2013/12/08
用水路を利用
用水路を活用した水力発電。暗くなると、蓄えた電力で点灯する(日光市のJR今市駅前で)
クリスマスを前に、栃木県日光市と宇都宮市の工業高校が小水力発電を利用したイルミネーション実験に取り組んでいる。地元の豊富な水源を活用し、あるいは廃棄された自転車の車輪を使い、それぞれ工夫を凝らしている。「身近な再生エネルギーを感じてほしい」との願いもこもった光が、冬の街に彩りを添えている。
日光市では、今市工業高校が用水路で実験に取り組んでいる。昨年、太陽光を利用した発電の研究を進め、東武日光駅前などに日光国体をPRするカウントダウンボードを設置し、JR今市駅前では夜間にイルミネーションを点灯させた。
しかし、太陽光は天候に左右され、夜間に蓄電できない。学校のある旧今市地区は、二宮尊徳が江戸時代末期、荒れた農村を復興するため水路を整備し、現在も32本の用水が市街地を流れる。今年はこの恵まれた水資源を活用することにした。
実験は、機械科の授業の一環で、生徒らは、市販の小型水車型発電機に適した改良モーターを開発。蓄電機能を持たせ、11月下旬からクリスマス頃まで、今市駅前の用水路で24時間の発電実験を続けている。指導する野沢孝輔教諭(27)によると、水流で発電した電力を蓄え、暗くなると点灯するように操作したLED電飾で夜間ライトアップしている。
発電規模は1日約100ワットと小さいが、夜間点灯には十分な電力を確保。太陽光に比べ、水さえあれば終日発電できるのが利点だ。一方、水車に落ち葉などのゴミが挟まると動かなくなるため、定期的にメンテナンスをしている。
機械科3年の石井大暉さんと竹沢巧磨さんは「今年の結果を生かし、後輩たちにも研究を続けてほしい」と話す。野沢教諭も「実用化は難しいかもしれないが、夜間点灯などで地域の役に立てれば」と話す。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20131208-OYT8T00393.htm
2013/12/05
件名 | 草木ダムに設置する小水力発電設備の設計業務 |
都道府県 | 群馬県 |
機関 | 水資源機構(草木ダム管理所) |
公示種類 | 見積(オープンカウンター) |
公示日 | 2013/11/29 |
締切日 | 2013/12/13 |
概要 | 草木ダムの小水力発電設備設計業務を行う者を募集する。(小水力発電設備実施設計 一式、経済性及び問題点の検討 一式)発電方式は水路・流れ込み式、最大出力は37kW以上。 |
2013/12/05
香川県は4日、来年度から本体工事に着手予定の椛川ダム(香川県高松市塩江町)で、環境に優しいクリーンエネルギーとして注目される「小水力発電」に取り組む考えを明らかにした。着工から5~6年後の完成を見込むダム本体の供用開始に合わせ稼働させる予定で、国の固定価格買い取り制度を利用し四国電力に売電する。
同日の11月定例県議会環境建設委員会(有福哲二委員長)で、佐伯明浩氏(自民・観音寺)の質問に細谷芳照土木部長が答えた。
椛川ダムは、総貯水量1056万トンの多目的ダムとして計画しており、現在は県道と市道の付け替え工事が行われている。
小水力発電事業は、ダムの堤防の高さを利用。ダム上流から下流部にある利水放流設備に向けて取水管を引き、利水放流設備近くに設置する水車を回して発電する。最大出力は65キロワット、年間発電量は一般家庭100世帯分に相当する37万キロワット時を見込んでいる。
県河川砂防課によると、施設の整備費は概算で約9千万円。年間1千万円程度の売電収入が見込めるため、運用後10年で投資費用は回収できる見込みという。同課は「椛川ダムでの小水力発電を機に、再生可能エネルギーの導入促進に努めたい」としている。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/administration/20131205000161
2013/12/04
