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2017/05/20

住民が出資 小水力発電 高知・土佐山、売電収入を地域活動に【日本経済新聞】

2017年5月20日掲載
 高知市北部の中山間地、土佐山で住民らが出資して小水力発電会社を設立した。集落内を流れる谷川に最大出力49.9キロワットの水車型発電設備を建設し、再生エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づき全量を四国電力に売電する。売電で得た収入は集落維持や活性化の資金にあてる。地域活動を目的にした住民主体の小水力会社設立は四国初という。
 土佐山の高川地区の住民で組織する一般社団法人「高川区」と、小水力発電所の企画・設計をてがける地域小水力発電(高知県香美市)がそれぞれ100万円出資し、4月末に「土佐山高川区小水力発電株式会社」を設立した。今後さらに増資を募る。
 建設費は大半を民間金融機関からの融資でまかなう予定。今後、水路を管理する高知市へ使用許可申請などの手続きに入る。2017年内に建設に着手し、18年中の発電開始を計画する。
 集落内を流れる高川川の支流、工石谷の標高494メートルの地点に取水口を設置する。総延長540メートルの導水管に水を通し、取水地点から87メートル下の河川沿い地点に設置した水車を回して発電する。
 発電量は年間約28万キロワット時。1キロワット時あたり34円(税別)の固定価格で四国電力に販売する。期間は20年間。売電収入は年間930万円を見込み、総事業費8400万円や減価償却費、維持費を差し引いても年間約50万円が地域の収入になる。
 高川地区には現在は約60世帯130人が暮らす。過疎化で地域活動への参加人数や活動資金が細る中、共用施設の管理・修繕などの費用を売電収入でまかなう。高橋幹博・高川区長は「桜の植樹や祭り開催など地域に人を呼び込む活動にも生かしたい」と話す。
 全国小水力利用推進協議会(東京・豊島)によると、ここ数年で住民がかかわる小水力発電会社は長野県飯田市や岐阜県郡上市などで立ち上がっているが四国では今回が初のケースという。
 地域小水力発電は高知県馬路村などで小水力発電所の企画・管理を手掛けている。自社設計のノウハウやコストダウンの手法を積み上げており、古谷桂信社長は「四国の恵まれた水資源を生かして小規模でも地域が収入を得るモデルを高知から発信したい」と話す。

 ▼小水力発電 ダムのような大規模構造物を必要としない、小河川や用水路などを活用した小規模な水力発電。はっきりした定義はないが出力1000キロワットト以下の発電設備を総称して呼ぶことが多い。様々な場所に設置することが可能で、環境負荷が小さいなどのメリットがある。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16646230Z10C17A5LA0000/

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