2014/02/17
佐賀市は2014年度から、市清掃工場で機械を冷やすために循環させている冷却水を活用した小水力発電に乗り出す。工場で使う電力の一部に充てる。全国でも珍しい試みといい、事業費を14年度一般会計当初予算案に盛り込む。
市清掃工場では、焼却炉を監視するカメラなどの機器や、ごみを焼却する際に出る熱を利用した発電機を冷やすために、大量の冷却水を循環させている。炉は24時間稼働しており、管の中を毎時400トンの水が流れている。
熱を帯びた水は、工場上部のクーリングタワーにポンプで引き上げて冷ました後、約27メートル下の地上部分にあるプールに戻す。この落差を利用し、水を降下させる管の途中に水車を設置して発電する。出力は約20キロワット、年間発電量は約12万キロワット時を見込んでおり、一般家庭35世帯の1年分の使用量に相当するという。
水車や発電機、管の改修に約5千万円かかるが、市循環型社会推進課は「発電した電力を特定規模電気事業者(新電力)に売り、安く買い戻すことで電気代が削減され、10年ほどで取り戻せる」と説明する。
小水力発電設備関連の企業でつくる全国小水力利用推進協議会(東京)によると、ビルの空調冷却水を利用した発電は東京や福岡で導入例があるが「ごみ焼却場では珍しい」という。市の担当者は「24時間稼働で水量がある程度多くないと費用対効果は薄いが、他の自治体の焼却施設でも導入できるクリーンエネルギー活用策だ」と話す。
=2014/02/17付 西日本新聞朝刊=
2014/02/17
農業用水を使った小水力発電施設が蒲郡市清田町の大内揚水機場横に設けられ、稼働した。市土地改良区が市と協力して設置した。県が今年度始めた土地改良区事業の小水力発電整備補助対象で、稼働第1号だ。
施設は、水流でらせん状の羽根を回す簡易発電機(縦約28センチ、横約38センチ、長さ約185センチ、最大出力10ワット)2基を、落差80センチ、流量毎秒10リットルの農…
http://mainichi.jp/area/aichi/news/m20140212ddlk23020064000c.html
2014/02/14
「神の水」と尊ばれた湧き水で動かす小水力発電の点灯式が、甲賀市土山町の史跡「御場泉(おんばせん)」であり、事業を主導した大野地域自治振興会のメンバーらが参加した。振興会は「伝説の地を新たな形で残したい」と意気込んでいる。
御場泉は国道1号近くの雑木林の斜面下にひっそりとある湧き水。諸国巡行でこの地に滞在した倭姫命(やまとひめのみこと)の飲用に、湧水が献上されたという伝説がある。
地域の歴史散策のポイントの一つになっていたが、周囲は竹が生い茂り荒れた状態だった。再生可能エネルギーへの関心の高まりもあり、振興会の産業振興部会が中心となって小水力発電と合わせた整備を企画した。
昨年十一月に着工し、作業にのべ百人以上が参加した。竹やぶや雑草を刈り取り、湧き水に下る階段を整えた。泉は石積みで囲い、水を導くU字溝を整備し、発電機一基を設置した。
事業費は約三十七万円で、半分は再エネを地域に導入するための市の補助金を使った。
一基で得られる電力量は数ワットと少なく、当面は泉を照らすLED灯に使われる。発電機の増設や、散策に訪れる人のための看板の設置も検討している。
郷土史に詳しい広沢晃さん(77)は「伝説の地の景観を壊さず、新しい時代の泉の活用を見出した意義は大きい」と評価。振興会の松井貞夫会長(67)は「地域の資源を使ってこうしたことができることを次の世代に伝えたい」と話した。
(小川直人)
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20140214/CK2014021402000030.html
2014/02/14
岐阜県中津川市に完成した小水力発電所は売電収益をそのまま農業環境整備に使う。高い設備利用率が得られる立地を選ぶことで実現した。
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 岐阜県中津川市と発電所の位置
