2014/08/14
東京都建設局は、再生可能エネルギー導入の可能性調査に着手する。小水力発電の可能性検討調査を実施するほか、2014年度中には太陽光発電や潮力発電など、さまざまな手法について可能性を検討し、各施設に適切な発電手法などを調査する。
4日に希望制指名競争入札で公告した「再生可能エネルギー活用検討委託(その2)」では、木下川排水機場の小水力発電の可能性検討を実施する。希望申請は11日まで受け付ける。27日に指名通知し、9月4日に開札する予定だ。
参加資格は土木・水系関係調査業務、河川・水理調査のA-C格付けなど。公共工事において、河川・ダム・農業用水・上水道用水・砂防施設のいずれかの小水力発電の設計業務と、都内河川における治水計画検討もしくは護岸改修の設計業務実績も求める。
調査では諸元データの収集・整理、発電設備レイアウトの検討を含む水路ルートと、水車・発電機の選定、工事費の積算などを実施し、発電可能性を評価する。
9月中旬までに中間とりまとめを報告する。
委託期間は2015年1月30日まで。
都建設局は小水力発電以外の再生可能エネルギーについても今後可能性検討調査を実施する予定だ。
2014/08/14
富山県は険しい地形と豊かな水量が特色で、水力エネルギーの利用可能量では全国で第2位だ。電力会社が運転する大規模な水力発電所の周辺には、用水路を活 用した小水力発電所が続々と動き出している。温泉地では用水路を使って発電した電力でバスを走らせる地産地消の取り組みも始まった。
[石田雅也,スマートジャパン]
全国47都道府県のうち、水力発電だけで県内の電力需要の大半をカバーできるところは富山県しかない。すでに2011年度の時点で、県内の需要の 84%に相当する電力を水力発電で生み出している。その大半は北陸電力と関西電力の水力発電所だが、自治体を中心に小水力発電所が県内各地に勢いよく広 がってきた。
富山県は水力エネルギーの利用可能量が全国で2番目に多い(図1)。そのうち約8割のエネルギーは開発済みで、残りが2割ある。すべてを開発でき れば、水力発電だけで県内の需要を満たすことが可能だ。これから再生可能エネルギーを拡大する第1の重点施策として、「水の王国とやま 小水力発電導入促進プロジェクト」を推進している。
このプロジェクトの目標は県内23カ所で稼働している小水力発電所の数を、7年後の2021年度までに45カ所へ倍増させることだ。水力エネル ギーは河川のほかに、県内各地をめぐる農業用水路にも大量に存在する。小水力発電の開発余地は大きく残っていて、現在でも5カ所で建設計画が進んでいる (図2)。
農業用水路を活用した代表的な事例は、県西部の南砺市(なんとし)で2013年3月に運転を開始した「山田新田用水発電所」に見ることができる。 農村地帯を流れる川から引き込んだ用水路の水が再び川へ戻るまでのあいだに、25メートルの落差を生かして発電する構造になっている(図3)。
この用水路は周辺の水田に水を供給するため、稲作の時期にあたる4月から9月まではほぼ全量を水田に送る必要がある。それ以外の季節は大半の水が不要になる。そこで余剰分の水流をヘッドタンクと呼ぶ貯水槽を使って分岐させて、発電所に水を送るようにした。
発電能力は520kWあって、年間の発電量は257万kWhを見込む。一般家庭で約700世帯分の電力使用量に相当する。季節によって利用できる 水量が大きく変動するために、設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は小水力発電では低めの56%になる。それでも発電した電力の売電収入によっ て、用水路の維持管理費を軽減できるメリットは大きい。
こうした農業用水路を活用した小水力発電所は、古くから水力発電が盛んな県東部の黒部市でも広がってきた。黒部市では2012年に「宮野用水発電所」の運転を開始したのが最初の取り組みだ。この発電所は水を取り込むまでの経路に特徴がある(図4)。
元をたどると、温泉地で有名な宇奈月温泉の近くにある「宇奈月ダム」に行き着く。そのダムからの水流で関西電力の「宇奈月発電所」(発電能力2万 kW)が電力を作った後に、山の中腹に設けられた水槽まで水が運ばれていく。そこから3本の水路に分かれて、うち2本は別の発電所へ、残りの1本が宮野用 水になって近隣の水田へ水を送り届ける。
この用水路の途中に宮野用水発電所を設置した。水槽からの約50メートルの落差を利用して、最大で780kWの電力を供給することができる。年間 の発電量は530万kWhになり、約1500世帯分の電力使用量に相当する。しかも設備利用率は78%と極めて高い。もともと農業用水路として4月から 11月までの水量を多く確保できていたため、年間を通じて発電に使える水量がさほど増減しない利点がある。
