2014/09/26
経済産業省は風力発電や水力発電用ダムといった再生可能エネルギー設備について、所有者が風圧や強い地震に対する耐力を調査する際に支援を行う。調査結果は経産省に報告され、新たな知見が認められれば技術基準などに反映していく。風力ではナセル(発電機などの格納箱)の落下事故、ダムでは強い地震による決壊が近年発生しており、安全性を高める取り組みが求められている。既に1次募集分は採択されており、きょう26日が2次募集の締め切り日になる。
2014年度からの新規事業で、15年度概算要求でも14年度と同額となる1億3千万円を盛り込んだ。中小事業者や公営事業者では調査などの費用をねん出することが難しいケースがあるため、国が支援して調査を促す。
風力では風車や支柱の風圧への耐力を確認するため、超音波を使った検査や解析などに必要な費用が対象となる。補助率は風力発電所1カ所当たり、費用の半分以内か1千万円以内のどちらか低い額。1次公募ではJパワー(電源開発)グループの「南九州ウィンド・パワー」が選ばれた。
一方、発電用ダムでは強い地震への耐力調査や解析費用に対し、水力発電所1カ所当たり、半分以内か5千万円以内のどちらか低い額を補助。1次公募では、複数の発電用ダムを所有する長野県企業局が採択された。
産業構造審議会(経産相の諮問機関)の電気設備自然災害等対策ワーキンググループは6月、堤体の高さが15メートル以上の発電用ダムに関し、将来にわたってダム地点で考えられる最大級の強さを持つ地震動(L2地震動)に対して、重大な損傷を生じさせないように求める中間報告書を公表。今後は対象となるダムについて、順次評価が行われる。
経産省は調査や検査の結果について、事業者からデータを受け取り、有用なものは技術基準に反映するなど、保安の強化に取り組む。
経産省電力安全課は「より安全性の高い再生可能エネルギー発電設備を構築し、ライフラインとしての電力の確保につなげていきたい」と説明している。
紙面より転載
2014/09/25
東北小水力は芦野工業と協力し、効率が95%と高く、既存メーカー品よりも低コストをうたう小水力発電用水車を、2017年3月までに開発する。未開発適地の開拓や既存設備の改修を狙う。原発13基分の電力を生み出す取り組みの第1歩ともいえる。
[畑陽一郎,スマートジャパン]
「小水力発電で世界最高効率となる95%の水車を2017年3月までに開発し、低コストで供給したい」(東北小水力)。
同社の問題意識は2つある。第1に小水力発電に向く未開発適地が国内に1330万kW分も残されていることだ。これは大型原子力発電所13基分に 相当する。小水力発電は長期間、比較的低い管理・運用コストで発電できる。出力に季節変動はあるものの、1日のうちで激しく変化することはない。系統安定 化に役立ち、理想的な電力源ということができる。他の再生可能エネルギー同様、国産のエネルギー源であり、エネルギーセキュリティにも役立つ。
第2に現在稼働している1900カ所の水力発電所のうち、同社が狙う規模である出力1万kW未満の設備が1400カ所あること。このうち半数が稼 働開始後60年以上経過しており、設備の改修に役立つ改良型水車が必要だ。2030年には全体の7割以上が60年を超えるため、改修市場が拡大していく傾 向にある。
新規市場を開拓し、設備の改修に対応するには高効率で低コストな水車が必要になる(関連記事)。新水車を開発するという同社の取り組みの理由だ。
<h4> 設計と製造で優位に立つ</h4>
秋田県に拠点を置く東北小水力は2014年7月、山形県の芦野工業と「高効率フランシス水車の研究・開発」について共同研究契約を締結、8月には研究・開発の内容を発表、今後は自社製のフランシス水車を用いた小水力発電所の着工に入る。
フランシス水車は国内で最も多く採用されている水車(羽根車、ランナー)の方式(図1)。ドーナツ型の形状を採り、円周の外側360度から水が流れ込み、中央の穴から抜けることで回転する。水の運動エネルギーと圧力の両方を利用する効率のよい水車だ。
「当社の強みは流体解析ソフトウェアを活用した設計手法にある。しかし、実機を製造した経験がないため、35年にわたって数百の設計開発・製造・ 施工・保守の実績をもつ芦野工業と組んだ。当社が設計した水車の試作モデルを芦野工業の水槽で検証し、性能を確かめていく」(東北小水力)。開発完了後は 両社のブランドでそれぞれ水車を販売する形だ。「最高出力のものでなくても優位性があると考えている。当社と芦野工業は開発中のフランシス水車も順次顧客 に提供していきたい」(同社)。
「現在芦野工業が製造している水車の効率は90~91%。重電メーカーが大規模に製造している水車の効率は95%だ。技術開発が難しいため、他 メーカーの水車改良は頭打ちだと考えている。水車は落差や水量など顧客の条件によって設計が異なる。大量生産品ではなく、一品一様だ。重電メーカーよりも 低コストに水車を設計・製造できると考えており、当社や芦野工業の製品に競争力が生まれる」(東北小水力)。
現在の水車の設計では試作品を大量に作って性能を確かめ、設計を改良するという手法が残っている。東北小水力はCFD(三次元流れ解析)などの流 体解析ソフトウェアを用いて、水の流れを乱さず、エネルギーを効率良く取り出すことが可能な羽根の形状や厚さを設計できるという。試作経費や開発に要する 時間を節減でき、開発コストを抑えることができる。
東北小水力は水車の最適設計を進めるとともに、自社のフランシス水車を利用した発電事業も進める(図2)。「仏沢ため池」(秋田県美郷町金沢東根、14ha)に出力199kW(有効落差27m)の小水力発電機を設置し、年間97万1000kWhを得るというもの。
