過去に投稿された記事の一覧です。

2016/09/21

用水路で水力発電 マイクロ水車、福島・須賀川で実証実験【福島民友】

2016年9月21日掲載
 精密機器製造、販売のNTN(大阪市、大久保博司社長)は、既存の用水路の壁面に設置できる小水力発電装置「NTNマイクロ水車」を開発した。20日までに、須賀川市守屋の新安積疏水の水路で実証実験を行い、水車の発電性能や水路への影響などを調べた。
 出力100キロワット以下はマイクロ水力発電と呼ばれる。同社は「低炭素化社会の実現につながってほしい」とマイクロ水車に願いを込める。
 地元の市議や関係者から、「地域振興につなげてほしい」との要望を受けた同社が復興の一助になればと、水流の安定している同市で実証実験を行った。従来の水力発電は、水位の落差を利用するもので、大がかりな工事が必要だった。マイクロ水車は重さ約150キロで簡単に設置でき、自然の水流をせき止めずに発電できることが特長。
 マイクロ水車は独自のプロペラの形状で、水の流れのエネルギーを効率良く電力に変換する仕組みを持つ。プロペラは先端部分に厚みを持たせたほか、角度を付けるなどして直列に並べた時、水流への抵抗が少なくなるよう工夫した。
 実証実験では、約100メートルの用水路に最大10基のマイクロ水車を並べた。翼径90センチのモデルでは、流速毎秒2メートル時に1キロワット発電できる計算となった。1日当たり1基で24キロワット時の発電ができ、一般家庭2世帯分の電力に相当する。

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160921-113286.php

2016/09/20

農業用水路に小水力発電が広がり、太陽光とバイオガスで作物を育てる【スマートジャパン】

2016年9月20日掲載
静岡県では温暖な気候と傾斜の多い地形を生かして多品種の農作物を栽培している。農地に水を供給する用水路に小水力発電が拡大中だ。ブルーベリー栽培と太陽光発電、トマト栽培とバイオガス発電などユニークな取り組みも広がってきた。港の防波堤に波力発電を導入する計画もある。
[石田雅也,スマートジャパン]

 静岡県の中央を流れる大井川は周辺地域の貴重な水源である。流域の9つの市と町に広がる農地に水を供給するため、国が中心になって終戦直後の1947年から22年間をかけて「大井川用水」を整備した。完成後40年以上を経過して老朽化した施設が増えてきたことから、大規模な改修事業を実施中だ。
 用水路の改修に合わせて、維持管理費の軽減を図るために小水力発電の導入にも取り組んでいる。その方法は用水路の流れを分割するために設けた「分水工(ぶんすいこう)」と呼ぶ施設に水車発電機を設置する。大井川用水の分水工の中でも規模が大きい「伊達方(だてかた)分水工」と「西方(にしかた)分水工」の2カ所で2016年5月に発電を開始した。
 2カ所のうち発電能力が大きい「西方発電所」では、分水工にある5メートルの落差を利用して発電する。既設の水路から水車発電機に水を取り込むために「ヘッドタンク」を造成したほか、発電後の水を分水工から先の水路に流すための「放水槽」、さらに増水時の余剰の水を流すための「余水吐(よすいばき)」を新設した。
 発電能力は169kWになり、農業用水路を利用した小水力発電としては規模が大きい。年間の発電量は105万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると290世帯分の電力になる。

  2台の水車発電機を水量に合わせて運転

 もう1つの「伊達方発電所」は発電能力が142kWで、年間に91万kWhの電力を供給できる。発電に利用できる水量は西方発電所とほぼ同じだが、分水工による水流の落差が0.6メートル低い分だけ発電能力が小さくなっている。この点を除けば発電設備の構成や導入した水車発電機は2カ所ともに同じだ。
 水車発電機には「水中タービン水車」を採用した。水を供給するヘッドタンクの下部に設置して、垂直に流れ込む水の中で水車を回転させる方式だ。水中で稼働するために、小水力発電で問題になる騒音や振動を抑えられる。加えて水車発電機の上部にある「シリンダーゲート」を昇降させるだけで運転の開始・停止を操作できることも運用面のメリットが大きい。
 2カ所の小水力発電所では用水路を流れてくる水量が季節によって大きく変動する。水量の変動に合わせて発電効率を高めるために、出力の違う2台の水車発電機を設置して、運転パターンを変える方法を採用した。水量が多い5月から8月は大小2台をフル稼働させる一方、それ以外の季節は水量に応じてどちらか1台だけを運転させる。水車発電機の運転と停止を簡単に切り替えられる利点を生かしている。
 発電所の建設費は2カ所の合計で11億5000万円かかった。国が50%、県が25%、用水路を運営する地元の土地改良区が25%を負担して、土地改良区が発電所を所有・運営する体制だ。発電した電力は静岡市を拠点に電力小売事業を展開する鈴与商事が20年間にわたって固定価格で買い取ることが決まっている。
 鈴与商事は県内の自治体や企業、商業施設や一般家庭にも電力を供給して、再生可能エネルギーの地産地消を推進していく。一方で土地改良区は売電で得た収益の一部を用水路の維持管理費にあてて負担を軽減する狙いだ。地域の資源を活用してエネルギーの地産地消と農業の効率化を図るモデル事業になる。

