過去に投稿された記事の一覧です。

2017/05/13

エクアドルで小水力発電 可能性探る 15日中京 【毎日新聞/京都】

2017年5月13日掲載
 南米エクアドルで鉱山開発による環境破壊にさらされる住民たちとの連帯を続ける京都などの市民グループが、15日午後7時から京都市中京区の堺町画廊で、「水を守り、水と共に生きる--小水力発電の可能性~持続可能な地域づくりへ」と題した講演会を開く。現地の森や水資源を守るための小水力発電の可能性を探ろうと、専門家も招いて話を聴く。
 生態系豊かな雲霧林が広がるエクアドルのインタグ地方では、同国とチリの開発公社により銅やモリブデンの試掘が進められ、住民の居住区を含む8割の土地が採掘対象にされている。すでに滝が黄褐色や赤茶色に変色し、重金属などによる水質汚染が起きているという。
 講演会はNGOのナマケモノ倶楽部や日本ラテンアメリカ協力ネットワークなどの有志らでつくる「インタグの鉱山開発を考える」実行委員会が主催する。小水力発電について高知県や関西を中心に活動する会社「地域小水力発電」社長で全国小水力利用推進協議会理事の古谷桂信さんが、自然への負荷が少なく持続可能なエネルギーとしての可能性や日本での先行事例などを紹介。実行委もインタグ地方での取り組みや政治情勢などを報告する。
 参加費1000円(インタグのコーヒー付き)。問い合わせは実行委の一井さん(075・601・6409)。【太田裕之】

https://mainichi.jp/articles/20170513/ddl/k26/040/555000c

2017/03/11

小水力発電、学ぼう 疏水利用の課題議論 下京で20日 /京都【毎日新聞】

2017年3月11日掲載
 関西広域小水力利用推進協議会(京都市下京区)は20日午後1時半から、下京区の東本願寺真宗教化センター「しんらん交流館」で学習会「大胆シミュレーション! あの疏水でなぜ小水力発電ができへんの?」を開く。
 琵琶湖疏水は1890年に完成し、第1期蹴上(けあげ)発電所が91年に送電を開始した水力発電発祥の地。その疏水を利用して、環境に配慮したエネルギーである小水力発電ができないかを、法的手続きや技術的課題などの面から議論していく。
 京都市琵琶湖疏水記念館学芸員による出前トーク「京都のまちに電気の灯(あか)りを 琵琶湖疏水と水力発電」の後、参加者らによるワークショップ学習会。
参加費500円。
定員70人。
申し込みは15日までに協議会事務局(info@kansai-water.net、080・7051・5830 里中さん)。
【榊原雅晴】

http://mainichi.jp/articles/20170311/ddl/k26/040/482000c

2016/12/14

EVトラクター 力強く 福知山・畑地区住民、大阪の会社と開発 田の耕し、小水力発電でエコ 実用化向け試運転【毎日新聞/京都】

2016年12月14日掲載
 福知山市夜久野町畑地区で12日、住民組織「畑七つの里づくり協議会」(越後正則会長)と大阪府豊中市のメーカーが共同で開発するEVトラクターの試作機が披露され、田を耕す運転も試された。協議会が取り組む環境やエコロジーをテーマにした地域活性化活動の一つ。メーカーは「半年後を目標に実用、量産化する技術を備えたい」と意欲的だ。【佐藤孝治】
 畑地区の7自治会で組織する同協議会は、水量の豊富な谷川が多い環境を生かし、地区内で2基の小水力発電装置を稼働させ、イベント時の電飾などに利用している。
 協議会によると、活動の話を聞いた豊中市の「EVジャパン」(西田長太郎社長)の人たちが今春視察に訪れ、交流する中で小水力発電で得た電気で動くトラクターを開発することになった。
 EVジャパンは、京都と大阪にある自動車関連会社が共同で設立した電気自動車の開発、製造会社。協議会副会長の中島俊則さん(73)が経営する会社にあった既製のトラクターを流用し、エンジンや燃料タンクなどを外してモーター2基とバッテリー4基、同社が独自開発した駆動装置を組み込んだ。
 EVは、排ガスが出ずビニールハウス内でも健康を気にせず使える。試運転では前日までの雨でぬかるんだ田でも力強く耕す事を証明した。試乗した近くに住む中島正治さん(73)は「震動がほとんど無く、楽に作業ができる」と話していた。
 試運転を見守った住民らからは重いバッテリーの配置場所などを指摘する声もあり、西田社長は「改良したい」と対応。協議会の中島副会長は「パワーもあり、電力消費も大丈夫で実用化の見通しはついたのでは。EVトラクターを大いに広めたい」と意欲を見せていた。
〔丹波・丹後版〕

