2016/07/05
2016年7月5日掲載
長大とグループ会社の基礎地盤コンサルタンツ(東京都江東区、岩崎公俊社長)は、フィリピン・ミンダナオ島で行われている民間主導型地域開発モデル事業への取り組みを強化する。現地パートナーであるゼネコンのエクイパルコ(ブトゥアン市、ルーベン・ジャビエールCEO)などとの間で連携強化に向けた覚書をこのほど交換。これに基づき、再生可能エネルギー開発と低炭素型工業団地開発、一次産品のバリューチェーン構築に必要な道路・港湾などのインフラ強化に取り組む。
長大は11~15年に、民間主導型地域開発モデル事業の第1ステージ事業として、電力と水の安定供給に向け3河川で小水力発電事業を展開。さらに第1次産業強化策として、パートナー企業のエクイパルコ、ツインピーク(同、高野元秀社長)、グリーンアジアエンジニアリング(横浜市青葉区、前田彦也社長)らと農業と水産養殖事業の特別目的会社(SPC)をそれぞれ設立し、稲作とエビ・ウナギの養殖事業を行っていた。
長大と基礎地盤コンサルは今回、両SPCにそれぞれ最大5%の追加出資を行うことも決めた。第1ステージ事業を展開した各社との関係を強め、16年から民間主導型地域開発モデルの「第2ステージ」(計画期間は2020年)事業に本格的に乗りだす。
6月29日にブトゥアン市で覚書の調印式が行われ、長大の井戸昭典取締役兼常務執行役員、エクイパルコのジェレミー氏らが署名。エクイパルコの元COOで先にブトゥアン市長に就任したロニー・ラグダナ氏も出席した。
第2ステージ事業では、2国間クレジット制度「JCM」を活用した再生可能エネルギー開発と低炭素型工業団地開発、同地域で生産される一次産品を運ぶために必要な道路・港湾などのインフラの強化に加え、ブトゥアン市を含むミンダナオ島北東部のカラガ地域の経済開発マスタープランを作成し、PPPによる地域開発を推進する。
2016/04/27
2016年4月27日掲載
自然電力(福岡市)は4月26日、フィリピンのミンダナオ島ブトゥアン市における再生可能エネルギー開発の共同推進に関して、6社で覚書を締結したと発表した。6社とは、同社のほか、長大、基礎地盤コンサルタンツ(東京都江東区)、エクイパルコ社(ブトゥアン市)、ツインピーク社(ブトゥアン市)、アラムポート(東京都文京区)。4月22日に締結した。
覚書の内容には、ミンダナオ島北アグサン州に位置するブトゥアン市において、3河川(アシガ川・タギボ川・ワワ川)での小水力発電事業や、もみ殻を用いたバイオマス発電事業の推進、太陽光、風力発電などの再エネ事業を開発することが盛り込まれた。6社で連携して実施する。自然電力にとって初の海外事業となる。
今回の事業実施地域であるミンダナオ島は、和平問題・貧困問題の残る地域だが、豊かな自然に恵まれ、再エネによる電源開発に適した場所も多く、これからの経済発展のために活用できる資源が豊富な地域という。
共同で事業を行う長大は、2011年からグループ企業とともに同地域に進出し、現地企業と協力しながら、小水力・バイオマス発電事業開発、水道コンセッション(上水事業)、アグリ・アクア(農業・養殖業)、工業団地開発など行ってきた実績がある。今回の共同事業についても、長大が先行してエクイパルコ社およびツインピーク社と協議を進めていた。
自然電力は、2011年の会社設立以来、太陽光発電事業を中心に、風力・小水力発電事業なども国内で手掛けている。フィリピンの共同事業では、国内での経験を生かしていく。今後、同社は、国内に加え海外でも再エネ事業を展開していくという。
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/042701865/?rt=nocnt
2016/04/26
2016年4月26日掲載
長大がフィリピン・ミンダナオ島で現地企業などと展開している地域開発プロジェクトで、新たな取り組みが始動した。同島北東部・北アグサン州ブトゥアン市を中心とするカラガ地域を対象に今後、現地企業などと共同で再生可能エネルギー事業のマスタープランを策定。既に実施している小水力・バイオマスに加え、太陽光や地熱を活用した発電事業を展開する。地域・経済開発に直結する事業として、長大らは温室効果ガス削減の2国間クレジット制度(JCM)の獲得を目指す。
同島で展開する再生可能エネ事業には長大をはじめ、▽基礎地盤コンサルタンツ(東京都江東区、岩崎公俊社長)▽自然電力(福岡県中央区、磯野謙社長)▽アラムポート(東京都文京区、小谷文人社長)▽エクイパルコ(ブトゥアン市、ロニービック・ラグナダ社長)▽ツインピーク(同、高野元秀社長)-の6社が参画。22日に同市で事業実施に向けた覚書を交換した。
6社は、産業振興や雇用創出と低炭素型地域開発を両立する電力供給の基本計画としてマスプラを策定。同市に提案して計画への理解と協力を求めていく。プラン策定と並行し、長大ら日系企業が持つ再生可能エネ開発のノウハウを活用して太陽光、風力、地熱の各発電事業を早ければ年内にも具体化させる。
長大やエクイパルコは、11年から同市で小水力発電事業や水道供給コンセッション、アグリビジネスなどを展開。民間主導型PPPによる地域開発を進めている。事業着手から5年が経過し、各事業が軌道に乗りつつあることから、16年から5年間をプロジェクトの第2段階と位置付け、再生可能エネ開発の拡大や低炭素型工業団地の整備を推進。日本とフィリピンの行政機関も巻き込む形でPPPによる地域開発を本格化させる。
