2013/12/26
栃木県は県内の河川のうち、小水力発電に適した地点を調査した結果を公表した。発電出力や年間発電量と併せて、事業費や投資の回収に要する期間などの数値もある。2014年1月から発電事業者を募集する予定だ。[畑陽一郎,スマートジャパン]
栃木県は2013年12月、水力発電の事業者を募るために、発電に適する県内の有望地点を公開した(図1)。「河川活用発電サポート事業」の一環として実施したものである。
県内には水力発電の利用可能量(賦存量)が多く、県自ら調査を進めることで、導入量拡大をもくろむ。2014年1月ごろをめどに、公表した地点について県がサポートする発電事業者を募集する予定だ。
公表結果によれば、導入可能な出力規模は全て小水力に該当する。9河川の15地点が有望であるとし、出力として19~473kWを期待できるという(図2)。
具体的には、栃木県鹿沼市を流れる3河川(思川、黒川、大芦川)に、4つの有望な地点があり、想定発電出力は19~383kW。栃木県日光市を流れる6河川(渡良瀬川、餅ヶ瀬川、庚申川、内籠川、神子内川、熊野沢)に11の有望地点があり、想定発電出力は26~473kWである。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1312/26/news034.html
2013/12/25
JR西日本は26日、鉄道トンネルの湧水を利用した小水力発電に取り組むと発表した。来年1月中旬から検証試験を開始する。
2013/12/25
農業用水などを利用し、水車を回して電気をつくる「小水力発電」施設の計画が新潟県内で広がっている。県内では、魚沼市などで新たな施設の設計が進むほか、普及に向けた検討組織も相次いで立ち上がった。農業用水の豊富な新潟は小水力発電が普及する可能性は大きいとされるが、導入コストが大きいため、採算性の面では課題も残る。
現在、南魚沼市と津南町で、最大出力がそれぞれ3キロワット、9.9キロワットの発電設備が実証試験中だ。2013年度中には、県が関わる農業水利施設などを活用した小水力発電設備の設計計画が魚沼市など5カ所で進む。
自治体や農業用水などを管理する「土地改良区」が実施主体となり、水の落差や流れを利用して発電する。最も進んでいる魚沼市土地改良区では14年度中に設備を設置する見通しだ。同設備は出力が55キロワットと試験中の設備に比べて大きい。
新潟県は主要な農業水路の延長距離が北海道に次ぐ全国2位の2681キロメートル(09年度)と小水力発電が広まる素地がある。こうした背景から県は8月、有識者などでつくる「農業水利施設を活用した小水力等利用促進検討会」を立ち上げた。
検討会は県内で小水力発電に適した場所を10地点ほど調査しており、導入の可能性を探る。民間や市町村、土地改良区を中心とした協議会も設立され、各機関が連携して普及を進める考えだ。
小水力発電施設は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を活用した売電だけでなく、農業用ハウスの照明など農家での自家消費のニーズも高い。河川法の改正に伴い、12月から農業用水を利用して小水力発電を導入する際、国や都道府県からの許可が不要になり、登録だけで済むようになった。従来は水を実際に利用できるようになるまで5カ月かかったが、法改正で1カ月に短縮されるなど、制度面でも追い風が吹く。
ただ、採算が合うかは不透明な部分もある。発電機の導入コストは100キロワットの場合1億円程度とされるが、「実際にはさらにコストがかかる場合もある」(県農村環境課)という。太陽光発電パネルと異なり量産化が進まず、「特注品」になることが多いためだ。
新潟県は水資源が豊富な一方で、土地の制約上、「設置できるとすれば100キロワット以下の発電機が多い」(同)という。規模が小さければ収益性も低くなる。実験の域を抜け出し、本格的な普及が見込めるかは不透明な部分も残る。
2013/12/25
中部電力は、水力発電所の発電機の冷却水量を減らして発生電力量を増やす手法を開発した。熱が発電機の余寿命に与える影響を精査した結果、メーカーの推奨値より高温にしても実用上に問題はないと判断。減らした分の冷却水量を発電用水に回して増電につなげた。この手法を導入できる可能性がある同社水力すべてに適用した場合、想定増電量は年間200万キロワット時超と、メガソーラー(大規模太陽光発電所)2基分に相当すると試算している。
◆200万キロワット時上乗せも
この取り組みは、飛騨電力センター(岐阜県下呂市、樋口一成所長)エリアの久々野水力発電所(岐阜県高山市、3万8400キロワット)で行われた。この久々野水力と同型となる2万~3万キロワット以上の縦軸型の水力発電所は、中部電力エリア内に59カ所ある。久々野水力のように技術的課題や河川法をクリアでき、全社大に展開できるかの検討が現在進められている。
久々野水力の冷却水量は従来、毎分3200リットルだった。そこから水量を減らすにあたり、発電機コイルの温度が上昇し続けないことや、発熱が周辺機器に影響を与えないことなどを考慮し、900リットル削減の2300リットル(28%減)で運用。年間増電量は、約30世帯分にあたる11万1439キロワット時の効果が出た。
◆水、無駄にせず
そこからさらなる改善として、年間を通して冷却水量を一定にする必要はないと考えた。外気温や水温が低い時期はもっと削減できるとし、11~6月を季節運用期間と定めた。検証の結果、期間中は毎分1600リットルと当初から半減。年間の増電量は17万1402キロワット時で、約50世帯分に相当する効果だ。実証に参加した飛騨電力センター発変電課の南壽秀俊氏は「水一滴も無駄にしないよう、攻めの姿勢でさらに利益を出していきたい」と話した。
従来、運転温度と温度上昇警報値の幅は10度を確保していた。この幅を冷却水を減らすにあたり3度まで引き下げたが、同課の水口利彦副長は「実績を積み上げれば、もっと幅を狭くできそう」と、引き続き改善を推進する姿勢だ。
◆落ち葉きっかけ
そもそも実証のきっかけは、水圧鉄管内で冷却水のごみをとる「ストレーナ」の落ち葉詰まりだった。久々野ダムは落葉が多く、久々野水力では毎年秋に4~5回ほど断水して掃除していた。ストレーナが詰まると冷却水が減り、設備故障につながりかねない。掃除は手間がかかるだけでなく、発電が止まるため収支に悪影響を及ぼす。
それら課題を解決するため、水の流速に注目した。ストレーナは、冷却水用に水を送るところに位置する。冷却水は水量と流速が一定だったため、発電用水側の流速を上げれば落ち葉が詰まりにくくなると考えた。この検討を進めていく中で、冷却水量の削減という発想が生まれた。
保守の負担を減らす目的から、冷却水量の削減という新たな視点に着目し、電力量の増電につながった。
同課の池戸貴義氏は「考え方一つで、全然違う結果。発想の転換だった」と話す。冷却水量の削減は発電所でバルブを操作して行うため「設備投資をせず増電できた」ことの意義も強調している。
紙面より転載
2013/12/21
産業機械製造の北陸精機(魚津市)は、農業用水などを利用した高出力型水力発電装置 の開発に乗り出した。水の流れを工夫して効率的に水車を回す「クロスフロー型」で、今 年度中の完成を目指す。 落差5メートル以上の導管を経た水が、水車の外周と内部を通ることで、強い回転力を 与えて発電させる。出力は50~300キロワットを想定している。同社によると、同型 の発電装置を製造しているのは、日本で数社しかない。
同社は2010年に出力50キロワット以下の小型水力発電装置を発売している。らせ ん状の水車を使った設備で、これまで全国で15機ほどを納入してきた。現在ミャンマー の農村で設置できないか調査しており、新型のクロスフロー型とともに海外への売り込み 強化を図る。