2013/12/03
静岡県富士宮市で、小水力で発電した電気を使って栽培した野菜などを「エコ農産物」としてブランド化しようという動きが始まった。中心となって取り組むのは、特定非営利活動法人(NPO法人)化を目指す「富士山スマートエナジー」代表の小松快造さん(59)。水の落差が小さくても発電できる「相反転式小水力発電機」で得た電力は売電するのではなく、ハウス栽培や電気自動車のコミュニティー交通に活用し、電気の地産地消を目指す。
小松さんは、東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに、再生可能エネルギーの重要性を実感。「富士宮は富士山からの湧水が豊富で、小水力発電に最も適した土地柄」と、農業用水路に着目した。市議会議員も務める小松さんは、9月から県と市の協力を得て、北山用水の支流に発電機を設置、試験を始めた。発電機は、建設会社の(株)協和コンサルタンツ(東京都渋谷区)が開発した「相反転式小水力発電機」を導入した。
この発電機は、落差50センチでも発電できるのが特徴。実験では落差1メートル、水量毎秒0.25トンで、最大1.4キロワットの発電ができた。1日稼働させると一般家庭約1戸分の電力が得られるという。小松さんは「電力会社に売電する場合は、住民の合意や県から水利権の認可が取りにくい。地域で生み出した電気を地域のために使えば、発電機を設置しやすくなる」とみる。
今後は発電した電力で、ビニールハウスでの水耕栽培を実験的に始める計画だ。大学や大手電機メーカーも注目しており、11月下旬には東京都内で複数の大学とメーカーが参加し、小水力発電の「富士宮モデル」を確立しようと会議が開かれた。
「環境に優しいエネルギーを利用しておいしい農産物ができればブランド化ができる」と、JA富士宮にも協力を求めている。
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