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2016/05/27

農業用水路2カ所に小水力発電所、落差20メートルと3メートルの違い【スマートジャパン】

2015年5月27日掲載
秋田県の農山村を流れる農業用水路2カ所で小水力発電所が運転を開始した。1カ所は水流の落差が20メートル、もう1カ所は3メートル弱で、発電に利用する水車の構造も違う。秋田県がモデルケースとして建設した小水力発電所で、導入効果をもとに県内の農業用水路に適用例を増やしていく。
[石田雅也,スマートジャパン]

 2カ所の小水力発電所のうち1つ目は「畑野(はたの)小水力発電所」である。秋田県の南部を流れる白雪川の水を利用する農業用水路に建設した。川の上流に水を取り込んで貯めるヘッドタンクを設けて、そこから700メートルの長さの導水管を通して発電所まで水を流す方式だ。用水路に沿って続く管理道路の下に導水管を埋設した。
 この構造によって水流の落差は20メートルになる。発電に利用できる水量は年間を通して毎秒0.4立方メートルで安定している。発電能力は42.7kW(キロワット)で、年間に36万kWh(キロワット時)の電力を供給できる見込みだ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して100世帯分に相当する。発電に利用した後の水は農業用水路に戻すため、地域の農地に供給する水量は変わらない。
 発電機はチューブラ式のプロペラ水車を採用した。円筒形(チューブラ構造)の水車が横から水を受けて回転する仕組みだ。水車と同じ軸で発電機がつながっている。農業用水路に導入する小水力発電では落差が大きい場所に適した水車である。
 この用水路は「温水路」として造られている。雪の多い秋田県では春になると融雪水が増えるため、水温が低下して農作物に影響を与えてしまう。そのために幅が広くて浅い用水路を造って、水を緩やかに流すことで外気温や日照で水温を上昇させている。このような傾斜の緩やかな農業用水路でも、長い距離を利用すれば100世帯分の電力を作ることができる。

売電収入で農家の負担を軽減

 2つ目の小水力発電所は「六郷東根(ろくごうひがしね)小水力発電所」である。秋田県の中部を流れる丸子川の水を取り入れる農業用水路に建設した。長さが1キロメートル以上に及ぶ用水路の途中の100メートルだけを敷設し直して、その先端部分に水車発電機を設置する方式だ。
 100メートルの距離で生まれる落差は2.81メートルである。発電に利用できる水量は最大で毎秒0.7立方メートルだが、稲作を行わない非かんがい期には0.4立方メートルまで減る。畑野小水力発電所と比べると落差が小さいため、発電能力は11kWである。年間の発電量は5.7万kWhを見込んでいて、一般家庭の16世帯分に相当する。
 発電機には落差が小さい場所に適した縦軸スクリュー水車を採用した。用水路から落ちてくる水流の勢いでスクリュー型の水車が回転して発電機を回す仕組みだ。水車と発電機のあいだには増速機が入っていて、水車よりも多くの回転数を発電機に伝えることができる。
 2カ所の小水力発電所は同じ5月20日に運転を開始した。発電した電力は売電して、農業用水路の維持管理費に役立てる。それぞれ年間に560万円と42万円の売電収入を想定している。県が小水力発電所を建設して、各地域の農家が負担する用水路の維持管理費を軽減する目的だ。今後も県内の農業用水路で小水力発電に適した場所を調査して導入事例を増やしていく。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1605/27/news038.html

