2014/06/25
北海道電力が平成24年5月から建設していた小水力発電設備、「ユコマンベツ発電所」が6月20日に竣工し稼働した。同発電所は、江卸発電所(最大出力1万3800kW)の取水設備を一部改良し、既設の取水堰から取水している河川水と導水路の落差(66.10m)を利用して発電する。最大出力は690kW、年間発電量は約420万kWで、同社では年間約1500tのCO2排出削減効果も見込んでいる。
2014/06/25
新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は、平成26年度補助事業として「中小水力・地熱発電開発費等補助金(中小水力発電開発事業)」に係る公募を実施し、交付先を決定した。
水力発電は安定的で環境負荷の少ないエネルギーとして開発が急かれるが、中小水力発電は開発地点の小規模化・奥地化に伴い建設単価が増し、発電原価が割高になる等の課題があった。
このため、NEPCは経済性の劣る中小水力発電施設の設置等に要する建設費の一部を補助することにより、初期発電原価を引き下げることで開発の促進を図る。
2014/06/25
北海道電力は水力発電所に水を引くために使われてきた導水管を再利用し、新たに出力690kWのユコマンベツ発電所を立ち上げた。投資効率が高く、安定した発電が可能だ。
[畑陽一郎,スマートジャパン]
水力発電の可能性は大きい。大規模なダムが必要なものばかりではない。農業用水路などに流れる水があれば発電が可能だ。このような小規模な水力発 電を「小水力発電」と呼ぶ。個人や小規模な企業が導入することも可能だ。流れ下る水を使うため、水量が多ければ多いほど、落差が大きければ大きいほど発電 量は増える。
規模の小さな水力資源は各地に残されている。電力会社が管理、運営する施設の中にも利用されていない水力資源があるのだ。
北海道電力は2014年6月、「ユコマンベツ発電所」(北海道東川町)の営業運転を開始したと発表した(図1)。未利用河川水を使った流れ込み 式・水路式の中小水力発電所だ。認可出力は690kW、年間発電電力量は約420万kWhであり、これは一般家庭1400軒分に相当するという。
ユコマンベツ発電所が取り入れる未利用河川水の源は、北海道の中央にそびえる大雪山だ。大雪山から西に流れ下る2本の川を利用する。湧駒別(ゆこまんべ つ)川とピウケナイ川だ(図2)<sup>*1)</sup>。 2つの川には高低差があり、ピウケナイ川の方が低い位置を流れている。ピウケナイ川にはピウケナイ取水堰(せき)があり、下流の江卸(えおろし)発電所に 水を送っている。高い位置を流れる湧駒別川の水を間接的に江卸発電所に送るために、湧駒別川からピウケナイ川に向かう「導水路」が長年利用されてきた。
*1) どちらも忠別川の支流であり、忠別川は旭川市で石狩川に流れ込む。
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導水路を流れる水から電力を引き出す</h4>
この導水路を流れる水が未利用河川水そのものだ。水量はもちろん高低差もある。そこで、2012年5月に既存の導水路を一部利用するユコマンベツ発電所と付帯設備の建設が始まった。
導水路の上流側はそのまま再利用した。途中に水槽を設け、長さ約96mの水圧管路を新設した。水量が多くなりすぎたときに水を逃がす余水路は既存 の導水路そのものだ。水圧管路の水は余水路と放水路に分かれ、放水路に流れた水がユコマンベツ発電所で発電に使われる(図3)。
最大使用水量は1秒間に1.30m<sup>3</sup>、有効落差は66.10mあり、この水が発電所内に据え付けた1台の横軸フランシス水車を回し、三相交流同期発電機によって電力を生み出す。
ユコマンベツ発電所は効率のよい発電所だ<sup>*2)</sup>。「設備利用率は約70%である」(北海道電力)。「今 回の総事業費は約7億円であり、法定耐用年数である40年間、利用する。その後も保守や維持管理によって発電の継続が可能だと考えている」(同社)。
*2) ユコマンベツ発電所と同じ年間発電量を太陽光発電システムで得ようとすると、出力4MWの設備が必要だ。6万 m<sup>2</sup>の土地の他、部材費と工事費を合わせて事業費は10億円程度に上がる。さらに大規模な太陽光発電シス テムは40年間の発電が実証されていない。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1406/25/news040.html
2014/06/23
11月20日~22日の3日間、長野市において「第5回 全国小水力発電サミットin長野」が開催される。同サミットは、小水力発電の更なる普及促進を図るため、全国の小水力発電に取り組む自治体、学識経験者、農業関係者、企業等が集まり、先進事例の紹介や地域における課題等に関する議論や情報交換を行うもの。
今回は「活かそう豊かな水資源~自然エネルギーが拓く地域の未来~」をテーマに、1日目は、植田和弘氏(京都大学大学院教授)の基調講演、有識者によるパネルディスカッション、2日目は、6つに分かれての分科会、2日目、3日目は、小水力発電所等の現地視察が行われる。会場はホクト文化ホール(長野市)ほか。7月を目途に参加者の募集を開始する予定。参加費は2,000 円。
2014/06/21
住友共同電力(本社・愛媛県新居浜市)が高知県土佐郡大川村小麦畝に建設していた小水力発電所「大平発電所」(最大出力150キロワット)が20日までに完成した。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まった2012年7月以降、高知県内で小水力発電所(最大出力千キロワット以下)の新稼働は初めて。
大平発電所は、住友共同電力が大川村上小南川の吉野川で運営する水力発電所「高薮発電所」(最大出力1万4300キロワット)の上流約3キロ。支流の志遊美谷(しゆみだに)川と小北川の合流地点に水槽を設け、約29メートルの落差で発電する。