2017/05/31
2017年5月31日掲載
佐賀平野の麦秋が刈り取られ、稲の苗代づくりが始まる頃、三瀬村の田植えはほぼ終わっている。冷涼な山間部ではあるが、つい先日の早朝の温度計が8度を差していたのには目を疑った。
嘉瀬川の源流を戴(いただ)く三瀬村の豊富な水の流れを利用して、集落が主体となった小水力発電の実現がいよいよ近づいてきた。発案・検討から2年以上の紆余(うよ)曲折の歳月を経て、地域の特性に合った再生可能エネルギーへのチャレンジだ。先人が遺(のこ)してくれた同じく水力装置の水路や小屋を再活用して、それを未来の集落へ繋(つな)いでいく仕事に地域住民自らが携わっていく。技術をリードしてくれる九州大学と共に、出来ることは自分たちでしていく作業をほぼ月1回積み重ねてきた。
この事業で地域がどのようになれるかはまだこれからだ。それでもただ一つ確かなことは、先人から継いで未来を作ろうとする今の仕事そのものこそが地域を元気にしているように思えることだ。(小野寺睦・養鶏農家)
2017/01/20
2017年1月20日掲載
唐津市七山滝川の「観音の滝」周辺で計画されている小水力発電所について、事業主体の九州発電(本社・鹿児島市)が、取水口の位置を滝の上流から下流に変更する方針を示していることが19日、分かった。滝の流量が減り、景観に影響することを心配する住民の声に配慮した。20日午後7時から七山公民館で開かれる住民説明会で提案する。
当初は、滝の上流約250メートルに取水口を設け、滝川川の左岸に導水管を埋設。滝を迂回(うかい)して約1・6キロ下流の発電所に水を送り、約160メートルの高低差を利用して発電する計画だった。変更案は、発電所の位置は変えないものの、取水口を滝の下流約200メートルに設け、滝の流量に影響を与えないようにした。導水管の長さは約1キロに縮まり、高低差は約90メートルになる。
同社によると、発電量は年間820万キロワット時から472万キロワット時に変更し、一般家庭約2500世帯分から1300~1500世帯分に減るという。
計画変更の方針は、18日夜の七山地区駐在員会で九州発電から各地区の代表者に伝えられた。
発電所建設を巡っては、昨年11月の住民説明会で、滝の景観や観光への影響を懸念する声が相次いだ。
同社の担当者は「滝の水量を維持する方法も模索したが、滝を避ける方がベストだと考えた」と話し、「滝に対する住民の皆さんの思い入れを感じた。不信感を少なくして発電事業ができれば」としている。
2016/11/10
2016年11月10日掲載
唐津市七山滝川の観音の滝周辺で計画されている小水力発電所を巡り、七山地区全体の住民を対象にした説明会が8日夜、七山公民館で開かれた。発電用の取水で滝の流量がどの程度減少するのか、事業主体の九州発電(本社・鹿児島市)に実証実験を求める意見が住民側から相次いだ。
住民約90人が参加し、九州発電の担当者が説明した。1年で最も滝の流量が少なくなる冬場の写真を示し水量減少のイメージを伝えた。稼働した場合、滝川など関係3地区に支払う協力金とは別に、消防団の備品購入などで七山地区全体を支援する考えも示した。
質疑では「水がどのくらい減るのか、やってみないと分からない」「パイプを置いて実験してほしい」と、目に見える形で示すよう求める声が続いた。滝川区の住民からは、区の役員が一定の任期で交代することを踏まえ、「同意の協定書を結ぶ場合、唐津市は立会人ではなく、窓口になるべき」という意見も出た。
九州発電は、稼働時と同様の状況をつくる実験に技術面などで難色を示したが、検討する姿勢は見せた。古田功社長は「宿題がいくつか出た。これには必ず回答させていただく」と述べた。今後のスケジュールについては未定としている。
2016/10/28
2016年10月28日掲載
唐津市七山の観音の滝周辺で計画されている小水力発電所建設についての説明会が、11月8日午後7時から七山公民館で開かれる。事業主体の九州発電(本社・鹿児島市)が、七山地区全体の住民を対象に事業内容を説明する。
発電用に取水することで滝の流量が減るため、住民の一部からは景観への影響を心配する声も上がっている。同社は説明会で、発電所建設に直接関係する滝川区や東木浦区、西木浦区以外の住民にも理解を求める方針。
滝川区は26日夜、区の会合を開いた。8日の全体説明会での意見を踏まえた上で、区として建設に同意するかどうかを判断する方針を申し合わせた。
2016/10/22
2016年10月22日掲載
唐津市七山の観音の滝周辺で計画されている小水力発電所建設をめぐる説明会が21日、七山市民センターで開かれた地区の駐在員会であった。事業主体の九州発電(本社・鹿児島市)の担当者が、一定の水量を確保し、景観に配慮して計画を進める考えを示した。
発電所建設に直接関係する滝川区や東木浦区、西木浦区以外に、計画の概要が詳しく伝わっていないという声を受けて市が説明の機会をつくり、七山の全14地区の代表が出席した。
出席者からは滝の景観を心配する質問が続いた。九州発電の担当者は、過去10年間の水量を計算した上で取水量を算出したことを説明し、「滝の水がなくなるようなことはない」とした。地元の滝川区と協定を結んだ場合に順守する姿勢や、発電所が設置されれば観光施設として開放し、地域に貢献する意向も示した。
市への質問もあり、七山市民センターの平野勝文センター長は「計画に問題がなければ静観する立場。ただ、景観だけは損なわないようにと当初からお願いしている」と答えた。
滝川区は同社と結ぶ協定書案を検討中で、案をもとに区の会合で計画への賛否を問う方針にしている。