2017/06/07
2017年6月7日掲載
ダイキン工業は7日、浄水場など水道施設に設置した小型の水力発電システムによる発電事業に参入すると発表した。配管を流れる水の力で水車を回して発電を行い、つくった電気を再生可能エネルギーとして電力会社に売る。「未来の水車」として水道施設を管理する自治体に売り込みを図り、平成32(2020)年度に売上高50億円を目指す。
空調で培った技術で低コスト化
同日付で小水力発電事業を担う子会社「ディーケーパワー」(大阪府吹田市)を設立した。ディーケーパワーは発電システムの設置から運用・保守、電気の売却を手掛け、電気を販売して得た収入の一部を賃料として自治体に支払う。
ダイキンによると、浄水場などでは原発の4分の1基分に相当する27万キロワット分の水力発電能力があるという。一方で、小水力発電システムは発電量の割に導入コストがかさむことから、普及が進んでいなかった。
ダイキンは空調機器で培った技術を応用。専用部品ではなく汎用(はんよう)部品を使えるようにすることで、「導入コストを従来よりも3割程度抑え、採算性を向上させた」(担当者)。
32年度には年間発電量で一般家庭2万3300世帯分の消費電力に相当する8400万キロワット時の発電を見込む。
http://www.sankei.com/west/news/170607/wst1706070092-n1.html
2017/06/07
2017年6月7日掲載
ダイキン工業は7日、小水力発電事業に参入すると発表した。小型発電機を浄水場などの水道施設に設け、電力を電力会社に売る。空調機に使う制御技術を水車に活用し、従来は難しかった100キロワット以下での効率的な発電を可能にした。2020年度に一般家庭2万3300世帯の使用量に相当する年8400万キロワット時の発電と、50億円の売上高を計画する。
同日付で発電事業を担う完全子会社ディーケーパワー(大阪府吹田市、松浦哲哉社長)を設立した。新会社は発電システムの設計や運用を手掛け、電力を販売した対価の一部を賃料として自治体に支払う。
出力が22キロワット級と、75キロワット級の2種類の発電機を開発した。空調機の出力をきめ細かく制御する「インバーター」と呼ぶ技術を発電設備にも応用し、水量に合わせ水車の回転を調整する。
コストも工事費含めて1~4割安くなり事業採算が改善するため、現在は活用されていない浄水場などでの小さな水量でも使えるようになる。
同社によると浄水場などでは原発の4分の1基分に相当する27万キロワット分の水力発電能力があるという。
2017/05/31
2017年5月31日掲載
佐賀平野の麦秋が刈り取られ、稲の苗代づくりが始まる頃、三瀬村の田植えはほぼ終わっている。冷涼な山間部ではあるが、つい先日の早朝の温度計が8度を差していたのには目を疑った。
嘉瀬川の源流を戴(いただ)く三瀬村の豊富な水の流れを利用して、集落が主体となった小水力発電の実現がいよいよ近づいてきた。発案・検討から2年以上の紆余(うよ)曲折の歳月を経て、地域の特性に合った再生可能エネルギーへのチャレンジだ。先人が遺(のこ)してくれた同じく水力装置の水路や小屋を再活用して、それを未来の集落へ繋(つな)いでいく仕事に地域住民自らが携わっていく。技術をリードしてくれる九州大学と共に、出来ることは自分たちでしていく作業をほぼ月1回積み重ねてきた。
この事業で地域がどのようになれるかはまだこれからだ。それでもただ一つ確かなことは、先人から継いで未来を作ろうとする今の仕事そのものこそが地域を元気にしているように思えることだ。(小野寺睦・養鶏農家)
2017/05/30
2017年5月30日掲載
富山市の企業や団体がインドネシアに環境関連の技術や経験を伝える動きが広がっている。水門など製造の水機工業は同国の棚田群に小水力発電システムを導入。富山大学の教授らで構成する一般社団法人は現地の学校でイタイイタイ病などの教訓を伝える。同市は国から環境未来都市に選ばれるなど官民の環境意識が高く、国内外で活躍の場が広がりそうだ。
