2014/11/24
大手電力、相次ぎ小水力発電稼働 環境負荷・投資負担を軽減【SankeiBiz】
東京電力や関西電力など大手電力が、出力1000キロワット未満の規模の小さな「小水力発電」を相次ぎ稼働させている。新規のダム建設には大きな環境負荷がかかるが、小水力は既存ダムの放流水などを活用し、再生可能エネルギーの拡大につなげられる。政府も再生エネの固定価格買い取り制度の見直しで、常時一定の出力が得られる小水力を価格面で優遇する方向で検討。官民挙げて小水力の積極活用に動き出した。
昭和30年代には総発電量の8割近くを占め、高度経済成長を後押しした水力発電だが、現在は1割にも満たない。「国内で大規模な水力発電に適した地域は、ほぼ開発された」(大手電力幹部)とされ、発電量は伸びていない。
これに対し小水力は、河川の環境維持のために既存のダムから放流している水などを活用し発電する。ダム下流の水量が減ると生態系などに影響を与えるため、ダムは一定量を河川に放水している。
このほか工業用水など既存設備を使うため、投資金額が比較的少ない。出力は大規模な水力発電に比べ数百分の1程度にすぎないが、建設に当たっての環境負荷は小さい。
東電子会社の東京発電(東京都台東区)は今春、さいたま市水道局の設備を活用した小水力発電所2基(合計出力127キロワット)の運転を開始した。各家庭に配水するため一時的に貯水している設備に水車を設置し発電する。
発電した電力は固定価格買い取り制度を活用し、東電などに売電する。発電量は合計で年約90万キロワット時と、一般家庭約270世帯の電力を賄える。
また、関電は富山県黒部市で既存ダムの放流水を活用した「出し平発電所」(出力540キロワット)を建設しており、2015年12月の完成を予定する。
このほか、北陸電力は富山県朝日町でダムの放流水を活用した「北又ダム発電所」(出力130キロワット)の営業運転を今月14日から開始した。電源開発(Jパワー)は福井県大野市でダムに流れ込む水路を活用する「このき谷発電所」(出力199キロワット)を建設中だ。16年5月の運転開始を目指している。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/141124/bsc1411240500002-n1.htm
2014/11/21
全国小水力発電サミット、長野で開幕 「再生エネで地域づくりを」 【長野日報】
地域づくりに向けた小水力発電の可能性を話し合ったシンポジウム=20日、長野市
農業用水などを利用した小水力発電の普及を目指す第5回「全国小水力発電サミット」が20日、長野市を主会場に3日間の日程で始まった。初日は、 再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の調達価格等算定委員会委員長を務める植田和弘・京都大大学院教授が講演。「日本は資源のない国という 枕ことばはもうやめるべきだ」と、小水力発電などを生かした地域づくりの意義を訴えた。
植田教授は、電力5社が送電網能力の限界を理由にFITの手続きを中断している問題に触れ、「FITは(東京電力福島第1原発事故を機に)再エネを急速に増やそう、資源を大事に使っていこうと始まった」と述べ、原点に立ち戻る大切さを強調した。
「地域がエネルギーづくりを自ら担い、どこにどう造るかを自ら決め、社会的・経済的利点を地域が得る3原則」に沿った再エネ開発は、今は地域外に流出している電気代やガス代を地域内で循環させる大きな利点があるとした。
パネル討議では、再エネ開発や支援などに取り組む県内外の女性5人が、小水力や太陽光による発電の試みを地域に広げた体験を披露。これとは別に、集落約 100世帯がほぼ全戸出資し、小水力発電に取り組む岐阜県郡上市の事例も報告され、地域の絆が強まり、移住してくる子育て世代が相次いでいることも紹介さ れた。
21日は長野市若里の信州大工学部で、午前9時以降に「小水力発電の事業計画づくりとその進め方」など六つの分科会で議論を深める。
http://www.shinmai.co.jp/news/20141121/KT141120FTI090028000.php