黒部市では宇奈月温泉でも小水力発電所が稼働している。温泉街を流れる防火用水路の途中に水車発電機を設置して発電する方式だ(図5)。毎秒0.04立方メートルの少ない水量から、10メートルの落差を使って2.2kWの電力を作ることができる。
年間の発電量は1万5000kWhで、一般家庭の4世帯分の電力使用量にしかならない。わずかな電力だが、温泉街を循環する電動バスに電力を供給 するほか、発電所の周辺にある防犯灯の電源として利用している。規模は小さいながらも、エネルギーの地産地消を実践して、環境に優しい「エコ温泉」をア ピールするのに役立てる狙いだ。
富山県の再生可能エネルギーの導入量を見ると、新たに固定価格買取制度で認定を受けた発電設備の規模は全国でも2番目に少ない(図6)。今後は小 水力に続いて風力や太陽光、さらに地域の森林資源を生かしたバイオマス発電も増える見込みだ。既存の水力発電に新しい再生可能エネルギーの電力が加わっ て、火力や原子力に依存しないエネルギー供給体制を着実に実現していく。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1408/12/news024.html
2014/08/14
市民の再生可能エネルギーへの関心を高めようと、兵庫県たつの市内の市街地を流れる農業用水路に初めて小水力発電装置が設置され、12日夜から、この電力を利用したぼんぼりの点灯が始まった。
水路を管理する揖保川岩浦土地改良区と県、市などが、同市龍野町富永の浦上用水路に共同で設置。水路の落差を利用してらせん状の水車の羽根板を回す仕組みで、最大出力は100ワット。
ぼんぼりは、並行して流れる岩見用水路沿いに、8~10メートル間隔で10基を新設。発電に適した立地を選定したため、道路から奥まった場所に据え付けられた発電装置とぼんぼりとは約230メートルの送電線で結ばれる。総事業費は約430万円。
この日の点灯式には、地元の子ども会など住民約80人が参加。ボタンを押すと、ぼんぼりの発光ダイオード(LED)がともり、緑の木立や夜道を照らし出した。同土地改良区の三輪進理事長は「地球温暖化ストップは急務。その活動推進に役立てば」と話した。
ぼんぼりの点灯は日没から午前0時まで。用水路に水が流れる9月末まで続く。(松本茂祥)
2014/08/14
県企業局は本年度、日光市の五十里ダムと大下沢の2カ所で行う小水力発電の実施設計に入った。五十里ダムでは河川を維持するための流量を活用した発電となり、出力1千キロワット。年間発電量は900万キロワット時で、一般家庭約2600世帯分となる。
同局は「再生可能エネルギー等事業化可能性調査」として常時、県内河川での発電の有望地点を探っている。同市内では小百川など4カ所で新たな水力発電ができないか、調査研究をしてきた。このうち2カ所が実施設計にこぎ着けた。
県は太陽光発電や水力発電など再生可能エネルギーの拡大を目指していることから、同局電気課の担当者は「企業局としても再生可能エネルギーの普及に貢献したい」と説明する。
五十里ダムは、管理する国のえん堤改良工事に合わせ、県が河川の維持流量を活用して水力発電に取り組む。改良工事は放流量をより安全に安定させるのが目的。実施設計の事業費は約2千万円で、専門業者に委託している。実施設計は15年1月ごろに終了する予定。
大下沢は昭和初期に地元の自治会などが発電していた跡地。取水ぜきから導水した水槽があり、そこから流れ出る水量を用いる「流れ込み式」を採用する。出力は30キロワットで、同局としては最も小さい規模となる。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20140814/1685404
2014/08/12
■協和コンサルタンツ 平たんな水路で動く小水力発電設備を開発した。小水力発電は河川の落差を使ってプロペラが回って発電するのが一般的。開発品は平た んな場所の水流で発電できる。2015年度にも販売を始め、水力資源を生かして地域農業や観光振興を図る自治体や農業団体などへの販売を目指す。
開発設備は水流に向き合う格好でプロペラを水上から設置する。水流の速さが秒速1メートル以上でプロペラが回り発電する。平たんな水路は水面と水底で水圧が異なるため、プロペラの軸の強度などで工夫を凝らした。
1日当たりの発電量は24キロワット時と、一般家庭2軒分の発電を想定する。価格は200万円程度を見込む。落差を使った既存製品を含め、小水力発電設 備の販売台数を3年後に年100台まで増やす。小河川や用水路の水流を使って発電する小水力発電は東日本大震災以降、太陽光などと並び環境に優しい自然エ ネルギーとして注目されている。