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2016/12/16

再生エネ、産学官で技術革新 神戸市はダイキンと小水力発電【日本経済新聞】

2016年12月16日掲載
 関西の自治体や大学が企業と連携し、水力や地熱を活用した再生可能エネルギーの新技術開発に乗り出している。地球温暖化の目標を定めた枠組み「パリ協定」が11月に発効し、温暖化ガス削減が急がれているが、再生エネルギーの利用はこれまで太陽光に偏っていた。多様なエネルギーの利用が進めば自治体の収入源や企業の新事業創出につながる可能性がある。
 神戸市はダイキン工業と組み、これまで未利用だった上水道管の水流エネルギーを発電に活用する実験を始めた。ダイキンが開発した小水力発電システムをさらに小型化する。同システムはエアコンのインバーター技術などを応用し、水流エネルギーを効率よく電気に変える。流量を制御し、水圧を安定させることもできる。
 神戸市は「山と海に挟まれ高低差があり、小水力発電の設置に適する」(水道局)。まず発電出力22キロワット級のシステムを西区の配水池に設置。機能や運用コストを検証し、出力10キロワット以下の超小型システムの開発を目指す。水圧調整に広く使われるバルブに代わって取り付けられ、設置可能な場所が大幅に増える。2018年度まで実験や試作機の開発を進める。
 厚生労働省と環境省によると小水力発電を導入している水道施設は全国の3%弱にとどまる。将来、利用が進めば自治体の新たな売電収入につながる可能性がある。
 神戸市はスターバックスコーヒージャパン、近畿大学と組み、市内のスターバックスで出た廃棄物を燃料にする実証実験も始めた。コーヒーの豆かすや食べ残しを使い、植物由来の固形燃料(バイオコークス)を製造する。活用先も検討する。
 京都大学はエネルギーベンチャーのジャパン・ニュー・エナジー(東京・千代田)と組み、新しい地熱発電システムを開発した。地下深くに水を循環させる管を埋め込み、地上から注入した水を地中の熱で温めて地上に戻し、減圧して蒸気にしてタービンを回す。温泉水を使わないため、温泉地との権利調整が不要。大分県九重町で試験運転を始めた。18年度をめどに商業運転を始める。
 木質資源を使ったバイオマス発電も広がる。洸陽電機(神戸市)は17年3月に岐阜県高山市で始まるバイオマス発電で、小規模の電力を効率よく作り出せるドイツ社の発電機を導入する。
 バイオマス発電は一定規模がないと利益を上げづらく、大型施設を造ってから燃料を調達する例も多い。独社のシステムは燃料となる木質資源の乾燥に発電の排熱を活用するため、エネルギー効率が高く、地産地消のエネルギー利用が可能だ。洸陽電機の乾正博社長は「地域資源の活用に考慮し取り組む」と話す。
 政府はパリ協定に基づき、温暖化ガスを2030年度に13年度比26%減らす目標を掲げた。発電量に占める再生エネの電源比率は14年度の12.2%から30年度に22~24%まで高める。課題は太陽光に偏る利用エネルギーの拡大。17年4月には再生エネの固定価格買い取り制度が改正され、太陽光以外の再生エネの普及促進が期待されている。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10720810V11C16A2LDA000/URL

2016/12/14

町営水力発電所などで次世代エネパークに認定 有田川町【紀伊民報】

2016年12月14日掲載
 和歌山県有田川町が小水力発電所など多様な再生可能エネルギーを使って「エコのまち」づくりを進める計画が、経済産業省資源エネルギー庁の「次世代エネルギーパーク計画」に認定された。
 町は2月、県営二川ダム(有田川町二川)の維持放流水を利用して最大出力約200キロワットの町営小水力発電所を完成。売電で年間約4300万円の売り上げを見込み、2600万円の純利益を「環境」基金として積み立て、ごみの減量化や環境教育につなげる。
 このほか町内には小中学校など公共施設での太陽光発電設備の導入を進めている。
 認定された計画は、町内に点在する再生可能エネルギー設備を、環境教育や観光スポットとしてアピールし、地域全体をエネルギーパークとする内容。本年度の認定は全国唯一で、累計では全国で64例目、県内2例目となる。

