2014/02/11
県が中津川市加子母で整備していた農業用水を活用した小水力発電所「加子母清流発電所」が完成し、10日に同市に譲渡されて運転を開始した。県が国の補助を受けて農業用水を活用した小水力発電施設を整備したのは、東海3県で初。
加子母小郷(おご)地区を通る既存の農業用水の有効落差約62メートルを生かして発電。最大出力は220?。年間発電量は約168万?時で、一般家庭約400世帯分の年間使用電力量に相当する。これにより、年間で約705トンのCO2排出が削減できる。
発電した電気は売電し、年間最大5300万円の収入が見込まれており、市内の農道や用水路など土地改良施設の維持管理費に充てられ、農村振興につなげる。
総事業費3億3800万円のうち、5割を国の補助金、残りを県と市で負担しており、県から譲渡されて市が運営していく。
同日行われた完成式には、県や市の関係者ら約50人が出席。上手繁雄副知事や青山節児市長らがスイッチを入れて運転を開始した。青山市長は「リニアを迎えるに当たって、中津川市のさまざまな産業が魅力となる。完成した施設も、中山間地のこれからの活力につなげることができる」と完成を祝った。
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20140211/201402111145_21944.shtml
2014/02/10
農業用水を活用した小水力発電や売電が広がっている。足元の電力を集落の施設で使ったり、売電収入を電気代に充てたりする「電力の地産地消」。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度導入で初期投資に見合う収入が見込めるようになり、水路を管理する自治体や土地改良区にとっては、思わぬ“金の卵”となりそうだ。
岐阜県中津川市加子母(かしも)の小郷(おご)地区。特産のトマトやシクラメンの栽培に欠かせない農業用水が山肌に沿って勢いよく流れる。白川から水を引き、市が管理するこの小郷用水が今春、毎年四千九百万円を生む発電所に生まれ変わる。
徐々に下る用水路と並行して水圧管路を埋設。用水路から貯水槽にためた水を六十二メートル下まで落とし、水車を回す。最大出力二百二十キロワット。年間で一般家庭四百世帯分の千六百八十メガワット時を発電できる。電気は市が一キロワット二十九円(税抜き)で全量を中部電力に売る。
県が三億四千万円で整備。半分を国が補助、残りを県と市が折半した。県が市に無償譲渡し、十日に発電を開始。収入は農業用施設などの電気代や維持管理費に充てる。発電所は固定価格買い取り制度導入前の二〇一〇年度に計画。当時は一キロワット十五円程度を見込んでいた。
「順調なら、七年ほどで事業費の元は取れる」と担当者。発電機の耐用年は固定価格の適用と同じ二十年。電気代に充てた売電収入で浮く税金を、農業振興に役立てる。
農業用水路の総延長が全国三位で「小水力発電で日本一を目指す」(大村秀章知事)という愛知県が今春、豊田市で着工予定の小水力発電所(最大出力九百キロワット)も完成後、毎年約一億円の収入を見込む。
県によると、二十年前にも検討されたが、当時は採算の見通しが立たずに断念。固定価格買い取り制度と国の補助で、約九億円の事業化にこぎつけた。
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政府は「農業の体質強化」として一二年三月、農業用水で小水力発電を計画する地域を一六年度までに千地域にする目標を設定。整備や調査などの補助制度があり、農林水産省によると現在、愛知や神奈川など二十三道府県が発電できる用水路の調査を行い、整備計画を作成しつつある。
岐阜大の大西健夫准教授(水文学)は「日本は農業用水が張り巡らされ、発電ポテンシャルは高い」と指摘。「小水力発電は地形や水量などに合わせた設備のオーダーメードが必要で、製造コストが高く、多くが買い取り制度と公共事業に支えられている。制度終了後も持続可能な仕組みづくりが必要」と話す。
◆河川法の改正で手続きが簡素化
資源エネルギー庁によると、固定価格買い取り制度導入後、昨年十月までに認定された再生可能エネルギーの設備容量は太陽光が約二百四万キロワットなのに対し、中小水力は約十三万キロワット。理由の一つが水利権をめぐる複雑な規制と手続きだが、昨年十二月施行の改正河川法で、農業用水の水利権を得ている水路での導入は手続きが簡素化された。
従来は新たな許可が必要で、申請から五カ月程度かかった。改正後は一定の要件を満たせば必要な項目を登録するだけでよく、審査も一カ月程度になった。
国土交通省は個人や団体が小水力発電を行う場合の河川法手続きの支援も各地方整備局で行っている。
(山本真嗣)
2013/12/09
2013/09/13
県が避難所や防災拠点に再生可能エネルギーの導入を進める方針であることが10日、分かった。「再生可能エネルギー等導入推進基金」を近く創設。環境省からの交付金13億円を積み立て、補助金を支出する。避難所、防災拠点への再生可能エネルギー導入を対象にした補助事業は県では初めて。19日開会予定の県議会定例会に関連議案を提出する。
災害で電力が途絶えた場合、避難所や防災拠点が機能を維持するには自らエネルギーを生み出す必要がある。再生可能エネルギー設備があれば、電力などエネルギーを確保できる可能性が高まる。環境への負荷も低下する。
小学校や公民館、コンビニエンスストアなど災害時に地域の防災拠点となる施設への再生可能エネルギー導入事例に、県は基金から補助金を支出する。補助率は市町村へは全額、民間施設へは3分の1。補助金の上限はないが、災害時に必要最低限な規模に限定する。
環境省からの交付金は本年度は全国で21自治体に245億円。県環境生活政策課は「防災拠点への導入を促し、防災力を高める。小水力など岐阜県のポテンシャルを生かした事例も期待できる」としている。
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20130911/201309111056_20904.shtml
2013/09/13
美濃加茂市伊深町に市内初の小水力発電施設が完成し、十日に現地で起電式があった。最大出力は五〇ワット。農業用水路を利用して発電、蓄電し、災害時の非常用電源などを確保する。
装置は三菱電機プラントエンジニアリング社製で、水車の回転をベルトで発電機に伝える仕組み。配電盤には蓄電池とコンセントを備えている。
非常時には二〇ワットの発光ダイオード(LED)照明五台を三十六時間点灯させ、同時に携帯電話五十台を充電できる。普段は夜間、近くのLED防犯灯を点灯する。
式には県や市、地元関係者、近くの伊深小学校の六年生十一人が参加。藤井浩人市長と児童を代表して六年生の久保田ゆうりさんが配電盤のスイッチを入れた。
県可茂農林事務所の石原雅弘所長は「地球温暖化防止や原発事故で再生可能エネルギーが注目される中、身近な電源として農業用水路を活用したい」とあいさつ。藤井市長は「施設整備をきっかけに、今後の市や日本のエネルギー利用の在り方を市民とともに考えていきたい」と述べた。
施設は、市の要望を受けた県が「小水力発電防災機能強化事業」の一環として約五百万円で整備。同事業では県内五カ所目、中濃地域では東白川村に続く二カ所目の設置となる。 (酒井健)
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20130911/CK2013091102000019.html