2014/05/23
東北電力福島支店(田苗博執行役員・支店長)は22日、河川維持流量を利用する同社初のケースとなる飯野発電所(福島市、230キロワット)の新設工事を報道陣に公開した。水車発電機の据え付けを終え、現在は一部の配電盤の設置、制御ケーブルの接続などを実施している。工事は大詰めに差し掛かっており、6月下旬に営業運転を開始する予定だ。
5月20日現在の総合進捗率は84・4%。ケーブル類の接続を終えた後、無水試験・有水試験に順次移行する。
同発電所は、蓬莱発電所(福島市、3万8500キロワット)の取水用に建設された蓬莱ダムから河川環境維持を目的に阿武隈川へと放水される毎秒約3トンの一定流量を活用する。他の水力に比べ、年間を通じて取水量の変化が少ないことから、高い設備利用率が期待できるという。
発電所はダム右岸に隣接する蓬莱発電所用の5カ所の取水口の一つに接続。地下14メートルに水車発電機を据え付けた。
東芝製の横軸プロペラ水車を採用。発電機と合わせた大きさは長さ2・5メートル、幅1・7メートル、高さ3・2メートル。重量は8・6トン。工事エリアが狭いため、工場で組み立てたものをパッケージ導入し、コスト削減、現場作業の省力化につなげた。
有効落差は9・57メートル。発電電力量は一般家庭約500世帯分の消費電力量に相当する年間約170万キロワット時、二酸化炭素(CO2)の削減効果は年間950トンをそれぞれ見込んでいる。
新設工事は昨年5月にスタート。当初は今年2月に運転を開始する予定だったが、掘削工事で岩盤が予想以上に強固なことが分かり、既設の蓬莱発電所への影響も考慮した結果、約4カ月間延期していた。
同日は飯野発電所と併せて蓬莱発電所の発電機なども公開した。田苗支店長は報道陣に対し「地域に親しまれる発電所になるよう努めていく。当発電所は河川維持流量を使う初の事例。今後も未利用エネルギーの活用に力を入れていきたい」と話した。
5つある蓬莱発電所用の取水口の一つに接続する飯野発電所。写真中央の地下に水車発電機を設置した
紙面より転載
2014/05/23
小水力発電は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の対象で、高低差と豊富な水量が確保できる山間部が適地とされている。再生可能エネの普及を目指す徳島地域エネルギーは、砂防ダムを活用できる東蝉谷川に目を付け、農水省の補助金を受けて2013年9月から水量などのデータ測定を続けている。調査は14年9月まで行い、事業が可能かどうか判断する。
データ測定と並行して、13年11月から木頭地区で小水力に関する講演会を2回開いている。14年3月には、04年から出力190キロワットの小水力発電事業に取り組んでいる熊本県の旧清和村(現山都町)の兼瀬哲治元村長を招き「現在は年間3400万円の売電収入がある」「小水力は山間地のマイナスをプラスにできる」と助言を受けた。
徳島地域エネルギーは発電事業の立案、計画までを担い、事業運営は地元組織や企業に引き受けてもらう手法をとっている。このため木頭地区の農業者や那賀町と会合を開き、運営会社の設立を検討している。
徳島地域エネルギーの森英雄参事は「売電の収益は地域に人が残る手助けになるはず」と話す。
四国経済産業局によると、県内では13年12月末時点、売電している200キロワット以上の小水力発電設備はない。
【写真説明】小水力発電が検討されている東蝉谷川の砂防ダム=那賀町木頭助
2014/05/23
愛知県内で2014年度、農業用水を利用した小水力発電導入の検討が新たに4カ所で始まる。また、水資源機構が事業主体の4カ所では工事に着手する予定だ。これにより、県内で小水力発電の導入に取り組む地区はすでに稼働を開始した地区を含め25カ所となる。
2014/05/21
東日本地域の業容拡大
明電舎は5月13日、水力発電への対応強化を目的として、水力発電システム対応の専門の営業・技術・生産・開発を統括する組織を設置するとともに、小容量の領域に注力するため、この分野を得意とするイームル工業との連携を強化すると発表した。
イームル工業は、中小容量の水車メーカーとして中小水力発電技術を強みとしており、西日本を中心に事業を展開している。
明電舎は今後、イームル工業との技術面での相乗効果を期待できるとして、連携を強化し、東日本地域への業容拡大を図る。
2017年度60億円
明電舎は1900年代初頭頃から、国内電力会社、企業局および自治体、さらには海外においても数多くの水力発電設備を納入しており、今後はこれらの更新需要の増加が予想される。
同社は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、特に小水力発電システムの需要拡大も期待できるとしており、小水力発電システムの向上を図るため、同社は可変速制御技術と組み合わせた自立運転可能なか変速型小水力発電機の開発を進めている。
また、イームル工業と連携することで、水車の効率向上、小型化、低コスト化を目的とした製品開発を共同で行う。
同社は今後、イームル工業の株式を追加取得するとともに、技術開発面を中心に、人的面、営業・サービス面での効力関係を強化し、この分野で2017年度60億円の受注を目指していくということだ。
2014/05/21
山口県の北部を流れる阿武川の途中に、水量を調整するための小規模なダムがある。そのダムから取り入れる落差4メートルに満たない水流を使った小水力発電所が運転を開始した。「サイフォン式」の取水設備を導入して、低い落差でも発電用の水量を増やすことができる。
[石田雅也,スマートジャパン]
山口県の内陸部から日本海に流れる阿武川(あぶがわ)には、大規模な阿武川ダムがあって、県営の新阿武川発電所が1万9500kWにのぼる大量の 電力を供給している。その阿武川ダムから下流に5キロメートルほどの場所に「相原ダム」がある(図1)。河川の水量を調整するための小規模なダムで、下流 との高低差はわずかしかない。
その低い落差の水流を利用した小水力発電所が5月18日に運転を開始した。山口県の企業局が運営する「相原発電所」で、発電に利用できる水流の落 差は最大でも3.87メートルである。低い落差から最大限の水量を発電設備に取り入れるために、「サイフォン式」と呼ぶ取水設備を採用した。
サイフォンの原理は管でつないだ2カ所のあいだで、圧力によって液体が低い位置から高い位置へ流れる現象である。コーヒー用のサイフォンが有名だが、小水力発電でも落差の小さい水流を効率よく取り入れる方法として利用することができる(図2)。
相原発電所ではサイフォン式の取水設備を活用して、毎秒3.2立方メートルの水流を水車に送り込み、82kWの電力を供給することが可能だ(図 3)。年間の発電量は33万kWhになり、一般家庭で90世帯分の電力に相当する。発電した電力は全量を中国電力に売電して、年間に1100万円程度の収 入を得ることができる。事業費は1億3500万円で、運転維持費を加えても買取期間の20年間で利益を見込める。
山口県は再生可能エネルギーの導入を促進するためのモデルとして相原発電所を建設した。県営では初めての小水力発電所である。今後さらに県内の各地に小水力発電を広めていく計画だ。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1405/21/news023.html