http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=325968&p=more

2016/12/14

県内自然エネ自給率26・5% 5年前倒しで目標達成【徳島新聞】

2016年12月14日掲載
 徳島県内の電力消費量に対する自然エネルギー発電(太陽光、水力など)の自給率が2015年度に26・5%に達したことが、県のまとめで分かった。前年度を4・5ポイント上回り、20年度に自給率25%を目指す目標を5年前倒しで達成した。ただ、節電効果による電力消費量の減少や天候が好影響した水力発電の伸びが大きく、16年度も引き続き目標を上回れるかは微妙だ。
 県によると、15年度は全体の電力消費量が前年度比2・3%減の59億6200万キロワット時にとどまった。水力発電は2・4ポイント増の18・6%、太陽光が2・1ポイント増の7・2%とそれぞれ増加。風力は前年並みの0・7%。バイオマスは導入が進まず0%が続いている。
 太陽光は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で採算性が担保され、太陽光パネルの整備が順調に進んでいる。水力発電が増えたのは、例年雨が少ない冬場にもまとまった雨が降ったため。大きな発電施設の新設はなく、16年度以降は落ち込む可能性がある。
 県は15年12月にまとめた「自然エネルギー立県とくしま推進戦略」で自給率を20年度に25%、30年度に37%という目標を掲げる。県自然エネルギー推進室の岡島啓治室長は「16年度はバイオマス発電の増加を見込んでいる。引き続き省エネの推進、小水力発電などの普及に努めたい」と話している。

http://www.topics.or.jp/localNews/news/2016/12/2016_14816926667221.html

2016/12/14

EVトラクター 力強く 福知山・畑地区住民、大阪の会社と開発 田の耕し、小水力発電でエコ 実用化向け試運転【毎日新聞/京都】

2016年12月14日掲載
 福知山市夜久野町畑地区で12日、住民組織「畑七つの里づくり協議会」(越後正則会長)と大阪府豊中市のメーカーが共同で開発するEVトラクターの試作機が披露され、田を耕す運転も試された。協議会が取り組む環境やエコロジーをテーマにした地域活性化活動の一つ。メーカーは「半年後を目標に実用、量産化する技術を備えたい」と意欲的だ。【佐藤孝治】
 畑地区の7自治会で組織する同協議会は、水量の豊富な谷川が多い環境を生かし、地区内で2基の小水力発電装置を稼働させ、イベント時の電飾などに利用している。
 協議会によると、活動の話を聞いた豊中市の「EVジャパン」(西田長太郎社長)の人たちが今春視察に訪れ、交流する中で小水力発電で得た電気で動くトラクターを開発することになった。
 EVジャパンは、京都と大阪にある自動車関連会社が共同で設立した電気自動車の開発、製造会社。協議会副会長の中島俊則さん(73)が経営する会社にあった既製のトラクターを流用し、エンジンや燃料タンクなどを外してモーター2基とバッテリー4基、同社が独自開発した駆動装置を組み込んだ。
 EVは、排ガスが出ずビニールハウス内でも健康を気にせず使える。試運転では前日までの雨でぬかるんだ田でも力強く耕す事を証明した。試乗した近くに住む中島正治さん(73)は「震動がほとんど無く、楽に作業ができる」と話していた。
 試運転を見守った住民らからは重いバッテリーの配置場所などを指摘する声もあり、西田社長は「改良したい」と対応。協議会の中島副会長は「パワーもあり、電力消費も大丈夫で実用化の見通しはついたのでは。EVトラクターを大いに広めたい」と意欲を見せていた。
〔丹波・丹後版〕

http://mainichi.jp/articles/20161214/ddl/k26/040/414000c

2016/12/13

遊園地がメガソーラーに、島にはCO2の少ない石炭火力発電所【スマートジャパン】

2016年12月13日掲載
広島県では太陽光・小水力・バイオマスを利用した発電設備が拡大中だ。遊園地の跡地やゴルフ場の隣接地でメガソーラーが運転を開始した。山間部にある2つの川をつなぐ水路では小水力発電所が稼働した。世界で最先端の石炭ガス化発電所やバイオマス混焼発電所の建設も進んでいる。
[石田雅也,スマートジャパン]

 広島県の北部にある安芸高田市(あきたかたし)では、2008年までテーマパークの「広島ニュージーランド村」が営業を続けていた。自然が豊かな環境の中でヒツジやヤギと触れ合えることを売り物に、1990年に開園した当初は人気を呼んだものの、その後は入園者が減少して閉鎖に追い込まれてしまった。
 広さが100万平方メートルに及ぶ広大な跡地を利用して、「ウエストニュージーランド村ソーラーパーク」が2016年3月に運転を開始した。テーマパークの地形を生かして太陽光パネルを設置する一方、建物は保存して地域の住民に開放する予定だ。
 太陽光パネルの設置数は3万8000枚にのぼり、発電能力は9.6MW(メガワット)に達する。年間の発電量は1030万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると2900世帯分に相当する電力になる。発電した電力は固定価格買取制度で中国電力に売電して、年間に4億円強の収入を得られる計画だ。
 このメガソーラーから40キロメートルほど南に下ると、瀬戸内海に面してゴルフコースを備えたリゾート施設がある。ゴルフコースに隣接する3万平方メートルの敷地には、発電能力2MWのメガソーラーが2016年5月に運転を開始した。
 雨が少なくて日射量が豊富な瀬戸内式気候の特徴を生かして、年間の発電量は290万kWhを想定している。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は16%を超える水準になり、国内の太陽光発電の標準値13%を大幅に上回る。一般家庭で800世帯分の電力を供給できる。
 同様に瀬戸内海の沿岸部にある工業地帯の一角では、中国電力グループのエネルギア・ソリューション・アンド・サービスが「ESS福山太陽光発電所」を2016年4月に稼働させた。発電能力は7.2MWで、年間の発電量は980万kWhになる。このメガソーラーの設備利用率も15.5%と高い。隣接地には中国電力の「福山太陽光発電所」(3MW)が2011年から運転を続けている。

