2014/07/07
日立三菱水力は、海外を含め水車や発電機の製造拠点の新設を検討する。2015年度以降に売上高300億円を安定的に達成するための体制整備の一環。同社は国内で予防保全事業などを中心に売上高を伸ばしているが、製造部門は保有していない。これまで親会社に委託していた製造を自社でも行うことで、コスト競争力の強化を図る狙いだ。
日立三菱水力は11年10月に日立製作所、三菱電機、三菱重工業が水力事業を切り出して発足。現在は予防保全事業、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を活用したスクラップ・アンド・ビルド案件などに注力している。12、13年度とも黒字を確保。売り上げ規模も当初目標の250億円を達成した。
電源の多様化が進む中、同社は可変速揚水発電システムなどの開発・設計から納入、据え付け、保守までをワンストップで提供している。フランシス水車をはじめ、あらゆるタイプの高性能水車を取り扱っている。揚水発電分野では、800メートル級の超高落差ポンプ水車を開発するなど、最先端技術の開発も進めている。
ただ、コスト競争力の強化に向けて、今後課題となるのが製造面での体制整備だ。現在は水車や発電機の製造を日立製作所、三菱電機、三菱重工、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)に委託している。今後、コスト競争力強化の一つの選択肢として、製造拠点の新設を検討する。具体的な拠点は明らかにしていないが、海外を含めて検討を進めているという。
国内の大型新設プラントの計画は減少しているが、既存発電設備の更新・予防保全、出力増加への需要は堅調に推移する見通し。一方、海外では豊富な水資源を生かした大規模な開発が進むなど引き続き旺盛な需要が見込まれるものの、受注環境は厳しさを増している。
紙面より転載
2014/07/07
原子力に頼らない、再生可能エネルギーによる地域の自立を目指して昨年発足した会津電力(福島県喜多方市)。5月末に喜多方市内で、最初のメガソーラー発電所を起工した。社長の佐藤弥右衛門氏は、同市で220年以上続く造り酒屋の9代目社長でもある。機会があれば「東京電力から猪苗代湖などの水利権を買い取って、会津をエネルギー面で自立させたい」と話す。
■「小水力発電所を20カ所ほど設けたい」
2014/07/04
小水力発電を手がけている県内のベンチャー企業が、美郷町の農業用ため池を利用して、初めて本格的な小水力発電所を建設します。
事業費およそ2億5000万円をかけて小水力発電所を建設するのは秋田市に本社がある東北小水力発電株式会社です。美郷町にある仏沢ため池でまもなく建設をはじめ来年4月の運転開始を目指します。ため池や用水路などの水力で発電する小水力発電は、水利権の関係や安定した水量の確保など条件が多いことから事業化が進んでいません。今回、建設される仏沢小水力発電所は発電出力が199キロワットと全国の小水力発電の中でも比較的大きく、一般家庭およそ300世帯の年間使用量にあたる97万1000キロワットアワーを発電します。会社では発電所を多くの人に見てもらい、今後10年で、全国70~80か所で建設を目指したいと話しています。
2014/07/04
日本工営は長野県高山村を流れる松川で出力420kWの小水力発電所「高井発電所」の建設を開始した。2015年9月の完成を予定する。貯水機能を持たない砂防ダムで初の取り組みを進める形だ。
[畑陽一郎,スマートジャパン]2014年07月04日 11時30分 更新
「砂防ダムに直接穴を開けて水を引き出し、小水力発電所に導く事例として、国内でもいち早い取り組みだと考えている」(日本工営)。
日本工営が2014年7月3日に着工し、2015年9月の完成を予定するのは、「高井発電所」(長野県高山村奥山田)だ(図 1)<sup>*1)</sup>。7億円を投じ、出力420kW、年間発電量約270万kWhを生み出す小水力発電所である。 中部電力の配電線を通じて、新電力(PPS)への売電を計画しているという。
小水力発電所は安定した水を入手でき、落差があればさまざまな立地に建設できる。農業用水やダム放流水、水が自然に流れている送水管、はては水道管(本管)でも可能だ。
*1) 日本工営が資金と技術者を提供、同社と高山村が出資する長野水力が大林組の協力を得て設計・調達・建設を進める。施設を所有し、管理・運営を担うのは長野水力。
