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2014/10/21

小水力発電の事業性評価への補助金 長野県・石川県・栃木県などで6件決定【環境ビジネスオンライン】

新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は、平成26年度「小水力発電事業性評価調査」の補助金交付先6件を決定した。これは、事業化に向けた事業性評価を実施するために必要不可欠な諸調査、設計及び調査結果をもとに事業性の評価までを実施する事業者に対して補助金を交付するもの。

http://www.kankyo-business.jp/news/008974.php

2014/10/17

[波紋 再エネ契約中断 上] 小水力 米農家支援 足踏み 山形県酒田市、高知県香美市 【日本農業新聞】

電力5社(北海道、東北、四国、九州、沖縄)が、小水力や太陽光など再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく契約の受け付けを中断したのを受け、 売電を計画していた農山村地域に波紋が広がっている。契約できない事態になれば、見込んでいた売電収益が得られないからだ。現場の実情を報告する。

・実現へ時間 計画後手に

 山形県酒田市の日向川土地改良区。農業用水を活用した出力118キロワットの小水力発電施設を整備しようと、2年前から準備してきた。今年度末にも東北電力と買取契約を完了する。そんな見通しが立った矢先、新規契約の一時中断を突きつけられた。

「先行きがまったく見えなくなった。何もしなければただの水の流れ。それが“宝の流れ”になるはずだったのに……」。同改良区の富樫善弘理事長は、歯がゆさを募らせる。

  日向川から取水した農業用水を約5600ヘクタールに供給する土地改良区は、その水資源に着目。総工事費約4億円をかけ、発電施設を整備する計画を打ち出 した。工事費の85%を国や県、市町村が負担し、残り15%を土地改良区が金融機関からの融資で捻出する。既に県が事業主体となり施設の詳細設計にも入っ た。

売電収入は年間約2200万円を見込む。農家経営は米価下落、電気・燃料代高騰で厳しい。それだけに売電収入を土地改良区の施設の維持・管理に充て、農 家負担を少しでも減らしたいと、長い時間を費やし計画を具体化してきたのだ。富樫理事長は「これから地域で小水力を導入しようと考える農業者が萎縮しかね ない」と不安視する。

東北電力が新規契約を一時中断したのは、出力50キロワット以上の発電設備だ。管内の再エネ発電設備の認定量(5月末時点)が1149万キロワットに達 し、全てを受け入れると、「管内の電気の需要量を超え、電気の安定供給に支障をきたす恐れがある」(東北電力電力システム部)からだ。

背景には太陽光発電設備の急増がある。実際に認定量の93%を太陽光が占める。約半年で簡単に建設できるとあって、契約の申し込みが殺到した。これに対し、小水力は水路に合った専用の発電機を設計・製作しなければならない。後手に回らざるを得ないのだ。

小水力での発電が見込める量が全国8位の山形県は「太陽光の急増で出はなをくじかれた。小水力の場合、計画から最低でも2年はかかる」(農村整備課)と 指摘する。農業用水路などを活用した小水力発電を2016年度までに計1400キロワット整備する目標を掲げ、100地点の発電候補地の選定と優先順位づ けに取り組むだけに、危機感が強い。

他の電力会社管内でも、小水力発電の計画に支障が出ている。中国四国農政局によると、四国で計画中の4カ所のうち愛媛県西条市、高知県香美市の2カ所が契約申請前にある。

その一つ、香美市の山田堰井筋土地改良区は、16年の運用開始を目指し、出力90キロワットの発電施設の設計を発注しようとしていたところだった。売電収入は年間1200万~1300万円を見込み、水利施設の補修費や人件費の一部に充てたいと準備してきたという。

植野寛事務局長は「小水力発電は、地域の水を守る公共の意味合いが強い。その点を十分に考慮し、計画通りに進むよう、対応してほしい」と訴える。

http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30287

 

2014/10/16

再エネの買取制度は見直しへ、考え方が明らかに【スマート・ジャパン】

経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会の第5回会合が2014年10月15日に開 催された。太陽光や風力とそれ以外の扱いを変える、買取価格を決めるタイミングや前提条件、手法を改善する、系統問題に関する情報を公開するといった意見 を基に議論が進んだ。
[畑陽一郎,スマートジャパン]
複数の電力会社が相次いで再生可能エネルギー発電設備に対する契約申し込みを保留している中、経済産業省がようやく対応に取りかかった(関連記事)。
議論は2つある。1つは、電力会社の問題というよりも、2012年7月に国内で始まった固定価格買取制度(FIT)全体をどのように改善するかというも の。もう1つは、電力会社の受け入れ可能量を検証し、接続可能量を拡大する方策の議論だ*1)

