2016/08/24
2016年8月24日掲載
東北電力は23日、台風9号に伴う大雨の影響で、管内7県にある水力発電所60カ所を停止した。受電している他社の水力13カ所も停止しており、東北電の供給力としては計66万キロワット程度の影響があった。浸水などの設備被害はなく、河川の流量を見ながら運転を順次再開する。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201608/20160824_73056.html
2016/08/24
2016年8月24日掲載
JA 年間で300万キロ・ワット時売電
JAつやま(津山市横山)が国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度に合わせて改修していた津山市加茂町黒木の加茂桑谷発電所が完成、23日、現地で竣工しゅんこう式が行われた。
同発電所は1965年に旧加茂町農協が設置した小水力発電施設で、近くの倉見川から取水した水を約50メートルの高低差を利用して発電。JAつやまが固定価格買い取り制度に合わせ、総事業費3億5000万円をかけて75平方メートルの建物や延長1・2キロの導水管などを改修していた。最大出力420キロ・ワットで、年間発電量は約300万キロ・ワット時。すべて中国電力(広島市)に売電する。
竣工式には関係者約50人が出席。最上忠組合長が「キャンプ場に近く、子どもたちにクリーンエネルギーについて知ってもらう機会になれば」とあいさつした。
http://www.yomiuri.co.jp/local/okayama/news/20160823-OYTNT50149.html
2016/08/23
2016年8月23日掲載
古くから水力発電が盛んな富山県には流れの急な川が多く、年間を通して大量の雨や雪が膨大な水力エネルギーをもたらす。現在も川やダムのエネルギーを生かして、小水力発電の導入プロジェクトが活発に進んでいる。水量に合わせてさまざまなタイプの発電設備が相次いで運転を開始した。
[石田雅也,スマートジャパン]
富山県は南側に標高3000メートル級の立山連峰がそびえる一方、北側の富山湾の海底は1000メートル以上の深さがある。その間の高低差4000メートルの地形が全国でも有数の水力エネルギーを生み出す。高い山から流れる川は急な場所が多く、黒部川をはじめ治水用や発電用のダムが数多く造られてきた。
県内で稼働中の水力発電所が供給する電力量は年間に100億kWh(キロワット時)を超えて、47都道府県の中で最大だ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して280万世帯分にのぼり、富山県の総世帯数(39万世帯)の7倍に匹敵する。さらに水力エネルギーの包蔵量(利用可能量)は岐阜県に次いで第2位で、まだ利用可能なエネルギーが30億kWh以上も残っている。
新たに取り組んだ水力発電の代表的な例が「片貝別又(かたかいべつまた)発電所」である。県の東部を流れる片貝川は流れが急なことで知られている。川の上流から約1キロメートルの導水路を敷設して、下流にある発電所まで水を送り込む。この方式で水流の落差は298メートルに達する。
発電能力3000kW(キロワット)で2015年11月に運転を開始して、2016年4月から4500kWに引き上げた。年間の発電量は1830万kWhになり、一般家庭の5000世帯分に相当する。最大で毎秒1.8立方メートルの水量を発電に使うことができる。特に春の融雪期に水量が増加する。
この中規模な水力発電所は北陸電力が建設・運転する。一方で関西電力が小規模な水力発電所を2015年11月に稼働させた。関西電力は「クロヨン」で有名な「黒部川第四発電所」をはじめ、富山県内に数多くの水力発電所を運転している。新たに稼働した「出し平(だしだいら)発電所」は関西電力が所有するダムの直下に建設した。
ダムから下流にある2カ所の大規模な水力発電所に水を供給するほかに、下流の自然環境を守るため維持流量を放流している。この維持流量を生かして、37メートルの水流の落差で発電する仕組みだ。ダムの壁面から発電所までを水圧鉄管でつなぎ、最大520kWの電力を供給できる。
年間の発電量は171万kWhを想定していて、一般家庭の480世帯分に相当する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は38%で、小水力発電の標準値60%と比べると低い。維持流量が大幅に変動して発電量が変わるためだ。出し平発電所では流量に合わせて発電機の回転速度を変えながら安定して運転できるシステムを導入した。