長大は、自ら投資するなどして積極的にプロジェクトに関与するとともに、日本の企業や技術を事業に活用する橋渡し役を担当。海外で得た地域開発のノウハウを国内に逆輸入し、地方創生にも貢献する考えだ。
2015/06/26
2015/06/25
世界遺産の棚田を守り続けるエンジニアを育てたい--。水力発電設備の設計製造を手がける中川水力(福島市、中川彰社長)はこのほど、フィリピンの小水力発電所で働く運転管理技術者ら3人を招いて研修を行った。同社が製造と現地据え付けを担当したことをきっかけに、日本の技術を学んでもらおうと中川社長が発案した。研修は福島県猪苗代町で同社が事業化した「猪苗代小水力発電所」(水路式、出力990キロワット)を活用し、運転維持管理を実地訓練した。研修生は初めて見る最新の水力発電設備と高度な発電技術に関心を寄せていた。
中川水力が手掛けた小水力発電所は、フィリピンのイフガオ州における電力供給の安定化とユネスコの世界遺産「コルディリェーラの棚田群」の保全基金拡充を目的とする国際協力機構(JICA)のプロジェクト。首都マニラの北方約350キロメートルに位置する標高600メートルの山岳地帯に出力820キロワット(410キロワット×2基)の河川流量型発電所を建設している。工事は2013年11月に始まり今年6月に完成する計画。施工管理には東電設計も入っている。
研修に招いたのは、フィリピンエネルギー省再生可能エネルギー局水力部のマーク・マルティネスさんとイフガオ州政府水力発電所運転員のジョナタン・タメレイさん、グレン・ゲナー・ナッピッグッさんの3人。
研修期間は約1週間。福島市の同社工場で水力発電の仕組みや主な水車形式、水車の構造などについて講義を受けた後、水力発電所の運転維持管理に必要な機器の保守点検や工具の使用・点検方法について訓練を受けた。続いて同社が福島県猪苗代町土地改良区で発電事業を営む猪苗代小水力発電所を訪問。設備の点検方法、緊急時対応などについて実地訓練が行われた。
猪苗代小水力発電所は、発電設備において本格的な構造の「同期発電機」と簡易な構造の「誘導発電機」の2つのタイプの発電機が稼働する全国でも類を見ない発電所。2つのタイプを同時に運転管理できるため、同社では技術者の研修育成に広く公開して活用する考えという。また所内設備がすべて電動化されており、油圧設備がない分だけすっきりとした印象が特徴でもある。
研修生からは「最新で最高水準の技術を学ぶ良い機会になった。特に日本の発電所が整然としていることに驚いた。フィリピンに戻ったら現地の発電所も日本に負けないぐらいきれいにしたい」(タメレイさん)と抱負を語る。
中川社長は「研修生はいずれも『学びたい』という向上心があり、基本的な技術技能レベルも高い。将来はフィリピンを背負って立つ優秀な技術者に成長してほしい。世界遺産の棚田を守る小水力発電を通じて、当社が日本とフィリピンとの将来に続く技術的な橋渡しになりたい」と話している。
※紙面より転載
2014/09/05
総合建設コンサルタントの長大(本社:東京都中央区)が、フィリピン・ミンダナオ島で小水力発電事業等に注力しつつある。
長大は8月27日に、グループ会社である基礎地盤コンサルタンツと共に、ミンダナオ島南アグサン州シバガット市における23MW級の水力発電所-ワワ川小水力発電事業に関して、2018年度運営開始の確実な実現に向けて、ミンダナオ島最大のゼネコンであるエクイパルコ社(本社ブトゥアン市)ら現地企業3社と出資契約を締結、特別目的会社(SPC)である「ワワ・グリーン・エナジー・コーポレーション」を設立することで最終合意した。
この出資契約では、長大が8%、基礎地盤が2%を出資し、長大グループからこのSPCへ10%の出資を行うことと、非常勤取締役1名を派遣することについて合意している。なお、これに先立って5月17日に締結した基本契約書では、長大グループがこの事業において、エンジニアリング・レビュー、施工監理、水車発電機導入、O&M等に関する5つのコンサルティング業務を提供することでも合意している。
この事業は、国際協力機構(JICA)の2013年度「協力準備調査(PPPインフラ事業)」の採択を受け、2015年12月末まで調査を実施する予定である。本来であれば、こうした事業可能性調査を経て事業化可能性を確認した後に、特別目的会社を設立、関連許認可の取得、資金調達に向けた活動を進めていくところである。しかし、この事業では、早期事業化を最優先に、JICA調査と並行して、関連許認可の取得や事業化の際の資金調達、プラント調達といった動きを進めていくこととした。
長大と基礎地盤は昨年3月には、エクイパルコ社及びツインピーク社との間で覚書を締結、ミンダナオ島の北東部に位置する北アグサン州ブトゥアン市で、エクイパルコ社らが所有する141haの用地を活用し、新たに農林水産・食品加工分野に特化した工業団地を共同で開発することに合意した。日本スタンダードによる工業団地を開発、日本企業を積極的に誘致する意向である
長大グループでは、上記のような発電事業や工業団地開発の事業等を通じて、日本や日本企業とのパイプ役として、引き続き日本企業の参画を増やしつつ、ミンダナオ島の経済発展に貢献していく方針である(14年9月1日の株式会社長大ニュースリリースなどより)。
http://ph.isajijournal.com/headline/15050-chodai-sets-up-spc-in-mindanao.html