2015/01/21
経済産業省は1月20日、農地用用排水路に設置する水力発電設備に係る規制を緩和すると発表した。改正するのは電気事業法施行規則第48条第4項第3号で、改正後4月を目途に公布する予定。今回の改正は、一般用電気工作物としての規制(出力20kW未満・最大使用水量1立法m/秒未満)を緩和し、農地用用排水路での水力発電事業を活発化させることが狙い。発電事業者から特例措置を要望された事を受けた措置で、昨年12月22日の第8回産業構造審議会保安分科会電力安全小委員会でも適当と判断されたため、改正となった。
2015/01/16
戦後一貫して、原油価格の動向は日本の社会や経済に影響を与え続けてきた。いまは世界的に価格が下落傾向となっている。
原油安は、産油国に経済的な打撃を与える「逆オイルショック」をもたらしている。一方、石油を輸入する側の日本からすれば、燃料や原材料費の低下につながるなどプラスの面が大きかろう。
しかし、現在のような原油安がいつまで続くのかは見通せない。これから多くの新興国や途上国が先進国並みの生活水準を求めて経済成長を果たせば、エネルギー消費は大幅に増え、原油価格も再び上昇に転じる可能性が高い。
そもそも原油などの化石燃料には限りがあることを忘れてはならない。戦後の日本の歩みを振り返り、いかに持続可能な社会をつくっていけばよいのかを考えたい。
▽オイルショック
1960年代の高度経済成長が国民の生活を豊かにしていったのは確かである。それに伴い増え続けたのがエネルギー消費だった。
転機は73年の第1次オイルショックだ。製造業などはコストを削減するため、積極的に省エネに取り組んだ。その結果、産業部門のエネルギーの消費量は73年以降、ほぼ横ばいを保つ。
これに対し、家庭部門の消費量は73年に比べ、いまは倍増している。各家庭がより快適なライフスタイルを求めたのに加え、核家族化で世帯数も増加したからだ。そうした大量消費社会に欠かせないエネルギーを供給するため造られていったのが、原発といえよう。
▽原発事故が転機
再び大きな転機となったのが、東京電力福島第1原発の事故である。多くの国民が、電気を大量に使ってきた従来のライフスタイルを省みるきっかけになった。
事故から4年が過ぎようとしている現在も、国民の間に節電の意識は保たれていよう。だが、時間がたつにつれ、少しずつ危機感は薄れていないだろうか。いま一度、それぞれの職場や家庭で省エネをしっかり定着させたい。
押さえておかなければならないのは、日本が本格的な人口減少社会を迎えていることである。世帯数も2019年をピークに減少へ転じる見通しだ。
その上で各企業や家庭が引き続き省エネに取り組めば、国内全体のエネルギー消費は確実に減っていくと思われる。エネルギー政策については、従来より幅広い選択肢が考えられるはずだ。
そうした認識が安倍政権にはあるのだろうか。従来通りの経済成長路線を掲げ、原発を「重要なベースロード電源」に位置付けている。しかし、原発による電力がどれだけ今後の日本に求められているのかは、よくよく考える必要があろう。
▽地方の再生にも
むしろ将来を見据えて日本が目指すべきなのは、分散型エネルギー社会の構築ではなかろうか。
原発などの大型発電所から遠く離れた消費地に電気を送る現在のシステムは、送電時に失われる無駄な電力が多い。それぞれの消費地や周辺に太陽光や風力などの小型発電所を設けるエネルギーの「地産地消」を進めれば、送電ロスは大幅に減らすことができる。
すでに各地で取り組みが始まっている。都市部では、太陽光発電やITによる省エネ技術、蓄電池などを組み合わせた「スマートシティー」の実証実験が進む。
多様な再生可能エネルギーがそろう中山間地域でも取り組みは広がりつつある。例えば、林業を主力の産業とする岡山県西粟倉村は木質バイオマスと小水力発電で、エネルギー自給率100%を目指している。
成熟社会の中で地域経済を活性化するには、地域内でお金を回すことが重要とされる。そうした面でも、エネルギーの地産地消は有望といえよう。さらなる省エネ社会の実現とともに、地方の再生にもつなげたい。
2015/01/15
三重県は、太陽光、風力、小水力など再生可能エネルギー等を指定避難所に設置する民間施設に対する補助を実施する。これは「民間施設再生可能エネルギー等導入推進基金事業(グリーンニューディール基金)」として行われるもので、4月以降に、平成27年度及び平成28年度に実施する事業の募集を予定している。募集開始については、4月以降に改めて発表される。
補助対象施設は、自治会集会所、私立学校、福祉施設など各種法人が所有する施設で、災害時に県内市町の指定避難所となる施設。補助対象設備は下記の通り。
(1)再生可能エネルギー設備
太陽光発電(原則、蓄電池の導入が必須)、風力発電、小水力発電、地中熱、廃熱や地熱、バイオマス、その他(太陽熱・雪氷熱等)。
2015/01/14
河川や農業用水など“小さな水流”でも利用可能な小水力発電。設置面積も小さく、コストを低く抑えられ、さらに発電に利用した水を元の河川に戻すうえ、発電時にCO2を排出しないため、環境負荷が極めて少ないクリーンな発電方法とされている。
そもそも水力発電のエネルギー変換効率は80%にも及び、火力や原子力など他の発電方法と比べても高い。降水量などの要因で水量が増減するものの、昼夜を問わず発電できることから、太陽光や風力と比べ発電出力が安定しているのも特長だ。
