2017/02/10
2017年02月10日掲載
県営ダムに町営の小水力発電所を設置し、発電した電力を販売する有田川町の取り組みが、再生可能エネルギーの普及に取り組む団体などを表彰する新エネルギー財団の「新エネ大賞」で資源エネルギー庁長官賞を受賞することが決まった。平成24年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入されて以降、同制度を活用した自治体の事業が表彰されるのは全国で初めて。15日に東京都内で表彰式が行われる。
「新エネ大賞」は平成8年度から始まり、今回で20回目。今回は全国から28団体が応募し、8団体が表彰される。
同町は環境に優しい地域づくりに向け、ごみの分別撤底や太陽光発電施設の積極的な設置などに取り組んできた。
表彰される取り組みは、治水と発電の機能を備えた多目的ダムの「二川ダム」に町営の小水力発電所を設置し、同ダムが河川の流量を維持するために放流する水を用いて発電を行うもの。
町環境衛生課は約7年前から、毎秒0・7㌧のペースで流れるダムの放流水に注目。水力発電所の設置に向けて県と交渉を重ね、同26年に設置許可が下りた。設置した「町営二川小水力発電所」は28年2月に発電を開始し、発電量は年間約120万㌔㍗。関西電力への電力販売を通じて年間約4300万円の利益が出ているという。
町は資源ごみの収集を業者に費用を払って委託するのではなく、業者から費用を受け取って委託するマイナス入札を同20年度から実施しており、発電所の建設資金を日頃のエコ活動によって捻出した財源で賄った点も高く評価された。
エコな地域づくりに向けた今後の取り組みについて、同課は「ミカン畑の隣に太陽光発電設備を設置することを通じたソーラーシェアリングなど、エネルギーの地産地消をさらに進めていきたい」としており、中山正隆町長は「受賞は町にとってこの上ない栄誉。住民の皆さまの環境意識の高さが発電所の建設や新エネ大賞の受賞につながったと思っている。今後もエコ先進の町として、環境教育の分野にも取り組みを広げていきたい」と喜びと抱負を話している。