過去に投稿された記事の一覧です。

2017/04/26

試験発電を開始 春富小水力発電所【長野日報】

2017年4月26日掲載
 伊那市春富土地改良区の農業用水路を活用し、県上伊那地域振興局が進めている小水力発電所の建設で、導水管や水車式発電機といった主要施設が完成し、試験発電と固定価格買い取り制度に基づく売電が始まった。残りの外構工事を済ませて十分な試験を重ねた後、土地改良区へ正式に譲与する方針。かんがい期の4~9月に発電し、全量売電で得た収入を農業用施設の維持修繕に充てていく。
 県営かんがい排水事業の一環で整備を決め、一昨年9月に着工した。農地整備課によると、斜面にある階段水路をバイパスする形で長さ約40メートルの導水管を建設。高低差を生かして発電機に水を送り発電する仕組みだ。砂やごみを取り除いたりするコンクリート製の水槽(ヘッドタンク)も上部に設けた。
 有効落差は22メートル、最大使用水量は毎秒1・12立方メートル。最大出力は197キロワットになるという。事業費は4億円。半分を国交付金で賄い、残りを県と伊那市、土地改良区が負担した。設計・工事を合わせてプロポーザル(企画提案)方式で発注し、ヤマウラが請け負った。
 春富土地改良区の組合員は1398人おり、幹線・準幹線水路の延長は合わせて約70キロに及ぶ。織井秀夫理事長は取材に「収入を老朽施設の修繕や改良に役立て、組合員負担を減らしたい。計画通りに発電できることを願う」と話した。同課によると、ヘッドタンクを満水にし、水車への負荷が最大になる状態での試験にも入った。
 同課は、地方事務所時代に研究会を設置し、農業用水路を活用した小水力発電の可能性を検討。既に運用する上伊那美和(同市長谷)と、春富の土地改良区で実現性が高いと判断した。今後、中川村にある農業用水路で導入可能性を探るという。

http://www.nagano-np.co.jp/articles/16218

2017/04/11

長野県、地方銀行などが融資する再エネ発電事業に補助金(※収益納付)【環境ビジネスオンライン】

2017年4月11日掲載
 長野県は4月10日、太陽光発電や小水力発電等の自然エネルギー発電を、市町村や民間企業等が地域金融機関等と連携して行う事業に、経費の一部を補助することを発表した。
 事業名称は「平成29年度 自然エネルギー地域発電推進事業」。これは固定価格買取制度を活用した自然エネルギーの事業化を支援するため、事業経費の一部を補助するもの。地域主導の自然エネルギー事業を県内各地へ普及促進するため実施される。

  収益納付アリの補助金、売電収入の約7~14%

 また、この事業で受けた補助金は、固定価格買取制度で売電した収益の一部を「収益納付」し、返還しなければならない。
 納付額は毎年度の売電収入を上限とし、補助金相当額×納付率で計算する。納付率は、事業のタイプ別に売電開始以降、年度毎に設定する。
 自然エネルギー発電にかかわる調査事業や計画作成事業および設計を行うソフト事業の場合の納付率は、初年度から10年度目まで一律10%。
 自然エネルギー発電にかかわる発電設備導入を行うハード事業の収益納付は、3年度目から発生する。
 納付率は、融資の型や太陽光発電、小水力発電、さらにそれぞれがソフト事業を実施した場合と実施しない場合によって異なり、3年度目で3%から7.7%まで幅がある。同様に収益納付の最終年度である15年度目も7.6%から14%まで開きがある。
 また、ほとんどの場合、年度が経るにつれて納付率は上昇していく。上昇率も事業により異なるので要注意だ。
 たとえば、元金変動型融資による太陽光発電事業で、さらにソフト事業を実施した場合の3年度目の納付率は3%。それが年々上昇し、最終年度には14%となる。
 逆に元利均等型融資による太陽光発電事業や小水力発電等事業で、ソフト事業を実施しない場合の3年度目の納付率は7.7%だが、14年度目までは変動せず、15年度目には7.6%に下がる。
 なお、ハード事業に関しては、地域の金融機関からの融資を受けることも要件となる。

