2015/11/04
2015年11月 4日掲載
熊本県では、豊かな自然エネルギーを生かした発電事業を行う「県民発電所」の設置を前提とし、新エネルギー導入の事業可能性調査を行う県内の民間事業者等を募集している。事業名称は、「くまもと県民発電所事業可能性調査支援事業」。
熊本県内に拠点を置く地場企業や県内の民間団体(NPO法人を含む)、これらが主体となった県外企業との連合体など、「県民発電所構想」を活用して新エ ネ ルギーの発電事業を実施しようと考えている事業主体が応募できる。公募の締め切りは11月30日で、採択事業者は12月の中旬に決定される予定だ。詳細は 下記の通り。
補助対象事業
小水力発電(発電出力1,000kW以下のものに限る。)
温泉熱発電
太陽光発電
補助対象経費
上記の事業可能性調査に要する機器・設備費、調査など委託費、系統連系協議等の事務手続費用など、その他諸経費。
補助率
各事業費の2分の1以内。補助限度額は、小水力・温泉熱発電事業が150万円、太陽光発電事業が50万円。なお、同事業の補助金予算は200万円で、小水力発電または温泉熱発電は1件、太陽光発電事業を1件採択予定だ。
同県は、2014年に「くまもと県民発電所構想」を掲げ、県民が県の豊かな自然を享受できる仕組みをめざし、発電所の設立に取り組んでいる。この取り組 み の第一号案件として「南関町エコアくまもと太陽光発電所(事業費5.5億円、出力2000kW)」が運転開始する。同発電所の設立にあたり、県民の小口 ファンドにより5千万円が投資された。
2015/11/02
斎藤健一郎 2015年11月2日14時50分
愛知県新城市は、知られざる「エネルギー自給自足先進地」だ。かつて電気網が行き届かなかった山間地で、100年も前から地域の人たちが小水力発電所を造り、自分たちで電気を賄っていた。そして今、山中に埋もれたその遺産をよみがえらせる動きが起き始めている。
市中心部から車で北へ約10分。徳定(とくさだ)川流域にある集落が途切れて眼前に迫った山を、市地域エネルギー推進課の浅井理孝(まさたか)さん (31)がはい上る。その先の斜面に石組みが見えた。「大正時代に造られた小水力発電所の跡です」。落ち葉で埋まっているが、集落に向けて導水路が伸び る。たどると2メートル四方、深さ2・5メートルの貯水槽があった。その向こうは急斜面だ。「ここから一気に水を落とし、下のタービンで発電していまし た。1946年まで徳定の集落約60戸の電気を賄っていました」
戦時中に大手電力会社が送電網を全国に張り巡らせる前、採算が合わないからと多くの山間部は電力供給から取り残された。全国各地に、川の流れを利用して水力発電所を設置する動きがあった。しかし、どこでも発電所を造れたわけではない。
新城には旧作手(つくで)村の巴(ともえ)川流域を中心に、流量豊富で落差の大きい川があった。そして建設費用を捻出できる山の生活があり、住民たちの 意志があった。これまでの調査で、市内に少なくとも32カ所の小水力発電所があったことが判明。取水口や導水路など26カ所が今でも残る。
2015/10/31
高山村奥山田の松川にある県高井砂防ダムを活用した小水力発電所「高井発電所」が23日、運転を開始した。
年間発生電力量は一般家庭約750軒分の使用量に相当する約270万kW/h。電力は再生可能エネルギー固定価格買い取り制度に基づき売電する。これまで利用困難だった松川の酸性水がエネルギーとなって発電に貢献する。県によると、既設の砂防ダムを活用した小水力発電所は県内7例目。
発電施設はダム本堤に穴を開けて取水する。沈砂池で流入する土砂を取り除いてから導水し、斜面の落差約36mを利用。斜面直下に発電所を設け、ステンレス製の水車発電機で発電する。最大出力は420kW。川の水量が減少する距離が短いなど環境にも優しいという。右岸台地には管理棟も置いた。
発電事業は、小水力発電を推進している総合建設コンサルタントの日本工営(東京都)が建設資金と技術者を提供。今後の運転・維持管理は日本工営の子会社、工営エナジー(東京都)と、村も2%(100万円)出資している長野水力(長野市)が行っていく。
村は施設用地約7,000平方メートルの賃借料と固定資産税のほか、利益が出た場合は配当金を得る。
23日は現地で竣工(しゅんこう)式と発電開始式が行われ、関係者約65人が発電所の完成を祝った。
村は2010年10月、日本工営から発電所計画の打診を受け、11年5月に学識経験者や行政機関担当者、地区・団体代表者らによる「松川小水力発電開発検討委員会」を設置。発電所に関する検討を進めてきた。
発電開始式では、施主を代表して日本工営の広瀬典昭会長が、「酸性河川や既設砂防施設の活用などさまざまな課題に直面したが、慎重に技術的な検討を行い実現にこぎ着けた」とあいさつ。
来賓の久保田勝士村長は、村が新環境条例の制定に向けて準備を進めていることなどに触れつつ、再生可能エネルギーを活用した小水力発電所の完成は「大きな弾みになる。県のモデルとして安定的に自然エネルギーを供給していただきたい」と期待を寄せた。
発電所は9月末から試験運転を始め、この日、本格稼働となった。長野水力の横田裕史社長は取材に「ここからが始まり。最初の半年は中々、安定稼働が難しいので心配もある。自然の特性をつかみできるだけ早く安定させたい」と話した。
村総務課によると、発電所の発電開始により、太陽光発電と温泉熱バイナリー発電を合わせた村内の再生可能エネルギー全体の年間発生電力量は468万kW/h。一般家庭1,300世帯分に相当し、村全世帯の54%の電力を賄えるようになるという。
http://www.suzakanews.jp/news/contents/event/event.php?id=3327
2015/10/30

