2015/12/08
2015年12月8日掲載 鹿沼自然エネルギー推進会(鈴木貢(すずきみつぐ)会長)は、直径30センチの水車を水流で回し、自転車用のハブダイナモで発電する仕組みの小型水力発電機を開発した。6日、下沢の農業用水路での発表会を兼ねた実証実験を行い、発光ダイオード(LED)照明の点灯などを披露した。小型化し、持ち運びできることを“売り”としており、キャンプやハイキングにも利用可能としている。
今回の発電システムは試行錯誤を重ねた「5号機」で、ほぼ完成形。水車の羽は直径30センチでアルミの羽根は8枚、10枚、12枚の3種類。水車には自転車の車軸に取り付けるタイプの発電機、ハブダイナモ(6ボルト)を2個連結し発電。これをバッテリーに蓄電、インバーターに接続して100ボルトでも利用可能となる。
同推進会は、原発事故などで機運が高まった自然エネルギー発電を市民の手で進めようと2012年に発足。現在、会員は45人。これまで小水力セミナーや実証実験を行ってきた。
この日は県内から約30人が訪れ、水路への設置方法、発電システムを見学、回転数などを確認した。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20151208/2166497
2015/06/30
6月30日 朝刊
小水力発電の普及拡大や産業化を進める取り組みを行う「県小水力利用推進協議会」の設立総会が29日、宇都宮市のとちぎ福祉プラザで開かれた。会員は県内 の発電事業者ら15の個人・法人で、会長には足利工業大の牛山泉(うしやまいずみ)学長が就任した。今後は小水力発電事業への参入を目指す事業者などから の相談をワンストップで受け付けるほか、小水力により生み出された電力の販路拡大にも取り組む。
小水力発電は水の流量の測定や河川の水の利用権取得など、事業開始までに膨大な時間と手間がかかることが課題となっている。同協議会は事業を始め ようとする場所を実際に視察し、小水力発電に適した地域かどうかを判断する簡易診断を実施するほか、各種許認可に関する行政との折衝を担うなど、新たに小 水力発電を始めようとする事業者をサポートする。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/politics/news/20150630/2006660
2015/06/16
6月16日 朝刊
再生可能エネルギーの地産地消を目指す「スマートビレッジモデル研究事業」で県は本年度、小水力で発電した電力を農業で常時活用する実証試験を行う。15日、試験に協力する刈部養鶏場(宇都宮市)など3事業者への依頼書の伝達式を県庁で行った。
県などの産学官で組織する同事業の研究会は宇都宮市竹下町の農業用水に小水力発電所を設置し、発電した電力を電気自動車(EV)で農業施設に運んで災害時などに使う実証試験を進めてきた。
最終年度となる本年度は、発電所近くの3事業者に軽トラックなどEV2台と電動草刈り機3台を貸与し、11月まで発電所の電力を供給して使ってもらう。同養鶏場では製造販売する手作りプリンの配送でEVを使い、社会福祉法人「飛山の里福祉会」は施設利用者の農作業などでEVを利用する。環境保全に取り組む地域住民団体「こもりやグリーン倶楽部」は、EVから充電した草刈り機で作業を行う。
http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/welfare/environment/news/20150616/1991897
2014/11/05
【日光】再生可能エネルギーの普及や促進を目的に市と今市工業高(渡辺勉校長)は4日、同校で官学連携協定を締結した。エネルギー環境教育に重点を 置く同校の技術力などを活用し、小代地区の国内希少野生動植物種の水草「シモツケコウホネ」の保全対策で使用する取水ポンプ用小水力発電機の開発と実用化 を来年度にも目指す。県教委学校教育課によると、県内の自治体と公立高校が正式に連携協定を結ぶのは珍しいという。
市はことし4月、バイオマス発電や太陽光発電、温泉熱利用の普及などに積極的に取り組むため環境課に環境政策室を新設。環境問題への意識が高く、 「ソーラーLED(発光ダイオード)街路灯」を製作し市内に2カ所設置するなど地域貢献も進める同校の技術力や知的財産を施策に反映させることにした。
