13

全国一の水流を生かして小水力発電、山奥の古い農業用水路も電力源に【スマートジャパン】

2016年9月13日掲載
降水量の多い岐阜県は水力エネルギーの利用可能量が全国で最大だ。農山村では古い農業用水路を改修して小水力発電の取り組みが活発に進む。ダムに新設する水力発電所も続々と運転を開始した。農地を利用した太陽光発電や地域の森林資源を生かした木質バイオマス発電も広がりを見せる。
[石田雅也,スマートジャパン]

 岐阜県の東南端に位置する中津川市は中央に木曽川が流れている。豊かな水を利用して農林業が盛んな地域で、起伏の激しい山間部には農業用水路が広がる。その中で大正時代に造られた古い用水路があり、老朽化が進んで改修が必要になっていた。約900メートルに及ぶ用水路の改修と合わせて、水流の落差を生かした「落合平石(おちあいひらいし)小水力発電所」を建設して2016年4月に運転を開始した。
 改修した用水路の落差は64メートルになり、最大で126kW(キロワット)の電力を供給できる。年間の発電量は95万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して260世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度で売電して、年間に3200万円の収入を得られる想定だ。買取期間の20年間の累計では6億4000万円になる。
 この小水力発電プロジェクトは飛島建設とオリエンタルコンサルタンツの2社が共同で発電事業者になって、地元の落合平石地区と中津川市が連携しながら推進した。農業用水路の改修を含めた総事業費は2億5000万円かかっている。
 発電事業者の2社は売電による収入を得る一方で、用水路を管理する落合平石地区に水路の補修や発電設備の清掃点検作業を委託する。地元の負担なしに農業用水路を改修したうえに、新たな作業を生み出して地域に利益をもたらす仕組みだ。小水力発電を実施することで農山村の活性化につなげる新しいモデル事業に位置づける。
 小水力発電所の建屋の中では、赤い色の水車発電機が稼働している。水力発電が盛んなチェコ製で、横軸を中心に円筒型の水車が回転する横軸クロスフロー式だ。水流が交差する仕組みになっていて、少ない水量でも大きな水力を生み出せる利点がある。落差が大きくて水量が少ない場所に向いている。

  小水力発電で人口を増やす

 農業用水路を活用した小水力発電は、さらに山深い地域にも広がってきた。福井県との県境にある郡上市(ぐじょうし)の石徹白(いとしろ)地区では、小水力発電による集落の再生プロジェクトを進めている。
 標高700メートルの集落には100世帯が暮らしていて、人口270人のうち約半数は65歳以上の高齢者だ。過去50年間で人口は4分の1に縮小した。地域の資源を生かした農業の復活と再生可能エネルギーの導入を通じて、全国から子育て世代の移住を促進する。
 石徹白地区では農業用水路を利用した小水力発電所が4カ所で稼働している。そのうち発電能力が大きいのは「石徹白清流発電所」と「石徹白番場清流発電所」の2カ所で、それぞれ最大63kWと125kWの電力を供給できる。両方を合わせて年間の発電量は100万kWhになり、一般家庭の280世帯分に相当する。現在と比べて世帯数が3倍近くに増えても電力を自給自足できる。
 2カ所の小水力発電所を建設するために、県が農業用水路を改修して1.6キロメートルの導水路を整備した。1つ目の清流発電所は郡上市が発電事業者になって2015年6月に運転を開始している。2つ目の番場清流発電所は地元の農業協同組合が県と市の補助を受けながら2016年4月に運転開始にこぎつけた。子育て世代の移住者も徐々に増えている。
 内陸にある岐阜県には木曽川のように太平洋に向かって長い距離を流れる川と、北へ向かって日本海に注ぐ川の2種類がある。岐阜県の北部から富山県を通って日本海まで流れる神通川(じんづうがわ)の流域には、高い山に囲まれて大小さまざまな水力発電所が運転中だ。
 北部の飛騨市を拠点とする神岡鉱業は明治時代から銅や亜鉛を掘削して精錬事業を続けてきた。自家用と売電用に10カ所の水力発電所を運転しているが、老朽化が進んだことから5カ所の設備の更新に取り組む。すべての更新が完了すると発電能力が1800kW増えて、10カ所の合計で4万kW近くに達する予定だ。総事業費は220億円にのぼる。
 その中で規模が最も大きいのは「金木戸(かなきど)発電所」で、1953年に運転を開始して60年以上を経過した。従来の発電能力は1万8000kWだったが、設備を更新して1万8252kWに増強する。2017年8月に運転を再開する予定だ。このほかに「跡津(あとつ)発電所」が1万1850kWから1万3026kWに増強して、2018年5月に運転を再開することになっている。

