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2016/05/30

10kW以下に需要あり、小水力発電気【スマートジャパン】

2016年5月30日掲載
神戸市は海岸近くに人口が集中するものの、六甲山地の北部や西部でも都市化が進んでいる。さまざまな高度に位置する住宅に水道を供給しようとすると、水圧の調整が難しい。この問題を解決できる「超小型マイクロ小水力発電システム」の共同研究を、ダイキン工業と神戸市が共同で開始した。
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 神戸市とダイキン工業は2016年5月26日、出力が10キロワット(kW)以下という「超小型マイクロ小水力発電システム」の共同研究を開始したことを発表した。
 環境省の実証事業として3年間で進める*1)。10kW以下の発電システムの技術開発を2年目までに完了し、神戸市の水道施設へ試作機を設置、実証実験を完了する予定だ。
  神戸市水道局には解決したい問題が2つある。環境負荷低減と、水道の水圧調整だ。超小型マイクロ小水力発電システムを導入することで、2つの問題を同時に解決する絵を描いている。
 環境負荷低減は分かりやすい。水道には水圧があり、水圧を利用できれば水車を回して発電できる。「1998年から1999年にかけて、太陽光発電や小水力発電など未利用エネルギーが活用できないか、検討を開始し、2002年には北区の千苅(せんがり)浄水場に180kWと規模の大きな小水力発電の導入工事を開始、2004年には供用を開始した」(神戸市水道局事業部施設課)*2)

*1) 環境省は予算総額65億円で「平成28年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」を公募。ダイキン工業が「既設管水路の未利用エネルギーを最大限活用するマイクロ水力発電システムの開発と実証」として採択された。環境省の内示額は1億2000万円。神戸市は水道設備内の機器設置場所を無償で貸し出し、水運用のノウハウを提供する。神戸市としての予算措置は必要ないとした。
*2) 水道以外でも小水力発電を導入している。「公共部門における小水力発電システム導入の先駆けは、下水道事業だ。2002年に完成した湊川ポンプ場(出力85kW、1日の発電量2000kWh)である」(神戸市環境局環境政策部環境貢献都市課)。下水の高度処理水を用いた発電だ。

 「さらに小水力発電の導入を進めようとしたものの、費用対効果などに課題があり、計画が中断していた。近年、国の補助率が上がったこと、固定価格買取制度(FIT)が始まったこと、小水力発電システムの価格が下がったこと、小型の機器が登場したことによって、小水力発電の導入計画を再スタートすることができた」(同施設課)。

 水圧問題を解決したい

 住宅に水道水を供給する際、一定以上の水圧を保つことができないと、水の出が悪くなり、使い勝手が大幅に下がる。逆に水圧が高すぎると、漏水の原因になる。
 神戸市の課題は、標高931mの六甲山を擁する六甲山地が大阪湾に面する市街地から約3kmまで迫っていること。六甲山地の北側や西側を含め、さまざまな高度に住宅が広がっており、全ての住宅に適切な水圧で送水することが難しい。
 「高度30mごとに池や水槽からなる『配水池』を配置して、自然流下で水道水を供給している。神戸市には126カ所に配水池がある。これは日本有数だと考えている。さらに配水池を増やした方がよいのだが、費用対効果から難しい。現在は圧力調整用のバルブ(弁)を設置することで対応しているものの、流量が変動すると水圧が安定しにくいという課題がある」(同施設課)。
 そこで小水力発電システムを使う。「住宅と配水池の間に出力10kW以下の小水力発電システムをバルブの代わりとして導入し、遠隔調整できれば、費用対効果が最も良くなる」(同施設課)。

10kW対応の機器を選択できない

 神戸市の水道システムをごく単純化すると、次のようになる。まず、上水用のダムなどから取水し、浄水場に送る。水質を調整した後、ポンプアップして、最初の配水池に送る。幾つかの配水池を経由して、住宅に水道水が届く。
 「水道局としては、複数種類の小水力発電システムを利用したい。ダムから上水場の間は水量も多いため、大型の小水力発電システムを導入済みだ。浄水場から供給を受ける配水池以降は100kW以下が適する。配水池から住宅へ供給する部分では10kW以下が望ましい。しかし、これまで水道局が調査したところ、10kW以下に対応する小水力発電システムを見つけることができなかった。出力100kW以下の小水力発電システムを実用化したダイキン工業が、次に10kW以下の開発を進めるため、共同研究を始めることになった」(同施設課)。
 水力発電システムの最大出力は、水の流量と有効落差の2つから決まる。ダイキン工業が開発済みの発電システムでは、図4に示した範囲で導入可能だ。
 流量や有効落差が小さくなればなるほど、出力は小さくなるものの、導入可能な箇所は増える。機器の出力をどの程度に決めるかが重要だ。
 「10kW以下の超小型マイクロ水力発電システムとして実際に開発する試作機の仕様は、今後、神戸市と共同で実施する詳細調査によって決定する。これまでの基本調査からいったん5.5kWクラス(出力範囲2.2~5.5kW)を想定している」(ダイキン工業)*3)。