古い水車を更新すれば発電量が増える
小水力発電の取り組みは農業用水路にも広がる。東部の朝日町を流れる「小川用水」には、2016年7月末に完成したばかりの小水力発電所がある。川の右岸を流れる用水路から発電所まで、700メートルにわたって導水管を敷設した。水流の落差は12メートルになり、最大で190kWの電力を供給できる。
年間の発電量は166万kWhを見込み、一般家庭の460世帯分に相当する。発電した電力は全量を固定価格買取制度で北陸電力に売電して、地域の土地改良施設の維持管理費にあてる方針だ。発電能力が200kW未満の買取価格は1kWhあたり34円(税抜き)で、年間に5600万円の売電収入になる。
農業用水路の水量も季節によって変動する。小川用水発電所が導入した水車発電機は、水流を取り込む入り口の部分で流量を調整できる仕組みだ。このタイプの水車発電機は保守が簡単なことから、農業用水路で水量の多い場所に適している。
富山県内では古い水力発電所の水車を新しいものに交換して、発電能力を増強する取り組みも進んでいる。1962年に運転を開始した発電能力1万kWの「奥山発電所」では、2015年10月に水車を更新して発電能力を300kW引き上げた。これで年間に250世帯分の電力を増やすことができる。
北陸電力は水力発電所の新設と設備更新を通じて、年間の発電量を2008年度から2020年度までに1億kWh拡大する計画を推進中だ。すでに2016年度内に目標を達成できることが確実になり、2020年度の目標値を1億3000万kWhに修正した。一般家庭の使用量に換算して3万6000世帯分の電力が増える。
富山県では固定価格買取制度がスタートした2012年よりも前に稼働した水力発電所が多い。それでも新たに買取制度の認定を受けて運転を開始した中小水力発電の規模は全国で10番目になった。加えて太陽光発電とバイオマス発電の導入量が徐々に増えてきた。
アルミ廃棄物から水素も作る
太陽光発電では富山湾に面した富山新港で2016年3月にメガソーラーが運転を開始している。港の一角を占める7万平方メートルの用地に2万枚の太陽光パネルを設置した。発電能力は4.5MW(メガワット)で、年間に約500万kWhの電力を供給できる。
富山新港が立地する射水市(いみず)では木質バイオマス発電所も稼働中だ。地元のグリーンエネルギー北陸が発電能力5.8MWで2015年5月に運転を開始した。年間の発電量は3900万kWhを見込んでいて、1万世帯分を超える電力を供給できる。
燃料の木質バイオマスは周辺地域の森林で発生する間伐材などを年間に約7万トン利用する計画だ。県の森林組合連合会と長期の供給協定を締結して、安定した調達体制を構築した。さらにグリーンエネルギー北陸が100%出資して木質チップの製造会社も運営している。
このほかに再生可能エネルギーのユニークな試みとして、アルミ系の廃棄物から水素を製造するプロジェクトが進んでいる。富山県内の有力企業が共同で設立したアルハイテックがNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けて2014年から取り組んできた。2016年4月には検証用のプラントが稼働して、周辺の工場から排出するアルミ系の廃棄物を使って水素の製造に着手した。
検証プラントでは廃棄物からアルミを分離して、アルカリ溶液と反応させて高純度の水素を発生させる。すでに1時間あたり2キログラムの水素の製造に成功して、今後は最大5キログラムまで製造能力を拡大する予定だ。燃料電池車の走行距離に換算して700キロメートルに相当する水素を1時間ごとに製造できるようになる。
アルミ系の廃棄物は紙パックや強化プラスチック製品などに付いているアルミニウムを利用可能だ。原料が生物由来ではないためにCO2フリーの水素ではないが、廃棄物の再資源化で水素エネルギーを生み出せるメリットは大きい。検証プラントで実用性を確認したうえで、アルミ廃棄物を排出する全国各地の工場に展開していく。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1608/23/news034.html
2016/08/19
2016年8月19日
福島県では、同県内において小水力発電や地熱発電の事業可能性調査を補助する支援事業の2次公募を開始した。
同「福島県地域参入型再生可能エネルギー導入支援事業(再生可能エネルギー事業可能性調査補助事業)補助金」は、小水力発電、地熱発電(バイナリーサイクル発電方式)の事業可能性調査自体が十分に行われていない現状をうけ実施される補助金制度。これらの発電事業計画のある事業者および団体に対し、事業可能性の調査費用や電力会社との系統連系協議にかかる費用を助成する。
