2014/11/05
小水力発電の事業化を支援する県の部局横断的組織「小水力発電キャラバン隊」は4日、適地選びに関する初めての現地講習会を、茅野市北山の三峰川電力・蓼科第二発電所で開いた。導入を検討していたり関心を持つ県内外の10団体から15人が参加。発電規模や採算性を判断するための現地調査手法を学んだ。
適地判断にまず必要なのは流量と落差の把握だ。参加者は簡易コンパス測量機を用いて、同発電所の取水口から発電施設までの高低差(有効落差)を測定。水路の幅などから水量を導き出す方法や出力の計算式を教わった。
再生可能エネルギー分野への新規参入を検討する東京の企業関係者は「24時間の発電ができ、収益面のポテンシャルは高い。県の仲介もありがたい」と語り、「自然豊かな場所に人工物を造ることになるので、水利権者や地域住民の理解が課題になる」。自然エネルギー信州パートナーズ(長野市)の鈴木純一代表理事は「資金調達などは課題だが、小水力発電はダムと異なり自然環境への負荷は少ない」と話した。
講習に続き、県諏訪合同庁舎では南信地区の出張相談会が開かれた。各部局の担当者15人が1カ所に集まり、参加を申し込んだ3団体の相談に応じたり、必要な許認可手続きなどについて助言した。
県内では小水力発電が可能な場所が、都道府県別でトップクラスの1648地点(環境省2010年調査)にあるとされたが、水利権の調整などハードルが高く、13年4月1日時点での導入は176施設にとどまる。県は他に水利権相談窓口を設けたり、資金面の支援事業を実施しており「水は地域の資源。地域に利益が生じるような、地域主導型の小水力発電事業を普及・推進したい」としている。
http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=32698
2014/10/24
長野県(環境部)プレスリリース 平成26年(2014年) 10月17日
小水力発電の事業化に向けた具体的な支援を行うため部局等横断により設置した「小水力発電キャラバン隊」による、事業箇所選定・採算性評価等の「適地選定講習会」及び事業化に向けた個別相談を行う「地区別出張相談会」を開催します。
(1) 目的
小水力発電事業を地域経済の活性化に結びつける「地域主導型」の事業モデルを普及・推進するため、県庁各部局、関係機関が連携して事業者への具体的支援を行う。
(2) 構成員
長野県環境部環境エネルギー課、農政部農地整備課、建設部砂防課、企業局、長野県土地改良事業団体連合会
適地選定講習会 | 地区別出張相談会 | ||||
南信地区 | 東信地区 | 中信地区 | 北信地区 | ||
日時 | 11/4(火) 10:00~12:00 |
11/4(火) 13:30~16:30 |
11/10(月) 10:00~16:00 |
12/10(水) 10:00~16:00 |
12/16(火) 10:00~16:00 |
会場 | 三峰川電力(株) 蓼科第二発電所 (茅野市) |
長野県諏訪合同庁舎講堂 | 長野県佐久合同庁舎402号会議室 | 長野県松本合同庁舎502号会議室 | 長野県長野合同庁舎別館会議室 |
内容 | 小水力発電の事業箇所選定に係る簡易測量、採算性評価等の手法に関する講習 | ・事業化の構想、課題等の把握 ・案件形成における地元の推進体制づくり、適地選定・導入可能性調査、関係法令に係る協議、許認可手続き等の助言 |
小水力発電に取り組もうとする市町村、土地改良区及び民間団体等(県内に本拠を有する企業、NPO、団体等)
参加を希望される方は、各日程の1週間前までに別紙申込書によりFAXまたは電子メールにてお申し込みください。
(申込先)
環境エネルギー課新エネルギー推進係
FAX : 026-235-7491
E-mail : shin-ene@pref.nagano.lg.jp
(1) 「適地選定講習会」は現地調査となりますので、汚れてもよい服装でご参加ください。
(2) 「地区別出張相談会」は個別相談となりますので、申込みとりまとめ後、ご来場いただく時間を別途連絡いたします。
関連資料
※この取り組みは、しあわせ信州創造プラン(長野県総合5か年計画)の政策推進の基本方針「1『貢献』と『自立』の経済構造への転換」に基づくものです。
しあわせ信州創造プラン(長野県総合5か年計画)推進中
担当部署 | 環境部 環境エネルギー課 新エネルギー推進係 |
---|---|
担当者 | (課長)長田 敏彦 (担当)春日 隆 |
電話 | 026-235-7179(直通) |
ファックス | 026-235-7491 |
