2016/02/08
2016年2月8日更新
新潟県の柏崎市で浄水場の構内に建設した小水力発電所が運転を開始した。山間部のダムから低地にある浄水場まで、110メートルの落差で流れてくる水力を利用して発電する。柏崎市と発電事業者が共同事業方式をとり、水力を提供する柏崎市は年間に480万円の収入を得る。[石田雅也,スマートジャパン]
柏崎市の中心部から2キロメートルほどのところに「赤坂山浄水場」がある。市内の水道水の8割以上を供給する浄水場の構内に、小水力による「赤坂山発電所」が2月1日に運転を開始した(図1)。
発電能力は198kW(キロワット)で、年間に86万kWh(キロワット時)の電力を供給できる想定だ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して240世帯分の電力に相当する。柏崎市の総世帯数(3万4000世帯)の1%に満たない電力量ながら、これまで使われていなかった水力で発電できるうえに、市の収入を増やせるメリットがある。
この小水力発電は柏崎市が発電事業者の東京発電と共同事業方式で実施している。柏崎市は水力のエネルギーと発電所の設置場所を提供して、東京発電が建設・運転・保守を担当する役割分担だ。柏崎市が事業者を公募した結果、関東を中心に数多くの水力発電所を運転している東京発電を選んだ。
発電した電力は固定価格買取制度で売電する。発電能力が200kW未満の小水力発電の買取価格は1kWhあたり34円(税抜き)で、売電収入は年間に約2900万円になる。このうち柏崎市には1kWhあたり5.1円の納付金と行政財産の使用料が入り、年間に約480円の収入を得られる見込みだ。さらに発電量が想定値を上回った場合には、1kWhあたり6.1円の納付金が加わる。
発電に利用する水は遠く離れた山間部にあるダムから流れてくる。柏崎市の水道は3カ所のダムから引き込んだ水を2カ所の浄水場で処理して市内に供給するシステムになっている(図2)。このうち最も上流にある「赤岩ダム」から赤坂山浄水場まで、110メートルの高低差で水が流れてくる。
図2 柏崎市の水道システム。出典:柏崎市ガス水道局水道設備に適した円筒型の水車発電機
実際に小水力発電に利用できる有効な落差は80メートルになる。水量は最大で毎秒0.4立方メートルある。この水力を使って「円筒ケーシング・インライン型フランシス水車」を回転させる発電方式を採用した(図3)。
フランシス水車は水力発電で最も多く使われるタイプだが、通常は渦巻型の構造で水を取り込むため、水平に設置した送水管に適用することはむずかしい。これに対して水平方向に円筒型で水を取り込む構造のフランシス水車であれば、既設の送水管に直結できて水道設備に導入しやすい。
赤坂浄水場には長方形の大きな配水池が2つある。このうち赤沼ダムから水を引き込む「6拡配水池」に隣接する場所に発電所を建設した(図4)。赤沼ダムから流れてくる水は「6拡導水管」を通って配水池に入る直前に、水流の落差が生み出すエネルギーを伴って水車発電機の中を通過する仕組みだ。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1602/08/news039_2.html
2016/02/04
2016年2月4日掲載
柏崎市新赤坂1の赤坂山浄水場で1日、水源となっている赤岩ダムと同浄水場との高低差を利用して発電する小水力発電「赤坂山発電所」の通電式が行われ、営業運転を開始した。
ダムと浄水場は約10キロ離れており、高低差は約110メートル。落差と水の流量で発生するエネルギーを使って水車を回して発電する。
東京電力の子会社「東京発電」(東京都)と市の共同事業で、東京発電が事業主体となる。市は発電所の土地や発電に使う水などを提供する。
柏崎市は施策の柱の一つに「再生可能エネルギー活用の推進」を掲げ、低炭素社会の実現を目指している。通電式で会田洋市長は「エネルギーの地産地消を含め、再生可能エネルギーの利活用を進めていける。極めて意義がある」と話した。
発電出力は198キロワット。年間発電量は86万キロワット時で、一般家庭約300世帯分を予定している。発電した電力は、固定価格買い取り制度を利用して東京発電が電力会社に売電する。市は発電納付金など年間約485万円の収入を見込む。
市ガス水道局によると、上水道施設の小水力発電で高低差が100メートルを超えるのは全国でも珍しく、100キロワット超の出力は県内初。事業は20年間を予定する。
小水力発電を始めた赤坂山発電所を視察する会田洋市長(中央)ら=1日、柏崎市新赤坂1
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20160204233036.html
2015/12/02
県内自治体運営では2例目
津南町は1日、農業用水を活用する小水力発電所「雑水山第2発電所」(同町中深見)の運転を始めた。県によると、農業用水を使う発電所を県内自治体が運営するのは、胎内市に続き2例目。
町内に農業用水を送る雑水山導水路の全水量に当たる毎秒約0・4トンを使い、最大出力は39キロワット。年間の発電量は一般家庭70世帯分に相当し、す べて東北電力に売電する。施設維持費などを差し引いた売電益は年間300万円程度を見込み、農業用ポンプ施設などの電気料に充てる。
総事業費約1億4千万円のうち、55%を国の農山漁村活性化プロジェクト支援交付金でまかなった。
1日は現地で竣工(しゅんこう)式があり、運転開始のボタンを押した上村憲司町長は「雪の恵みを水力発電として活用し、その利益を農業に還元できると考えている。今後も、雪を資源ととらえる施策を進めたい」とあいさつした。
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20151202220900.html
2013/12/21
産業機械製造の北陸精機(魚津市)は、農業用水などを利用した高出力型水力発電装置 の開発に乗り出した。水の流れを工夫して効率的に水車を回す「クロスフロー型」で、今 年度中の完成を目指す。 落差5メートル以上の導管を経た水が、水車の外周と内部を通ることで、強い回転力を 与えて発電させる。出力は50~300キロワットを想定している。同社によると、同型 の発電装置を製造しているのは、日本で数社しかない。
同社は2010年に出力50キロワット以下の小型水力発電装置を発売している。らせ ん状の水車を使った設備で、これまで全国で15機ほどを納入してきた。現在ミャンマー の農村で設置できないか調査しており、新型のクロスフロー型とともに海外への売り込み 強化を図る。
2013/12/17
県議会12月定例会は16日、4常任委員会を続開した。産業経済委員会では、農業用水利施設を活用した小水力発電について、委員から費用対効果などに関する情報を農業関係者へ提供するよう求める声が上がった。農村環境課長は、本年度中に策定する県の基本構想に基づいて対応する考えを示した。