2016/02/22
2016年2月22日
カンボジアでは、20数年にも及んだ内戦とその後の混乱により、たくさんの人が傷つき、文化や財産が失われました。
伝統的な絹織物も、そのひとつ。カンボジアのNGO・クメール伝統織物研究所(IKTT)は、伝統織物の復興や担い手の育成、そして、生活環境の再生のために活動を進めてきた団体です。
途絶えかけた伝統絹織物を復興する
IKTTは、京都の友禅職人だった森本喜久男さんが1996年にカンボジアで設立した現地NGO。そのミッションは、カンボジア内戦とその後の混乱のなかで、途絶えかけた伝統の絹織物の復興にありました。
養蚕・桑の木栽培・染料づくりが 「伝統の森」でスタート
森本さんは、2002年に土地を取得し、織物を中心にした循環型の村づくりを始めます。これは、村人たちとともに暮らしながら染め織りを復活させる活動です。
養蚕をはじめ、それに必要な桑の木を植え、自然染料となる草木の栽培をスタート。IKTTの活動拠点となるこの土地は、「伝統の森」と呼ばれています。
IKTTで織り上げられるシルク布は、世界一の品質と呼ばれるまでになりました。設立から20年、すばらしいカンボジアの伝統が再興するに至りました。
エネルギー自給化による「循環型社会」を目指す
そんな中、課題となったのがエネルギーの自給化。今回の電力自給を目指すプロジェクトリーダーである土井新悟さんは、電気・通信設備の会社の経営者で、未来の社会を考えたとき、IKTTの循環型社会に大きなヒントがあると感じました。
そして、土井さんは、小水力発電を「伝統の森」に導入し、電力自給を実現することが、持続的な循環型社会形成には欠かせないと考え、当プロジェクトを立ち上げました。
これは、敷地のすぐ横を流れる川の水流を利用して、発電する仕組み。この小水力発電システムは、約0.5kWの発電出力を想定しています。これは、伝統の森で使用する電力のおよそ3~4分の1を賄えます。いまのところ、日中は発電機は動かしていませんが、今回のプロジェクトが実現すれば、日中の電力供給も可能になります。
「小水力発電によって電力をまかなうことで、『伝統の森』に住むカンボジアの人たちの生活がより豊かなものになり、本当の意味での「自然循環型社会」を築くことができるのです。これは、これからの未来を示す道しるべになるのではと考えています」と土井さん。
ただ、水車の制作、土木工事、発電機の購入など、プロジェクトに必要な資金は不足。そのため、クラウドファンディングサイト「READYFOR」で募っています。