過去に投稿された記事の一覧です。

2014/02/07

(もんじゅ君のエネルギーさんぽ)栃木が増やす小水力【朝日新聞】

■県が小水力発電の事業者を募集
 こんにちは、もんじゅ君です。今週は栃木県がとりくんでいる、小水力発電のお話をご紹介するよ。
 栃木では今月の14日まで、「小水力発電をやりたい会社はいませんか?」と県が事業者を募集しているんだよ。こんなふうに、再生可能エネルギーを手がける会社を自治体が募る、ということ自体はめずらしいことではないのね。けれど栃木のやり方でおもしろいのは、くわしく県内のいろんな場所の地形や水量を調べて「ここなら小水力発電をやるのにぴったりですよ!」というポイントを公表していることなんだ。

■発電に向いた場所を公表
 これは栃木県の「河川活用発電サポート事業」というプロジェクトなんだけれど、鹿沼市と日光市のあわせて九つの河川について、15カ所の適地を発表しているの。場所だけではなくて、そこで発電に使えそうな落差や水量はどれくらいか、じっさいに発電機を設置するのにいくらかかるか、年間でどれほどコストがかかって、どれくらい売電収入がありそうかなど、事業をはじめるのに必要なデータもいろいろと公表しているんだよ。

■ぴったりな場所を見つけるのが大事だから
 自然エネルギーによる発電っていうのは、火力発電や原発とはちがって、燃料がいらないのがいちばんのメリットでしょ。だけどそのぶん「ぴったりな場所」でやることが重要なんだ。太陽光、風力、小水力など、どれにしても地形や気候の合った場所じゃないと、採算があうだけの発電量を確保できないケースがあるんだよ。
 だから、再生可能エネルギーの発電所をつくるときには「場所選び」がとても大切なんだけれど、調べてみてから「だめだった」とわかることも考えられるし、調査にもノウハウや知見も必要だから、いきなり始めるのはちょっとむずかしい。
 そこで栃木では、「県がかわりに下調べをしますよ」「いい場所を見つけましたから、あとは県内、国内のやりたい企業がぜひ手を挙げてくださいね」という方式をとっているんだね。

■お金は出さず、情報やサポートを提供する
 これまでもほかに山梨や山口、岡山などで小水力発電のポテンシャルの高い場所を探して公表する、ということはおこなわれてきたんだけれども、栃木のとりくみはひと味ちがっていて、発電を始める会社が決まったあとも「河川を利用するための認可手続きや、地元の人たちとの話し合いについても県が手伝いますよ」「国や県に使えそうな融資制度や補助があれば教えてあげますよ」といっているんだ。
 このプロジェクトでは、県は直接的にはお金を出さないけれど、かわりに事前の調査をし、必要な情報や手助けをしていくんだね。

■他の県にとってもヒントに
 都会にくらべると、地方は自然がゆたかなぶん、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い場所がたくさんあるんだ。けれど地方自治体の予算では、それほどたくさん自然エネルギー普及にお金を出せないという事情もあるし、県内の事業者だって中小企業が中心で、大企業にくらべればそんなに予算がない、ということも多いでしょ。
 だから、この栃木の「適地の調査は県がします。情報も出します。やると決まったあともお手伝いしますよ」という方式で成功例がひとつでもふたつでも出れば、他の県にとってもきっとよい例になるんじゃないかな。そう思って興味ぶかくニュースを見ているよ。

http://www.asahi.com/articles/ASG264K7ZG26UCVL009.html

2014/02/07

2カ所で小水力発電を導入へ 上伊那の研究会が報告【中日新聞】

昨春から土地改良区の農業用水路を使った小水力発電を研究してきた「上伊那地域農業生産基盤再生可能エネルギー活用研究会」の最終会議が六日、伊那市の県伊那合同庁舎であり、伊那市内の二カ所で小水力発電を導入する方針が報告された。

 研究会は県、地域内の市町村、土地改良区などで構成。駒ケ根市と伊那市の計四カ所の土地改良区を対象に、既存施設の視察や現場の流量観測をした。その結果、伊那市長谷の「上伊那美和」、同市富県の「伊那市春富」の両土地改良区で小水力発電を導入する方針が固まった。

 上伊那美和は、土地改良区を事業主体とした通年発電。伊那市春富は、県営のかんがい排水事業の一環で、かんがい期に発電する。新年度の国などの補助を申請する。

 残る二カ所は、発電用の管路が長くなるため維持費が多くかかることや、安定した流量を得られないといった理由から、導入は困難だと分かった。

 研究会は、用水路補修を中心とした土地改良区の負担を、売電の収益で補う仕組みづくりを探る狙いで、研究を進めた。
(近藤隆尚)

http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20140207/CK2014020702000020.html

