2015/12/02
2015年12月 2日掲載
山梨県は、大城川発電所および朝穂堰浅尾発電所で発電した電力の売却について、県内の「小売電気事業者」に向けて、一般競争入札を実施する。
大城川発電所は、大城川砂防ダムからの流水というそれまで未利用であったエネルギーを活用した、横軸チューブラ水車を用いた小水力発電設備である。最大出力が49kW、年間発電量が37.5万kWh。一般家庭約100軒分相当の消費電力量を発電する。送電には低圧配電線を利用している。
朝穂堰浅尾発電所は、朝穂堰の用水路の高低落差を利用した竪軸スクリュー型小水力発電設備。最大出力は12kW、年間発電力量は4.5kWh。
対象者は2016年4月1日から施行される改正電気事業法で定められている「小売電気事業者」の登録を行った事業者。もしくは登録申請中であり登録されることが見込まれるもの。また、受給期間中、山梨県内へ受給電力量以上の電力を供給する予定であること。
予定売却電力量は契約期間内の全量であり、契約期間は2016年4月1日から2018年3月31日まで。入札方法は、予定売却電力量に対する1kWh当たりの単価。予定価格は1kWh当たりの単価34円(税抜き)。
入札参加希望者は2015年12月15日(火)午後5時までに入札参加申請書を山梨県企業局電気課に提出し、入札参加資格を有することを証明する必要がある。
2016年4月1日から、これまで各地域で決まった1つの電力会社しか行えなかった、家庭や小規模事業所向けの電気の小売販売に、新規参入が可能になる。これにより、すべての家庭や事業所で、自由に電力会社や料金メニューを選択できるようになる。制度開始後は、登録された小売電気事業者(経済産業大臣の登録を受けた事業者)が、一般家庭を含めたすべての消費者に電気を販売できるようになる。
2015/11/20
「小水力発電フェア」を開催します!
経済産業省や業界団体の方々による講座や水車発電機メーカーなどの水車の模型やパネルの展示により、小水力発電の最新情報を発信します。
日 時 : 12月4日(金) 10時~17時
場 所 : やまなしプラザ(山梨県防災新館1階)
内 容 : 以下のとおり
参加費 : 無料
※講演、講座につきましては席数に限りがありますので、事前申込みをお願いします。
→申込先 エネルギー政策課 FAX 055-223-1505
e-mail energy-seisaku@pref.yamanashi.lg.jp
○基調講演10時~11時 | 「中小水力発電をめぐる現状と課題について」経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部
新エネルギー対策課 課長補佐 大坪 祐紀 |
○パネルディスカッション
11時~12時 |
「小水力発電の現状と今後の展望について」コーディネーター:水力アカデミー事務局長 稲垣 守人
パネリスト:資源エネルギー庁、水車メーカー、発電事業者、山梨県 |
○事業者取組紹介12時~14時 | 出展事業者による取組紹介※発表事業者、発表順については当日会場にて掲示します。 |
○講座114時15分~15時15分 | 「水車発電機を製造している企業の紹介」水力アカデミー 事務局長 稲垣 守人 |
○講座215時30分~16時30分 | 「水力発電に関わる法規について」水力アカデミー 会長 古矢 千吉 |
開催期間中随時 ○出展事業者による小水力発電の模型・パネル展示
※県庁構内は敷地整備事業工事のため大変混雑しております。
できるだけ公共交通機関でのご来場をお願いします。
また県庁に車で来庁される場合は、可能な限り、乗合でお越しください。
また、駐車するまでに時間がかかる場合もございますので、時間に余裕を持って
お越しいただきますようお願いいたします。
2015/10/30
東京電力は山梨県と共同で電力供給の新ブランド「やまなしパワー」を2016年4月に開始する。山梨県の企業局が運営する20カ所以上の水力発電 所の電力を買い取って、県内の中小企業を対象に割引料金で販売する地域限定のサービスだ。割引率は電力量料金の3~6%を予定している。
[石田雅也,スマートジャパン]
電力会社と自治体による地域特化型の電力供給サービスが誕生した。東京電力が山梨県と基本協定を結んで、県内の中小企業に電力を供給する「やまな しパワー」の販売に乗り出す。山梨県の企業局が運営する水力発電所の電力を通常の料金よりも安く販売して、地元の企業を支援しながら他県からの進出も促す 狙いだ(図1)。
山梨県の企業局は大規模から小規模まで23カ所の水力発電所を運営している(図2)。発電能力を合計すると12万kW(キロワット)に達して、全 国の自治体でも有数の規模を誇る。東京電力は年間に4億7000万kWh(キロワット時)の電力を買い取って、やまなしパワーのブランドで販売する。販売 量は一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して13万世帯分になる。
通常の電気料金は月額固定の「基本料金」と使用量に応じた「電力量料金」の2本立てで課金するが、このうち電力量料金を3~6%割り引く予定だ。 販売する対象は山梨県内の中小企業に限定して、県の企業局が募集して選定する(図3)。ただし大企業でも新規に山梨県に進出する場合には対象になる。
販売する電力は契約電力が50kW以上の「高圧」で、県内の中小企業は500kW未満の「高圧小口」に限る。新規に進出する大企業には 500kW~2000kW未満の「高圧大口」でも供給できるようにする。電力を供給する期間は2016年4月から2019年3月までの3年間を予定してい る(図4)。
