2014/07/14
復興に向けて「再生可能エネルギー先駆けの地」を目指す福島県にあって、豪雪地帯の南会津地域に震災後で初めての小水力発電所を建設する。市民交流型の再生可能エネルギー導入プロジェクトとして国の補助金を受けて進めるもので、年間に280世帯分の電力を供給する計画だ。
[石田雅也,スマートジャパン]
福島県の南西部にある下郷町(しもごうまち)に小水力発電所を建設する(図1)。この町を含めて南会津地域は全国でも屈指の豪雪地帯で、大小さま ざまな川を流れる水量を生かして水力発電が盛んなところだ。下郷町内にはJ-POWER(電源開発)の「下郷発電所」(出力100万kW、運転開始 1988年)が稼働している。
新たに建設する小水力発電所は下郷町の観光名所でもある「花の郷公園」に設置する。町内を流れる大沢川の水流と落差を利用して175kWの発電能 力になる。運転開始は2015年4月の予定で、年間の発電量は100万kWhを見込む。一般家庭で280世帯分の使用量に相当して、下郷町の約2100世 帯の電力需要の1割以上をカバーすることができる。
丸紅グループの三峰川(みぶがわ)電力が「福島県市民交流型再生可能エネルギー導入促進事業」の補助金を受けて発電事業を進める。この補助金は震 災からの復興に向けて、福島県民が再生可能エネルギー設備の導入効果を体験できるようにする目的で国が始めたものである。下郷町の小水力発電では公園内の 町営食堂を利用して啓蒙活動を展開することになっている。
福島県は2013年2月に「再生可能エネルギー先駆けの地アクションプラン」を策定して、2040年をめどに県内の電力需要の100%を再生可能 エネルギーで供給するビジョンを推進中だ。太陽光・小水力・地熱・風力・バイオマスの5種類すべてに注力する計画で、小水力発電の導入量は2015年に1 万6800kWまで拡大する(図2)。
下郷町の発電プロジェクトを担当する三峰川電力は2006年から小水力発電事業を開始して、これまでに長野県で4カ所、山梨県で3カ所の小水力発 電所を稼働させてきた(図3)。下郷町の小水力発電所は8番目の案件で、さらに2020年までに国内30カ所程度の開発を目指している。下郷町内でも新規 の開発案件を検討する。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1407/14/news020.html