インドネシア・バリ州で29日、小水力発電施設の普及を目指す「バリ州小水力システム普及展開実行委員会」が発足した。同委員会はバリ州や現地の水路管理組合、大学などで構成。その事務局を務めるのが、富山市と水機工業などの市内企業だ。
水機工業は中小企業の海外展開を後押しする国際協力機構(JICA)と連携し、バリ州南西部のタバナン県で小水力発電の導入を進めている。同県はユネスコの世界文化遺産の棚田を有するコメの一大生産地。だが電気が届かない地域も多く、農業や商業活動などが制限されていた。
同社の小水力発電システムは既存の農業用水を生かすため大規模な工事が不要で、地形の落差や流量変動にも柔軟に対応。そのため環境負荷が少なく、安定した発電が可能だ。9日に着工、11月をメドに4機の小水力発電システムを設置する。
29日に設立した委員会では、設置した小水力発電システムの効果を検証。運営や維持管理など持続可能なモデルを構築し、同国の他の地域に普及させることを目指す。
一方、富山大の教授らで構成する一般社団法人インドネシア教育振興会は、学校での環境教育導入に取り組む。富山県を流れる神通川沿いで多くの被害者を出したイタイイタイ病の教訓や、ごみの回収・分別の取り組みなどを伝える教科「環境」を導入している。
2014年からJICAと連携し、ジャカルタ近郊の南タンゲラン市の小学校30校で展開。教科書や教員の指導書を作成したほか、教員らを富山に招き、排ガス規制を設ける立山黒部アルペンルート(立山町)やイタイイタイ病資料館(富山市)などをめぐった。
同市内では17年度中に小学校全300校に導入する見通し。21年5月までに新たに同市の中学校21校にも導入するほか、ボゴール市(ジャワ島)など他都市の小学校にも導入を広げる。中央政府や自治体と連携し、現地で環境教育推進セミナーも開催する予定だ。
インドネシアではごみの不法投棄や環境汚染が深刻な都市が多く、住民の環境意識とマナーの向上が課題。同会の窪木靖信代表は「富山発の環境プロジェクトを将来、全域に広げていきたい」と意気込む。
富山市は国から11年に環境未来都市に選ばれ、高齢化などの課題を乗り越えた成功例となることが期待されている。富山県も16年5月に主要7カ国(G7)環境相会合が開かれた際、レジ袋の削減や次世代型路面電車(LRT)など環境問題への先進的な取り組みを世界に発信するなど、環境への官民の意識は高い。
「富山の技術を世界に広め、環境未来都市としての役割を果たしたい」と市担当者。発展途上国では経済成長に伴い環境問題の重要性が高まっており、富山が果たせる役割は今後、大きくなりそうだ。(富山支局 長谷川雄大)
2017/05/24
2017年5月24日掲載
金沢工業大学は石川県の企業やNPO法人と協力し、同県白山市の白山山麓地域に小水力発電施設を設けた。除雪された雪を河川まで運ぶ流雪溝の水の流れを活用し、発生した電力を販売して地域活性化に役立てる。発電所から得られたデータは再生可能エネルギーの研究に生かす。
豪雪地帯で知られる同市白峰地区に「白峰まちづくり発電所」を開設した。26日に完成式典を開き、発電を本格的に始める。出力は7キロワット程度という。地域の除雪に使う流雪溝の水の流れを利用する。雪が積もる時期には雪を運ぶのに水が必要なため、雪が降らない春から秋に流れる水を活用して発電し、北陸電力に売電する。年間数十万円の収入を見込む。
金沢工大地方創生研究所が白峰地区のまちづくりを推進するNPO法人と協力。連携するエンジニアリング会社の荏原商事(東京・中央)が発電設備の施工を手掛け、電気機器メーカーの別川製作所(白山市)が配電設備を提供した。
金沢工大は産学連携による地方創生の研究に取り組んでおり、今回の発電所はプロジェクトの第1弾となる。