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2015/11/02

100年前から小水力発電 山間地の遺産復活探る 愛知【朝日新聞】

斎藤健一郎 2015年11月2日14時50分
     愛知県新城市は、知られざる「エネルギー自給自足先進地」だ。かつて電気網が行き届かなかった山間地で、100年も前から地域の人たちが小水力発電所を造り、自分たちで電気を賄っていた。そして今、山中に埋もれたその遺産をよみがえらせる動きが起き始めている。

      市中心部から車で北へ約10分。徳定(とくさだ)川流域にある集落が途切れて眼前に迫った山を、市地域エネルギー推進課の浅井理孝(まさたか)さん (31)がはい上る。その先の斜面に石組みが見えた。「大正時代に造られた小水力発電所の跡です」。落ち葉で埋まっているが、集落に向けて導水路が伸び る。たどると2メートル四方、深さ2・5メートルの貯水槽があった。その向こうは急斜面だ。「ここから一気に水を落とし、下のタービンで発電していまし た。1946年まで徳定の集落約60戸の電気を賄っていました」
      戦時中に大手電力会社が送電網を全国に張り巡らせる前、採算が合わないからと多くの山間部は電力供給から取り残された。全国各地に、川の流れを利用して水力発電所を設置する動きがあった。しかし、どこでも発電所を造れたわけではない。
      新城には旧作手(つくで)村の巴(ともえ)川流域を中心に、流量豊富で落差の大きい川があった。そして建設費用を捻出できる山の生活があり、住民たちの 意志があった。これまでの調査で、市内に少なくとも32カ所の小水力発電所があったことが判明。取水口や導水路など26カ所が今でも残る。

旧作手村の巴川沿いには多くの遺構が残る。山あいの小林集落には大きな水車が残っていた=愛知県新城市作手高松島

旧作手村の巴川沿いには多くの遺構が残る。山あいの小林集落には大きな水車が残っていた=愛知県新城市作手高松島

集落奥の山中。水の枯れた貯水槽から杉の木が生えていた=愛知県新城市徳定

集落奥の山中。水の枯れた貯水槽から杉の木が生えていた=愛知県新城市徳定

山中に埋もれている導水路は延長2.7キロ。付近には水門を管理していた小屋番の住居跡もあった=愛知県新城市作手保永

山中に埋もれている導水路は延長2.7キロ。付近には水門を管理していた小屋番の住居跡もあった=愛知県新城市作手保永

http://www.asahi.com/articles/ASHBQ7HD3HBQOIPE046.html

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