過去に投稿された記事の一覧です。

2014/07/24

小水力発電に関心 台湾の農業関係者、美馬・夏子ダムを視察【徳島新聞】

台湾の農村振興に携わる「台湾農田水利会連合会」の職員19人が23日、美馬市を訪れ、同市脇町の夏子ダムに県が整備している小水力発電設備などを見学した。

 連合会の職員は10月の稼働に向けて完成した発電設備に興味津々の様子で、設備の概要などを次々と質問。県西部県民局の担当者が河川環境を保つために放流する維持用水を利用し、最大29キロワットを出力できることなどを説明した。連合会の会長は「学んだことを台湾での技術向上に役立てたい」と話した。

 連合会は農業用水の利活用を学ぶため1994年から毎年2、3回のペースで訪日しており、美馬市には初訪問。22日に来日した一行は、28日まで兵庫や高知などの小水力発電設備を視察する。

【写真説明】県が整備している小水力発電設備を見学する台湾農田水利会連合会の職員
(右側)=美馬市脇町の夏子ダム

2014/07/22

南アルプスからの清流で小水力発電、エネルギー地産地消の先進モデル【スマート・ジャパン】

山梨県では2050年までに県内の電力需要をすべて再生可 能エネルギーで供給する「地産地消戦略」を推進中だ。中心になるのが太陽光と水力である。高い山が連なる山間部では官民連携や市民共同出資による小水力発 電所が次々に運転を開始した。全国でも先進的な取り組みとして注目を集める。石田雅也,スマートジャパン
3000メートル級の山々に囲まれた山梨県は再生可能エネルギーの宝庫でもある。富士山のふもとになる県の南部や、南アルプスが連なる西部には、数多く の水力発電所が稼働中だ(図1)。現在でも県内の電力需要(60億kWh)の約3割を水力発電でまかなうことができる。

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図1 山梨県内の再生可能エネルギーによる発電所(画像をクリックすると拡大)。出典:山梨県エネルギー局

さらに2050年までに水力発電と太陽光発電を拡大して、電力需要の100%を再生可能エネルギーで供給する構想を進めていく。県内に広がる農業用水路を生かした小水力発電の導入が活発に始まっていて、その実現方法は全国の自治体から注目を集めている。

小水力発電は他の再生可能エネルギーと比べて採算性が低くなりがちだ。山梨県では小水力発電所を効率的に建設する方法として官民連携プロジェクト に取り組んでいる。代表的な事例が北西部の北杜市(ほくとし)で2012年に運転を開始した3カ所の小水力発電所である(図2)。隣の長野県で水力発電事 業を展開する三峰川(みぶがわ)電力と北杜市がパートナーシップを組んで、共同で開発計画を推進してきた。

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図2 官民連携による小水力発電所の展開計画。出典:山梨県エネルギー局

このプロジェクトで最大の特徴は、北杜市が運営する既設の小水力発電所と同じ農業用水路に3カ所まとめて建設したことにある。水車発電機も同じタ イプのものを設置して、建設・運営コストを削減した(図3)。3カ所とも山間部を流れる農業用水路の50メートル前後の落差を生かして、 200~230kWの電力を供給することができる。

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図3 北杜市の小水力発電所の水車発電機・取水口・建屋。「北杜西沢発電所」(上)、「北杜川子石発電所」(中)、「北杜蔵原発電所」(下)。出典:三峰川電力

既設の発電所を含めて4カ所の発電の仕組みは同じだ。最初に設置した市営の「北杜市村山六ヶ村堰水力発電所」の設備を見ると、用水路の高い地点に 取水口を設けて、そこから地中に水圧管路を埋設する方法をとっている(図4)。用水路の低い地点まで水圧管路でつないで、発電所の中にある水車発電機に水 を送り込む。発電に利用した水は用水路に放流して戻すため、下流の水量には影響を及ぼさない。

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図4 「北杜市村山六ヶ村堰水力発電所」の構造(画像をクリックすると拡大)。出典:北杜市生活環境部

市営と民営の4カ所の小水力発電所を合わせると、発電能力は970kWになり、年間の発電量は690万kWhに達する。一般家庭で1900世帯分 の電力使用量に相当する規模になる。これだけで北杜市の総世帯数(1万7000世帯)の1割以上の需要をカバーすることができる。
山梨県内の小水力発電では、もう1つ注目を集めたプロジェクトがある。南東部の都留市(つるし)を流れる家中川(かちゅうがわ)で2006年から 始まった市民共同発電だ。「元気くん」と名付けた小水力発電設備が3カ所で動いている(図5)。最も新しい「元気くん3号」は2012年に運転を開始し た。

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図5 市民共同発電プロジェクトによる「元気くん」。左から順に1~3号。出典:山梨県エネルギー局