関係者ら早期完了祈る
老朽化した豊沢ダムの施設改修と小水力発電所を新設する国営豊沢川農業水利事業の着手に伴い、東北農政局和賀中央農業水利事業所が現地事務所とし て花巻市下北万丁目地内に構えた「豊沢川農業水利事業建設所」の開所式は29日、同市大通りのなはんプラザで行われた。関係者約150人が出席し、同市と 北上市の農業用水の安定供給、施設の維持管理費の軽減に向けた事業の早期完了を祈った。

開所式で東北農政局の豊田育郎局長は「本事業は豊沢ダムの改修を行い、併せて小水力発電所を新設し、農業生産性の維持、農業経営の安定に資するもの。本国営事業の基盤整備を原動力に、地域全体としての食料生産の体質強化が一層図られることを期待する」とあいさつした。
同事業促進協議会長で豊沢川土地改良区の平賀巖理事長は「いよいよ工事着手の時を迎えた。受益農地4250ヘクタール、組合員3093人を代表し 心よりお礼を申し上げる。小水力発電所の新設は用排水施設の維持管理費に掛かる組合員の負担軽減につながる」と述べ、早期の事業完了に期待を寄せた。
同事業ではダム施設の堤体天端部の補修、左右岸擁壁の改修を実施するほか、取水、放流、洪水吐(ばき)の各施設のゲート設備の更新、上屋の改築、 新設、管理用道路の新設、同ダム管理事務所の改築、小水力発電所の新設を行う。工期は2022年度までの8年間を予定。総工費は約67億円が見込まれる。
開所した同建設所は木村俊逸所長以下8人の職員体制で業務に当たる。同日は開所式に先立ち、同建設所前で看板掲示式も行われ、関係者、職員が事業促進に邁進(まいしん)する誓いを新たにした。
同ダムは安定した農業用水の確保を目的に、1941年に着工。戦争で一時中断したが、49年に再開し、61年に完成した。以来、用水の安定供給と ともに、市民の水がめ、治水などとしても重要な役割を果たしてきた。しかし、完成から50年以上経過し、老朽化が著しく、早期改修が求められていた。
2015/10/30
東京電力は山梨県と共同で電力供給の新ブランド「やまなしパワー」を2016年4月に開始する。山梨県の企業局が運営する20カ所以上の水力発電 所の電力を買い取って、県内の中小企業を対象に割引料金で販売する地域限定のサービスだ。割引率は電力量料金の3~6%を予定している。
[石田雅也,スマートジャパン]
電力会社と自治体による地域特化型の電力供給サービスが誕生した。東京電力が山梨県と基本協定を結んで、県内の中小企業に電力を供給する「やまな しパワー」の販売に乗り出す。山梨県の企業局が運営する水力発電所の電力を通常の料金よりも安く販売して、地元の企業を支援しながら他県からの進出も促す 狙いだ(図1)。

