2019/02/09
2019年2月9日掲載
地域再生大賞 福島県内2団体に栄誉 東京で表彰式
地域活性化に取り組む団体を支援しようと福島民報社など全国の地方新聞四十六社と共同通信社が設けた第九回地域再生大賞の表彰式は八日、東京都千代田区の都市センターホテルで行われた。優秀賞を受けた、いわき市のTATAKIAGE(タタキアゲ)Japan(小野寺孝晃理事長)、福島市の元気アップつちゆ(加藤勝一社長)など五十団体に表彰状が贈られた。
実行委員長の大西祐資京都新聞社取締役編集局長があいさつし、大賞の「多言語センターFACIL(ファシル)」(兵庫)、準大賞の「きらりよしじまネットワーク」(山形)と「いけま福祉支援センター」(沖縄)などをたたえた。
TATAKIAGEの小野寺理事長は「まちづくりに終わりはない。浜通りの活性化と言えばTATAKIAGEと全国に知られるよう、あらゆる方面でさまざまな仕掛けをしていきたい」と決意を新たにした。元気アップの加藤社長は「震災と原発事故の影響で三分の一の旅館が廃業した土湯温泉街を何とか再生しようと、公衆浴場の開設、再エネの発電、エビの養殖などに取り組んできたことが評価された」と喜びを語った。
表彰式に続き、大賞、準大賞の受賞団体の代表や選考委員らが「多様化する地域で」と題したパネル討論を繰り広げた。
■優秀賞 TATAKIAGEJapan
いわき市の若者が二〇一三(平成二十五)年七月に設立した。二〇一五年から、浜通りの活性化に向けて学生や社会人がアイデアを市民に呼び掛ける「浜魂(ハマコン)」を開催している。これまでに百人以上が登壇した。「保護猫サロンの開設」「サンマを使った新商品のネーミング考案」など実現に至った事業は数多い。
東日本大震災後、JRいわき駅前にある復興飲食店街「夜明け市場」の発足にも携わった。いわき市や商工会議所、いわき明星大、他の民間団体などと連携し、首都圏に流出した若者を呼び戻す活動にも力を入れている。
■優秀賞 元気アップつちゆ
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による風評被害からの再生を目指して、二〇一二(平成二十四)年十月に福島市土湯温泉町で誕生した。土湯温泉の地域資源である源泉の蒸気や熱水を生かした地熱(バイナリー)発電所と、温泉街を流れる河川を活用した小水力発電所を整備し、いずれも二〇一五年に運転を開始した。
二〇一六年からは地熱発電で使った冷却水を利用してオニテナガエビの養殖を始め、「つちゆ湯愛(ゆめ)エビ釣り堀」をオープンさせて新たな名物になりつつある。エビを土湯温泉の旅館の料理で提供する計画もある。
2019/02/06
2月6日掲載
ロウバイの黄色が目を和ませ、香りが風に乗ってくる。先月の上京でジャズライブや絵画展のハシゴからおそらくインフルエンザをお土産に持って帰ってきてしまった体に、最良の薬はやはり三瀬の自然と静けさだった。
そしてもう一つの薬。つい先日に行われた井手野集落の敬老会だ。今回は集落が主体となって先春に完成した毘沙門堂びしゃもんどう小水力発電所のお披露目式も兼ねた。
発電所建設を具体的に支援してくれた九州大学関係者を招いて、冬の雨の中に年季の入った先人から受け継いだ発電小屋で集落の方々に説明をしてもらった。その後は老人クラブの方々と交じり合って手作りの大ごちそうを頂き、子供たちの歌や参加者での踊りやゲームで公民館は笑顔にあふれた。
同じ地域に共に暮らすというその理由だけだけれど、その土地で生を深く全うするために、一人一人ができることをささげているという事実に、都会では薄れてしまった薬がここにあると改めて気付かせてくれた。(養鶏農家)
2019/02/06
2019年02月06日更新
山口県は民間企業が小水力発電施設を建設・運営し、売電収入の一部を管理者へ納付する、新たな発電施設導入モデルを推進している。2019年2月1日にこの方式を採用し、県有の農業用ダム「温見(ぬくみ)ダム」(下松市)を活用した小水力発電所が稼働した。
完成した「温見ダム小水力発電所」の設置費用は約9000万円で、有効落差26.6メートル、水量最大0.3立方メートル毎秒を利用して発電する。最大出力は49.5kW(キロワット)で、年間発電量は約100世帯分の使用電力量に相当する37万863kWh(キロワット時)を見込んでいる。