1号~3号で利用する水流は最大でも3.5メートルの落差しかなく、発電能力を合計しても46kWと小さい。それぞれ別のタイプの水車発電機を 使っていて、年間の発電量は合わせて20万kWhである。発電した電力は市庁舎で利用するほか、夜間や休日の余剰電力を東京電力に売電している。
1号と2号の建設費の一部は市民からの出資でまかなった。出資金は国債の利率に0.1%を上乗せして5年後に償還する。合計4060万円の募集に 対して、約1億円の応募が集まり、再生可能エネルギーに対する市民の関心を高める効果も大きかった。すでに1号は2010年度に償還が完了して、2号も 2014年度に完了する。市庁舎の電気料金の削減分と売電収入で、十分に元がとれる構造になっている。
北杜市と都留市の小水力発電所は固定価格買取制度が開始される以前に運転を開始した。その後に買取制度の対象に認定された設備は2013年末の時 点では1つもなかったが、2014年に入ってから2カ所が認定を受けた。今後も小水力発電の認定設備が着実に増加して、太陽光発電と合わせて県内の供給率 を押し上げていく(図6)。

 

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図6 固定価格買取制度の認定設備(2013年12月末時点)

2014/07/22

長野県、小水力発電の候補地164カ所発見【環境ビジネス】

長野県は、県内の基幹的な農業用水路を調査した結果、小水力発電の候補地として可能性のある地点が164カ所あったと発表した。

長野県は、農村地域に潜在する資源を活かし、行政による用水路の維持管理の負担軽減を目的に、県内すべての基幹的農業用水路(受益面積 100ha 以上)約700kmを調査した。調査箇所は、水量と落差から10kW以上の発電が見込まれ、施設の種類や発電規模等から候補地として可能性のあった465 地点。

http://www.kankyo-business.jp/news/008337.php

2014/07/19

【長野】 県内164カ所利用可能 農業用水路で小水力発電【中日新聞】

写真 自然エネルギーを活用した新たな電力源の一つとして注目される小水力発電に利用できる農業用水路が県内に百六十四カ所あることが十八日、県の調査 で分かった。全て稼働した場合、推定出力は二万五千七百キロワットで約四万世帯分の電力をまかなえる。県は、結果を用水路の管理者に示し、普及拡大を進め る。

 調査は、主要な農業用水路約七百キロで実施。水量や落差から発電出力を算定し、十キロワット以上の発電が見込まれる地点を集計した。県内は高低差 のある地形と豊富な水量があるため、小水力発電に適しているとされる。環境省の二〇一〇年の調査では、県内の小水力発電の潜在力は全国一位で、農業用水路 を利用した小水力発電に限っても、七位と上位に位置している。
 県によると、近年、農業用水路の老朽化や農家の減少により用水路の維持管理費用の負担が増している。県は、小水力発電を導入すれば、市町村や土地改良区といった施設管理者が売電収入を管理費用に充てることができ、健全な運営につながると期待している。
 小水力発電をめぐっては、これまでどういう場所で採算の取れる発電ができるのか知られておらず、普及の妨げとなってきた。県は今回の調査結果を基に、農業用水路を管理する市町村などへ働き掛けを強める考えだ。
 県は、農業用水路を利用した小水力発電を一〇年の百八十キロワットから、二〇一七年までに二千二百キロワットに増やす目標を掲げている。今後は施設管理者向けの個別相談を実施したり、専門家を派遣したりして普及を進める。 (武藤周吉)

2014/07/18

産構審・電力安全小委、中小水力の規制見直し ダム水路主任技術者要件を緩和 【電気新聞】

産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)の電力安全小委員会(委員長=横山明彦・東京大学大学院教授)の会合が17日に開かれ、小水力発電所で選任するダム水路主任技術者について、免状を持たない者を選任できる発電所の範囲を広げる方向でほぼ一致した。8月に意見募集を行い、9月末に「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」を改正する予定。
現在、自家用電気工作物に当たる水力発電所は同技術者の免状を持たない者を選任できるが、その範囲は内規で出力500キロワット未満であることや、同技術者が高校(土木工学科)卒業者などと決められている。今回の見直しにより、自家用電気工作物でダムの高さが15メートル未満の水路式水力発電所であれば、2千キロワット以下まで免状を持たない者を同技術者に選任できるようになる。
また、同技術者には経済産業省が主催する講習を受けた者がなれるようにする。講習内容は電気事業法における同技術者の意義や異常時の対応などで、日程は数日間。座学に加え、実地研修も行う。経産省は2014年中に講習を開く考え。
FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)が始まったことで、中小水力発電に対する開発機運が高まっており、同技術者の確保が困難な状況になっている。このため、開発事業者から選任要件の見直しを求める声が多く出ていた。
会合ではこのほか、火力発電設備に関する規格の国際適合化を進める方針を事務局が説明。
出席した委員からは「(適合化は)民間の活力になり、技術力向上のインセンティブになる」と支持する意見があった。

紙面より転載

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