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2016/08/19
2016年8月19日掲載
水力発電というと、一時代前の開発しつくされた電力源というイメージが強いだろう。確かに、今後、新規の巨大ダムが建設される見込みはなく、水力発電の総発電量に占める割合は10%足らずにすぎない。
しかし、国土交通省で数々のダム建設に携わってきた竹村公太郎氏(元同省河川局長)によると、既存ダムの活用で、新規の巨大電力を生み出すことが可能であるという。既存ダムの潜在能力を発揮させれば、現在の2~3倍の水力発電量を確保することができるというのだ。
資源安で危機感は薄らいでいるものの、歴史的に見ればエネルギー問題がつねに日本の国運を左右してきた。今後は、二酸化炭素排出量削減の必要もあり、化石エネルギーへの依存を見直していかざるをえない。3.11以来、原発稼動には高いハードルが横たわっている。そうした中、安定したエネルギー源として水力発電量の比率を高めることの意義は大きい。
日本のエネルギー問題解決のカギを握る「純国産」再生エネルギーの隠れた可能性について、このたび『水力発電が日本を救う』を上梓した竹村氏が解説する。
巨大ダムを増やす時代ではない
水力発電を見直そうなどと言うと、こんな誤解をする人もいるかもしれない。
「ダムを増やす話なのかな」
しかし、それはまったく見当違いだ。
巨大ダムを増やすことなどいっさい考えていない。というより、もう造れないといったほうが正しい。もう日本では巨大ダムは増やせないのだ。
巨大ダムは確かに、水力エネルギーにしても治水にしても、効果は大きい。しかし、その巨大ダム建設の犠牲も大きい。
近代以降、昭和の高度成長期にかけ、山村地域の300~400戸の家々を水没させて、巨大ダムを造ってきた。一部の人々の犠牲の上に繁栄を築くという、近代化の過程で行ってきたこのやり方は、現代にあってはもはや時代に合わない。
実は私は、日本でダムの新設をやめようとした張本人だった。かつて国交省の開発課長や河川局長だったとき、「もう緊急性がなく不必要なダムは造らない」と言い出した。多分、ほかの人が「ダムをやめる」などと言えば、大騒ぎになっていたと思う。だが、ダムをやめようとしているのが、ダムを愛している“ダム屋”の長(おさ)である私だったから、先輩のダム屋のメンバーも「竹村が言うのでは仕方がない」と協力してくれた。
今の日本に、巨大なダムは造れないことは、私は誰よりもよく知っている。
「ダムが増えないのに、水力発電が増やせるわけがないだろう」
こう考える人が多いはずだ。だが、日本のダムの実態を理解していくと、そうでないことが分かっていく。
ダムの専門技術者として断言する。
「ダムが増やせなくても、水力発電量を今の2倍、3倍に増やすことができる」
信じてもらえないが、これは事実なのだ。
純国産でまったく温室効果ガスを発生しない電力を、毎年、金額に直して2兆円から3兆円分も増加させることができる。そして、この豊かな電力量が半永久的に継続する。
まるで夢のように聞こえるかもしれないが、現実に可能な話だ。その根拠を一言で答えれば、こうなる。
「日本のダムの力は十分に発揮されていない」
日本全国にダムがあっても、それが十分に活用されてはいない。膨大な潜在的エネルギーが利用されることのないまま眠っている。実は、今の日本のダム湖には、水が半分程度しか貯まっていないのだ。
日本のダムは水を半分しか貯めていない
ダムと聞けば、ほとんどの方が、コンクリートの巨大な壁の上端近くまで、水が豊かにたたえられているダム湖をイメージされるだろう。
だが、現実は違う。多くのダム湖の水は半分くらいしか貯まっていない。
雨不足のせいではない。雨が比較的多い時期でも、ダム湖は満水近くまで水位が上がることはない。
位置エネルギーを利用する水力発電にとっては、ダム湖の水は水位が高いほどいい。水量も多いほどエネルギーは大きくなる。それなのに、わざわざ水を貯めないのは理屈に合わない。みすみす、発電能力を下げているようなものだ。
見方を変えれば、こうも言える。もし、現在、空にしているダム容量を満水にすれば、もう1個の別のダムを造ったのと同じ貯水量の増加となる。つまり、簡単に、ダムを新しく1個造るのと同じ効果が生まれる。
なのに、現実は、ダム湖の水を満水に貯めていない。なぜ、こんなことをするのか。
それは、法律のルールで決まっているからだ。