 ソフト事業、ハード事業の概要は下記のとおり。

  予算が余れば3次公募まである

 今回の第1次公募期間は、5月10日(水)17時まで。なお、採択事業への補助金額の合計額が予算額に達しなかった場合には、下記日程で追加募集が予定されている。

 第2次募集 6月20日(火)~7月20日(木)
 第3次募集 8月29日(火)~9月26日(火)
 応募書類提出先は、応募者により異なる。

 申請者が市町村の場合
管轄する地域振興局環境課

 申請者が民間事業者の場合
事業を実施しようとする場所を管轄する市役所または町村役場(自然エネルギー推進担当課)

https://www.kankyo-business.jp/news/014690.php

2016/12/26

伊那市春富の小水力発電所 来春から試験発電【長野日報】

2016年12月26日掲載
 伊那市春富土地改良区の農業用水路を活用した春富6号地区小水力発電所の工事が、同市富県の現地で順調に進んでいる。発電所棟も姿を見せ、間もなく発電機本体の据え付けも始まる予定という。事業主体の県上伊那地方事務所によると、発電所完成後の2017年4月から試験発電に入り、9月までテストを行った後、運営主体の同土地改良区に移管する。
 県営かんがい排水事業の一環で整備する。斜面に設置されている階段水路をバイパスする形で導水管を設け、高低差を使って発電する仕組み。同地事所農地整備課の説明だと、現場の有効落差は約22メートルで、最大使用水量は毎秒1・12立方メートルになるという。最大出力は約195キロワットを見込んでいる。かんがい期の4~9月に発電し、全量を売電する。
 15年秋に起工した。工事では、取り入れた水をいったんためて、流量を調節したり砂やごみを取り除いたりするコンクリート製の水槽(ヘッドタンク)を上部に設置。下流側に建設する発電所棟と長さ約40メートルの導水管でつなぐ。設計・施工を合わせたプロポーザル(企画提案)方式での発注で、ヤマウラが請け負っている。事業費は約4億円。
 農業用水路を管理する土地改良区の多くは、施設の老朽化等に伴い、維持管理の負担が大きくなっているという。春富土地改良区の織井秀夫理事長は「国県の事業に基づいて始める発電事業なので、売電による利益は土地改良区の施設の改善に使うのが基本になる。利益はきちんと留保し、土地改良事業の主要幹線の工事の地元負担を減らし、水源設備の保全対策に使っていきたい」と話している。
 同地事所は13年度に上伊那地域農業生産基盤再生可能エネルギー活用研究会を設置し、農業用水路を活用した小水力発電の可能性を検討。春富と上伊那美和(同市長谷)の2カ所の土地改良区で実現性が高いと判断し、事業化された。上伊那美和の小水力発電所(最大出力12・2キロワット)は既に運用が始まり、通年発電に入っている。

http://www.nagano-np.co.jp/articles/11785

2016/12/09

県営の小水力発電所の電力を高く売れる、年間で1億9000万円の収入に【スマートジャパン】

2016年12月9日掲載
長野県は建設中の2カ所の小水力発電所の電力を新電力に売電することを決定した。いずれも2017年4月に運転を開始する予定で、合計で1750世帯分の電力を供給できる。新電力は固定価格買取制度の単価に0.5円を上乗せして買い取り、東京・中部・関西電力の管内で販売する計画だ。
[石田雅也,スマートジャパン]

