2015/06/11
2015年06月11日 15時00分 更新
日本では導入例が少ない、らせん形の水車を使った小水力発電の実証実験が鹿児島県の薩摩川内市で始まった。川から農業用水を取り込む場所に水車を設置し て、わずか3メートルの落差の水流で発電する。最大で30kWの電力を作ることができて、年間の発電量は30世帯分になる見込みだ。
[スマートジャパン]薩摩川内市(さつませんだいし)の北部を流れる川に沿って、らせん形の長い水車が動いている(図1)。市が小水力発電の導入促進モデル事業として 国から補助金を受けて建設した「小鷹(こたか)水力発電所」の水車発電機だ。2012年から検討を始めて、2015年6月9日に実証試験を開始した。
らせん水車を設置した場所の近くには、川の水をせき止めて農業用水を取り込むための井堰(いせき)がある(図2)。井堰から管を通って水が流れて くるが、水車で利用できる水流の落差は3メートルしかない。小さい落差の水流でも大きな電力を生み出すために、らせん水車を採用した。
薩摩川内市が導入した水車はドイツから輸入したもので、直径が2メートル、長さが6メートルある(図3)。水が上から下へ、らせん状に流れる力で 回転する仕組みだ。発電能力は30kW(キロワット)になり、年間の発電量は11万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間 3600kWh)に換算して30世帯分に相当する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は43%で、小水力発電としては低めだ。
この実証試験を通じて、薩摩川内市と設計施工会社の日本工営は発電効率やコストのほか、小水力発電で問題になるゴミの蓄積や魚の生息に対する影 響、水車の騒音について検証する予定だ。導入効果が大きいことを実証できれば、全国に数多くある農業用水路に普及する期待がある。
薩摩川内市には原子力発電所の中で最も早い再稼働が見込まれている九州電力の「川内発電所」がある。その一方で市は再生可能エネルギーの導入も推 進してきた。南国の日射量を生かした太陽光発電や、東シナ海から吹く風を利用した風力発電の導入プロジェクトが相次いで始まっている。市内の全域に川が流 れていて、小水力発電の適地も数多くある(図4)。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1506/11/news026.html
2015/06/10
2015年06月10日 地方版
らせん水車を使った小水力発電所が薩摩川内市東郷町藤川に完成し9日、現地で運転開始式があった。
完成したのは小鷹(こたか)水力発電所。田海川の流水を利用し、長さ7メートル、直径2・1メートルのらせん水車を回し発電する。最大出力30キ ロワットで、一般家庭約30世帯をえる発電量となる。電気は発電所横の市の物産館「清流館」で使い、余剰分は九州電力に売電する。
らせん水車による発電は、従来の水力発電では難しい低落差、低流量の場所でも開発できるのが利点。発電事業者の薩摩川内市と施工した日本工営(東京)が今後、効率性などの実証実験を行う。
総事業費は国の補助約6000万円を含め約9000万円。周辺は市がらせん水車を見学できるように約2000万円で公園を整備した。【宝満志郎】
http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20150610ddlk46040345000c.html
2015/06/04
2015/6/4
山口市阿東の阿東土地改良区が、農業用のパイプラインを使った小水力発電を始めた。中国電力に売電し、収入を農業施設や農道の維持管理費などに充て る。農業用パイプラインを活用した小水力発電は山口県内で初めて。モデルケースと位置付ける県は3日、県東部の土地改良区や市町の関係者を招いて現地で見 学会を開いた。
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農業用パイプラインを使った小水力発電設備を見学する参加者
2015/06/03
京都府が6月議会に提案予定の「再生可能エネルギー導入促進条例案」がまとまった。再エネ促進に取り組む団体を登録し、府税を減免する。府によると、独自に税制上の支援まで行う条例は全国の都道府県で初めてといい、成立すれば、府は年度内にも実施計画をまとめる。
条例案では、再エネを太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスと定義。これらの導入に取り組む市民や事業者、大学などを「導入支援団体」として知事が登録する。登録団体は、事務局用の土地購入などに掛かる不動産取得税を1回に限り全額免除される。営利を目的にしないNPOなどは、さらに法人府民税の一部も減免される。
中小企業向けには、自家発電と自家消費を促すために法人・個人事業税の減免も行う。再エネ計画が知事に認定され、府内の事業所で設備を導入すると適用される。
一方、延べ床面積2千平方メートル以上の建物を新増築する建築主や、関西電力など電気事業者には、再エネ計画書の提出を義務付ける。
府は福島第1原発事故を受け、2013年5月にエネルギー戦略をまとめ、30年度に府内年間電力使用量(167億キロワット時)の約2割に当たる30億キロワット時を再エネでまかなう数値目標を掲げている。目標達成には、現在の10倍以上の発電量が必要と見込まれるため、条例をつくり促進する。
再生エネルギーについては、国の固定買い取り制度の見直しで、太陽光発電の価格引き下げが予想され、導入拡大の鈍化も懸念されている。府は実施計画で単年度ごとの数値目標を定め、太陽光だけでなく小水力や木質バイオマスなど地域ニーズに合わせた導入を進める方針。山田啓二知事は「税制優遇のほか補助金も導入し、再エネを少しでも前に歩めたい」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20150603/CK2015060302000166.html
2015/06/03
2015年6月 3日掲載
LIXIL(東京都千代田区)と東北大学(宮城県仙台市)は、水洗トイレ便器へ給水する際の水流を活用して発電し、トイレ内の照明エネルギーを賄う「ゼロ・エネルギー・トイレ(ZET)」照明システムを開発した。
東北大では、東日本大震災によりライフラインが停止した際、学内のトイレにおける利用環境が著しく悪化した経験を踏まえ、非常時でも継続利用が可能な常設トイレの構築を目指し、昨年12月に東北大学大学院工学研究科キャンパス内にZETの実証サイトを設置した。