2億5000万円を投資し、固定価格買取制度(FIT)を利用して年間3300万円を得る計画だ。「2014年10月に着工する。他にもう1つ案件があり、仏沢ため池かもう1つの案件が当社初の発電事業となる」(同社)。
仏沢ため池の事業は、2015年4月の運転開始を目指す。今後、全国数十カ所への展開を目指すとした。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1409/18/news092.html
2014/09/25
自然エネルギー:開発に弾みがつく中小水力発電、2020年度に60万世帯分を超える電力に
水力発電を導入可能な場所は全国で2万カ所を超えると言われる。固定価格買取制度が始まってから各地で開発プロジェクトが広がり、2020年度までに合計 40万kW以上の発電設備が運転を開始する見込みだ。中小水力は太陽光や風力と比べて発電効率が高く、安定した電源として利用できる。
[石田雅也,スマートジャパン]
小水力発電を推進する任意団体の全国小水力利用推進協議会が、政府に提出したレポートの中で2020年度までの導入予測をまとめた。すでに固定価 格買取制度の認定を受けた中小水力発電設備(出力3万kW未満)と新規に認定を受ける発電設備(同5000kW未満)を加えて、2020年度には発電能力 が合計で42万kWに拡大することを見込んでいる(図1)。
中小水力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を標準の60%で計算すると、年間の発電量は22億5000万kWhに達する。一般家 庭で62万世帯分にのぼる電力使用量に相当する規模になる。しかも予測の中には出力が5000kW以上で2014年5月以降に認定を受ける発電設備は含め ていないため、さらに拡大の余地がある。
水力発電は電力会社などが運転する出力3万kW以上の「大水力」と、自治体や一般企業による3万kW未満の「中小水力」に二分することができる。 2012年度末までに運転を開始した水力発電のうち、中小水力は設備数で全体の91%、年間の発電量でも51%を占めて大水力を上回った(図2)。
新規で開発可能な水力発電の候補地も圧倒的に中小水力向けが多い。発電量に換算して87%は中小水力がもたらす。出力別では 1000~3000kWクラスが中心になる。さらに砂防ダムなどの開発可能量を推定した分を加えると、中小水力発電による電力量は491億kWhまで拡大 できる可能性がある(図3)。実に1300万世帯を超える膨大な潜在量を秘めている。
特に最近になって砂防ダムや農業用水路を活用した中小水力発電の開発プロジェクトが全国各地で増えてきた。砂防ダムは防災用で、農業用水路はかん がい用に造られた設備のため、いずれも発電に使われるケースは少なかった。固定価格買取制度が始まったことで発電事業の採算性を見込みやすくなり、ダムや 用水路の維持管理費を軽減する目的で自治体などが相次いで発電設備の導入に乗り出している(図4)。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1409/25/news015.html
2014/09/25
九州電力が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づく新規契約の凍結を発表した24日、県内の自治 体や企業から影響を懸念する声が広がった。小水力発電の設置計画を進める唐津市は、九電側と例外規定の個別協議に望みをつなぐ。工事業者は「新規契約でき るかどうかは死活問題」とし、情報収集を急いでいる。
2012年に県内の自治体で初めて再生可能エネルギーを推進する条例を制定した唐津市。土地開発公社が保有する3カ所を太陽光発電用地として公募する計画だが、九電の方針に市の担当者は「厳しいかもしれない」と影響を危惧した。
九電が凍結するのは太陽光だけでなく、風力や水力を含む再生エネルギー全般。市は藤ノ平ダムに小水力発電を設置する計画も進 めている。担当者は「まだ申し込みはしていないが、太陽光に比べれば水力は安定性もある。これまで九電側と協議も続けてきており、何とか個別協議に応じて くれるのでは」と例外措置に期待を込める。 一方、FITを前提に設置工事を進めてきた県内の業者には、顧客らから「今後どうなるのか」と問い合わせが相 次いでいる。
ある設置業者は、九電との契約に至っていない10キロワット以上の物件を約200件抱える。うち約30件は設備を導入するなどす でに経費が発生しているが、顧客からの支払いは完成後。九電は保留期間を「数カ月間」としているが、電力需給の状況に変化がなければ、長期化する恐れもあ る。「このままでは顧客からの支払いが遅れ、運転資金が不足しかねない。死活問題だ」と担当者は頭を抱える。
県内にメガソーラー13施設(合計出力1万3千キロワット)を建設している九電工(福岡市)は、さらに5施設を新設する計画で、うち2施設が契約に至っていない。「契約中断に該当するかどうかまだ分からない」と情報収集を急いでいる。
また、伊万里市の県有の工業団地にバイオマス発電施設を建設する日本新電力(東京)は「供給先をきちんと確保し、事業化に向けて九電と協議していきたい」として、計画継続の方針を示した。
2014/09/17
水資源機構豊川用水総合事業部は、管内3カ所の小水力発電設備の設置工事を発注する。宇連ダムと駒場池は第3四半期に、大野頭首工は2015年度以降に発注する予定だ。
宇連ダムの計画出力は760㌔㍗。