2013/08/19
記録的な少雨の影響で、山梨県 企業局の7月の水力発電量が目標値の76・5%にとどまり、東京電力への売電額は目標より約2千万円少なくなる見通しであることが16日までに分かった。 8月も少雨が続いており、企業局関係者は売電収入のさらなる落ち込みに懸念を強めている。
県企業局電気課によると、小水力発電所を含め、県営の水力発電所は早川、笛吹川、塩川の3水系を中心に21カ所ある。ダム近くや取水口近くで測った7月の雨量は平年値の36〜40%にとどまり、発電に必要な水量が十分に確保できない状況が続いている。
21カ所の7月の発電量は計4678万74キロワットアワーで、過去10年間の発電量の平均値に当たる目標値(6119万キロワットアワー)の4分の3程度となった。売電の目標額は約3億1千万円に設定していたが、売電実績は2億9千万円にとどまる見通しだ。
水系別の発電量は、笛吹川(11カ所)は目標値の59%(1045万キロワットアワー)、塩川(1カ所)は60%(35万4千キロワットアワー)にとどまり、落ち込みが大きかった。早川(6カ所)は84%(3578万キロワットアワー)だった。
同課によると、過去5年間の7月の発電量は目標値の97〜128%で推移しており、今年は最少。同課の担当者は「水力発電は天気の影響を受けやすい面がある。売電収入を確保し、電力需要に対応するためにも早い時期の雨を期待したい」としている。〈小林義徳〉
2013/08/19
全国的な猛暑日となった8月10日、小田原で町づくりなどを担う地元企業や民間団体、学生らのボランティアが「100年前の郷土の小水力発電所を復活させたい」との思いで、土木作業を行った。長く放置されてきた大正時代の小水力発電に、いま注目が集まっている。(ノンフィクションライター・高橋真樹)
大正時代に作られた小水力発電の跡地があるのは、小田原駅から車で10分程の距離にある小田原市久野の山林。この日集まったのは、山林を所有する辻村百樹さんのほか、小田原地域をベースに自然エネルギー事業を立ち上げたほうとくエネルギー(神奈川県小田原市)、その母体となった小田原再生可能エネルギー事業化検討協議会、地域おこしを行う小田原藩龍馬会のメンバー、関東学院大学小田原キャンパスの学生ら約30人だ。
小水力発電の発電機が設置されていた深さ2メートル以上の窪地から、チェーンソーなどで伐採した樹木などを手作業で運び出し、雑然としていた跡地を再利用できるよう整備した。
炎天下で重い切り株を運び上げていた、ほうとくエネルギーの蓑宮武夫社長は言う。「この立派な遺構に感動しました。まもなく建造から100年になるので、それまでに復活させたいと思い、町おこしをやっている人たちに呼びかけました」
■ もともとあったエネルギー資源に目を向ける
この小水力発電所は、1917年(大正6年)に辻村さんの祖父の常助氏が建造し、自らが所有する製材所や自宅などの電力として使用、紡績工場への売電も行っていた。当時の出力は117キロワットで、送電網が久野の山林まで整備された1948年まで稼働していたが、その後は山林の中に放置されていた。この日整備した場所にあったはずのタービン発電機も戦後の混乱で盗難にあっている。
しかし100年前に作られた石組みは、周辺の水路や調整池に至るまで堅牢なまましっかりと残る。「ここを整備して、もう一度光を当てたい」と考えた辻村さんは言う。
「作業の目的は2つ。一つは文化財的に、郷土にこういうものがあったんだという価値を残したいということ。もう一つは、今の技術を使えばもっと良い発電ができるかもしれないという期待もあります。これを活用できれば、地方にもともとあったエネルギー資源に目を向けてもらうきっかけになるのではないでしょうか」
発電所跡地の水利権は辻村さんの所有だが、上流では当時より水量が減っているため、まずはどの程度発電できるか調査を行う予定になっている。また、発電所として使えない場合でも、地域の史跡として保存したいと考えているという。
集まったボランティアに向けて挨拶をする辻村百樹さん