日本のダム造りのベースとなるルールのひとつに、「特定多目的ダム法」という法律がある。これには主に2つの目的が記されている。それは、「利水」と「治水」の2つであり、ひとつのダムで両方の目的を果たそうというのが多目的ダムだ。
ところが、2つの目的があるゆえに、多目的ダムの運用には奇妙なやり方が求められてしまう。
矛盾した2つの目的があるため、両者の折衷案として、ある程度の水は貯めるものの、ある程度は空にしておくしかない。ダムの目的の半分が治水なのだから、空にしておくのはやむをえない。だが、利水の面から見れば非効率だ。特に、発電にとっては、ダム湖をわざわざ空けておくなんて、電力を捨てるようなものだから、「もったいない」としかいいようがない。
それでも、洪水を予防するのに、ダムを空けておくのは仕方がないと言える。電力のために、川の下流域を洪水にさらすリスクは冒せないからだ。
しかし実は、治水という意味からも、今のダム運用はあまり効率的ではない。はっきりいって“時代遅れ”なのだ。
もっと水を貯めても危険はないのに…
大雨による洪水を防ぐために、普段からダムを空けておく。これが現在のダムによる治水のやり方であるが、疑問を持つ方もおられるかもしれない。
「つねに空けておく必要はないだろう。大雨が来るのがわかってから減らせばいいじゃないか」
確かにそのとおり。そう考えるのが普通だ。
たとえば、台風に備えるとしよう。気象予報によって1週間前には台風が来ることはわかる。予報を見て、ダムが台風の進路に入ってからダムの水位を落とせばいい。
洪水の危険に備えてダムの水を減らすことを予備放流と呼ぶが、これはタイミングが重要だ。大雨によって増水中に予備放流などしてはいけない。さらに水かさが増して、洪水の危険を大きくしてしまうからだ。
現実的には、台風が最接近する3日ほど前に予備放流すれば、十分に洪水に対処できる。3日前ならば川の流域に大雨は降っておらず、川はまだ増水していない。ダムの水を放流しても安全だ。
日本の川は急流だし、海までの距離が短い。水源地のダムから予備放流された水は、ほとんどの場合、その日のうちに海に達する。海までの距離の長い利根川でも、放流の翌日には銚子から太平洋に至るし、東京の多摩川などは朝に放流すれば夕方にはもう海へ行ってしまう。
ちなみに、まだ川が増水していない晴天のときにダムの予備放流を行うと、河川敷で人が流される心配があるから、予備放流は危険だという意見がある。だが、これは単に対策の不徹底が原因だ。下流への警報を十分に発することや、避難手段を講じておけば防げる。
このように、台風が接近してからダムの予備放流をすれば、治水のためのダム容量を空けることが可能だし、そうすることで、大雨を受け止めるダムの容量は確保できる。洪水予防のためであっても、普段からダムを大きく空けておく必要はない。台風などの大雨が来る直前にダムを空ければ、十分に洪水は防げる。
つまり、大雨の心配のない時期は、ダム湖の水位を満水近くまで高くしておいても大丈夫なのだ。これなら、大きな水のエネルギーを電力に換え続けることができる。
半世紀前の法律で運用される多目的ダム
では、なぜ、そうしないのか。
理由は、多目的ダム法の古さにある。この法律は昭和39年(1964年)に制定されて以来、根本的には一度も改正されていないから、50年前の社会事情に合わせたルールとなっている。信じ難い話かもしれないが、気象衛星も打ち上げられていなかった50年以上も前の法律が、21世紀の今でもダムの運用を縛っているのだ。
つまり、天気予報の精度が今に比べて格段に低かった時代に合わせたルールを、半世紀たった今でもまだ守っているのである。
昭和30年代なら、治水のためダムの容量を大きく空けておく必要があった。だが、21世紀の現代の技術水準からみれば、ダムの能力を十分に発揮させていない。
かつてのダム運用が、現在では合理的ではない。不合理なところだらけだが、この変化をもたらしたのは半世紀の間に起こった技術革新だ。
ことに、気象予報技術の進歩が大きい。気象衛星や気象レーダーで天候についての情報を集め、スーパーコンピュータで計算して予測する。こうした科学技術が蓄積されたおかげで、高い精度で予報が出せるようになった。
科学技術の進歩により、多目的ダムの2つの目的である治水と利水の矛盾を、限りなく小さくすることが可能になっている。技術の進歩が、ダムの運用を新しく変わらせてくれる時代になったのだ。
しかし、法律とそれに関連するルールは昔のままである。せっかくの技術の進歩を生かすことができていない。半世紀前の法律をそのままにして、時代の進歩を無視しているのだ。
これからは国民も、治水が担当の役人も、日本の未来を見据えて、ダムの潜在的な能力を生かすことの重要性を考えなくてはならない。