2014/02/07

安倍川の水力発電復活を 梅ケ島の計画に調査費【静岡新聞】

 安倍川上流、関の沢川で、大正から昭和期にかけて活躍した水力発電所の復活を探る調査が静岡市葵区梅ケ島で始まる。同市のNPO法人アースライフネットワーク(県地球温暖化防止活動推進センター)が資源エネルギー庁の事業に応募し、約500万円の調査費が付いた。施設跡の再興には課題も多いが、住民代表の鈴木英次さん(75)は「夢への第一歩を大切にしたい」と期待する。
関の沢川の水を取り入れる取水施設跡=昨年11月末、静岡市葵区梅ケ島
 梅ケ島には電力の地産地消の歴史がある。鈴木さんの叔父で旧梅ケ島村長秋山義則さんが1924年、私財をなげうって関の沢川に発電所を建設した。地域に光をともした施設だったが戦後、役目を終えた。
 周辺には、当時の取水口や水路が状態良く残る。発電施設は原形をとどめないが、送水管や発電機の残存物は発電の歴史を物語る地域遺産でもある。NPO法人は今年3月まで川の流量や発電の可能性を調べる。調査結果を踏まえ、資金調達や事業主体を含めた本格的な検討に着手する。
発電施設内にある送水管跡=昨年11月末、静岡市葵区梅ケ島
 梅ケ島地区はピーク時、約1500人の住民がいた。現在は約480人ほど。鈴木さんは、地域住民に水力発電復活の第一歩を踏み出した情報を「夢舞台プロジェクト」と説明。夢実現への道のりは平たんではないが「少しでも地域活性化の端緒にならないか、調査の推移を見守りたい」と話し、先人が残した遺産の生かし方を模索している。

http://www.at-s.com/news/detail/872142789.html

2014/02/07

福島の飯野水力 運転6月に延期 東北電力【河北新報社】

 東北電力は3日、福島市内で建設している小水力発電の飯野発電所(出力230キロワット)の運転開始時期を、当初予定の今月から6月に延期すると発表した。基礎を設置する岩盤が想定より固く、掘削工事に時間がかかったのが要因。
 飯野発電所は、既存の蓬莱水力発電所(福島市)のダムから阿武隈川に流す水で発電する設備。ダムから放水した水を使用するタイプの発電所の建設は東北電として初めて。

http://www.kahoku.co.jp/news/2014/02/20140204t63015.htm

2014/02/07

建設費が想定を上回る小水力発電、それでも買取価格は据え置き【スマート・ジャパン】

農業用水路などを活用した小水力発電に注目が集まっている。ところが発電設備を導入できる場所は数多くあるものの、実施に至るケースは少ない。発電設備の建設費に対して買取価格が低めに設定されていることが大きな要因だ。ただし政府は2014年度も買取価格を据え置く見込みである。
[石田雅也,スマートジャパン]

 再生可能エネルギーによる発電設備の導入状況を見ると、小水力発電の少なさは一目瞭然だ(図1)。固定価格買取制度の開始後に導入された設備の容量は0.5万kWしかなく、長期の開発期間を必要とする地熱に次いで少ない。導入件数も全国で27件にとどまっている。

図1 再生可能エネルギーによる発電設備の導入状況(2013年10月末時点)。出典:資源エネルギー庁

 小水力発電は太陽光発電の次に導入しやすく、農業用水路をはじめとして対象になる場所も数多くある。ところが資源エネルギー庁が2012年度の導入量として想定していた規模は3万kWだったのに対して、その10分の1にも達していないのが現状だ。

 問題点の1つは採算性の低さにある。小水力発電は他の再生可能エネルギーに比べて出力が小さく、発電量も少ない。それを前提に買取価格が決められているものの、建設費が想定を上回る水準になっているために、現状の売電収入では投資を回収しにくくなっている。

 資源エネルギー庁が発電事業者を対象に調査したところ、建設に必要な資本費が想定の3倍以上になっているケースが半数以上を占めていて、中には10倍を超えるものまであった。規模の小さい出力200kW未満の設備では、資本費の平均は1kWあたり354万円で、買取価格の前提になっている100万円を大きく上回っている(図2)。

図2 小水力発電設備(出力200kW未満)の建設費。出典:資源エネルギー庁

 調査の対象になった22件の設備のうち14件は公共機関、8件は民間事業者である。民間事業者だけの平均をとると135万円になるが、それでも想定値より3割以上も高い。一方で導入後に必要な運転維持費は想定値の2分の1程度で収まっている。とはいえ初期の建設費が高くては、投資回収までに長い期間が必要になってしまう。

 より規模の大きい出力200kW~1000kW未満の設備でも、状況はさほど変わらない。調査対象の設備は7件しかないが、資本費の平均値は1kWあたり132万円になり、買取価格の前提である80万円の1.65倍である(図3)。運転維持費は想定の4割程度に収まっていて、200kW未満の場合と同じような収支構造になっている。

図3 小水力発電設備(出力200kW~1000kW未満)の建設費。出典:資源エネルギー庁

 こうした状況にもかかわらず、政府は2014年度の買取価格を従来のまま据え置く方針だ。まだ運転を開始した設備が少ないために、建設費や運転維持費のデータを十分に得られていないことに加えて、導入に向けた開発件数が徐々に増えてきたことを理由に挙げている。

 しかし太陽光発電に偏重している現状を是正するためには、小水力発電に対しても魅力のある買取価格を設定する必要がある。今のところ自治体による導入事例が多いのも、民間事業者から見て利益を見込みにくいことが影響している。再生可能エネルギーを重要な電源に位置づけるのであれば、出力が安定している小水力、地熱、バイオマスの買取価格は高めに設定すべきである。

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