2015/12/18
2015年12月18日10:25
岐阜県郡上市明宝寒水で開講している「自然エネルギー学校(実践編)」で小水力発電を学んでいる受講生が、同地区の漆洞谷で発電装置を稼働させて、地元の寒水白山神社をイルミネーションで飾った。
学校はNPO法人地域再生機構(恵那市)と市が主催。小水力発電の基礎知識を学び、各地域の特徴を生かして活用してもらおうと開く。受講生は15人。9月から始まり、来年1月まで全6回行う。
これまで受講生は、発電の技術や設計、関係法令について学び、小水力発電導入の適地を探してきた。谷川の水量や落差を考慮し、小水力発電を対外的にアピールできる場として同神社に近い場所が選ばれた。地元児童が参加し、点灯式を行った。イルミネーションは、年末年始の神社参拝者のために参道を照らし、来月7日ごろまで点灯する。
自治会長の和田勝美さん(64)は「多くの人に関わってもらい(水力発電のシンボルが)できてうれしい」と話した。今後は、住民らが電気の活用策を考えていく。
小水力発電を利用したイルミネーションで飾られた神社=岐阜県郡上市明宝寒水、寒水白山神社
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20151218/201512181025_26340.shtml
2015/11/20
本巣郡北方町を流れる糸貫川の左岸に3月に完成した「清流平和公園」(同町髙屋)。町民や周辺市町の住民の憩いの場になっている。
一帯は髙屋西部土地区画整理事業が行われている。組合から用地を得て、総事業費約2億5000万円をかけ、町が公園、県が糸貫川の護岸を整備した。
特徴は、公園の面積約1万1500平方メートルのうち約8800平方メートルを占める芝生広場。ボール遊びができ、「街中にこれだけの芝生広場がある公園は珍しいという声が寄せられている」と町の担当者。子どもが遊びやすく、川に駆け寄れるように芝生から糸貫川にかけて緩やかな傾斜をつけている。
非核平和都市宣言した町は、鋳鉄製の鐘(高さ1.32メートル、最大直径68センチ)を設置。周りには原爆で被爆したアオギリ(広島市)とクスノキ(長崎市)の種から育った2世の苗木を5本ずつ譲り受け、植栽し、平和と非核への決意を新たにしている。
小水力発電機が地下水を使って蓄えた電力を、公園内の夜間照明に使用。子どもらがエネルギーの循環を学べる環境学習にも活用されている。地下水は長さ約47メートルの水路を流れ、糸貫川に注ぎ込んでいる。
糸貫川はコイ、オイカワ、ヨシノボリやナマズなどが生息。町内の糸貫川の一部では水質が改善され、数年前からホタルが飛ぶようになった。町の担当者は「公園沿いがホタルの生息地になってほしい」と期待を寄せている。
メモ
▽交通 車で国道21号から本巣縦貫道路を北上し、約10分▽駐車場 20台▽問い合わせ 北方町都市環境課、電話058(323)1114
【岐阜新聞 2015年11月20日掲載】
芝生広場から糸貫川にかけた緩やかな傾斜が特徴の清流平和公園
小水力発電に使われた地下水が流れる水路で遊ぶ子どもら=いずれも本巣郡北方町髙屋
2015/07/09
中部電力は7日、2014年5月から建設工事を進めてきた阿多岐水力発電所(岐阜県郡上市、190キロワット)の営業運転を開始し、同日、完工式を現地で開いた。同発電所は岐阜県が管理する阿多岐ダム直下に、河川維持流量発電所として建設された。完工式には勝野哲社長のほか来賓として古田肇・岐阜県知事も出席。関係者などあわせて約50人が参加し、無事故無災害での工事完了を祝った。
式典であいさつに立った勝野社長は、同発電所の検討段階から完工までの経緯を説明した上で、「短期間での工事だったが、無事完工を迎えられたのもダム建設当時の先人たちの工夫による賜物。貴重な純国産エネルギーである再生可能エネルギーをうまく活用し、今後も安定的な発電電力量が期待できる河川維持流量発電所の開発を進めていきたい」と述べた。