2016/05/26

改正FIT法が可決・成立-導入バランス改善へ、未稼働防止など柱に【電氣新聞】

2016年5月26日掲載

◆2017年4月1日施行
 再生可能エネルギーの導入拡大と国民負担抑制の両立に向けた施策を盛り込んだ改正再生可能エネルギー特別措置法(改正FIT法)が25日、参議院本会議で可決・成立した。未稼働案件発生防止への新たな設備認定制度の導入や、入札制の導入を含む買い取り価格決定方式の柔軟化などが施策の柱。コスト低減と電源間のバランスの取れた導入を進めて、2030年度の電源構成(エネルギーミックス)で示した22~24%の発電電力量比率の達成につなげる。今後、有識者審議会で施策の詳細設計を行い、2017年4月1日に改正法を施行する。
 法改正で太陽光発電に導入が偏った現状を改めて、風力・地熱・水力・バイオマスを含めバランスよく普及させる。賦課金の伸びを抑え、電源構成で示された30年度の負担上限内に収める。
 新認定制度は、系統接続契約を締結した事業開始確度の高い案件を認定するもので、賦課金増加の潜在要因になる未稼働案件を防ぐ。普及が進んだ大規模な事業用太陽光は、買い取り価格を入札で決め、コスト引き下げを狙う。(1面)
(続きは転載元より会員登録のうえ閲覧できます)

http://www.shimbun.denki.or.jp/news/main/20160526_02.html

2016/05/25

再生エネ改正法 成立 買い取り価格、抑制狙い【毎日新聞】

2016年5月25日掲載
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を抜本的に見直す改正再生エネ特別措置法が25日、参院本会議で可決、成立した。事業用の太陽光発電に2017年4月から入札制度を導入。発電コストの安い事業者の参入を優先し、電気料金に上乗せされる買い取り費用を抑える。
 再生エネの固定価格買い取り制度は東京電力福島第1原発事故を受け、12年7月に始まった。再生エネの普及が飛躍的に進んだ一方で、設備が容易に設置できる太陽光に事業者が集中した。買い取り費用は15年度に約1兆8千億円と電気を使う家庭や企業の負担が重くなっている。
 改正法では、入札で談合すれば、3年以下の懲役か250万円以下の罰金を科す。設備の点検や保守を怠るなどした事業者に対し、改善を命令したり、認定を取り消したりできるようにする。
 高い買い取り価格で認定を受けたのに、太陽光パネルなどの設備が値下がりするまで発電を遅らせ、もうけを不当に増やす悪質な事業者を排除する。事業計画を厳しく査定するなど認定の条件を厳格にする。
 普及が遅れている地熱発電や、小規模水力発電は参入事業者が増えるようにする。事業の見通しが立てやすくなるよう、数年先の買い取り価格をあらかじめ示す。用地の買収手続きに時間がかかるといった、事業リスクを軽減する。

http://mainichi.jp/articles/20160525/k00/00e/020/213000c

2016/05/25

再生エネルギー買い取り制度見直し 改正法成立【NHK NEWS WEB】

5月25日掲載
 再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が買い取る制度について、電気料金への上乗せによる利用者の負担が増しているとして、買い取りに入札を設けるなど制度を抜本的に見直す法律の改正案が、25日の参議院本会議で可決・成立しました。
 再生可能エネルギーで発電された電気の買い取り制度では、買い取りにかかる費用が電気料金に上乗せされていて、太陽光発電が想定を超えて増えた結果、利用者の負担が増しています。
このため政府は、制度を抜本的に見直す法律の改正案を国会に提出し、25日の参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。
 この法律では、電力会社による発電事業者からの電気の買い取りに入札を設けることで買い取りの費用を抑え、利用者の負担軽減につなげるとしています。
 また、発電事業者が国の認定を受けて、実際には発電を行わずに、数年後に買い取り価格が割高になったときに発電事業を行うことを制限します。
 一方、開発に時間と費用がかかる水力発電や地熱発電については、導入を後押しするため、今は1年ごとに国が示している買い取り価格を、数年先まであらかじめ示し、事業者が長期的な計画を立てやすくすることも盛り込みました。
 政府はこうした見直しで、国民負担の抑制を図りながら、再生可能エネルギーの導入を進めていきたいとしています。
 この法律は近く公布され、来年4月に施行されます。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160525/k10010534311000.html

2016/05/23

「小水力」発電 富山で普及【読売新聞】

2015年5月23日掲載

●農業用水や上水道管路 豊富な雪解け水活用

 主要国首脳会議に先立つ15~16日に環境相会合が開催中の富山県では、再生可能エネルギーの小水力発電が普及している。
 豪雪地帯の立山連峰から豊富な水が流れ出し、富山湾に注ぐ地形ならではのエネルギー活用に、新たな可能性も開けてきた。

