2013/10/08
福知山市の再生可能エネルギー活用調査に協力する石原の府立工業高校(田中邦明校長)が、大江町仏性寺にある農業用水路を利用した小水力発電の実証実験の準備を進めている。4、5両日には、生徒らが現場で力を合わせて水車を設置した。
市は1月に市再生可能エネルギー活用調査会(白石克孝会長・龍谷大学政策学部長)を立ち上げ、来年2月の活用プラン策定を目指して、専門的な研究を行っている。
その一つに小水力発電の研究があり、発電機器のノウハウを持っている府立工に、水車と発電機の製作を依頼。「地域貢献になるのなら」と学校側も快く引き受け、志願した機械プランニング科の3年生6人が取り組むことになった。
設置場所は、仏性寺にある古い水車小屋に決まったが、老朽化が進んでいたため、地域の人らと協力して小屋の修繕から開始。これと同時に、水車の設計にも取り掛かった。
設計図が完成したあとは、課題研究の時間に水車と発電機を製作。先に水車が完成したため、現場で設置作業を行うことにした。
■目標は出力500ワット 実用化も■
4日は、中心軸を置いて本体となる水車の組み立てをし、5日に部品のすき間をシリコンで埋めるコーキング作業などを実施。このあと水車に羽根を取り付けていった。
生徒たちは、雨に打たれながらも集中して作業を行い、丸2日がかりで直径約2メートル、重さ約170キロのステンレス製水車の設置を完了させた。
機械プランニング科の3年担任、中野保明教諭(30)は「高校生のレベルをはるかに超える取り組みにも関わらず、みんな前向き。自分で考えて動く力がついてきており、生徒たちの成長を感じています」と喜んでいた。
今後は、エネルギー効率を高めるための作業や発電機の設置を行い、完成後に数カ月のデータを記録。目標とする発電出力500ワットが達成できれば、実用化に向けて検討していくことにしている。
メンバーの大槻憲二君は「部品のサイズが一つでも狂えばバランスが崩れるので、レーザー加工などでの調整が大変でした。目標を達成するため、これからも頑張っていきたい」と話していた。
写真=雨のなか協力して水車を設置した