2015/06/01
岐阜県の山奥に8年前から小水力発電に取り組んでいる小さな農村がある。新たに国と自治体の支援で農業用水路に発電所を建設して、本日6月1日から稼働す る。50年間に人口が4分の1以下に減少した農村が電力を自給しながら、特産品のとうもろこしを生かして地域の活性化を図る。
[石田雅也,スマートジャパン]
岐阜県の中部に位置する郡上市(ぐじょうし)の北西に「石徹白(いとしろ)」という名前の集落がある(図1)。標高700メートルの高地にある水に恵まれた地域だ。地区内を流れる農業用水路を利用して、新たに小水力発電所が運転を開始した。
図1 石徹白の位置。出典:いとしろ子育て移住推進委員会
6月1日に稼働した「石徹白1号用水発電所」は農業用水路と川のあいだの約50メートルの落差を利用して発電する。水量は毎秒0.19立方メート ルで、発電能力は63kW(キロワット)ある。年間の発電量は39万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換 算すると100世帯強になり、ちょうど石徹白の世帯数と同じくらいだ。
石徹白では2007年から小水力発電に取り組んできた。らせん式の水車(0.8kW)を農業用水路に設置したのに続いて、2011年に上掛け式の水車(2.2kW)を導入、それまで休眠状態にあった農産物加工所を復活させた(図2、図3)。
さらに「エネルギーが自給できる地域」を目指して、1号用水発電所の建設を推進して稼働にこぎつけた。水力発電で最も多く使われている横軸フランシス型の水車を採用した本格的な発電設備である。
新設した発電所の総事業費は2億2300万円で、国が50%、岐阜県と郡上市が25%ずつ負担した。稼働後の運営は郡上市が担当する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて売電して、年間に1300万円の収益を予定している。
冬には雪が降り積もる石徹白は1960年前後をピークに人口の減少が続き、50年間に1200人から270人まで減ってしまったことが小水力発電 のきっかけだ。農業用水路を流れる豊富な水を生かしてエネルギーの自給自足に取り組みながら、地域の魅力を高めて住民を増やす活動に乗り出した。
最近は自然の中で子育てができる点をアピールして若い世代の移住を増やしている。農産物加工所が復活したことで、特産品のとうもろこしの生産・販売も順調に伸びてきた。過疎に悩む農村を小水力発電で活性化させるモデルケースになる。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1506/01/news030.html
2015/05/30
2015/5/30 11:38
兵庫県は県内各地の豊かな水資源を生かした小水力発電の推進事業をスタートする。エネルギーの地産地消などによる地域活性化を目指す地元団体や市町が対象。事業化に向けた勉強会や、基本調査・設計などの費用を補助する。
県内には小水力発電が可能な河川や水路が多数ある。住民主導で導入を目指した動きが活発化しているが、事業化までの手続きの煩雑さや発電機が高額なことなどから導入が進みにくい状況にある。
県は、導入支援のため、先進地視察などの立ち上げ時の取り組みを対象に最高30万円を補助=(1)。また、事業化に必要な推定発電量の計算や測量などの調査・設計に対して、限度額500万円(補助率1/2以内)を補助する=(2)。
応募締め切りは(1)が6月30日、(2)が8月31日で、それぞれ数団体を選定する。県は6月8、9、10、12、16日に県内各地で公募説明会を開く。県温暖化対策課TEL078・362・3273(辻本一好)
2015/05/29
川口市の横曽根浄水場で28日、水流を利用した小水力発電が稼働を始めた。年間発電量は12万5000キロワット時(35世帯分の電気使用量に相当)で、電気代換算では239万円分を賄い、主に水を供給するポンプ用電力として利用する。設置にかかった総事業費は1億1500万円。