来賓として祝辞を述べた古田知事は「岐阜県では清流の恵みを生かした取り組みを積極的に進めている。水力発電所を通じ、半永久的に地域の発展に寄与できることを期待している」と話した。
同発電所はダム建設時に、将来の発電用としてあらかじめ分岐管路を設置。これが水圧管路新設では大幅な工期短縮とコストダウンにつながった。中部電力が岐阜県営のダムで水力発電所を開発したのは、今回が初めて。年間発電電力量は、一般家庭約360世帯分に相当する130万キロワット時を想定。二酸化炭素(CO2)の削減量は、年間約700トンを見込んでいる。
同発電所の運開により、中部電力が保有する水力発電所は196カ所、最大出力535万6千キロワットとなった。16年6月には、同じく岐阜県営ダムの丹生川水力発電所(高山市、350キロワット)が運開を予定している。
2015/07/08
岐阜県は7月7日、県が管理する「阿多岐(あたぎ)ダム」の直下に新設した河川維持流量を利用する「阿多岐水力発電所」(岐阜県郡上市白鳥町)の運転を開始した。
同発電所は、本県初の県営ダムの放流水を活用した小水力発電所。発電方式はダム式(維持流量)。最大使用水量は毎秒0.7立法メートル。有効落差は37.7m。最大出力は190kW。年間可能発電電力量は130万kWh(一般家庭の約360世帯分に相当)。
2015/07/08
岐阜県では3000メートルを超える山々から川が広がり、治水と発電を目的にダムが各地域に設けられている。ダムの下流の環境を守るために放流する水のエ ネルギーを利用した小水力発電の第1弾が始まった。これまで発電に利用していなかった水流で360世帯分の電力を供給することができる。
[石田雅也,スマートジャパン]
新たに小水力発電を開始したダムは、岐阜県の中部を流れる阿多岐川(あたぎがわ)に設けた「阿多岐ダム」である(図1)。岐阜県が治水を目的に1988年から運用を続けているダムで、堤の高さは71メートル、横幅は200メートルに及ぶ。
水を貯めて川の流量を調整しながら洪水を防ぐ以外にも、下流に生息する動植物などを保護するために一定量の水を常に放流している。その「維持流量」を利用した小水力発電所が7月7日に運転を開始した(図2)。
毎秒0.7立方メートルの水流で190kW(キロワット)の電力を作ることができる。水量は少ないものの、落差が38メートルもあるために発電能 力は大きい。年間の発電量は130万kWh(キロワット時)になる見込みで、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して360世帯分に相当する。
発電事業者は中部電力である。阿多岐ダムを管理する岐阜県の提案を受けて、小水力発電所を建設・運営することになった。ダムの堤の脇を通る放流管から水圧鉄管を敷設して、発電所に水流を取り込んでから川へ放流する(図3)。
中部電力は固定価格買取制度を適用して発電コストを吸収する一方で、岐阜県に対して流水の占用料を支払うスキームだ。従来は流すだけだった水流が電力になり、県の収入源にもなる。
この小水力発電は2013年12月に施行した河川法の改正を機に計画が進んだ。河川の環境保全のためにダムから放流している維持流量や農業用水を 利用した発電事業が法改正によって許可制から登録制へ変わった。許可制では5カ月ほどかかっていた手続きが登録制に移行して1カ月程度に短縮されたこと で、小水力発電を実施しやすくなった。阿多岐水力発電所は岐阜県で初めて登録制を適用した発電事業である。
岐阜県は県内の5カ所でダムを運営していて、さらに2025年度には新しいダムの運用も開始する(図4)。合計6カ所になる県営ダムのうち、維持 流量の多い阿多岐ダムと「丹生川(にゅうかわ)ダム」の2カ所で中部電力が小水力発電を実施することが決まっている。丹生川ダムの小水力発電所は2016 年度に運転を開始する予定だ。中部電力は新設の「内ヶ谷(うちがたに)ダム」でも小水力発電を検討する。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1507/08/news028.html