2013/10/04
京都が水道事業に利用している都心の給水所で、初めての小水力発電設備が運転を開始した。水流の落差を生かした通常の発電方法とは違って、長距離を配水するための余剰圧力で発電する。一般家庭で420世帯分の電力を供給することができ、年間に4600万円の売電収入を見込む。
[石田雅也,スマートジャパン]
東京都の水道局は23区内に20カ所以上の給水所を運営して、家庭や事業所などに水道水を供給している。23区で最も東側の江戸川区にある「葛西(かさい)給水所」で10月1日から小水力発電が始まった(図1)。
発電能力は小水力としては規模の大きい340kWを発揮することができる。年間の発電量は140万kWhに達する見込みだ。固定価格買取制度を利用して、新電力のサミットエナジーに全量を売電する。1kWhあたり33.18円で売電して、年間に約4600万円の収入を想定している。
この小水力発電の特徴は、配水に必要な余剰圧力で水車を回して発電するところにある。東京23区の東部地域に供給する水道水は「金町(かなまち)浄水場」から供給している(図2)。江戸川区では浄水場からの水道水を葛西給水所の配水池に引き込んだうえで、需要に合わせて区内に配水する仕組みになっている。
さらに葛西給水所を経由して、南の大田区にある「東海給水所」まで配水するルートが造られている。距離の離れた給水所までは、浄水場のポンプで高い圧力をかけて送り出す必要がある。経路の途中にある葛西給水所では余分に圧力がかかった状態で水が送られてくるため、余剰圧力のかかった水流を発電設備に取り込んでも、発電後に減圧された水流が問題なく配水池まで届く(図3)。
以上のような原理で小水力発電が可能になった。東京都の水道設備では初めての取り組みで、まだ全国でも同様の事例は少ない。東京都が水道事業のために運営している浄水場は規模が大きいものだけでも金町浄水場を含めて4カ所にあり、そこから多数の給水所を経由して都内に配水している。
東京都は葛西給水所の取り組みを皮切りに、小水力発電の導入量を大幅に増やしていく計画だ。オリンピックを開催する2020年までに、再生可能エネルギーを加えた自立分散型の電力供給体制を強化する方針で、給水所における小水力発電を施策のひとつに掲げている。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1310/03/news018.html
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