メール | kankyoene@pref.nagano.lg.jp |
2014/10/21
下諏訪町の「ものづくり支援センターしもすわ」は、小水力発電用の「木製らせん水車」を開発した。1基の最大出力は2.4ワット。街路灯の照明などに利用でき、複合化により出力が倍増する。低コスト化が最大の特長で活用法は顧客の発想にゆだねたい考えだ。ブラジルからは完成品の開発依頼があり、来年5月末までの製品化を目指す。
支援センター内の小水力発電研究会が推進する事業で、工業コーディネーターの中野敏廣さん(62)と、所属する増澤製作所(同町社)、サカヅメエンジニアリング(同町東町)の2社が共同開発。18日まで諏訪市で開かれた「諏訪圏工業メッセ2014」で発表し、試作品を展示した。
木製らせん水車は、多数の小さな角材を接着し、らせん状に仕上げる。川の流量や流速に応じ、製作段階で角度は自由に変えられる可変式。長さ120センチ、高さ20センチ、幅30センチの木製の箱の中に、防水タイプの発電機と一緒に入れて発電する。コンパクトな設計のため、移動も簡単だ。
ヒノキを使用し、間伐材の利用も視野に入れる。木材は調達費用が安く、試作品の材料費は約4万円。初期投資が低く抑えられるメリットがある。樹脂製の水車にした場合は約30万円かかるという。
同研究会は、せぎの中に入れて水田の水位を測定する機器の電源などにも利用できるというが、「活用法をあえて想定せず、顧客に任せたい」と広がりに期待する。中野さんは「日本は小川が多く、小水力発電には最適」、増澤製作所の増澤俊明会長(72)は「ローコストをアピールし、受注につなげたい」と話す。
問い合わせは支援センター(電話0266・26・2226)へ。
http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=32576
2014/07/25
1 調査条件について
①
受益面積100ha以上の基幹的な農業用水路、110系統、約700kmについて調査したものです。
②
水量と落差から10kW以上の発電が見込まれる465地点を選定し、その中から候補地として可能性のある地点を把握、集計したものです。
③
本調査で用いた水量は、現場観測ではなく既存資料から受益面積の案分等で簡易的に算定しており、実際に利用できる水量と異なる場合があります。小水力発電の導入にあたっては、より詳細な調査に基づき実施設計を行う必要があります。
④
候補地の中には、建設事業に対し国からの50%の補助を見込んで採算のとれる地点が含まれています。
www.pref.nagano.lg.jp/nochi/happyou/documents/140718kouhochi.pdf
2014/05/16
伊那市富県の春富土地改良区と長谷の上伊那美和土地改良区で今年度、農業用水路を活用した小水力発電所の建設工事に着手する。春富は2018年度、美和は17年度の発電開始を目指す。ともに再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を活用し、発電した電力は全て売電、収入を農業用水路の維持管理に充てる計画だ。
県上伊那地方事務所は昨年度、「上伊那地域農業生産基盤再生可能エネルギー活用研究会」(会長・青木一男所長)を設け、農業用水路での小水力発電の可能性を検討。その結果、両土地改で実現性が高いと判断された。いずれも農林水産省の農山漁村地域整備交付金の半額補助を受けて建設する。
同事務所農地整備課によると、春富は県営かんがい排水事業の一環で整備。高遠ダムから来る農業用水を活用する。発電はかんがい期の4~9月。発電出力は190キロワットを見込む。事業費は3億4000万円。一方、美和は土地改が事業主体となり、黒川から取水する農業用水を活用。通年発電し、発電出力は12キロワットを見込む。事業費は9500万円。
ともに斜面に設置されている水路の傍らに管路を設け、バイパスさせる形で水を水車に送り発電する仕組み。今年度中に詳細設計、入札、契約を行い、工事に着手していきたい考えだ。
同課によると、農業用水を管理する土地改では施設の老朽化で維持管理に大きな労力と費用負担が生じている。このため、農業用水路を活用した小水力発電に着目。売電収入を充てることで負担軽減を図り、農業振興につなげる狙いだ。春富では新山川頭首工、分水ゲート、美和では和泉原揚水ポンプ場の維持管理に充てる。
http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=31344