2014/06/10
栃木県は小水力発電の導入に積極的に取り組んでいる県の1つだ。県営のダムでは事業者に委託して発電設備を運営する「ESCO事業」を拡大する一方、小さな農業用水路には県が支援して発電設備を導入する。豊富な水資源を活用する新しい手法で小水力発電を展開していく。
[石田雅也,スマートジャパン]
栃木県では北部を中心に小水力発電の可能性が大きく広がっている(図1)。観光地で有名な日光市が代表的な例で、小水力発電で年間に1000万kWhを超える電力を供給することができる。日光市の総世帯数(3万3000世帯)の10分の1以上をカバーできる発電量になる。
豊富にある水力エネルギーを電力に転換するために、自治体が新しい手法を活用して小水力発電の導入を推進中だ。その1つが事業者と連携した 「ESCO事業」である。ESCO(Energy Service Company)事業はエネルギーコストの削減を事業者が保証するサービスで、栃木県では全国で初めてダムに適用した。
県内には一級河川だけでも35カ所にダムがあって、そのうち15カ所が県営だ。それぞれのダムでは大量の電力を使う必要があるために多額の電気料 金を支払っている。例えばESCO事業を最初に導入した「寺山ダム」では年間に約300万円の電気料金がかかる。このコストをESCO事業で削減する(図 2)。
一方で事業者は水力発電による売電収入を得て、ダムの電気料金などを負担しても十分に利益を出すことができる。これが栃木県の「ダムESCO事業」であ る。最初の適用対象になった寺山ダムではESCO事業者の日本工営を委託先に選んで、2013年9月に事業を開始した。
ダムから下流の利水のために放流している水力を生かして190kWの電力を供給する。年間の発電量は60万kWhを見込んでいて、事業者の売電収入は約 2000万円になる。合わせてダムの管理施設に高効率の空調機やLED照明を導入して電力の使用量を削減した(図3)。
通常のESCO事業では委託料が発生するが、寺山ダムの場合は事業者の利益が確実に見込めるために委託料は発生しない。栃木県は年間に約300万 円かかっていた電気料金を丸ごと節約可能になった。ESCO事業の契約期間は18年間で、合計すると5000万円以上のコストを削減できることになる。
寺山ダムのESCO事業が効果を上げていることから、続いて北部の那須塩原市にある「塩原ダム」でも同様の事業を委託する。公募の結果、寺山ダムと同じ日本工営を事業者に選定して、2014年度中に小水力発電によるESCO事業を開始する予定だ。
ダムのほかに河川を対象にした小水力発電のプロジェクトも始まっている。県が選んだ15カ所の候補地で事業者を募集したところ、12カ所で発電事業者が 決定した。小水力発電のポテンシャルが大きい日光市で9カ所、隣接する鹿沼市でも3カ所で発電事業を実施する(図4)。
12カ所の発電設備を合計すると、年間の発電量は2400万kWhになる見込みだ。一般家庭で約6700世帯分の電力使用量に相当する。これだけで日光市と鹿沼市を合わせた総世帯数(約6万9000世帯)の1割近くに電力を供給することが可能になる。
さらに栃木県の小水力発電は農業用水路にまで広がる。国の指定を受けて推進する「栃木発再生可能エネルギービジネスモデル創造特区」で、3つの市 と町にある100カ所以上の候補地を対象に小水力発電設備を展開する構想だ(図5)。落差が低い用水路に適した発電設備を数多く導入して発電量を増やす試 みである。
このプロジェクトでユニークな点は、同じ用水路の複数の地点に発電設備を設置して導入箇所を拡大することにある。そのために落差が2メートル以下 でも発電できる設備を調達する。2014年度から10億円を投じて、合計1000kWの発電設備を導入する計画だ。すべての設備が運転を開始すると、年間 の発電量は700万kWhになる。
最近では小水力発電に続いて、太陽光発電の導入も進んできた(図6)。今後は山間部を中心に地熱発電やバイオマス発電の期待も大きく、再生可能エネルギーの地産地消が県内全域に広がっていく。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1406/10/news009.html