*1) 2014年10月16日には電力会社の保留に応じて、新たに立ち上げた「系統ワーキンググループ」の第1回会合が開催される予定だ。
 審議会での議論始まる

最初の議論を取り上げたのが、2014年10月15日に開催された経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会の第5回会合。

当日、事務局資料として「再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に当たって直面する課題の整理」という32ページの資料(PDF)が配布された。 これまでの新エネルギー小委員会で発言した委員の意見を事務局として取りまとめたものであり、最終的な結論に至る前提として見るべき資料だ。

議論を始める前に3つの方針がまとめられている。第1に再生可能エネルギーの最大限の導入はエネルギー基本計画でもうたわれており、電源構成比の 21%を上回る目標が明記されていることだ。第2にFIT制度はこのようなエネルギーの導入拡大に役立っていること。第3に国民負担の増大や系統制約の問 題に対処しなければならないことだ。
これを受けた意見は大きく4項目に分かれる。「再生可能エネルギーの導入に当たっての基本的な考え方」「電源別の論点」「買取制度に関する論点と議論の方向性」「系統問題に関する論点と議論の方向性」だ。
国民負担とは何なのか
「再生可能エネルギーの導入に当たっての基本的な考え方」では、再生可能エネルギー源の最大の利用と国民負担の抑制を両立する施策をいかに作り上 げるのかが議論の軸となると主張。国民負担について、金額の大小だけでなく、雇用創出効果や国内電源・自立電源の確保、燃料費の節約などの便益を総合的に 勘案すべきだとした。
さらに発電所の建設に必要な投資以外に送電網の整備や(火力発電所などの)調整電源のコストなどを企業や家庭がどの程度負担することになるのか、計算して示すべきだとした。

地熱や小水力、バイオマスの優先度を高めるべき
「電源別の論点」では太陽光と風力、地熱、中小水力、バイオマス、再生可能エネルギー熱を論じた。太陽光では足元で生じている課題を3つ取り上げ た。第1に年度末の駆け込みが問題であり、駆け込み対策が必要だとした。第2に非住宅用の設備認定を早急に停止すべきだとした。第3に太陽光発電協会 (JPEA)の資料を引いて、毎年工事が可能な規模が7~8GWであり、これを認定の上限にできるのではないかという主張だ。

FITの効果を公開すべきだという意見もあった。FITによって太陽光発電の導入に掛かるコストがどの程度下がったかを示すべきということだ。効果を見ながら政策を改善すべきだという主張である。

風力では環境アセスメントについての意見が目立つ。施工期間短縮のためには4~5年を要する環境アセスメントの迅速化や法令・制度の緩和が必要だ という意見だ。洋上風力についても同様の支援が必要だという。環境アセスメントの手続きが長いため、利潤配慮期間を延長すべきという意見もあった。
地熱では開発期間が長いため、電力会社の「買取枠」(系統連系可能な容量)が他の電源に先取りされてしまう問題が議論された。最適な電源構成を国主導で決定し、それに従った割り当てが必要だという意見である。さらなる規制緩和を求める意見もある。
中小水力では地熱と同様の問題の他、中長期的な買取価格の見通しが必要だという意見があった。

バイオマスは他の再生可能エネルギーとは異なり、多彩な燃料を利用できる。そこで、新たに小規模木質バイオマス発電の買取区分を設けるべきだとい う意見があった。開発期間が長いため、買取価格を短期的に変えるのではなく、一定期間維持すべきだという意見もあった。さらに、発電量が安定しているた め、(太陽光や風力とは異なる)独自の系統接続ルールを定め、出力抑制の対象からも外すべきだという意見が記されている。これは地熱や小水力などでも考慮 されるべきだろう。
再生可能エネルギー熱に関する意見は抽象的なレベルにとどまった。最終的なエネルギーの利用形態として熱の比率は高い。そのため、電源とは異なる議論が必要であり、「熱のFIT」といった新制度の可能性を探るべきだという意見だ。
図1は第5回会合で九州経済産業局エネルギー対策課が「固定価格買取制度における運用と課題~地方経済産業局の視点から~」と題して発表した資料 の一部である。FIT制度を巡る意見、課題を示した。ここでも太陽光に課題が多いこと、太陽光とそれ以外の扱いを変えて欲しいという意見が大きく扱われて いる。