http://mainichi.jp/articles/20161214/ddl/k26/040/414000c

2016/12/10

小水力発電を農業利用 電動トラクター試作【西丹日日新聞】

2016年12月10日掲載
 再生可能エネルギーによる夢のある地域づくりをめざし、京都府福知山市夜久野町畑(はた)地域の「七つの里づくり協議会」(越後正則会長)が、地元の小河川で小水力発電をして蓄えたバッテリーで作動するトラクターを、大阪の企業と共同開発している。排気ガスが出ず、低騒音で、エンジン式のように燃料代はいらず、省エネにつながる。現在は試作の段階で、12日に実証実験をして作業能力を確かめる。
小水力発電はダムのように河川の水をためることなく、小河川や農業用水の水の流れをエネルギーに変えて有効利用する小規模な発電方式。ダム開発に伴う環境への影響が無く、CO2排出による地球温暖化を防げるとして、各地で普及が図られている。
 畑地域では、7自治会で組織する協議会が、水量の豊かな谷川が多いという地の利を生かして、昨年2月と今年2月にそれぞれ水車2基を稼働させ、発電した電力をイベント時の電飾、コーヒーメーカーなどに生かしている。
 民家や街路灯に送電する計画も立てているが、電気事業法の問題、関係機関への手続きの煩雑さなどもあって遅れている。こうした中、電気自動車などの製造・開発をする大阪府豊中市のEVジャパン(西田長太郎社長)が今春視察に訪れ、小水力発電に関心を示し、小水力発電トラクターの開発が決まった。

  排ガス、騒音無くハウス内でも使える

 試作機は、長さ約2メートルの既製のトラクターから21馬力のエンジンと軽油タンクを取り外し、車軸用と耕運ロータリー用のモーターそれぞれ1基とバッテリー4基を載せた。水車で発電した電気を蓄えて積み、走らせる。
 協議会によると、一般的なエンジン式とは違い、騒音の心配がなく、排気ガスも出ないので、人家が多い地域でも気兼ねなく使える。ビニールハウス内でも健康を害することなく使える。燃料代がいらず、エンジンオイル交換などのメンテナンスの必要が少ないことなどをメリットとして挙げる。
 車体に電源コンセントを付けており、停電時に非常用照明器具などの電力としても使えるという。

  他の農機具への応用も視野に

 まだ、使わなくなったトラクターを利用して試作した段階。12日午前10時30分ごろから、企業関係者が訪れて、畑地域の軽食類を提供する交流施設「ななっこ」前の田んぼで実証実験をし、作業能力や消費電力、稼働時間などを調べる。
 今回は100ボルト電源で充電するが、年度内に水車での充電を試す予定。良い結果が得られれば、他の農機具などへの応用も視野に入れ、改良を重ねるという。