2014年2月に完成した「加子母(かしも)清流発電所」(岐阜県中津川市加子母)の特徴は農業環境を整備するために作られたこと(図1、図2)。「加子母で小水力発電を始めた理由は、年間約4900万円の売電収益を得ることだけではない。収益を用いて、さまざまな土地改良事業を進めることが目的だ」(岐阜県農政部農地整備課)*1)。
農業用水である加子母小郷(おご)用水の維持管理の他、農業集落排水事業(下水処理)、加子母防災ダムなどの電気料金を売電収益でまかなう形だ。コミュニティセンターなど農林水産省の補助を受けた施設にも用いる。「中部電力への売電を経ているが、農業関連施設12カ所へ間接的に電力を供給している形になる」(農地整備課)。
*1) 県が立ち上げた農業用水を利用する小水力発電所として、東海三県(愛知県、岐阜県、三重県)では初の事例だという。
yh20140214Gifu_powerhouse_590px.jpg 図2 加子母(かしも)清流発電所の外観 出典:岐阜県
設備利用率が高い理由とは
これを支えるのが、発電所の高い設備利用率だ。発電所の出力は220kWであり、想定年間発電量は168万kWh(一般家庭400世帯分の年間使用電力に相当)。つまり、年間の設備利用率が87%もある。環境省によれば小水力発電では一般に設備利用率は70%程度だ。
同発電所は、普通河川白川から取水する小郷用水の水を利用している。「農業用水は非灌漑(かんがい)期には水量が減ることが多い。しかし、白川は水が豊富であり、ほとんどの期間、発電所に0.46m3の水量を供給できる」(農地整備課)。渇水期がないことが設備利用率向上に効いた。前提条件として、白川は普通河川であるため、河川法上の水利権の制約がないことも大きいとした。
農業の邪魔にならない発電所
加子母清流発電所と関連施設などの関係を図3に示す。加子母川(白川の最上流部)には、発電所の計画以前から、小郷用水に取水するための設備である頭首工(とうしゅこう)が設けられている。小郷用水をショートカットする形で上水槽と付属する除塵機、管路、発電設備を建設し、発電後の水は小郷用水にそのまま戻す。「頭首工と発電所の間には農業用水の受益者がいないため、発電所を建設しても、農業には影響がない」(農地整備課)。
yh20140214Gifu_3Dmap_400px.jpg 図3 発電所と付帯設備などの関係 出典:岐阜県
上水槽の役割は、水をためて圧力を調整することと、小さなゴミの除去だ。管路は水を発電所に送るためのもの。直径70cmの強化プラスチック製であり、長さは1069mある。上水槽と発電所の高低差は64.6m、有効落差は61.55mだ。発電所では横軸フランシス水車とかご型三相誘導発電機で電力を生み出す(図4)。
yh20140214Gifu_generator_590px.jpg 図4 水車(手前)と発電機の外観 出典:岐阜県
加子母清流発電所の総事業費は3億3800万円。農林水産省の農山漁村地域整備交付金(地域用水環境整備事業)を用いており、事業費の負担率は、国50%、岐阜県25%、中津川市25%。
岐阜県が事業主体となり、2011~2013年度にわたって作り上げた。2011年度は詳細設計、2012年度は管路工事と発電設備の製作、2013年度は発電設備の据え付けと建屋の工事を進めた。完成後は県が市に設備一式を無償で譲与している。
2014/02/13
再生可能エネルギーへの取り組みとして県は、7年後をめどに小水力発電所の数を現在の2倍に、また、太陽光発電の設備の容量を現在の3倍以上を目標に推進する方針です。
これは、13日開かれた県の再生可能エネルギーのビジョンを検討する会議で示されたものです。
県が導入、活用を推進するのは小水力発電と太陽光エネルギー、地熱資源、バイオマスエネルギーの4つです。
具体的には県の総合計画の期間である7年後をめどに小水力発電所を現状のおよそ2倍の45か所以上、太陽光エネルギーは発電設備の容量を現状の3倍の14万キロワット以上、また、県内初の地熱発電所の建設を目標に掲げています。
13日の会議では目標の達成には民間導入を資金的に支援する制度が必要ではないかとの意見が出されました。
会議では、このあとパブリックコメントを実施し今年度中に案をまとめる予定です。