2015/01/23
経済産業省は、農地の用排水路に設置する水力発電設備において、一般用電気工作物としての最大使用水量(1立方メートル/s未満)を緩和することを発表した。
現行の電事法施行規則には、一般用電気工作物の範囲が規定されており、水力発電設備については、「出力20kW未満および最大使用水量1立方メートル/s未満のもの(ダムを伴うものを除く)」とされている。今回の緩和により、要件を満たす水力発電設備については、最大使用水量が1立方メートル/s以上の場合であっても、一般用電気工作物として扱えることになる。本措置は今年4月に公布される予定。
小水力発電設置のハードルが下がる
これまで、使用水量が1立方メートル/s以上の水力発電設備は、事業用(自家用)電気工作物として下記のような条件を満たす必要があった。
2015/01/23
2015/01/23
「電気を元気にする会社」。こんなスローガンを掲げた会社が福島市内にある。創業65周年を迎える「北芝電機」だ。
村松謙一社長(51)は、スローガンについて「『元気』に込めた意味は3つある。北芝は電力供給関連の製品を作ってきたが、再生可能エネルギーや省エネ強化で有効活用に貢献したいというのが一つ。東日本大震災があったが、福島の復興へもっと貢献したいという気持ち。そして、会社自身も心機一転、元気になること」と明かした。
◆復興に役立つ製品
県は2040(平成52)年度に再生可能エネルギーを100%にするビジョンを掲げている。同社の製品は「電力システム」「モーターシステム」「電熱システム」の3分野に分けられ、変圧器、受変電システム、発電システム機器、電気炉、車載モーターなど、電力会社を始め一般企業に幅広く提供されている。
「これまで培った技術とノウハウで、太陽光、小水力、地熱・風力発電事業に取り組んでいる。受注額は平成24年度に震災の影響で200億円を切ったが、25年度は過去最高の255億円となり、このうち再生エネ関連機器は60億円を占めた。内訳は小水力の受注が増えてきており、太陽光と小水力が半々」。村松社長は自社の製品が、復興に貢献できることを願う。
再生可能エネルギーの買い取りをめぐり、中断問題が起きたが、政府は26年度補正予算で317億円を計上し、東北電力が福島で優先契約を表明した。村松社長は「電力会社が買い取ったエネルギーを安定供給するための蓄電池などは、ビジネスチャンスになる」と言い切る。
◆未来のユーザー育成
同社は25年にソフトウエアの開発センターを立ち上げ、26年には「GENKIシステム」を発表した。これは、特に小学校向けに「電気を見える化」するシステム。未来を担う子供たちにエネルギーについて興味を持ってもらうのがねらいだ。学校をモデルに電気の使用状況や省エネをサポートするほか、タブレット端末を使って再生可能エネルギーについて学ぶことになる。
再生可能エネルギーを大きな事業の柱にして、グローバル展開と、海外メーカーとの連携-。これが、村松社長が掲げるビジネス戦略だ。グローバル展開については、中国国内で主力の自動車用エアコン向けモーターの部品を挙げ、現地調達から生産、販売まで行い、生産拡大を図るという。北中米でも展開し、メキシコでも自動車メーカー向けにモーターを生産、誘導炉を納入する。
自動車用エアコン向けモーターは、新機種量産に向けて工場の新たな生産ラインの立ち上げを予定している。これで、28年度の売上高は「300億円にしたい」と意気込む。
「3月で震災丸4年。被災地は5年目に入るが、風化させないよう、自分たちが頑張らなければならない。そのために変革へ挑戦する」。村松社長は、こう誓った。(黒沢通)
◇
◆企業データ
福島市松川町字天王原9。資本金11億4800万円。昭和25年創業。売上高202億円(25年度)。従業員767人。最新技術で電源ソリューションシステムを世界に提供。企画・設計、製造・調達、施工、運転保守も手がける。問い合わせは、同社(電)024・537・2121。
◇
【取材後記】 福島は平成52(2040)年度までに再生エネ100%を掲げている。そんな中、電力会社の買い取り中断などのニュースがあり、先行きが懸念された。しかし、優先契約や政府も補正予算を計上するなど道筋が見えてきた。村松社長は「ビジネスチャンス」と前向きでリーダーシップに期待したい。福島第1原発収束には30~40年の時間を要し、第2原発の先行きは見えない中、県内の老舗企業は挑戦を続ける。
http://www.sankei.com/region/news/150123/rgn1501230023-n1.html
2015/01/22
県は21日、出力1千キロワット以下の小水力発電の拡大を図るため、県内の河川の流量や砂防ダムの落差などをデータベース(DB)化したサイトを22日から開設すると、発表した。都道府県では流量情報や制約条件などを集約して一つのシステムで提供できるようするのは全国初の試み。
水力発電を始める前段階で、流量などのまとまったデータを集めて統計処理し、どこの河川を選ぶかは膨大な作業量になる。県はこの前段階での事業者側の負担を軽減させることで、再生可能エネルギーである水力発電の参入を県内で促進させたい考えだ。
DBの名称は「とちぎ小水力発電!基礎データマップ」。DB化した河川は88カ所で、砂防ダムは360カ所。河川名や発電可能地点、そこでの10年分の流量のほか、水位や落差などを整理し、DB化した。国や県は洪水時などに対応するため、河川の水位や流量を把握している。同部はこれらの情報をまとめ上げた。
http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/welfare/environment/news/20150122/1847856
2015/01/22
経済産業省は、農地用用排水路に設置する水力発電設備に関し、一般用電気工作物としての最大使用水量の規制を緩和する手続きを始める。4月をめどに公布する。再生可能エネルギーの利用促進が目的で、農地用用排水路を使った水力発電事業の活発化を図る。申請事業者からの電気事業法施行規則を緩和する特例措置の要望を受けた。
一般用電気工作物の範囲を規定する現行の電事法施行規則は、水力発電設備について、出力20kW未満で最大使用水量が1秒当たり1m3未満(ダムを伴う場合を除く)としている。土地改良区が管理する水路に小水力発電設備を設置する際、この最大使用水量の緩和を求める要望があったため、12月に産業構造審議会の小委員会で検討した。
その結果、ダムがなく法令で土木的観点の管理がなされていることと出力20kW未満の要件を満たす水力発電設備に関しては、最大使用水量が1秒1m3以上でも一般用電気工作物として扱うことが適当と確認され、規制緩和措置を講じることにした。土地改良事業施行者以外が土地改良事業に関する農業用用排水施設に設置する場合も含む。
要望は、産業競争力強化法に基づく「企業実証特例制度」で出された。これは企業が新事業活動を行うのに必要な規制の特例措置を政府に求め、可否が判断される制度。今回は同制度の申請を機に、特例措置ではなく規制が緩和されることになった。全国的に小水力発電設備の有効活用や、再生可能エネルギーの拡大が期待できる。