東京電力と山梨県が新しい電力供給のスキームを開始する背景には、東日本大震災後に急速に進んだ電力市場の環境変化がある。これまで県営の水力発 電所の電力は東京電力が安価に調達してきたが、固定価格買取制度が始まったことで、水力を含む再生可能エネルギーの電力の価値が高まった。
その一方で小売の自由化が進み、東京電力から新電力へ契約を切り替える企業が増えている。電力を高く売りたい自治体と、電力の利用者を維持したい電力会社、双方の思惑が一致して生まれた電力供給のスキームと考えられる。
山梨県は全国の自治体の中でも先頭を切って再生可能エネルギーの導入を拡大してきた。富士山をはじめとする周囲の高い山々から流れてくる豊富な水量を生かして、県内には76カ所の水力発電所やダムが運転中だ(図5)。
水力発電所は東京電力が28カ所(揚水式を除く)、山梨県の企業局が23カ所(ダムを除く)を運営している。このほかの水力と太陽光やバイオマスを加えると、再生可能エネルギーによる発電能力は56万kWに達する。
ただし新サービスには課題も残る。供給力の大半を水力発電所が占めているため、降水量によって電力の供給量が大きく変動してしまう。過去の実績を 見ると、2009~2011年度は年間に5億kWhを超えていたが、2013年度には4億kWhまで減少した(図6)。やまなしパワーで供給する予定の4 億7000万kWhには足りない。不足分は東京電力が補充することになる。
水力に限らず再生可能エネルギーの電力を販売する場合に生じる問題である。その代わりに電力会社の火力発電所や原子力発電所にトラブルが発生して 運転を停止しても、地域の送配電ネットワークに支障がなければ電力の供給を続けることが可能だ。災害に強い電力インフラがある立地条件は企業のBCP(事 業継続計画)においても重要になっている。やまなしパワーの適用を受ける大企業がどのくらい出てくるかにも注目したい。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1510/29/news040_2.html
2015/08/07
八ケ岳連峰や南アルプスなど日本を代表する美しい山岳景観と清らかな名水に恵まれた北杜市が「世界に誇る『水の山』プロジェクト」を今年度、始動 した。豊かな自然環境から育まれる水資源を生かして「北杜」のブランド化を図り、魅力を発信するのが狙い。名水をテーマにした国際会議の創設も構想に見据 え、「世界一の水の聖地」を目指す。(頼永博朗)
市内には、環境省選定の「名水百選」と「平成の名水百選」の選定エリアが全国で珍しく計3カ所(八ケ岳南麓高原湧水群、尾白(おじら)川、瑞牆(みずがき)山・金峰(きんぷ)山源流)ある。また、市内では全国のミネラルウオーターの2~3割を生産している。
昨年には、南アルプス一帯が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」に登録された。市は登録を好機ととらえ、「世界に誇る『水の 山』宣言」を今年5月に発表。宣言では「北杜市の自然を人類の貴重な財産として守り育て、価値と魅力を伝え続ける」としている。
◆パートナー企業
市は宣言と併せ、市内で水の保全活動に取り組むなど要件を満たす地元企業3社とパートナーシップ協定を締結した。3社は、市内にミネラルウオーター工場を 置くサントリー食品インターナショナル(東京)▽日本酒「七賢(しちけん)」の銘柄で知られる酒造会社「山梨銘醸」(同市)▽夏季限定の「水(みず)信玄 餅」がヒット商品となった和菓子製造販売会社「金精軒(きんせいけん)製菓」(同)。
市と各社は新商品の開発にも着手。第1弾となる「サントリー南アルプスの天然水」と市内産のブルーベリーや牛乳などを使ったかき氷が、市内の観光施設や東京・表参道のコミュニティースペースなどで今月31日まで販売されている。
パートナー企業は今後も増やす方針で、ほかに市内の店舗や宿泊施設などを対象にメンバー制度も設け、PRに一役買ってもらう。
◆地方創生
プロジェクトには地方創生の予算約1500万円が使われている。森林生態系を代表するクマが水のしずくを抱く姿をデザイン化したキャラクター「ミズクマ」を開発。ポスターやホームページ、市職員の名刺などに活用し、ブランドの周知を図る。
今後は、自然を生かした各種の観光プログラムの開発をはじめ、小水力発電による地産エネルギーの普及や首都圏からの移住促進など幅広い分野にブランドを活用していく。
プロジェクトを所管する市観光・商工課では「水は地元産業や住民生活の根幹。将来的には、フランスのエビアン市やボルビック村など世界を代表する名水地の人々が一堂に会する国際会議の創設も目指していきたい」としている。
◆北杜市 山梨県の北西部に位置。伏流水や山岳景観、高原性の気候、日本で一番長い日照時間など豊かな資源に恵まれている。市の「昆虫」は国蝶のオオムラ サキ、「花」はヒマワリ、「小動物」はヤマネ。北杜市役所(同市須玉町大豆生田961の1 (電)0551・42・1111)。
2015/06/26
山梨県山梨市は、同市内の水口配水池の余剰圧力を活用して、小水力発電事業に取り組む。すでに設置工事は完了しており、7月上旬に稼働する予定だ。同発電事業は、不動産事業と売電事業を営むケーティーインセンスモール(埼玉県春日部市)との産官連携事業となる。同社は現在、信州大学と共同し、小水力発電施設の開発や設置プロジェクトを行っている。今回の事業には、同大学工学部環境機能工学科の飯尾昭一郎准教授が監修者として参加し、共同研究により低コストの発電装置の実現を目指す。