2018/11/06
2018年11月6日掲載
寺の僧侶が設立した電力小売り会社
浄土真宗本願寺派などの僧侶が今年6月に設立した会社「TERA Energy(テラエナジー)」が10月25日、来年4月から電力の小売り事業を始めると発表した。
太陽光など自然エネルギーの電力を別の電力会社から購入し、「おてらのでんき」の愛称で販売。初年度は四国・中国地方のお寺や檀家を中心に営業し、料金は中国電力の家庭向け電気料金よりも2%程度安く設定するのだという。
斬新な試みだが、そもそもなぜ寺の僧侶が小売り事業を始める必要があるのか?
「テラエナジー」の社長で浄土真宗本願寺派寺院住職の竹本了悟さんに話を聞いた。
地域にお金を循環させるしくみ
――なぜ今、電力の小売り事業に参入した?
理由は大きく2つありまして、1つは、地球温暖化を防ぐことです。
お寺のネットワークを使うことで地球温暖化を防げるのでは、と考えました。
もう1つは、地域にお金を循環させること。
お寺がハブ(拠点)になることで、地域を豊かにし、安心・安全に暮らしていけるようにしていこうと考えています。
これらの理由から、電力の小売り事業への参入を決めました。
――どうやって地域にお金を循環させるの?
受け取った電気料金の2~3%程度を「お寺サポート費」として、地域のお寺に還元し、それぞれのお寺がそのお金を地域のために使うというしくみです。
――檀家が減り、お寺の経営が厳しくなったことも関係ある?
これは前からなので、電力の小売り事業参入の理由ではありません。
…ご利益はある?
――電力はどこから調達する?
福岡みやま市の「みやまパワーホールディングス」から太陽光など自然エネルギーの電力を調達し、足りない分は中国電力や四国電力から買うことを考えています。
――今後、自社で発電する予定は?
ゆくゆくは独自の電源を持ちたいと考えています。
――それは自然エネルギー?
小水力発電(数十キロワット~数千キロワット程度の比較的小規模な水力発電)を考えています。
――料金は中国電力の家庭向け電気料金よりも2%程度安く設定。どうやってこれを実現する?
広告料や経費など、コスト面を徹底して抑えることで、電気料金を割引する費用を捻出します。
――初年度の営業の対象はお寺や檀家だが、契約したら、お寺らしい特別なご利益はある?
これといってご利益はありませんが、安心・安全な生活に貢献できることが、ご利益といえばご利益なのではと思います。
初年度はお寺や檀家などが対象のため広告費も抑えられるとのことで、電気料金が安いだけでなく、地域にもお金を循環させるという「おてらのでんき」。
初年度は約5200件の契約を目標にし、2020年度以降は全国展開も視野に入れているようだ。