 実証実験は雨天決行。だれでも見学できる。問い合わせは、ななっこ=電話0773(37)0030=へ。

 協議会関係者は「エンジン式に比べるとパワーは劣ると思うが、静かで、あまり振動もないため地球環境や省エネ、利用者の健康面などトータルで考えればメリットが大きいと思う。地元の小水力発電を利用するので、電力の地産地消にもつながる。農業革命を起こそうというのが夢」と意欲をみせる。

http://www.ryoutan.co.jp/news/2016/12/10/011056.html

2016/11/09

京都観察いま・むかし 八木先生の覚え書き/6 小水力発電 脱原発・脱化石燃料の文化へ /京都【毎日新聞】

2016年11月9日掲載
 京都を代表する景勝地のひとつ、嵐山(京都市右京区)。その象徴的存在が大堰川-桂川にかかる渡月橋です。かつては景観上の理由などで渡月橋に照明がなく、ために地域住民の交通や防犯への不安が大きかったといいます。この不安をうけて地元任意団体・嵐山保勝会が関係当局と交渉、小水力発電(サイフォン式プロペラ水車)によるLED照明施設の設置許可を獲得して2005年に発電(最大出力5・5キロワット)を開始、橋を奇麗に明るくしました。
 嵐山保勝会のホームページによると、この取り組みは1級河川に小水力発電設備を設置する国内初のケースであったそうです。国内初といえば、1891(明治24)年に送電開始した蹴上(けあげ)発電所が国内初の商業用水力発電所であり(現在も稼働)、その4年後にはこの電力がこれもこの国初の市街電気鉄道(市電)の開通(塩小路-伏見間)に寄与しました。
 さて、小水力発電の取り組みが全国的に大いに注目されるようになったのは、やはり福島第1原発事故(2011年3月)以降のことです。ひとたび原発が過酷事故を起せば被害は甚大で、その終息には目途がたたず、安倍首相の“アンダー・コントロール”発言(2013年9月の東京五輪誘致演説)にもかかわらず、たとえば汚染地下水問題ひとつとっても、福島第1原発がなおも“アウト・オブ・コントロール”(制御不能)の状態にあることは周知の事実です。また、地球温暖化の観点からしても、もはや化石燃料依存の発電に頼るわけにはまいりません。そこで原子力や化石燃料に替わる自然の再生可能エネルギーに注目が集まっているのですが、小水力発電は他の再生可能エネルギー(太陽光、風力など)と比較して設備利用率(100%運転を続けた場合に得られる電力量の比率)が高く、発電原価も安いのが特徴です。
 むろん、課題もあります。水利権や環境に関する法的規制をクリアするのが意外に難しいこと、地元漁協を含めて河川と共に生きてきた地域の人々の合意と参加が不可欠なこと、そして何よりも資金調達が隘路(あいろ)となることがあります。しかし、筆者の友人で関西広域小水力利用推進協議会理事(事務局長)の里中悦子さん(伏見区在住)は、「食糧とともにエネルギーの自給がなければ今後の日本を考えることはできない」と、小水力発電による“限界集落”克服にもユメをはせます。里中さんは、この運動の原点を自らのマンション管理組合の活動に求め、また、ペシャワール会・中村哲医師のアフガニスタンでの取り組みを教科書にしています。前者では住民一人一人が賢くなって、管理会社などの言いなりにならないこと、後者では、中村医師がアフガンと日本にある伝統的な水利技術を用い、アフガンの人びとと協働している事実、つまり、自力自闘の作風を文化として共有することの大切さを里中さんは“合わせ鏡”にしているわけです。
 小水力発電はまさに、地域の、地域による、地域のための開発ですが、やがては、自分の、自分による、自分のための発電になる可能性も秘めています。たとえば、小水力発電の先進地・オーストリアでは、一家に1台の小水力発電機が今では必ずしも珍しくないそうです。筆者にとっても、クリーン・エネルギーの地産地消・自産自消は、“脱原発・脱化石燃料”への非常に説得的な道筋であるように思われます。(八木晃介花園大学名誉教授・元毎日新聞記者=社会学)=次回は11月30日

http://mainichi.jp/articles/20161109/ddl/k26/070/460000c

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