山梨県の企業局は大規模から小規模まで23カ所の水力発電所を運営している(図2)。発電能力を合計すると12万kW(キロワット)に達して、全 国の自治体でも有数の規模を誇る。東京電力は年間に4億7000万kWh(キロワット時)の電力を買い取って、やまなしパワーのブランドで販売する。販売 量は一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して13万世帯分になる。

通常の電気料金は月額固定の「基本料金」と使用量に応じた「電力量料金」の2本立てで課金するが、このうち電力量料金を3~6%割り引く予定だ。 販売する対象は山梨県内の中小企業に限定して、県の企業局が募集して選定する(図3)。ただし大企業でも新規に山梨県に進出する場合には対象になる。

販売する電力は契約電力が50kW以上の「高圧」で、県内の中小企業は500kW未満の「高圧小口」に限る。新規に進出する大企業には 500kW~2000kW未満の「高圧大口」でも供給できるようにする。電力を供給する期間は2016年4月から2019年3月までの3年間を予定してい る(図4)。

東京電力と山梨県が新しい電力供給のスキームを開始する背景には、東日本大震災後に急速に進んだ電力市場の環境変化がある。これまで県営の水力発 電所の電力は東京電力が安価に調達してきたが、固定価格買取制度が始まったことで、水力を含む再生可能エネルギーの電力の価値が高まった。
その一方で小売の自由化が進み、東京電力から新電力へ契約を切り替える企業が増えている。電力を高く売りたい自治体と、電力の利用者を維持したい電力会社、双方の思惑が一致して生まれた電力供給のスキームと考えられる。
山梨県は全国の自治体の中でも先頭を切って再生可能エネルギーの導入を拡大してきた。富士山をはじめとする周囲の高い山々から流れてくる豊富な水量を生かして、県内には76カ所の水力発電所やダムが運転中だ(図5)。
水力発電所は東京電力が28カ所(揚水式を除く)、山梨県の企業局が23カ所(ダムを除く)を運営している。このほかの水力と太陽光やバイオマスを加えると、再生可能エネルギーによる発電能力は56万kWに達する。
ただし新サービスには課題も残る。供給力の大半を水力発電所が占めているため、降水量によって電力の供給量が大きく変動してしまう。過去の実績を 見ると、2009~2011年度は年間に5億kWhを超えていたが、2013年度には4億kWhまで減少した(図6)。やまなしパワーで供給する予定の4 億7000万kWhには足りない。不足分は東京電力が補充することになる。

水力に限らず再生可能エネルギーの電力を販売する場合に生じる問題である。その代わりに電力会社の火力発電所や原子力発電所にトラブルが発生して 運転を停止しても、地域の送配電ネットワークに支障がなければ電力の供給を続けることが可能だ。災害に強い電力インフラがある立地条件は企業のBCP(事 業継続計画)においても重要になっている。やまなしパワーの適用を受ける大企業がどのくらい出てくるかにも注目したい。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1510/29/news040_2.html