  2つの川のあいだに28メートルの落差

 沿岸部とは対照的に降水量の多い内陸部へ行くと、小水力発電の取り組みも活発だ。山に囲まれた北部の北広島町では、中国電力の99カ所目の水力発電所「芸北(げいほく)発電所」が2016年3月に運転を開始した。
 この小水力発電所は中国山地から流れてくる川に面して建っている。ただし発電に利用する水は別の川から取り込む。2つの川のあいだをつないで、2カ所のダムの水量を調整するための分水路が山の中を通っている。2キロメートルほどの距離がある分水路の途中に取水口と水槽を設けて、そこから水圧管路で発電所まで水を送り込む方式だ。
 水流の落差は28メートルになり、最大で毎秒2立方メートルの水を発電に利用できる。発電能力は430kWで、年間に220万kWhの電力を供給できる見通しだ。一般家庭の600世帯分に相当する。これまで分水路を流れる水はダムの水量を調整するために使われてきたが、新たに再生可能エネルギーの電力を生み出せるようになった。
 長距離にわたって敷設する水圧管路には一般的な鉄製ではなくて、高密度ポリエチレン樹脂で作った水管を採用した。鉄管に比べて腐食に強く、耐震性に優れている点が特徴だ。中国電力は芸北発電所で初めて採用した。軽量で施工しやすいうえに、市販品を利用できるために工事費が安く済むメリットもある。水車発電機には汎用的な横軸フランシス水車を導入した。
  県営のダムでも小水力発電の導入プロジェクトが始まっている。県内に10カ所あるダムを対象に発電事業の可能性を調査した結果、中部の東広島市にある「福富ダム」ならば採算がとれる見通しが立った。ダムの直下に発電所を建設して、ダムから下流に放流する水を取り込む方式だ。42メートルの落差で最大1.5立方メートル/秒の水量を利用できる。
 発電能力は370kWまで上げることが可能で、2017年度に運転を開始する予定だ。年間の発電量は200万kWhを見込んでいる。このうち180万kWhを固定価格買取制度で売電して、年間に5200万円の収入を得ることができる。一方で事業費に約4億円かかり、毎年の運転維持費に900万円を想定している。買取期間の20年間の累計では3.3億円の利益を出せる計画である。

  木質バイオマスを45%混焼する石炭火力発電所

 広島県の再生可能エネルギーは太陽光発電と小水力発電に加えて、バイオマス発電の導入量も増えてきた。固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始したバイオマス発電設備の規模は全国で11位に入る。その中でも林業が盛んな地域の資源を生かして、木質バイオマス発電の導入が進んでいる。
 木質バイオマスと石炭を混焼する大規模な発電所の建設プロジェクトがある。広島ガスがLNG(液化天然ガス)の基地の構内に、発電能力11万2000kWの「海田(かいた)バイオマス混焼発電所」を建設する計画だ。2017年に着工して、2019年に運転開始を予定している。
 地域の林地残材や海外から輸入する木質バイオマスを年間に26万トン利用する。さらにコストの安い石炭を32万トン、補助燃料として天然ガスを1~2万トン加える予定だ。バイオマスの混焼比率は45%になり、石炭火力発電で問題になるCO2排出量を抑制できる。最先端の発電設備でもCO2排出量は0.8kg-CO2/kWh(キログラム換算CO2/キロワット時)を超えてしまうが、6割以下の0.458kg-CO2/kWhまで低下する。
 石炭火力発電のCO2排出量を低減する試みは、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島(おおさきかみじま)でも進行中だ。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けて中国電力とJ-Power(電源開発)が共同で取り組む「大崎クールジェンプロジェクト」である。石炭をガス化してからガスタービンと蒸気タービンで2段階に発電するIGCC(石炭ガス化複合発電)の実証試験設備が2016年8月に運転を開始した。
 IGCCで発電効率を高めてCO2の排出量を減少させたうえで、排出したCO2を回収して再利用する。最終的には発電に伴って発生する水素まで回収して、燃料電池でも発電するIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)へ進化させる構想だ。
 IGFCの実証運転を2021年度まで続けた後に、2025年をめどに発電設備を大型に拡張できる技術を確立する。この時点で発電効率(燃料の熱エネルギーを電力に変換できる割合)は55%に達して、最新のLNG火力発電と同等の水準になる見通しだ。広島県が次世代の石炭火力発電の技術開発をけん引していく。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1612/13/news016.html

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