 

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図1 九州地方におけるFIT制度に対する意見と課題(クリックで拡大) 出典:総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会

FIT制度が大きく変わる可能性あり

3番目の論点である「買取制度に関する論点と議論の方向性」では、資料の約3分の1を割き、さまざまな意見を紹介した。制度(総論)では、太陽光 偏重を再検討すること、国民負担の上限と将来水準を設定せよという意見がある。買取期間終了後の対象電源の取り扱いが決まっていないという指摘もあった。 一斉に供給が停止し、供給力が急激に下がる事態が想定できるという。

買取価格の決定方法については意見が多い。価格を決定する際に、より実態に即したコスト情報を集めることや、価格改定の頻度を上げること、将来の買取価格に予見可能性を持たせるという穏当な意見がまずある。

ドイツのスライディングスケールを引き合いに出し、導入量に応じて柔軟に価格を設定できる仕組みを求める意見や、入札制度の導入の他、いわゆる トップランナーの考え方を取り入れた買取価格が必要という意見がある。FIT制度の大規模な改革につながる意見だ。さらには適正利潤ではなく目標導入量を 達成するために必要な買取価格を決めるべきだという意見があった。

買取価格決定のタイミングについては意見が少なかったものの、FIT制度の大きな改革につながりそうだ。内容は1点にまとめることができる。認定 済みの未稼働設備が長期間発電に至らない事態をなくすべきという意見だ。稼働時点の買取価格を適用せよという主張である。ただし、このような制度改革は太 陽光などに限定し、(地熱など)リードタイムが長い電源には適用しないというバランスの取れた意見もあった。

認定制度に関する意見も多様だ。まずは足元で生じている課題に対応する意見だ。2014年8月にあったような大量の認定取り消しを受けて、認定要 件そのものを変更せよという意見、(太陽光の)系統接続費用や造成費用がネックとなって導入が停止し、これが他の(再生可能エネルギー)案件の接続の制限 につながっている問題を指摘する意見、電力会社の契約申し込み保留の動きを認定制度に取り込むべきだという意見があった。早急に非住宅太陽光の設備認定を ストップすべきという意見も強調されている。この他、接続ルール事態の改善を望む意見や、地域ごとの接続可能量を自治体に開示する制度が必要という意見が あった。

系統接続保留を解決するには

電力会社による接続保留問題については、大まかな方向性を求める意見が多かった。事業者に与える影響が大きいため、早期に検証結果を示すという意 見や、各電力会社の保留判断がばらついていないかどうかを検証するという意見、実際の発電量や需要の実績、系統の混雑状況などの実データを公開するという 意見だ。繰り返しになるものの、太陽光や風力とそれ以外の再生可能エネルギーを分けて考えるべきだという意見もあった。

接続可能量を増やす方法として、議論では大きく2つの課題を取り上げている。系統整備と出力抑制だ。系統整備とは連系線や地域内の基幹送電線の建 設を指す(図1)。これまでは電力会社まかせになっており、投資が貧弱だったと指摘し、電力システム改革と合わせて広域的運営推進機関を活用すべきだとい う意見があった。系統接続を依頼する際に事業者が調査費用を支払うように制度を変えよという意見や、連系線などは社会インフラであり、(国民的な)費用負 担の仕組みが必要だという意見、送電線の建設コストをFITで回収するという意見があった。この考え方を取り入れる際には予見可能性があるFIT価格の決 定が必要だという。

図2は第5回会合で全国知事会エネルギー政策特別委員長を務める群馬県知事の大澤正明氏が配布した資料「都道府県における再生可能エネルギー推進の取組」の一部である。

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図2 群馬県における接続制限と対応状況(クリックで拡大) 出典:総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会

出力抑制ではスペインの風力の事例を引き合いに出して、同様の系統運用を確立すべきだという意見があった(関連記事)*2)。スペインの事例では遠隔抑制を可能としており、抑制の理由やケースも明らかにしている。気象予測を精緻化すべきという意見もスペインの事例を踏まえたものだ。