  水力発電で需要のピークにも対応

 自治体や民間企業が地域の再生に向けて水力発電に取り組む一方で、岐阜県を供給エリアに含む中部電力も新しい水力発電所を相次いで開発している。特に注目すべきは2016年3月に全面運転を開始した「徳山水力発電所」である。最近では珍しい大規模な水力発電所で、1号機と2号機を合わせて16万1900kWの発電能力がある。中部電力の水力発電所の中では揚水式を除くと最大だ。
 徳山水力発電所は2008年に完成した「徳山ダム」からの水流を利用する。ダムの中にある取水塔から導水路と水圧鉄管路を通して、ダムの直下にある発電機まで水を送り込む。その間の落差は1号機が182メートル、2号機が146メートルに及ぶ。発電機は地下に設置されていて、発電能力の大きい1号機のほうが下部にある構造だ。
 1号機と2号機では使い方が違う。1号機(発電能力13万9000kW)は電力の需要が多い時に大量の水を使って発電する一方、2号機(同2万4300kW)はダムの下流の環境維持のために放流する水量で電力の供給を続ける。再生可能エネルギーでも需要に合わせて発電量を調整できる体制になっている。
 特に最近は河川の環境維持に必要な「河川維持流量」を利用した小水力発電の取り組みが活発に進んでいる。2016年6月に運転を開始した「丹生川(にゅうがわ)水力発電所」は、中部電力が県営ダムの直下に建設した2つ目の小水力発電所である。47メートルの落差を生かして最大で350kWの電力を供給できる。年間の発電量は210万kWhを見込んでいて、一般家庭の580世帯分に相当する。
 中部電力はグループ会社のシーテックのプロジェクトを含めると、河川維持流量を利用した小水力発電所を岐阜県内の4カ所で稼働させている。いずれも2015年以降に運転を開始した。さらに中部電力グループは温泉で有名な下呂市(げろし)にあるダムの直下でも同様の小水力発電所を建設する計画で、2018年7月に運転を開始する予定だ。

  太陽光パネルの下でサトイモを栽培

 岐阜県は水力発電の導入可能量が全国で最も大きくて、年間に138億kWhの電力を生み出せるポテンシャルがある。実に380万世帯分の使用量に匹敵する電力で、岐阜県の総世帯数(75万世帯)の5倍にもなる。すでに7割が開発済みだが、残りの3割で100万世帯分を超える。
 このほかに森林の面積が全国で5位、年間の日照時間でも全国で8位に入る。森林地帯が広がる県の中部から北部にかけて木質バイオマス発電が始まる一方、南部の平野では太陽光発電が活発になってきた。県内には温泉も数多く分布していて、北部の奥飛騨温泉では地熱発電の開発プロジェクトが進んでいる。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備も風力を除いて拡大中だ。
 太陽光発電では農地を利用した営農型の導入事例が南部を中心に増えてきた。各務原市(かがみはらし)の個人農家が2014年から実施している先行事例では、2400平方メートルの農地に50kW分の太陽光パネルを設置した。支柱の上に細長いパネルを設置する方法で、農地の遮光率を30%程度に抑えている。パネルの下ではサトイモや小松菜を栽培する。
 年間の発電量は6万kWhを見込んでいて、固定価格買取制度で売電すると1年間に200万円前後の収入になる。農作物の栽培は通常に近い状態で続けることができるため、農家の所得は従来よりも増える。導入費用は1800万円かかったが、農家が日本政策金融公庫の融資を受けながら全額を負担した。10年程度で採算がとれる見通しだ。
 木質バイオマス発電では林業や製材業と連携した取り組みが3つの市をまたいで始まっている。森林から伐採する木材を品質によってA材からD材まで4種類に分類して、製品に使えないC材とD材を発電に利用する体制を構築した。従来は森林に放置していたC・D材の利用量が大幅に増えることで、森林の保全に役立つのと同時に森林の所有者の収入も増加する。
 県内で初めて未利用の木材を燃料に使った木質バイオマス発電所が、南部の瑞穂市(みずほし)で2014年12月に運転を開始した。発電所に隣接して木質チップの製造工場があり、森林から集めたC・D材を燃料に加工している。発電能力は6250kWと大きくて、1日24時間の連続運転で年間に330日稼働する。送電できる電力の規模は1万1000世帯分になり、瑞穂市の総世帯数(2万世帯)の半分以上をカバーできる。
 岐阜県では全国一の水力を中心に、太陽光から地熱、バイオマスまで含めて地域の資源を活用した発電設備が順調に拡大中だ。内陸県の特色を生かして再生可能エネルギーによる電力の供給量がますます増えていく。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1609/13/news018_4.html

2016/09/13

水道施設への小水力発電の導入ポテンシャル調査結果の公表について【環境省】

2016年9月13日発表
環境省と厚生労働省は、平成27年度に全国1,500以上の水道事業者などを対象に、水道施設における小水力発電の導入候補地の選定や導入規模などを調べる”ポテンシャル調査”を実施しました。当調査で得られた「流量」、「落差」などを基に試算を行い、有効な発電電力が得られると判断されたところに対して、追加調査を実施し、将来的に導入した場合の利点や導入における課題などを記載しました。