山口県の取り組みは、ダム施設の一部を民間企業に賃貸し、民間企業が水力発電所の建設および運営を行う。運営主体となる民間企業は、売電収益の一部を他目的利用料としてダムの管理者へ支払う仕組みだ。ダム管理者は、小水力発電運営に伴うリスクを負わず新たな収入源を得ることができ、維持管理負担の軽減につながるメリットがある。
山口県は農業用ダムを10カ所保有している。このうち今回の温味ダムの他、既に「内日ダム」(下関市、稼働日2018年8月22日)、「山の口ダム」(萩市、同2018年3月30日)で同様の導入スキームで建設された水力発電所が稼働している。これら3カ所のダムにおける水力発電所の運営事業者は、流体移送機器メーカーの大晃機械工業(山口県熊毛郡)となっている。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1902/06/news048.htmlL
2019/02/01
2019年2月1日掲載
おおい町名田庄納田終(のたおい)の南川にある砂防ダム「南川第一号堰堤(えんてい)」を利用し、小水力発電を行う合同会社が設立される。「サイホンの原理」でダムを水が乗り越える全国的にも珍しい発電施設を造り、売電収入の一部を下流域の川底浄化などに生かす計画だ。地元の同町里山文化交流センターぶらっとで二日、説明会が開かれる。
町民とNPOなどでつくる「南川上流域の活性化事業協議会」による計画。二〇一七年度、再生可能エネルギーの普及を目指す県の事業に選ばれ、具体的な発電設備の検討をしてきた。
狭い谷筋やダム自体に手を加えないよう、灯油ポンプなどで使われるサイホンの原理で、高さ二十二メートルのダムを上流から下流へ乗り越える形で配水管を敷設する施設を立案した。昨年二月には、仮設の設備で実験を行い、約二百ワットの発電に成功した。
同協議会は県事業の終了に伴い解散。NPO法人エコプランふくい(福井市)が事務局となり、事業内容の検討を続けてきた。三月にも、エコプランふくいのメンバーらでつくる株式会社「ふくい市民発電所」や地元有志などで合同会社を設立。二一年七月の運転開始を目指す。
計画によると、出力百五十四キロワットの水力発電施設を建設。発電量は一般的な家庭二百世帯ほどに当たる年間九十五万キロワット時で、買い取り先は検討中だが、年間の売電収入三千六十万円を目指す。この一部を地域活性化事業に生かすため、受け皿の組織をつくる予定。砂防ダムの下流で川底の石に泥が付着し、石に付いた藻をはむアユが減少傾向にあることから、泥の成分を分析し、分解する実験などに取り組む。総事業費は二億六千万円。銀行融資のほか、個人からの小口融資も募って賄う。
エコプランふくいの吉川守秋さん(68)は「地元住民と一緒に、地元に還元しながら、発電所の運営を進めていきたい」と意気込んでいる。
(山谷柾裕)
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20190201/CK2019020102000033.htmlURL
2019/01/29
2019年1月29日掲載
石川県加賀市は4月、自治体が出資して電力の供給などをする「自治体新電力」事業に北陸で初めて参入する。まずは外部から電力を調達し、市役所や学校などの公共施設への電力供給を北陸電力から切り替える。将来は発電事業にも取り組み、民間を含めた全ての電力需要を自前でまかなうことを目指す。今後20年間の経済波及効果は50億円程度を見込む。
市が100%出資し、市の公共施設の指定管理などを手掛ける加賀市総合サービス(石川県加賀市)が小売電気事業者に登録された。自治体が100%出資した株式会社による電力事業は全国で初めてという。
市は同社を通じて日本卸電力取引所から電力を仕入れ、市内の施設に供給する。年間4億5000万円の売り上げを見込む。
現在、市では一般家庭や企業などの電気料金だけで約100億円が外部の電力会社に流出しているという。今後太陽光発電や小水力発電事業にも参入し、全ての電力を地域内で調達・供給できる体制を整えたい考えだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4057519028012019LB0000/