2016/12/02
2016年12月2日掲載
宮城県などは30日、大崎市古川の大崎土地改良区が同市古川清水の幹線用水路に設置した「内川小水力発電所」の研修会を現地で開いた。同型の小水力発電所1カ所で一般家庭9戸分の必要量を発電でき、設置適合箇所は大崎地域だけで数百に上るという。「普及を図り水田農業地帯に眠る膨大なエネルギーを掘り起こしたい」と担当者は話す。
内川小水力発電所は、県の「農業用水利施設小水力等発電モデル事業」の一環として、2015年4月に建設。最大出力毎時5.5キロワット、発電可能量年間34メガワット(120万円相当)で、全量を東北電力に売電している。約2700万円の建設費は県と国の補助金で賄われた。
一対のドラム型水車を回す仕組みの発電装置は、農業用水路の段差部分に設置されている。設置箇所の川幅は3メートル。水の落差は、流量によって80~110センチの間で変動する。
昨年9月の宮城豪雨で装置が水没し、復旧に数カ月を要した。同改良区は、豪雨の際、装置を自動的に水面上に引き上げるシステムの開発や、流れてきた家庭ごみなどの堆積を防ぐ工夫に取り組んでいる。
「装置を量産すれば建設費を3割ぐらい減らせる。水圧を受ける角度などを工夫すれば毎時7~8キロワットの発電も可能だ」と改良区は説明する。
研修会には約60人が出席。菅原勘一理事長は「日本は水資源に恵まれている。小水力発電を活用し、原発依存から脱却する道を探りたい」と話した。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161202_13033.html
2016/08/25
2016年8月25日掲載
水力発電の殿堂入り--。中部電力の宮城(みやしろ)第一水力発電所(長野県安曇野市、400キロワット)が、米国の水力専門誌・ペンウェル社が主催する「水力発電の殿堂」に日本で初めて選ばれた。1号機(250キロワット)は110年以上稼働し続けている国内最古の現役水力発電設備。7月26日に米ミネソタ州で受賞式が開かれ、丹羽章裕・ワシントン事務所長らが出席した。
水力発電の殿堂は、北米地域で100年以上稼働している設備を対象に、1995年から表彰している。これまでに表彰されたのは計41カ所。今回から北米以外の地域にも範囲を広げ、新たに3カ所が殿堂入りを果たした。宮城第一水力以外の2カ所は、北米の水力発電所だった。
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http://www.shimbun.denki.or.jp/news/construction/20160825_01.html
2016/06/09
2016年6月8日掲載
水力発電の国内発祥の地として知られる仙台市青葉区三居沢地区周辺の住民有志が、明治以降の地区の歴史を大型パネル5枚にまとめ、東北電力の三居沢電気百年館に寄贈した。パネルは同館に展示され、紡績、水力発電、カーバイド製造と続いた近代産業の地としての歩みを紹介している。
パネルは、ともに青葉区八幡在住の東北学院大名誉教授鶴本勝夫さん(73)と、1949~54年に三居沢発電所で勤務した元東北電社員加藤一雄さん(86)が中心となり制作した。
資料の調査に10年以上費やした労作だ。2010年ごろ、市が保管する公文書に、1888年に水力発電を始めた宮城紡績会社の配置を記した見取り図を発見。当時と現在の写真などとともにパネルに収めた。
東北電が引き継いだ第3発電所(1000キロワット)は現在も稼働し、国の登録有形文化財に指定されている。紡績会社の跡地(市交通局川内営業所)には当時のクロマツが今も残る。
水力発電は、三居沢にあった紡績会社が、広瀬川から引いた水で工場の照明用として発電したのが始まり。後に仙台市街にも電力を供給するようになった。
1902年には、同社の流れを引く宮城紡績電灯の技師で工学博士の藤山常一氏が発電所の余剰電力による電気炉を活用し、カーバイドの試作に成功。国内の電気化学工業の先駆けとなった。
鶴本さんは「紡績から水力発電、カーバイドに至る三居沢の歴史は東北に明かりをともし、近代産業史の一ページを飾った。多くの人に価値を知ってほしい」と話す。3月には鶴本さんらの要望を受けた市が、紡績会社跡地と牛越橋近くに案内板を設置した。
三居沢電気百年館は入場無料。開館時間は午前10時~午後4時(月曜休館)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201606/20160608_13074.html