*3) ダイキン工業の小水力発電システムは、既存の水道配管の間に挟みこむ形を採る。その場合、どの程度の直径の配管に接続するかを決めなければならない。「詳細調査の後に決めるものの、5.5kWクラス試作機では直径50~100mmと考えている」(ダイキン工業)。

 開発済みの発電システムを検証する

 今回の共同研究では2つの研究を並行して進める。10kW以下機の開発の他に、ダイキン工業が開発済みの小水力発電システム(出力22kW)の導入だ*4)。「住宅に供給される水道水に影響が出ないよう、2つの配水池の間にある福谷中層配水池(西区櫨谷町)に導入する」(同施設課)。
 最大出力は24.1kW。年間発電可能な電力量は211MWhだ。一般家庭約65軒の年間消費電力をまかなう電力量だという。図5中央に描かれている「マイクロ水力発電(100kW以下)」が、この22kWの設備だ。
 なぜ開発済みの機器を導入するのだろうか。
 理由は3つある。第1に、ダイキン工業が新規に開発した遠隔制御機能を確認する。「この機能は、今回福谷中層配水池に設置するにあたって新たに開発した。水道事業者がマイクロ水力発電システムの発停や流量を遠隔で操作するために使う。神戸市水道局が上水の使用状況に応じて配水池への流量を柔軟に調整することを可能にするためだ」(ダイキン工業)。
 「遠隔監視機能は役立つと考えている。流量変化はもちろん、現状ではバルブ・弁の故障も分かりにくい。故障発見にも使えそうだ。今後は水質も把握できるとうれしい。なぜなら水運用ではなんといっても水質を維持することが重要だからだ」(同施設課)。
 第2に長期的な性能を検証する。第3に、メンテナンスなどの運用コストを検証する。「マイクロ水力発電システム本体は、適切なメンテナンスを適宜実施することが必要だ。耐用年数は20年程度と想定している。長期運転実績を踏まえて再検討したい」(ダイキン工業)。

*4) 2013~2015年度の環境省の実証事業で開発・実証済み。

 導入コストを引き下げる工夫とは

 ダイキン工業は出力22kWや77kWの小水力発電システムを製品化する際、小型軽量化、高い発電性能、低コスト化を重視した。
 河川などに設置する小水力発電システムとは異なり、配管に接続する発電システムでは設置場所に余裕がない。設置面積を少なくすればするほど、導入できる場所が増える。
 そこで、発電機本体の上にコントローラーを載せる形状を工夫した。永久磁石同期発電機と縦型インラインポンプ逆転水車、発電コントローラー(コンバータ、系統連系インバーター)を全て一体化した形だ。設置面積は従来の横型マイクロ水力発電機の半分以下となった*5)。一体化を進めたものの、分解しなくても摩耗部品を交換可能であり、メンテナンス性は高いという。

*5) 制御盤を除くシステム本体の寸法は高さ1280mm、フランジの面管936mm、奥行き545mm。重量は500kg。

 発電性能を高めるため、社内の別事業で開発した技術を応用した。発電機とコントローラーには、空調技術と油圧機器事業で改善を重ねたモーター技術やインバーター技術を適用した。水車の流量制御機能によって、落差(圧力)が変動しても安定した運転ができるという。
 周波数変動を吸収する仕組みを盛り込む  発電機は交流を出力するものの、水車に流入する水の落差・流量条件によって、永久磁石同期発電機の回転数が変動し、発電機からの出力である交流の周波数も変動する。  「そのため、いったん発電機一体型コントローラー内のコンバータで直流に変換する。さらに商用電源と接続する(系統連系)ために、外付けのシステム制御盤内の系統連系インバーターで設置地域の系統周波数(50Hz/60Hz)に合致する交流に変換する。従来の一般的な小水力発電では、発電機が一定回転するように複雑な流量調整機構(ガイドベーンなど)やアクチュエータ、調整制御装置が必要で、機械的に系統周波数に合致するように調整している。これに対して、開発した可変速マイクロ水力発電システムでは、ガイドベーンなどがないシンプルで低コストの標準ポンプとパワーエレクトロニクスの組み合わせで、より高精度で安定した系統連系を実現する」(ダイキン工業)。 5年程度で償却可能に  低コスト化を実現できたのは、システム構成全体を考慮したためだ。「対象施設の状況や水道事業者からの要望により費用は変わるものの、22kW機を外販する場合*6)、システム本体を5年程度での償却できるような価格を想定している」(ダイキン工業)。 *6) ダイキン工業は神戸市との共同研究後、他の自治体向けに小水力発電システムをテスト販売する計画だ。22kW機と77kW機を想定している。「10kWの販売については、神戸市との共同研究結果を見て判断する」(ダイキン工業)。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1605/30/news115.html