 小水力発電所で新たに売電の対象になるのは、長野県の企業局が2013年から建設を進めてきた「高遠(たかとお)発電所」と「奥裾花(おくすそばな)第2発電所」の2カ所である。
 発電能力は高遠発電所が180kW(キロワット)で、奥裾花第2発電所は980kWと規模が大きい。それぞれ年間に125万kWh(キロワット時)と507万kWhの電力を供給できる見込みだ。両方を合わせると一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1750世帯分に相当する。
 2カ所とも2017年4月1日に売電を開始する予定だ。長野県が当初の3年間の売電先を公募して、3社の応募の中から丸紅グループの丸紅新電力を選定した。買取価格が高かったことに加えて、信州発の自然エネルギーをアピールする提案内容を評価した。
 丸紅新電力は固定価格買取制度の単価に0.5円を上乗せして電力を買い取る。発電能力が200kW未満の高遠発電所は1kWhあたり34.5円(税抜き)で、200kWh以上の奥裾花第2発電所は買取価格が29.5円になる。2カ所を合わせた長野県の売電収入は年間に1億9000万円を超える見通しだ。通常の買取価格で売電した場合と比べて約300万円の収入増になる。
 買い取った電力は新電力の「みんな電力」が東京・中部・関西電力の管内で販売する予定だ。みんな電力は東京都の世田谷区を拠点にして、再生可能エネルギーによる電源の開発と電力の販売を広域に展開している。
 その一環で2016年4月の小売全面自由化に合わせて「ENECT(エネクト)」と呼ぶユニークなサービスを開始した。「生産者の顔が見える電力」が特徴で、消費者が応援したい発電所を選んで電力を購入できる。
 基本料金の中にENECTのシステム利用料(月額500円)を上乗せする代わりに、応援した発電所から地元の特産品などが送られてくる仕組みだ。これから運転を開始する長野県の小水力発電所から電力を購入すると、地元の見学ツアーや県産品のプレゼントがある。

  長野県には20年間で16億円以上の利益

 長野県の企業局は県内で14カ所の水力発電所を運転している。発電能力を合計すると9万9050kWに達する。今後は固定価格買取制度の対象になる小水力発電所を増やしていく計画で、2000年以降に初めて開発に取り組んだ水力発電事業が高遠発電所と奥裾花第2発電所である。
 県南部の伊那市に建設中の高遠発電所は農業用水を供給する「高遠ダム」の直下に建設する。このダムからは1958年に運転を開始した県営の「春近(はるちか)発電所」(発電能力2万3600kW)まで10キロメートルの導水路を使って水を供給している。
 新たに建設する高遠発電所では、下流の自然環境を維持するためにダムから放流している水のエネルギーを利用する。水量は最大で毎秒1立方メートルあり、ダムの取水面から発電所までは21メートルの落差になる。水車発電機には大きな落差を生かせる横軸フランシス水車を導入する。
 一方の奥裾花第2発電所は県北部の長野市にある「奥裾花ダム」の下に建設中だ。ダムの直下では「奥裾花発電所」(1700kW)が1979年から運転を続けている。新設の第2発電所は既設の発電所に隣接させて、ダムからの水流を分岐して発電する方式を採用した。
 この一帯は豪雪地帯で、春先には大量の雪解け水がダムに流れ込んでくる。ダムから放流する水量も多くなるため、2つの発電所に分けても十分な量を確保できる。既設の発電所は最大で毎秒4立方メートル、第2発電所では毎秒2.5立方メートルの水量を利用することが可能だ。それぞれ落差は54メートルと48メートルになる。水車発電機には同様に横軸フランシス水車を使う。
 新設する2カ所の小水力発電所の電力は今後も長野県が定期的な公募を通じて売電先を選んでいく。固定価格買取制度の対象になる20年間は最低でも国が保証する買取価格で売電できる。発電所の建設にかかる総事業費は合わせて16億円強を想定している。毎年の運転維持費を考慮しても、20年間の累計で16億円以上の利益を得られる見込みだ。
 すでに長野県では水力発電を中心に再生可能エネルギーの電力が県内の最大需要の8割をカバーできる状態に達している。引き続き小水力発電と太陽光発電を拡大して、2017年度には再生可能エネルギーによる電力の自給率を100%へ高める計画だ。小水力発電ではダムの水流を利用する以外にも、農業用水路に水車発電機を設置する方法で導入量を増やしていく。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1612/09/news040.html