  ブルーベリーとトマトと再生可能エネルギー

 再生可能エネルギーを農業に生かす取り組みは小水力発電にとどまらない。大井川の上流に広がる川根本町(かわねほんちょう)は南アルプスの山ろくにあって、町の面積の94%を森林が占めている。日本茶の生産と林業が盛んな地域だが、町内の農地ではブルーベリーを栽培しながら太陽光発電を実施するソーラーシェアリングが2015年11月に始まっている。
 面積が300平方メートルある傾斜地に高さ2.6~3メートルの支柱を立てて、108枚の細長い太陽光パネルを設置した。パネル1枚あたりの発電能力は112ワットで、全体で12kWになる。年間の発電量は1万3000kWhを見込んでいて、42万円の売電収入を得られる想定だ。パネルによる遮光率を27%に抑えることで、ブルーベリーの収穫量は地域の平均値と同程度になる見通しを立てている。
 発電事業を運営するのは地元の民間企業や団体が共同で設立した川根スカイエナジーである。建設費の378万円は市民の共同出資で集めた。出資者には年利1%の金利と地域の特産物を還元しながら10年後に返済するスキームだ。日本で初めて市民の共同出資で実施するソーラーシェアリングとして成果が注目されている。
 川根本町から大井川を下った菊川市では、トマトの生産現場でバイオガス発電プラントが2016年4月に運転を開始した。大井川用水の小水力発電事業で電力を買い取っている鈴与商事が建設・運営している。同じグループに属する農業生産法人が菊川市内で展開する大規模なトマト栽培ハウスの隣接地に建設した。
 トマト栽培ハウスに併設した食品加工の工場では、トマトジュースやトマトピューレなどを製造している。工場の製造工程で発生する食品廃棄物と地域で排出する刈り草を発酵させてバイオガスを作る。そのバイオガスを燃料に利用して120kWの電力と熱を供給できる。年間の発電量は105万kWhを見込んでいて、鈴与商事が小売電気事業者として地域で販売する体制だ。
 このプラントの役割はエネルギーを供給するだけでは終わらない。バイオガスを発生させた後の消化液から肥料を製造して農業に役立てるほか、バイオガスを燃焼させた後の排気ガスからCO2(二酸化炭素)を回収するシステムも導入する計画だ。CO2はトマト栽培ハウスに供給して光合成を促進させる。農業と再生可能エネルギーを組み合わせて地域の資源を循環させる取り組みである。

  2つの市が波力発電の候補地に

 静岡県の再生可能エネルギーは太陽光からバイオマスまで全方位に広がってきた。固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した設備の規模では、地熱以外の4種類が全国のトップテンに入っている。
 太陽光発電では自動車メーカーのスズキが建設した「スズキ牧之原太陽光発電所」の規模が大きい。工場に隣接する46万平方メートルの用地に、11万枚の太陽光パネルを設置した。2016年4月に運転を開始して、年間の発電量は3220万kWhを見込んでいる。一般家庭の8900世帯分に匹敵する電力を供給できる。
 このメガソーラーが立地する牧之原市は太平洋に面して、日射量が全国で最も多い場所である。市が率先して太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を推進中だ。未来に向けて波力発電の候補地にもなっている。
 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトで、静岡市に本社がある協立電機が東海大学などと共同で「越波式波力発電システム」を開発中だ。港の防波堤に沿って発電装置を並べる方式で、装置の内部にプロペラを備えている。波が装置を乗り越えて中に落ちる勢いでプロペラが回って発電する。
 実際の海域に波力発電システムを設置して実証実験に取り組む予定で、有力な候補地が牧之原市から隣の御前崎市にまたがる港湾地帯だ。全国各地にある大きな港には防波堤や突堤が設けられているため、実用化できれば海洋エネルギーを利用した発電設備として有望である(図15)。その第1弾が静岡県の港から始まる期待は大きい。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1609/20/news025.html