2016/05/30

「超小型マイクロ水力発電」を上水道管の中に ダイキンが研究開始【環境ビジネスオンライン】

2106年5月30日掲載
 ダイキン工業(大阪府大阪市)は、26日、神戸市水道局と共同で、超小型のマイクロ水力発電システムの研究開発を開始すると発表した。
 今回開発する発電システムは、上水道の管水路の水流エネルギーを利用して発電する10kW以下の超小型システム。同社はこの共同研究を行うにあたり、既に自社で開発済みの22kWクラスのマイクロ水力発電システムを神戸市水道局福谷(ふくたに)中層配水池に設置し、新たに開発した遠隔制御機能や長期的な性能、メンテナンスなどにかかる運用コストを評価する予定だ。同システムの年間発電量は211MWhで、これは一般家庭約65軒分の年間電力消費量に相当する。
 今回共同で開発を行う神戸市水道局では、上水道施設に設置されている数多くの圧力調整用のバルブに代わり、同発電システムを設置運用するために、上水道施設の運用状況の調査および試作機の実証実験を行う。なお、神戸市の高低差のある地形は、マイクロ水力発電システムの設置に適していることも、今回の共同研究が行われる要因となった。

 超小型のマイクロ水力発電システムの可能性

 一般的に、上水道施設では街全体に適切な水圧で水を供給するため、数多くの圧力調整用のバルブが設置されている。同社は今後、自治体との協力により、上水道施設に設置されている圧力調整用バルブから超小型のマイクロ水力発電システムへの置き換えを推進したい考えだ。上水道の水圧調整と同時に、未利用だった水流エネルギーで発電を行うことで、CO2排出量が大幅に削減される可能性がある。また、同発電システムは、生産過程で水を多く使用する鉄や紙、化学品、薬品、飲料品などの工場への導入も想定される。設置場所の水力に応じて、発電電力22kWクラスおよび75kWクラスの発電システムを組み合わせて導入することも可能だ。
 同社がこれまでに開発した管水路用マイクロ水力発電システムの特長は下記のとおり。
(続きは、転載元より会員登録のうえ閲覧できます)

https://www.kankyo-business.jp/news/012707.php

2016/05/27

岐阜県の農業組合、農業用水で125kWの小水力発電スタート【環境ビジネスオンライン】

2016年5月27日掲載
 岐阜県は、農業水利施設を活用した小水力発電所「石徹白番場清流(いとしろばんばせいりゅう)発電所」(郡上市白鳥町石徹白)が、6月1日より運転開始すると発表した。石徹白農業用水農業協同組合が主催する通電式が、同日の10時30分より開催される予定だ。
 この小水力発電所は、県の「朝日添地区(わさびそちく)小水力活用支援事業」を活用し設立されたもの。事業主体は同農業協同組合。設計から工事施工まで地元が主体となっておこなった。県単補助事業による売電を行う小水力発電所としては、県内で初めてとなる。
 総事業費は2億3千万円。この費用の内訳は、県が55%、同市が20%、地元の組合や住民などが25%を負担した。朝日添川から取水し、有効落差104.5メートルを利用し、毎秒140リットルの水で125kWの電力をつくる。年間発電量は、61万kWh(一般家庭130世帯分の年間使用電力量に相当)を見込む。CO2削減効果は年間約340トン。
 同地域では、以前から地域活性化を目的とし、小規模な小水力発電によるエネルギーの地産地消の取り組みを行ってきた。今回の事業は、地元の過疎化・高齢化が進んでも集落として存続できる地域づくりをめざし、地元のほぼすべての世帯が参加し実施された。

https://www.kankyo-business.jp/news/012699.php

2016/05/27

農業用水路2カ所に小水力発電所、落差20メートルと3メートルの違い【スマートジャパン】

2015年5月27日掲載
秋田県の農山村を流れる農業用水路2カ所で小水力発電所が運転を開始した。1カ所は水流の落差が20メートル、もう1カ所は3メートル弱で、発電に利用する水車の構造も違う。秋田県がモデルケースとして建設した小水力発電所で、導入効果をもとに県内の農業用水路に適用例を増やしていく。
[石田雅也,スマートジャパン]