2016/11/21

【eco最前線を聞く】洋上風力や小水力で「エコな電力」を【SankeiBiz】

2016年11月21日掲載

丸紅 幾島渉・国内電力プロジェクト部長

 丸紅は今年4月の電力小売り全面自由化を受け、家庭向け電力販売にも参入した。同社グループが持つ国内発電能力は約47万キロワットだが、うち6割以上は洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーが占めている。地球温暖化防止に向けて二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出抑制が求められるなか、丸紅は消費者に「エコな電力」をアピールする。今夏には秋田県で洋上風力の事業化調査を開始したほか、小水力発電の拡大も精力的に進めている。同社の幾島渉・国内電力プロジェクト部長に話を聞いた。

 ◆アジアでの展開視野

 --秋田県の洋上風力の計画は

 「大林組や関西電力など計14社で秋田港と能代港に洋上風力発電所を建設する事業化調査を開始した。着床式と呼ばれる海底に土台に建設する方式で2020年くらいの稼働を目指す。日本は海に囲まれているからもっと洋上風力を活用できる余地があると思うが、欧州に比べて出遅れていた。そこでまず、ノウハウを蓄積しようと11年9月に先行する英国の洋上風力発電所の運営に参画した」

 --そこで得たノウハウは

 「着床式の洋上風力の建設や修理には、専用船による据え付け工事が欠かせないと分かった。そこで産業革新機構と共同で専用船を持つ英シージャックス・インターナショナル社を買収した。専用船は需要がある地域に船を運航すれば作業ができるので、将来の日本やアジアでの展開を視野に入れ、13年にシージャックスの日本法人も設立した。洋上風力の経済波及効果は大きく、ドイツでは造船不況で衰退した港町が洋上風力で再生した事例がある。産業振興につながる」

--着床式だけでなく浮体式にも注力している

 「日本の海は欧州とは違って浅瀬は多くないので着床式だけでは限界がある。だから浮体設備を海に浮かべて、その上に風車などを搭載する浮体式の開発は欠かせない。福島沖の実証試験には三菱重工業や東大など10社1大学が参画し、15年から風況や耐久性、環境・漁業などへの影響を調査している」

 ◆自治体との連携重要に

 --浮体式の課題は何か

 「技術やコスト面など課題もある。だが、東日本大震災による原発事故で被災した福島県の復興事業の目玉であり、地元と協力して実証試験を着実に進めたい。英国は海岸線が王室管理のため漁業者との権利調整を進めやすい。だが、日本では権利関係が複雑なため、国や自治体との協力関係が重要になる」

 --小水力発電が見直されている

 「小水力は農業用水や河川の高低差を利用し、水車で小型発電機を回し発電する仕組みだ。太陽光など他の再生エネに比べて天候などに左右されず稼働率も高い安定電源だ。こまめにメンテナンスしていけば、100年という長期間使えるのも魅力だ。自治体からも小水力を手掛けたいというニーズが高まっている」

 --小水力の今後の計画は

 「小水力も水利権や用地買収交渉、さらには許認可などで、事業化までに5年程度はかかってしまう。だから自治体との連携が鍵になる。山梨県北杜市では官民連携で同市の用水路に小水力発電所を3カ所建設した。現在、長野県や福島県、広島県など15カ所で小水力を運営している。そのほかにも全国で調査を進めており、20年に30カ所に増やす計画は達成できると思っている」(上原すみ子)

【プロフィル】幾島渉
 いくしま・わたる 早大商学部卒。1990年丸紅入社。海外電力プロジェクト第三部副部長、国内電力プロジェクト部副部長などを経て、2016年4月から現職。49歳。千葉県出身。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1611/16/news026_2.htmlhttp://www.sankeibiz.jp/business/news/161121/bsd1611210500005-n2.htm

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