この日の開始式では、奥ノ木信夫市長が発電用ボタンを押して同市初の小水力発電のスタートを祝い、あいさつでは「小水力発電は二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーで、地球温暖化防止にも貢献する」と強調した。県内の小水力発電は、さいたま、越谷両市で既に計7機稼働しており、横曽根浄水場で8機目。【鴇沢哲雄】
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20150529ddlk11040193000c.html
2015/05/27
2030年の電源構成、いわゆるベストミックスの議論が大詰めを迎えている。その中で、再生可能エネルギーとして注目されている水力発電がどのようなものかを確認するため、先日、静岡県の大井川水系を取材した。
全長168キロの大井川は、明治43(1910)年に最初に発電所ができてから、現在は12のダム、18のえん堤(=河川を横断して設けられる工作物。ダムより小規模)を有する13の発電所が稼働している。
水力発電は、自然界を循環する水を利用し、二酸化炭素の排出量が極めて少ないクリーンで安定性の高いエネルギーのため「ベースロード電源」と位置付けられている。現在の供給量は全電源の1割程度だが、原発依存度を下げるのであれば、水力発電の役割はより重要となってくる。
ところが、水力発電所を維持・管理していくには、エネルギーのことだけを考えていては、とても不可能だという実態を目の当たりにした。
水力発電はその仕組み上、山の奥深いところにある。今回も、建設から80年を超える「千頭(せんず)ダム」(静岡県川根本町)へ行くために、小さめの軽自動車1台がやっと通れるような狭い道を行くしかなかった。道の両側は、深さ数百メートルの崖と、倒木や岩がごろごろしている、今にも崩れそうな山肌が続いた。
もともと、その道はダム建設時に使用した貨車の線路跡であり、舗装はしてあるが外灯もなく、携帯電話も通じない。ダムの無人制御化により、現在は各ダムに監視員は常駐していない。月1回の定期点検や、気象状況や時間帯を選べない台風や地震などの災害時には“命からがら”で現場に行くことになる。
千頭ダムだが、土砂の堆砂率は98%だった。つまりダムの容量のほとんどが水ではなく、土砂なのだ。これらは、開発による水や土砂の流れの変化と、山の手入れ不足、つまり「ほったらかし」に起因する。国有林にある発電所は、電力事業者の一存で山の手入れができないのである。
日本は国土の3分の2が森林だが、その4割は、拡大造林政策による人工林である。人工林の51%が、植林から約50年たった伐採時期に来ているのに、手が付けられていない。木材輸入の自由化などによる林業の衰退は、森林の「国土保全機能」「水源涵養(かんよう=養い育てること)機能」を衰退させた。そして、危険な状態を放置することは、私たちの日常生活に欠かせない電力を供給する上でも支障が生じることにもなりかねないのだ。
再生エネルギーの普及を進めるにも、単にその技術力の開発だけで「安全」「安定」が担保されるわけではない。とかく水力発電の増強には、山の手入れ、つまり日本の林業の在り方を考える方が急務であると思わざるを得なかった。
■細川珠生(ほそかわ・たまお) 政治ジャーナリスト。1968年、東京都生まれ。聖心女子大学卒業後、米ペパーダイン大学政治学部に留学。帰国後、国政や地方行政などを取材。政治評論家の細川隆一郎氏は父、細川隆元氏は大叔父。熊本藩主・細川忠興の末裔。著書に「自治体の挑戦」(学陽書房)、「政治家になるには」(ぺりかん社)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150527/plt1505270830002-n2.htm
2015/05/27
発表日:2015.05.27
山口県は、農業用パイプラインを活用した「阿東下半久小水力発電所」が完成し、阿東土地改良区による運営を開始したと発表した。これは、山口市阿東徳佐で整備を進めてきたもので、農業用のパイプラインを活用した発電は、同県で初めての取組となる。最大出力は3.7kWで、想定稼働率は太陽光発電の5倍以上となる60%以上を想定し、年間発電電力量は19,000kW(一般家庭約5戸分の年間消費電力に相当)となる。同県では、農家や行政関係者等の小水力発電への理解を深めるため、平成27年6月3日に施設見学会を開催するという。