小田原に限らず、かつて日本の山村では盛んに小水力発電によるエネルギー自給が行われていた。明治、大正時代などの最盛期には、全国で約8万カ所にあったと言われている。今では山のエネルギー源に目が向けられることはなくなってしまったが、こうした先人の取り組みから学ぶことは多いはずだ。
2013/08/17
日本中に流れる川の水を有効に利用すれば、小水力発電の規模を飛躍的に拡大することができる。実際に各地域の自治体が導入プロジェクトを進めているが、期待ほどには設置件数が増えていない。維持管理に手間がかかるほか、天候によって水量が変動して採算性を見込みにくい点が課題だ。
[石田雅也,スマートジャパン]
小水力発電は他の再生可能エネルギーと比べて、設備に必要なスペースが小さくて済む利点がある。横幅が1メートルしかない水路に発電設備を取り付 けることも可能だ。小水力発電の対象になる場所は日本全国に膨大にあって、例えば東京都の江東区は公園の中を流れる水路で可能性を検証している。
環境省が地域別の中小水力発電(出力3万kW未満)の導入可能性を調べたところ、全国で合計2万カ所以上にのぼる設置対象地点を特定できた(図1)。ところが実際に発電設備を導入した件数は最近でもほとんど増えていない。
2012年7月に始まった固定価格買取制度では、太陽光発電を中心に8カ月間で38万件以上の設備が認定を受けた。しかし中小水力発電は38件しかなく、そのうち小規模な200kW未満の発電設備でも25件にとどまっている。
再生可能エネルギーの中では最も導入しやすいはずの小水力発電だが、それでも設置までにさまざまな手続きが必要なうえに、事業規模が小さい割には維持管 理に手間がかかる。農業用水路などを活用した小水力発電を検討してみたものの、採算性が見込めずに断念する事業者は少なくないのが現状だ。
つづき http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1308/14/news012.html
2013/08/17
県が湯前町長岡地区で整備を進めていた小水力発電施設がこのほど完成した=写真。農山漁村の豊富な水資源を活用し、エネルギーの地産地消を進める狙い。県内の同施設は阿蘇市に続いて2例目。
小水力発電は河川や用水路、工場内の配管などを流れる水を利用する。東日本大震災以降、クリーンエネルギー需要の高まりを受け、注目されている。
今回、県は同地区を流れる幸野溝(こうのみぞ)用水路に発電機を設置した。総事業費は約4070万円。発電量は年間3万5500キロワットで一般家庭の8〜9世帯分に相当する。全量を九州電力に売電する。
今月上旬の通電式には農業関係者など約50人が出席。鶴田正已町長は「水の有効活用をさらに追求する。環境負荷をかけないことが大切」とあいさつ。施設を 管理する幸野溝土地改良区の宮原辰紀理事長は「再生エネルギーの利用に、国民の機運が高まっている。費用対効果はわずかかもしれないが、エネルギー問題を 見直す取り組みにしたい」と話した。
=2013/08/15付 西日本新聞朝刊=
2013/08/17
2013年8月4日、飯田市千代の野池親水公園でマイクロ水力発電の点灯式が開催され、市や地元、協力者である飯田精密機械工業会の関係者30人が出席した。
Image from 千代地区まちづくり委員会ホームページ
河川を擁する山間地というマイクロ水力発電には最適の地形に着目した飯田市では2009年から適地調査を開始し、野池 親水公園内で2012年9月から実証実験を行っていた。公園のすぐ近くを流れる倉畑沢の取水口から約300メートルの既設ビニールパイプで水を運び発電機 に接続することにより、1日に13〜15キロワット時の発電が得られる。
飯田市では今後は同様のマイクロ水力発電を市内各地に設置し、緊急時などにも使用できることを想定しており、安定した発電量の確保や低コスト化に関しても実験・検証を行っていく予定だ。
http://water-news.info/4743.html