日本工営が今回選んだのは、信濃川水系の松川だ。山間部を流れる松川の「高井砂防ダム」(図2、図3)が発電所の舞台である。砂防ダムは土石流な どの土砂災害が起こらないように作られたダムであるため、内部に貯まるのは水ではなく岩や土砂だ。「ダム」と名付けられていても貯水機能はない。水が貯 まっていなければダム式の発電はできない。しかし川の水の流れはある。そこで、ダムの一部に穴を開けて水を取り出す。ダムの「越流水」の一部を利用して流 込式水路式の発電を進める。
高井発電所の完成予想図を図4に示す。
まず、砂防堰堤(えんてい)の左側に貫通孔を設け、取水設備を新設する。ここには沈砂池があり、水と土砂を分ける。土砂はU字溝を通って下部の堰 堤に戻る。水は新設する導水管(水圧管)に通す。導水管の直径は900mm、約100mの長さがある。導水管の末端に発電所の建屋を置き、横軸フランシス 水車と同期発電機を使って発電する。
発電量を決める未利用落差は36m、最大使用水量は1.4m<sup>3</sup>だ。川の上流部にある小水力発電所だが、設備利用率も73%ある。
同社は水力発電を中心としたコンサルティング部門と電力会社に納入する部材や発電機を製造するエンジニアリング部門からなる。「当社の強みはコン サルティング、ものづくり、完成後のモニターまでを一貫して取り組むことだ」(同社)。高井発電所ではコンサルティング部門がサイトを選定し、部材はエン ジニアリング部門が製造する。「河川を利用した小水力発電では漁業権や利水権の調整に時間を要する。松川は自然の条件によって酸性になっているため、漁業 権の調整はほとんど必要なかった」(同社)。
小水力発電では先進的な取り組みが多いという。例えば、自治体側が予算措置を講じないでダムに水力発電の機能を追加するESCO(Energy Service Company)事業を国内で最初に立ち上げている(関連記事)。 これは栃木県の寺山ダムの事例(190kW)だ。鹿児島県伊佐市では同市が「東洋のナイアガラ」と呼ぶ観光名所「曽木の滝」を利用した新曽木(しんそぎ) 水力発電所(490kW)を作り上げた。滝の「観光機能」を損なわず、そのまま小水力発電所に変えたところが新しい。
現在は、福島県でダムESCO事業に着手しており、北海道では破損により使えなくなった発電所を買い取り、再生する事業を予定している。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1407/04/news061.html
2014/07/02
小水力発電◎の開発企業「東北小水力発電」(秋田市)は2日、美郷町金沢東根の仏沢(ほとけざわ)ため池に最大出力199キロ・ワットの小水力発電所を建設すると発表した。9月に工事に取りかかり、来年4月の運転開始を目指す。
同社によると、事業費は約2億5000万円。想定年間発電量は97万1000キロ・ワット時で、一般家庭約280世帯分の年間使用量に相当するという。 電力は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用して東北電力に売電する。年間売電額は3300万円と見積もり、7、8年で投資額を回収できると 計画している。
同社は「ノースエスコジャパン」の社名で自家発電機の販売などを行っていたが、11年3月の東日本大震災で再生可能エネルギーが注目されるなか、同年 10月に現社名に変更し、小水力発電事業に特化した企業として再出発した。これまで仙北市の農業用水路で小水力発電の実証実験を行っており、本格的な売電 事業としては仏沢ため池が第1号となる。
仏沢ため池は面積約14ヘクタール、貯水量約112万立方メートルの農業用ため池。年間を通じ水量が豊富なことや、発電設備を設置する水の出口と、取水 口の高低差が最大で約27メートルあるため、十分な落差が得られることから適地と判断した。ため池を管理している七滝土地改良区には使用料などが支払われ る。
計画では、灌漑(かんがい)用として仏沢ため池に整備されている配管を利用する。止水弁で配管内を水で満たした後、勢いよく落下した水で水車を回して発電する。
県庁で記者会見した同社の和久礼次郎社長は、「小水力発電は天候に左右されず、安定した発電ができる。今後、ため池活用方式の小水力発電所の建設を広めたい」と話した。
◎小水力発電 農業用水路などを利用して行う小規模な水力発電。既存の設備を活用するため、ダムを新たに造るより小さな資金で建設できる。再生可能エネルギーによる電力を高く買い取る固定価格買い取り制度で採算が合うようになり注目されている。
http://www.yomiuri.co.jp/local/akita/news/20140702-OYTNT50289.html