2016/09/20

環境省、水道施設に19メガワットの潜在力-小水力発電の導入可能性調査【日刊工業新聞】

2016年9月20日掲載
 環境省は全国の水道施設を対象に小水力発電の導入可能性を調べ、2015年度に少なくとも563地点で発電出力19メガワット弱の潜在能力があることが分かった。全国の自治体など1888事業者にアンケートを送付し、回答があった1536事業者の中から導入可能性の高い895地点を抽出。協力を得られた563地点について流量・水位や設備状況など詳細な情報を収集し、整理・分析した。
 合計の発電潜在能力は1万8742キロワットで、563地点のうち274地点が出力20キロワット以上だった。全体の年間発電電力量は1億5847万キロワット時になり、二酸化炭素(CO2)9万2000トン分の排出削減効果が見込まれるという。
 水道施設には導水・配水などの圧力差を、小水力発電に生かせる箇所が散在している。全国の水道事業者が消費する年間電力量は約74億キロワット時で、電力需要全体の約0・8%を占める実態もあり、環境省は13年度から水道施設への太陽光発電なども含めた再生可能エネルギー、省エネ設備導入を推進する施策を展開。だが、小水力発電を導入している水道施設の割合は現状で全体の2・7%にとどまっている。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00400171

2016/09/15

水道の圧力差エネルギー、全国274カ所で1万9000kWの発電能力【スマートジャパン】

2016年9月15日掲載
環境省と厚生労働省が全国1500以上の水道事業者を対象に、水道の施設を利用した小水力発電の導入ポテンシャル調査を実施した。水源から浄水場や配水池へ流す水の圧力差を使って、全国の274カ所で発電できることがわかった。北海道から九州・沖縄まで各地に可能性が広がっている。
[石田雅也,スマートジャパン]

 水道事業の中核になる浄水場や配水池には、標高の高い場所にある水源から大量の水が常に流れてくる。この水流が生み出す圧力差のエネルギーを発電に利用できるのだが、実際に発電設備を導入している水道施設は全体の2.7%に過ぎない。
 環境省と厚生労働省は小水力発電によるCO2(二酸化炭素)の排出量削減と水道事業者の収入拡大を推進するため、全国1500以上の水道事業者を対象にアンケート調査を実施した。その結果、小水力発電を実施できる可能性がある施設は全国に563カ所あることが明らかになった。
 地域ブロック別に見ると、中部が最も多くて103カ所、次いで中国・四国の99カ所、九州・沖縄の91カ所と続。関東にも83カ所あり、そのうち発電能力が20kW(キロワット)以上になる可能性がある施設数は65カ所で最も多かった。
 全国で20kW以上の発電能力を見込める施設は合計で274カ所にのぼり、発電能力を合計すると1万9000kWに達する。水量をもとに算出した年間の想定発電量は1億5800万kWh(キロワット時)になった。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して4万4000世帯分に相当する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は95%になり、水道を流れる安定した水量で電力を供給できるメリットがある。

  1カ所あたり年間1900万円の売電収入

 小水力発電による電力の供給量が増えることで、CO2排出量は全国で年間に9万2000トンを削減できる。さらに発電した電力を固定価格買取制度で売電すれば、1kWhあたり34円(税抜き)で年間に53億円の収入を見込める。1カ所の平均額は1960万円になり、買取期間の20年間の累計で4億円近い収入を得られる計算だ。売電収入によって水道施設の維持管理費を軽減できる効果は大きい。
 水道施設で小水力発電を実施する方法の1つとして、水道管そのものに発電設備を組み込む方法がある。環境省の実証事業で開発した「管路用マイクロ水力発電システム」が代表的な例で、これまでに富山県の南砺市、福島県の相馬市、兵庫県の神戸市の水道施設で導入実績がある(図4)。
 発電能力は1台で22kWと75kWの2種類がある。水道管1本ごとに1台ずつ水車発電機を設置する方法で、1カ所の施設に複数台を導入することも可能だ。相馬市の水道施設では3台を導入して、最大79kWの電力を供給できるシステムを構築した。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1609/15/news038_2.html

2016/09/15

民間企業が所有する小水力発電所 熊本県で2ヵ所改修、営業運転スタート【環境ビジネスオンライン】

2016年9月15日掲載
 JNC(東京都千代田区)は、7日、熊本県に所有する小水力発電所2ヵ所の改修工事を完了し、9月1日より新たに営業運転を開始したと発表した。
 今回、営業運転を開始したのは「七滝川第一発電所」と「竹の川発電所」だ。同社は、国内に13ヵ所の水力発電所(最大出力合計93,600kW)を保有しており、今回営業運転を開始する2ヵ所も含め、すべて「流れ込み式」の発電方式を採用している。河川水からごみを除去し、水路を通して水槽へ導き、水圧鉄管を落下させることで水車を回し、電力をつくる。大規模なダムを必要としないため環境負荷が低く、二酸化炭素排出量も少ない。
 今回改修された2ヶ所の発電所の概要は下記のとおり。

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https://www.kankyo-business.jp/news/013347.php

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