この他、出力抑制の30日以内ルールを撤廃する、地域間連携線の運用を改善して受入可能量を拡大する、大型蓄電池を導入する、デマンドレスポンスを進める、接続容量の枠を入札で配分するといった意見があった。

*2) スペインでは本来発電できるはずの電力量(kWh)の約1.5%程度を無償で出力抑制しているという。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1410/16/news126.html

2014/10/16

再エネの買取制度は見直しへ、考え方が明らかに【スマート・ジャパン】

経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会の第5回会合が2014年10月15日に開 催された。太陽光や風力とそれ以外の扱いを変える、買取価格を決めるタイミングや前提条件、手法を改善する、系統問題に関する情報を公開するといった意見 を基に議論が進んだ。
[畑陽一郎,スマートジャパン]

複数の電力会社が相次いで再生可能エネルギー発電設備に対する契約申し込みを保留している中、経済産業省がようやく対応に取りかかった(関連記事)。

議論は2つある。1つは、電力会社の問題というよりも、2012年7月に国内で始まった固定価格買取制度(FIT)全体をどのように改善するかというも の。もう1つは、電力会社の受け入れ可能量を検証し、接続可能量を拡大する方策の議論だ*1)。

*1) 2014年10月16日には電力会社の保留に応じて、新たに立ち上げた「系統ワーキンググループ」の第1回会合が開催される予定だ。

系統ワーキンググループに関する続報:
太陽光の新規買取はどうなる、政府調査会の議論が明らかに

審議会での議論始まる

最初の議論を取り上げたのが、2014年10月15日に開催された経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会の第5回会合。

当日、事務局資料として「再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に当たって直面する課題の整理」という32ページの資料(PDF)が配布された。 これまでの新エネルギー小委員会で発言した委員の意見を事務局として取りまとめたものであり、最終的な結論に至る前提として見るべき資料だ。

議論を始める前に3つの方針がまとめられている。第1に再生可能エネルギーの最大限の導入はエネルギー基本計画でもうたわれており、電源構成比の 21%を上回る目標が明記されていることだ。第2にFIT制度はこのようなエネルギーの導入拡大に役立っていること。第3に国民負担の増大や系統制約の問 題に対処しなければならないことだ。

これを受けた意見は大きく4項目に分かれる。「再生可能エネルギーの導入に当たっての基本的な考え方」「電源別の論点」「買取制度に関する論点と議論の方向性」「系統問題に関する論点と議論の方向性」だ。

国民負担とは何なのか

「再生可能エネルギーの導入に当たっての基本的な考え方」では、再生可能エネルギー源の最大の利用と国民負担の抑制を両立する施策をいかに作り上 げるのかが議論の軸となると主張。国民負担について、金額の大小だけでなく、雇用創出効果や国内電源・自立電源の確保、燃料費の節約などの便益を総合的に 勘案すべきだとした。

さらに発電所の建設に必要な投資以外に送電網の整備や(火力発電所などの)調整電源のコストなどを企業や家庭がどの程度負担することになるのか、計算して示すべきだとした。

地熱や小水力、バイオマスの優先度を高めるべき

「電源別の論点」では太陽光と風力、地熱、中小水力、バイオマス、再生可能エネルギー熱を論じた。太陽光では足元で生じている課題を3つ取り上げ た。第1に年度末の駆け込みが問題であり、駆け込み対策が必要だとした。第2に非住宅用の設備認定を早急に停止すべきだとした。第3に太陽光発電協会 (JPEA)の資料を引いて、毎年工事が可能な規模が7~8GWであり、これを認定の上限にできるのではないかという主張だ。

FITの効果を公開すべきだという意見もあった。FITによって太陽光発電の導入に掛かるコストがどの程度下がったかを示すべきということだ。効果を見ながら政策を改善すべきだという主張である。

風力では環境アセスメントについての意見が目立つ。施工期間短縮のためには4~5年を要する環境アセスメントの迅速化や法令・制度の緩和が必要だ という意見だ。洋上風力についても同様の支援が必要だという。環境アセスメントの手続きが長いため、利潤配慮期間を延長すべきという意見もあった。