小水力発電の分野で、業界団体や行政機関による初心者を対象にした手引書の刊行が相次いでいる。関連する技術の理論的な解説に重点を置いてきたこれまでの手引書とは異なり、すでに稼働している発電所の事例をふんだんに取り入れていることや、専門家にも難解とされてきた法規制を平易に解説したものが多く、関係者から好評だ。ほとんどはインターネットで無償配布されたり、ネット書店で取り扱われたりするなど入手が容易で、小水力発電の裾野を広げることに役立つことが期待されている。
全国小水力利用推進協議会(東京都豊島区)は、先月上旬に鹿児島県内で開いた全国小水力発電サミットに合わせる形で『小水力発電事例集』を改訂し、書籍ネット販売の最大手・アマゾンドットコムなどでの販売を始めた。農業用水や水道施設など取水形態ごとの実例を挙げて新たな動きを紹介したほか、丸紅子会社の三峰川電力が山梨県北杜市において官民協働で運営する小水力発電所など4事例について、特徴的な取り組みを紹介している。
行政機関も手引書の作成に熱心だ。石川県はこのほど、『農業用水を活用した小水力発電導入のための手引き』を作成し、県の公式ウェブサイト上で無料配布している。農業用水を活用した小水力発電の開発と運営に的を絞った内容で、計画から実稼働、年度ごとの収支決算までの各段階ごとに、行わなければいけない手続きやクリアすべき課題をまとめ、チャートを多用して分かりやすくまとめている。初心者にはハードルが極めて高いとされてきた、河川法や電気事業法関連の規制や許認可手続きについてもページを多く割き、詳しく解説しているのが特徴だ。
一方、国土交通省もこのほど『小水力発電設置のための手引き』をまとめ、同省のウェブサイトで無料配布している。全国各地の22事例を紹介するとともに、それぞれの事例について、国交省が 進める規制緩和がどのように適用されるかについても記述している。
このほか、水力発電設備を持つ卸供給事業者などでつくる業界団体も、独自に手引書の編集を進めており、近く発刊される見通しだ。安定した再生エネ電源の確保に向け小水力発電拡大の要請が高まる中、こうした手引書の刊行は普及に向けた追い風となりそうだ。
http://www.kankyo-news.co.jp/ps/qn/guest/news/showbody.cgi?CCODE=82&NCODE=428
2013/12/03
静岡県富士宮市で、小水力で発電した電気を使って栽培した野菜などを「エコ農産物」としてブランド化しようという動きが始まった。中心となって取り組むのは、特定非営利活動法人(NPO法人)化を目指す「富士山スマートエナジー」代表の小松快造さん(59)。水の落差が小さくても発電できる「相反転式小水力発電機」で得た電力は売電するのではなく、ハウス栽培や電気自動車のコミュニティー交通に活用し、電気の地産地消を目指す。
小松さんは、東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに、再生可能エネルギーの重要性を実感。「富士宮は富士山からの湧水が豊富で、小水力発電に最も適した土地柄」と、農業用水路に着目した。市議会議員も務める小松さんは、9月から県と市の協力を得て、北山用水の支流に発電機を設置、試験を始めた。発電機は、建設会社の(株)協和コンサルタンツ(東京都渋谷区)が開発した「相反転式小水力発電機」を導入した。
この発電機は、落差50センチでも発電できるのが特徴。実験では落差1メートル、水量毎秒0.25トンで、最大1.4キロワットの発電ができた。1日稼働させると一般家庭約1戸分の電力が得られるという。小松さんは「電力会社に売電する場合は、住民の合意や県から水利権の認可が取りにくい。地域で生み出した電気を地域のために使えば、発電機を設置しやすくなる」とみる。
今後は発電した電力で、ビニールハウスでの水耕栽培を実験的に始める計画だ。大学や大手電機メーカーも注目しており、11月下旬には東京都内で複数の大学とメーカーが参加し、小水力発電の「富士宮モデル」を確立しようと会議が開かれた。
「環境に優しいエネルギーを利用しておいしい農産物ができればブランド化ができる」と、JA富士宮にも協力を求めている。