  1.背景

 水道施設(おもに導・送・配水施設)で、標高の高い場所から配水池等へ水を流す場合などには、その圧力差がエネルギーとして利用されずに失われています。
 これらのエネルギーを有効活用する小水力発電を導入することにより、二酸化炭素の排出量が削減されるとともに水道事業におけるエネルギーコストの低減による経営の効率化につながるものと考えられます。しかしながら、現在、小水力発電を導入している水道施設は全体の2.7%と低い状況にあります。
 また、環境省では、平成25年度から3カ年の委託事業として、従来の小水力発電と比較し、より低コストで高効率、コンパクト化を主眼においた「管路用マイクロ水力発電システム」を開発し、富山県南砺市と福島県相馬市で、実証実験を経て実用化に至っています。
 今後、小水力発電の導入が大幅に拡大することが期待されるため、全国における導入ポテンシャルを算定し、水道事業者などが小水力発電の導入検討を行うにあたって参考となる事項について調査を実施することになりました。

  2.調査の概要

(1)調査概要
 上水道に関する全施設を対象としたアンケート調査(一次調査)を実施し、その結果を基に導入可能性の高い施設について二次調査を実施しました。
■ アンケート調査(一次調査)
 ・調査対象 国および都道府県認可の全水道事業体
 ・調査事業者数 1,888事業者
 ・集計事業者数 1,536事業者
 ・調査内容 保有施設に関する調査と意向調査を行う。
■ 二次調査
 ・調査対象 一次調査の調査結果を基に、小水力発電の導入ポテンシャルを算定し、算定の結果、ポテンシャルが20kW以上となる施設を保有する水道事業体
 ・調査事業者数 371事業者
 ・集計事業者数 275事業者
 ・調査内容 施設情報等の収集、実流量・水位に基づく発電出力の算定、想定発電電力量の算定、導入効果の試算、施設カルテの作成

(2)調査結果
 発電ポテンシャルを有する導入候補地として抽出した全国563カ所について詳細調査を実施した結果、発電出力の総量は約19,000kWであり、発電出力が20kW以上の地点は全国で274地点であることを確認しました。

表-1 水道施設への小水力発電 導入ポテンシャル調査
(二次調査結果集計(ブロック別))

(表については転載元にて閲覧ください)

http://www.env.go.jp/press/102335.html

2016/09/13

関電の蹴上発電所“遺産”認定、1891年運転開始【読売新聞】

2016年9月13日掲載
 1891年に運転を始めた関西電力の蹴上けあげ発電所(京都市左京区)が、社会の進歩に貢献した技術革新に贈られるIEEE(アイ・トリプル・イー)の「マイルストーン」に認定され、12日、京都市で贈呈式が行われた。
 蹴上発電所は琵琶湖から京都に流れる琵琶湖疏水を利用した水路式の発電所で、現在も1年間に1670万キロ・ワット時(約4600世帯の家庭の使用量に相当)の電力を生み出している。日本初の事業用水力発電所として知られ、1942年に京都市から関電の前身である関西配電に引き継がれた。
 岩根茂樹社長は贈呈式で、「資源の少ない日本にとって水力は純国産エネルギーだ。天の恵みを暮らしに生かす先人の思いを継承していきたい」と述べた。
 IEEEは米国に拠点を置く電気・電子技術の世界的な専門家組織で、マイルストーンは開発から25年以上が過ぎた技術を対象にしている。これまでに世界で169件、日本では東海道新幹線やシャープの電卓など28件が認定されている。

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20160913-OYO1T50007.html

2016/09/12

板橋区立水車公園で恒例の親子稲刈り体験 古き良き日本の田園風景を後世に【板橋経済新聞】

2016年9月12日掲載
 板橋区立水車公園(板橋区四葉1)内の水田で9月10日、区内在住の親子16組がもち米を収穫する稲刈り体験が行われた。
 水車公園のある板橋区四葉・徳丸周辺は、数十年前まで区内有数の水田地帯で「徳丸たんぼ」と呼ばれる地域だったが、宅地化が進んだ現在はその当時の様子をうかがい知ることはできなくなっていた。同公園は、当時の面影を後世に伝えようと板橋区が1985(昭和60)年に開設。2面計約130平方メートルの水田を配置し、水田脇には水力で穀類をつくための水車小屋も再現され、区民による稲作体験が毎年開催されている。
 今年も5月に「ヒデコモチ」という品種のもち米の苗を植え、7月には近隣の小学校の児童が作ったかかしが水田脇に立てられ、今回の稲刈りを無事に迎えた。
 この日参加した子どものほとんどは、稲刈りだけでなく鎌を持つことが初めて。水田を管理する「徳丸北野神社田遊び保存会」指導の下、稲の育成状況や稲刈り時の鎌の取り扱い等について学んだ後、グループごとに作業を行って一人2~3株ずつ稲を刈り取った。水車公園内は子どもたちの元気な歓声であふれ、「どろどろになったけど楽しかった」「春に植えた苗が大きくなってビックリ」「食べるのが楽しみ」などと満足そうに話していた。
 刈り取った稲は、同保存会によって1週間ほど天日干しにされた後に脱穀・精米され、11月26日に行われる収穫祭の餅つきで振る舞われる予定。

http://itabashi.keizai.biz/headline/47/

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