地熱では開発期間が長いため、電力会社の「買取枠」(系統連系可能な容量)が他の電源に先取りされてしまう問題が議論された。最適な電源構成を国主導で決定し、それに従った割り当てが必要だという意見である。さらなる規制緩和を求める意見もある。

中小水力では地熱と同様の問題の他、中長期的な買取価格の見通しが必要だという意見があった。

バイオマスは他の再生可能エネルギーとは異なり、多彩な燃料を利用できる。そこで、新たに小規模木質バイオマス発電の買取区分を設けるべきだとい う意見があった。開発期間が長いため、買取価格を短期的に変えるのではなく、一定期間維持すべきだという意見もあった。さらに、発電量が安定しているた め、(太陽光や風力とは異なる)独自の系統接続ルールを定め、出力抑制の対象からも外すべきだという意見が記されている。これは地熱や小水力などでも考慮 されるべきだろう。

再生可能エネルギー熱に関する意見は抽象的なレベルにとどまった。最終的なエネルギーの利用形態として熱の比率は高い。そのため、電源とは異なる議論が必要であり、「熱のFIT」といった新制度の可能性を探るべきだという意見だ。

図1は第5回会合で九州経済産業局エネルギー対策課が「固定価格買取制度における運用と課題~地方経済産業局の視点から~」と題して発表した資料 の一部である。FIT制度を巡る意見、課題を示した。ここでも太陽光に課題が多いこと、太陽光とそれ以外の扱いを変えて欲しいという意見が大きく扱われて いる。

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図1 九州地方におけるFIT制度に対する意見と課題(クリックで拡大) 出典:総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会

FIT制度が大きく変わる可能性あり

3番目の論点である「買取制度に関する論点と議論の方向性」では、資料の約3分の1を割き、さまざまな意見を紹介した。制度(総論)では、太陽光 偏重を再検討すること、国民負担の上限と将来水準を設定せよという意見がある。買取期間終了後の対象電源の取り扱いが決まっていないという指摘もあった。 一斉に供給が停止し、供給力が急激に下がる事態が想定できるという。

買取価格の決定方法については意見が多い。価格を決定する際に、より実態に即したコスト情報を集めることや、価格改定の頻度を上げること、将来の買取価格に予見可能性を持たせるという穏当な意見がまずある。

ドイツのスライディングスケールを引き合いに出し、導入量に応じて柔軟に価格を設定できる仕組みを求める意見や、入札制度の導入の他、いわゆる トップランナーの考え方を取り入れた買取価格が必要という意見がある。FIT制度の大規模な改革につながる意見だ。さらには適正利潤ではなく目標導入量を 達成するために必要な買取価格を決めるべきだという意見があった。

買取価格決定のタイミングについては意見が少なかったものの、FIT制度の大きな改革につながりそうだ。内容は1点にまとめることができる。認定 済みの未稼働設備が長期間発電に至らない事態をなくすべきという意見だ。稼働時点の買取価格を適用せよという主張である。ただし、このような制度改革は太 陽光などに限定し、(地熱など)リードタイムが長い電源には適用しないというバランスの取れた意見もあった。

認定制度に関する意見も多様だ。まずは足元で生じている課題に対応する意見だ。2014年8月にあったような大量の認定取り消しを受けて、認定要 件そのものを変更せよという意見、(太陽光の)系統接続費用や造成費用がネックとなって導入が停止し、これが他の(再生可能エネルギー)案件の接続の制限 につながっている問題を指摘する意見、電力会社の契約申し込み保留の動きを認定制度に取り込むべきだという意見があった。早急に非住宅太陽光の設備認定を ストップすべきという意見も強調されている。この他、接続ルール事態の改善を望む意見や、地域ごとの接続可能量を自治体に開示する制度が必要という意見が あった。

 系統接続保留を解決するには

電力会社による接続保留問題については、大まかな方向性を求める意見が多かった。事業者に与える影響が大きいため、早期に検証結果を示すという意 見や、各電力会社の保留判断がばらついていないかどうかを検証するという意見、実際の発電量や需要の実績、系統の混雑状況などの実データを公開するという 意見だ。繰り返しになるものの、太陽光や風力とそれ以外の再生可能エネルギーを分けて考えるべきだという意見もあった。