●自前の発電所

 豊富な雪解け水が農業用水から取水され、水田地帯の地下に埋設された長さ約900メートルの管路に流れ込む。その先には、滑川市の早月川沿岸土地改良区が昨年6月に完成させた早月川沿岸第一発電所があった。
 「多くの業者が水力発電をやりたいと言ってきたが、自前でやることにした」。改良区の事務局長、稲場秀雄さん(71)は胸を張った。
 「小水力」発電と呼ばれ、最大出力は530キロ・ワット。924世帯の年間電力使用量と同量の電気を作る能力がある。1キロ・ワット時29円で北陸電力に売電し、年約5000万円の収入を見込む。工事費など事業費約9億円の8割を国、県、市の補助で賄い、残りは農協から借り入れた。5年後には返済の見通しが立っている。
 稲場さんは「農業用施設の耐震化や更新には莫大ばくだいな金がかかる。農家の負担は大きく、売電収入でそれを減らしたい」と話す。
 同土地改良区はこれ以外にも、二つの大きな水力発電所を保有し、1980年に、全国の土地改良区に先駆けて設立した全額出資の電力会社が運営している。

●伝統的な水活用

 現在、富山県内の小水力発電所は、計30か所を数える。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の運用が始まった4年前から普及に弾みがつきだした。
 富山県内72の土地改良区が加盟する連合会の調査では、小水力発電の適地は119か所あることが分かった。同県は2014年4月に「再生可能エネルギービジョン」を策定し、最大出力1000キロ・ワット以下の小水力発電の導入促進を盛り込んだ。2021年度までに45か所の整備を目指す。
 富山県内では伝統的に水力を農作業などに活用してきた歴史があり、連合会指導監の大森裕一さん(68)は、「富山の農家は水のエネルギー利用に慣れている」と語る。
 大森さん自身も、かつて自宅の庭に渦巻き型の水車があり、精米やもちつきの動力にしていた記憶があるといい、「小水力発電で得られた収入は、ミソなどの加工品の開発や保存にも役立てたい」と意気込む。

●発祥の地

 国などの研究も、富山から始まった。県小水力利用推進協議会長を務める富山国際大学の上坂博亨うえさかひろゆき教授(59)によると、科学技術振興機構の研究者らが、水利ネットワーク懇談会を発足させたのは08年のこと。国土交通、農林水産、環境、経済産業の各省と県、大学、電力会社、土地改良区の担当者が富山県に集まり、議論を重ねた。
 法制度が順次改善されていく。農業用水を利用した発電収入は従来、排水機場など関連施設の電気料金の支払いに限られたが、2011年には施設の維持管理費にも使えることになり、複雑だった水利権の申請手続きも簡易になった。

●進む技術革新

 普及拡大に伴い、技術的な工夫や改善も進んだ。
 富山市の常西用水土地改良区で昨年に完成した「西番(にしのばん)小水力発電所」(最大出力30キロ・ワット)は、水車が可動式で、水路の水を止めずに修理や手入れができる。豪雨時には自動的に水車が水路から上がり、危険を回避する。
 最近では最大出力100キロ・ワット以下のマイクロ水力発電の研究が熱を帯び、設置場所も農業用水から上水道の管路へと広がってきた。
 「ダイキン工業」(大阪市)は、超小型の発電機を開発。昨年は環境省の委託を受け、富山県南砺市にある水道事業所の施設で10か月間の技術開発・実証事業を行った。担当の沢田祐造専任部長(60)は、「上水道事業者は全国で約1500。全国津々浦々の上水道を有効活用できれば大きなエネルギーになる」と話す。(河野博子)

◆水力発電としてすでに利用している水力が多い県
〈1〉富山県〈2〉岐阜県〈3〉長野県〈4〉新潟県〈5〉福島県
(資源エネルギー庁2014年3月現在のデータによる)

http://www.yomiuri.co.jp/eco/feature/CO005563/20160516-OYT8T50000.html

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