 2カ所の小水力発電所のうち1つ目は「畑野(はたの)小水力発電所」である。秋田県の南部を流れる白雪川の水を利用する農業用水路に建設した。川の上流に水を取り込んで貯めるヘッドタンクを設けて、そこから700メートルの長さの導水管を通して発電所まで水を流す方式だ。用水路に沿って続く管理道路の下に導水管を埋設した。
 この構造によって水流の落差は20メートルになる。発電に利用できる水量は年間を通して毎秒0.4立方メートルで安定している。発電能力は42.7kW(キロワット)で、年間に36万kWh(キロワット時)の電力を供給できる見込みだ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して100世帯分に相当する。発電に利用した後の水は農業用水路に戻すため、地域の農地に供給する水量は変わらない。
 発電機はチューブラ式のプロペラ水車を採用した。円筒形(チューブラ構造)の水車が横から水を受けて回転する仕組みだ。水車と同じ軸で発電機がつながっている。農業用水路に導入する小水力発電では落差が大きい場所に適した水車である。
 この用水路は「温水路」として造られている。雪の多い秋田県では春になると融雪水が増えるため、水温が低下して農作物に影響を与えてしまう。そのために幅が広くて浅い用水路を造って、水を緩やかに流すことで外気温や日照で水温を上昇させている。このような傾斜の緩やかな農業用水路でも、長い距離を利用すれば100世帯分の電力を作ることができる。

売電収入で農家の負担を軽減

 2つ目の小水力発電所は「六郷東根(ろくごうひがしね)小水力発電所」である。秋田県の中部を流れる丸子川の水を取り入れる農業用水路に建設した。長さが1キロメートル以上に及ぶ用水路の途中の100メートルだけを敷設し直して、その先端部分に水車発電機を設置する方式だ。
 100メートルの距離で生まれる落差は2.81メートルである。発電に利用できる水量は最大で毎秒0.7立方メートルだが、稲作を行わない非かんがい期には0.4立方メートルまで減る。畑野小水力発電所と比べると落差が小さいため、発電能力は11kWである。年間の発電量は5.7万kWhを見込んでいて、一般家庭の16世帯分に相当する。
 発電機には落差が小さい場所に適した縦軸スクリュー水車を採用した。用水路から落ちてくる水流の勢いでスクリュー型の水車が回転して発電機を回す仕組みだ。水車と発電機のあいだには増速機が入っていて、水車よりも多くの回転数を発電機に伝えることができる。
 2カ所の小水力発電所は同じ5月20日に運転を開始した。発電した電力は売電して、農業用水路の維持管理費に役立てる。それぞれ年間に560万円と42万円の売電収入を想定している。県が小水力発電所を建設して、各地域の農家が負担する用水路の維持管理費を軽減する目的だ。今後も県内の農業用水路で小水力発電に適した場所を調査して導入事例を増やしていく。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1605/27/news038.html

2016/05/26

改正FIT法が可決・成立-導入バランス改善へ、未稼働防止など柱に【電氣新聞】

2016年5月26日掲載

◆2017年4月1日施行
 再生可能エネルギーの導入拡大と国民負担抑制の両立に向けた施策を盛り込んだ改正再生可能エネルギー特別措置法(改正FIT法)が25日、参議院本会議で可決・成立した。未稼働案件発生防止への新たな設備認定制度の導入や、入札制の導入を含む買い取り価格決定方式の柔軟化などが施策の柱。コスト低減と電源間のバランスの取れた導入を進めて、2030年度の電源構成(エネルギーミックス)で示した22~24%の発電電力量比率の達成につなげる。今後、有識者審議会で施策の詳細設計を行い、2017年4月1日に改正法を施行する。
 法改正で太陽光発電に導入が偏った現状を改めて、風力・地熱・水力・バイオマスを含めバランスよく普及させる。賦課金の伸びを抑え、電源構成で示された30年度の負担上限内に収める。
 新認定制度は、系統接続契約を締結した事業開始確度の高い案件を認定するもので、賦課金増加の潜在要因になる未稼働案件を防ぐ。普及が進んだ大規模な事業用太陽光は、買い取り価格を入札で決め、コスト引き下げを狙う。(1面)
(続きは転載元より会員登録のうえ閲覧できます)

http://www.shimbun.denki.or.jp/news/main/20160526_02.html

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