2014/04/22
中部電力グループのシーテック(愛知県名古屋市)は、21日、中部電力の秋神ダム(岐阜県高山市)直下に、ダムの落差と河川環境を維持するための放流水を有効利用した維持流量発電所「秋神水力発電所」を開発すると発表した。同社にとって初の水力発電事業となる。
秋神水力発電所は、既設維持放流管から分岐して新設する発電用水圧鉄管に維持放流水を導水して、新設する水車・発電機にて発電する。発電後の流水は 現状と同様に既設排砂路に放流する。維持流量発電所は再生可能エネルギーの一層の推進につながるとともに、小規模な設備建設で済むことから、早期の開発が 可能。
2014/04/18
東京都水道局は管理する給水所や浄水場で、設備改修と同時に小水力発電設備の導入を進めている。2013年度は、葛西給水所で出力340キロワットの発 電機が稼働。今後も14年度に新桧村浄水所(7キロワット)、16年度に江北給水所(80キロワット)などの導入計画を持つ。水道局では直近の目標として 16年度までに小水力、太陽光発電合わせて、出力1万キロワットを掲げており、再生可能エネルギーの普及や水資源の有効活用を推し進めている。
東京都水道局は3月、14年度から23年度までの「東京水道エネルギー効率化10年プラン」を策定した。高度経済成長期に整備・拡張させてきた施設・機 器が一斉に更新時期を迎えることを踏まえたプランで、更新を機に送配水など水道システムをエネルギーの観点から見直す。目標には「既存水道システムのエネ ルギー使用の20%効率化」を掲げており、具体策として、ポンプの効率化などを挙げている。
小水力発電の導入は、送配水の余剰圧力などを有効活用する狙いで、プランに記載。このほかエネルギー関連では、太陽光発電機の設置についても記載している。
小水力発電については、12年度までに4カ所計1885キロワットの出力を積み上げてきた。このうち東村山浄水場は00年に配備。出力は1400キロ ワットで同施設の約25%の電力を賄ってきた。このほか、南千住給水所(95キロワット)、亀戸給水所(90キロワット)などにも配備してきた。
今後は、新桧村浄水所、江北給水所以外に、上北沢給水所(90キロワット)、境浄水場(900キロワット)、玉川給水所、有明給水所(2カ所計63キロワット)での設置が計画されている。
改修、新設の際は、あらかじめ水力発電機の設置スペースを確保し、効率的な導入に努めている。設置する発電機は、地形の高低差による位置エネルギーや未 利用になっている余剰圧力を有効活用する。発電した電力は東村山のように所内で利用する場合だけでなく、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を 活用した売電も検討している。
一方、太陽光の導入も進む。今年度、金町浄水場(490キロワット)、楢原給水所(250キロワット)での設置を計画。このほか、23年度までに20カ所を超える水道関連施設に導入する予定だ。
水道施設への再生可能エネルギーの導入は「自治体では先進的」(東京都水道局)。担当者は「現在、太陽光と水力合計で出力は7900キロワット程度。まずは16年度までの目標に向けて着実に取り組んでいきたい」と意気込んでいる。
本紙より転載
2014/04/18
関西電力は17日、黒部川水系に新設する出し平発電所(540キロワット)建設工事の安全祈願祭を行った。同水系の下流に位置する宇奈月神社(富山県黒部市)に関電北陸支社の吉津洋一支社長ら関係者が集まり、工事が無事に進められるよう祈願した。出し平発電所の建設工事は今月下旬に着工し、来年12月に完成する予定だ。
関電は黒部市宇奈月町に出し平ダムを所有する。河川環境を維持するため、同ダムから一定量を放流している。この放流水を有効活用するために出し平発電所が建設される。
同発電所は有効落差が37・29メートルあり、最大で毎秒1・76立方メートルの水量を使う。水車タービンは1基で、年間の発電電力量は229万キロワット時を見込んでいる。稼働を開始すると、年間で1100トンの二酸化炭素(CO2)排出削減につながる。
関電は水力発電所の新設や設備更新によって水力の出力増を計画的に進めている。その一環として、昨年12月には新黒薙第二発電所(1900キロワット)が営業運転を開始している。
本紙より転載
2014/04/18
岐阜県は、16日、治水ダムである県営阿多岐ダムにおける従属発電「阿多岐水力発電所」について、中部電力から河川管理者の県に対して改正河川法に基づく申請があり、4月11日(金)に同県初の登録を行ったと発表した。
なお、同県は中部電力所有の発電ダムである矢作第二ダムの放流水を利用した従属発電「新串原水力発電所」についても登録申請があり、同11日付けで登録を行った。
2014/04/17
全国各地に小水力発電が可能な水流はあるものの、国や自治体の許可を得なければ発電設備を設置することができない。河川法の改正により、既存の水流を活用する「従属発電」の手続きが簡単になった。中部電力は2015年に運転を開始する2カ所の小水力発電所を岐阜県で初めて登録した。
[石田雅也,スマートジャパン]
2013年12月に河川法が改正されて、「従属発電」の手続きが許可制から登録制へ変わった。従属発電は既存の水流をそのまま利用する小水力発電が対象になる(図1)。農業用水のほか、ダムから下流に放流する「維持流量」が従属発電に該当する。これまで5カ月程度かかっていた水利権の取得手続きが1カ月程度で済み、小水力発電を実施するまでの期間が大幅に短くなる。
中部電力は岐阜県で初めての従属発電の登録を4月11日に申請した。5月に着工する予定の「阿多岐(あたぎ)水力発電所」と「新串原(しんくしはら)水力発電所」の2カ所である(図2)。いずれもダムからの維持流量を利用した小水力発電設備で、2015年6月に運転を開始する計画だ。従来は2015年度中の運転開始を予定していたが、従属発電の登録によって時期を早めることができた。
阿多岐水力発電所は県営の「阿多岐ダム」の維持流量を活用する(図3)。発電規模は190kWで、年間の発電量は130万kWhを見込んでいる。一方の新串原水力発電所は中電力が管理する「矢作(やはぎ)第二ダム」からの維持流量を利用して、220kWの電力を供給する。年間の発電量は170万kWhを想定している。2カ所の発電量を合わせると一般家庭で830世帯分の電力使用量に相当する。
小水力発電所が運転を開始すれば、岐阜県は中部電力から流水占用料を徴収することができる。今後も再生可能エネルギーの導入拡大と収入の増加を図るために、県内の他のダムでも従属発電を促進していく。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1404/17/news020.html