2014/03/09
津幡町は今月中旬から、石川高専と共同で、同町市(いちの)谷(たに)に小水力発電 機を設置する。町の再生可能エネルギー導入研究の一環で、市谷に整備された地滑り防止 用の排水溝から出る水を利用する。将来的には地元の街灯や、イノシシなど猛獣よけの電気柵など
再生可能エネルギーによる地域おこしを学生に手掛けてもらおうと、町が依頼した。小 水力発電機は、石川高専機械工学科の5年生10人が設計し、完成させた。幅1・3メー トル、高さ1・5メートルの大きさで、水車を回転させ発電する仕組みとなっている。発 電機から電力や回転数などの情報を無線で発信させ、水車の状態を確認できる。
市谷には地滑りを防ぐために雨水を吸い取る「集(しゅう)水(すい)井(い)」と呼 ばれる穴が20カ所あり、地下を伝うパイプを通して川に排水される。計画では、集水井 の水を発電機に利用し、当面は1機で課題がないか検証する。降水量が多い夏場に発電量 が増加すると見込んでいる。
2月には住民説明会が開かれ、石川高専の原田敦史助教が発電機の仕組みや利点を説明 した。前田義裕市谷区長は「クリーンエネルギーが地元の活性化につながってくれればう れしい」と話した。
2014/03/07
下水処理施設で大量に放流される処理水を有効活用した小水力発電の実証実験が、秦野市上大槻の市浄水管理センターで近くスタートする。東日本大震災を受けて再生可能エネルギー導入を進める市の取り組みの一環。発電した電力は敷地内の健康増進施設で活用し、市は「環境に優しいエネルギーの地産地消を進めたい」と意気込んでいる。
同センターは、毎日約3万2千トンの下水を処理する浄水施設。市は2月、消毒処理した後に金目川に流す前の水を利用する流水式の小水力発電装置を消毒棟に設置した。
市環境保全課によると、小水力発電の導入は市内で初めて。水が装置のある最大落差1・4メートルの場所を通過し、装置内の直径約40センチの水車2基を回すことで、最大約1・8キロワットの電力を生み出す想定だ。年間の発電量は、一般家庭3世帯分に当たる約1万5千キロワット時になる見込み。
発電した電気は同じ敷地内にあるトレーニングルームや多目的室、和室、保育室などを備えた健康増進施設「市中野健康センター」で利用し、同施設の使用電力の2割程度を賄えると見込んでいる。
電気工事費などを含めた総事業費は約1450万円。市は今月10日ごろから実証実験を始め、発電できる電力量や経費削減効果などを調べる。さらに、市民が見学できるコースも整備する予定。
同課の担当者は「実証実験で発電に必要な流量などのデータを収集し、他の公共施設でも小水力発電ができるかどうかを検討していきたい」と話している。
2014/03/07
福井県境にある郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)は、標高950メートルの峠を越えたところにあり、「秘境」とも呼ばれる。自然エネルギーを生かした地域づくりで全国的に注目を集め、今春からは本格的な小水力発電所の設置に踏み出す。
「白山中居神社」がある石徹白は、白山信仰とともに歩んだ長い歴史と文化を持つ。一晩に1・5メートルの雪が積もることもある豪雪地帯で、現在の人口は約270人。50年間で4分の1に減った過疎地区だ。
地区を存続させる取り組みの一つが、豊富な自然資源に着目した小水力発電だ。2007年から力を入れてきた。手掛けるのはNPO法人「地域再生機構」副理事長の平野彰秀さん(38)らで、これまで地区内3カ所に出力合計約3キロワットのマイクロ水力発電を設置してきた。早くから地域で取り組み、再生可能エネルギーが注目された東日本大震災以降は全国的に知られるようになった。
2014/03/05
京都市は2014年度から、農業用水路や河川の多い右京区京北地域で小水力発電によるエネルギー地産地消に取り組む。市は小水力発電を「採算性が 低い」として導入を断念した経緯があるが、原発依存度を下げるためあらゆるエネルギーの可能性を探ることが必要と判断。京北出張所を中心に獣害対策用電気 柵への電力供給を用途に検討を始めた。
市は10~11年度、市内約30カ所で小水力発電の導入可能性調査を実施。いずれも河川の流量や水の落差が不足して発電量を確保できず「初期投資の回収に100年かかる」として、売電による事業化は困難と判断、施設整備や助成制度創設を断念していた。
京北地域は川の流量は多くはないが、延長2キロ以上の河川が43本あり、農業用水路も張り巡らされる。用水路から田畑への引水のため以前より水車も活用されている。京北出張所がこれに注目し、地域の消費電力の一部を水力でまかなう可能性を探ってきた。
電力の用途は獣害対策として田畑を囲う電気柵を想定する。京北ではシカやイノシシの農業被害が深刻で、05年度以降農地に設置された電気 柵は延べ50キロ以上に及ぶ。電源は自宅コンセントや発電機で充電した蓄電池が主流で、小水力発電の導入で各農家の負担も減り地元での環境教育への活用も 期待できるという。
一方、導入には設置コストと維持管理に課題がある。発電施設は水路や川の深さと幅に合わせて1台ずつ設計するため高価で、落ち葉やごみなどが詰まらないよう管理も不可欠だ。
京北出張所の片山博昭所長は「小水力活用に前向きな住民もおり、今後は運営主体をどこが担うかなど検討を重ねたい。川と向き合い暮らしてきた山間地から、エネルギー地産地消のモデルを示したい」としている。
2014/03/05
京都市は2014年度から、農業用水路や河川の多い右京区京北地域で小水力発電によるエネルギー地産地消に取り組む。市は小水力発電を 「採算性が低い」として導入を断念した経緯があるが、原発依存度を下げるためあらゆるエネルギーの可能性を探ることが必要と判断。京北出張所を中心に獣害 対策用電気柵への電力供給を用途に検討を始めた。
市は10~11年度、市内約30カ所で小水力発電の導入可能性調査を実施。いずれも河川の流量や水の落差が不足して発電量を確保できず「初期投資の回収に100年かかる」として、売電による事業化は困難と判断、施設整備や助成制度創設を断念していた。
京北地域は川の流量は多くはないが、延長2キロ以上の河川が43本あり、農業用水路も張り巡らされる。用水路から田畑への引水のため以前より水車も活用されている。京北出張所がこれに注目し、地域の消費電力の一部を水力でまかなう可能性を探ってきた。
電力の用途は獣害対策として田畑を囲う電気柵を想定する。京北ではシカやイノシシの農業被害が深刻で、05年度以降農地に設置された電気 柵は延べ50キロ以上に及ぶ。電源は自宅コンセントや発電機で充電した蓄電池が主流で、小水力発電の導入で各農家の負担も減り地元での環境教育への活用も 期待できるという。
一方、導入には設置コストと維持管理に課題がある。発電施設は水路や川の深さと幅に合わせて1台ずつ設計するため高価で、落ち葉やごみなどが詰まらないよう管理も不可欠だ。
京北出張所の片山博昭所長は「小水力活用に前向きな住民もおり、今後は運営主体をどこが担うかなど検討を重ねたい。川と向き合い暮らしてきた山間地から、エネルギー地産地消のモデルを示したい」としている。