国や都道府県が管理する1、2級河川だけでも2万以上にのぼるなど、河川や用水路の多い日本ではポテンシャルの高い自然エネルギーとされている小水力発電。そんな小水力発電に取り組む地域のひとつに山梨県北杜市がある。今回は、小水力などの自然エネルギーを活用して地域でエネルギーの自給自足を目指す北杜市の取り組みを取材した。
●豊富な水資源を生かして“クリーンな電気”を生む町
山梨県の北西部に位置する北杜市は豊かな自然資源を次世代に引き継ぐため、エネルギーの地産地消と地球温暖化の防止を目指すなど、環境対策に力を入れている。例えば、日本一と言われている日照時間の長さという地域の特長を活かして太陽光発電事業に積極的に取り組んでいるのも、そうした活動の一環。さらに、より注目すべき取り組みは、八ヶ岳山麓の豊富な水資源を生かした発電事業だ。
環境省の「名水百選」「平成の名水百選」では同市からは3カ所が選定されている。また、全国のミネラルウォーターの約3割を生産し、サントリー白州蒸留所が立地するなど、日本屈指の名水の里として知られる。
そんな豊富な水量と急峻な地形を利用した小水力発電プロジェクトが「北杜市村山六ヶ村堰ウォーターファーム」だ。同プロジェクトは農業用水路の「村山六ヶ村堰」に 村山六ヶ村堰水力発電所を建設するもの。同堰は、八ヶ岳から流れ出る川俣川から取水し、16km余りの区間で農地への灌漑と生活用水に利用されている農業用水路。
同プロジェクトで建設された市営の「北杜市村山六ヶ村堰水力発電所」は、山の中で農地がなく農業用水として使用していない区間を利用。上流の取水口から同堰に並行して埋設された直径60cmの水圧管で、最大の高低差85mという急峻な地形を利用して1.27km下流の発電所まで水を送り、水の流れ落ちる力だけで発電している。発電に使用した水は全て元の水路に戻る仕組みだ。
自家消費を基本とする同発電所は、2007年4月から発電を開始。年間の推定発電量は240万kW/hほどで、約650世帯の電力を賄える発電量だ。これにより年間で約900トンのCO2排出を抑制できるという。また、ここで発電した電力は地域の飲料水をつくる近隣の大門浄水場に供給され、建物の照明や送水ポンプ、空調などに使用されている。
同プロジェクトでは新たな発電所の導入を加速するため、開発地点を同一水系に絞ることを事業方針としており、北杜市と民間のパートナーである、小水力発電に50年の歴史を持つ三峰川電力株式会社(丸紅グループ会社)の協働で事業が進められている。市の生活環境部・環境課・新エネルギー推進担当者は、「民間ができることは民間に任せるというのが、市の基本的なスタンス。我々は許認可取得や手続き、住民への説明など地元への橋渡しで支援していきたい」と話す。
その後、新たに建設された3発電所(合計出力650kW)は12年4月に発電を開始し、三峰川電力が運営している。市営を含む4発電所の年間の推定発電量は7,000MW/h。発電電力は北杜市世帯の10%に当たる約2千世帯の年間電力消費量に相当する。
「村山六ヶ村堰の発電事業は立地条件が整っていたため、計画から運営まで短期間で実現できました。市は小水力発電所を増やす方向で取り組んでいますが、200~300kW規模の発電に適していて、条件のいい場所となると、なかなかありません。10~20kWほどの小規模であれば候補地はあるので、小規模な設備を積み上げていくか、ある程度の規模が見込める条件のいい場所に絞るか、現在は検討中です。」(前出・市担当者)
市担当者が指摘するように、小水力発電の事業化に関してはそれなりの「ハードル」が残っている。地域の、そして日本のエネルギー自給率を上げるためにも、これまで以上に制度改正や資金援助など事業化のハードルを下げる施策が必要なのではないだろうか。
http://news.goo.ne.jp/article/dot/bizskills/dot-2015011400036.html?fr=rk
2015/01/13
福知山市石原、府立工業高校(田中邦明校長)の機械プランニング科が、長田野工業団地内の日本製紙クレシア京都工場(川口豊之工場長)の依頼を受けて製 作していた水力発電機が完成した。工場内で常時給水している配管の水流を利用して、電気を生み出すもの。工場内の生産設備などのメンテナンス時に合わせて 設置し、稼働させる。
府立工業では一昨年、当時の3年生が市再生可能エネルギー活用調査会の依頼を受けて、大江町仏性寺に小水力型発電機を設置した。この実績を知った工場から話があり、経費として100万円の出資を受け、3年生の6人が4月から課題研究の一環として取り組んだ。
生徒はまず、知識を得るところから始め、先生に聞いたり、インターネットや本で調べたりして備えた。作り始めてからは、水の流れを利用していかに効率良く発電できるかを考えて調整しながら実験を重ね、12月に完成させた。発電量は100ワット程度という。
工場内で行われた引き渡し式では、足立尚哉君が代表して「このような機会をいただきありがとうございます。問題に直面したこともありましたが、全員で知恵を出し合って完成させることができました。これから社会に出ても、この経験を糧に頑張りたい」とあいさつ。
川口工場長は「どこに取り付けるか検討します。発電を始めたらまた見に来てください。一緒に取り組んでいきましょう」と呼びかけた。
写真=水力発電機の完成を喜び合う川口工場長(右)と生徒たち