接続可能量を増やす方法として、議論では大きく2つの課題を取り上げている。系統整備と出力抑制だ。系統整備とは連系線や地域内の基幹送電線の建 設を指す(図1)。これまでは電力会社まかせになっており、投資が貧弱だったと指摘し、電力システム改革と合わせて広域的運営推進機関を活用すべきだとい う意見があった。系統接続を依頼する際に事業者が調査費用を支払うように制度を変えよという意見や、連系線などは社会インフラであり、(国民的な)費用負 担の仕組みが必要だという意見、送電線の建設コストをFITで回収するという意見があった。この考え方を取り入れる際には予見可能性があるFIT価格の決 定が必要だという。

図2は第5回会合で全国知事会エネルギー政策特別委員長を務める群馬県知事の大澤正明氏が配布した資料「都道府県における再生可能エネルギー推進の取組」の一部である。

yh20141016METI_gunma_590px.jpg 図2 群馬県における接続制限と対応状況(クリックで拡大) 出典:総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会

出力抑制ではスペインの風力の事例を引き合いに出して、同様の系統運用を確立すべきだという意見があった(関連記事)*2)。スペインの事例では遠隔抑制を可能としており、抑制の理由やケースも明らかにしている。気象予測を精緻化すべきという意見もスペインの事例を踏まえたものだ。

この他、出力抑制の30日以内ルールを撤廃する、地域間連携線の運用を改善して受入可能量を拡大する、大型蓄電池を導入する、デマンドレスポンスを進める、接続容量の枠を入札で配分するといった意見があった。

*2) スペインでは本来発電できるはずの電力量(kWh)の約1.5%程度を無償で出力抑制しているという。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1410/16/news126.html

2014/10/15

再生エネ買い取り 2年で破綻 「大規模太陽光認定を凍結」【東京新聞】

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経済産業省は十五日、有識者による新エネルギー小委員会に、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の新規の認定を凍結するなど、再生可能エネルギー 固定価格買い取り制度の抜本見直しに向けた素案を示した。年内に一定の結論を出す。再生エネの拡大に貢献してきた制度は、準備を怠ってきた国と非協力的な 電力会社の姿勢により二年余りで破綻、大幅に見直すことになった。再生エネ普及の象徴として各地に建設されてきたメガソーラーだが、計画の練り直しを迫ら れる可能性が出てきた。
買い取り制度は、再生エネの発電事業者が大手電力会社に買い取りを申し込む前に政府から計画の認定を受けなければならない。風力発電は環境影響評 価(アセスメント)に数年かかるため、参入しやすい太陽光に人気が集中し、政府の認定件数の九割を占める。買い取りの価格設定は風力より太陽光の方が高い ため、電気料金に上乗せされる料金は太陽光が増えるほど大きく上がるとみられる。
経産省は太陽光に偏った現状を見直すため、メガソーラーの新規認定を一時的に見合わせるほか、風力や地熱による発電の環境アセスメントに必要な期間の短縮や、買い取り価格の見直しも検討する。国民負担の上限を設定することも課題に挙げた。
また、買い取り価格が下がると見込まれる直前に認定だけ受けて枠を確保しておこうと申請が殺到するのを避けるため、価格は発電を始めた時を基準にすることも議論する。
再生エネの買い取り制度をめぐっては、九州電力など大手五社が送配電網の容量不足を理由に買い取り手続きを相次いで中断した。
◆経産省案ポイント
▽大規模太陽光発電所(メガソーラー)の設備認定を一時中断。
▽買い取り価格抑制に向け競争原理を導入。
▽国民負担の上限を設定。
▽太陽光偏重を是正し、地熱や風力などの導入を推進。
▽再生エネの将来の導入量や国民負担が見通せる制度に改定。

<再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度> 太陽光、風力、中小規模の水力、地熱、バイオマスの5種類の発電を、国が決めた価格で買い取る制 度。民主党政権時の2012年7月に導入され、国の第三者委員会が採算がとれる価格を設定することで再エネ事業者の参入を促してきた。買い取りにかかった 費用は「賦課金」として電気料金に上乗せされ、家庭や事業者などすべての電力利用者が負担する。4月からの買い取り価格は、企業などが設置する大規模な太 陽光発電は1キロワット時当たり32円、風力は22円などとなっている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014101502000242.html

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