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2017/04/07

小水力発電、地域防災に活用 「長泉方式」全国から視察【静岡新聞】

2017年4月7日掲載
 長泉町桜堤の農業用水路に設置された小水力発電設備「ニコニコ水力1号」が全国から注目を集めている。災害時に非常用電源として利用でき、東日本大震災後、再生可能エネルギーへの関心が高まる中、地域の防災力を高める手段として「長泉方式」をモデルに導入を検討する地域も出てきた。
 同町の小水力発電設備が注目されているのは災害時に電力会社の送電が止まった際、携帯式バッテリーに電気を蓄え、被災者に供給できるようにしたため。全国小水力利用推進協議会(東京都)によると、「小水力発電を非常用電源として活用する事例は珍しい」という。
 地域の防災力を高める仕組みにするため、設置者の自然エネルギー利用推進協議会(佐藤猛博代表)と町、水路を管理する大堰(おおせぎ)土地改良区(中村晶義理事長)がそれぞれ協定を締結した。
 通常は1キロワット当たり34円で売電する一方、協定によって売電収益の一部を地域に還元し、小水力発電で課題となる水利権の調整も解決できた。同協議会の岡本欣訓専務理事(54)は「事業者が利益を得るだけでなく、地域にも有益と思ってもらえれば理解を得やすくなる」と強調する。
 稼働以降、長泉町の現地を視察に訪れたのは県内外の地方自治体や環境団体など100団体以上に上る。2月下旬に視察した河津町の担当者は「非常時に地域が活用できる制度が良い」と導入に前向き。小水力発電の導入に積極的な富士宮市も「事業者と地域貢献につながる仕組みをつくりたい」と興味を示す。県外では京都市などでも長泉方式での設置を検討している。
 長泉町桜堤の水路では3月、新たに2機が稼働し、同町下土狩の町福祉会館付近の農業用水路でも7月に4機目が運用開始の予定。町の担当者は「長泉方式が全国に広がってほしい」と話している。

 <メモ>ニコニコ水力1号 自然エネルギー利用推進協議会が設置し、2015年3月に稼働した。水車式の小水力発電装置で、電力出力は8キロワット。1年間で一般家庭10軒が使う電気量を発電できる。新エネルギー法では電力出力が1000キロワット以下の水力発電を小水力と定めている。太陽光や風力など他の再生可能エネルギーと比べ、天候による発電量の変動が少なく、安定した電力供給が可能とされる。

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