2015/03/19
2015年3月19日
日本アジアグループは、傘下で小水力発電システムのシーベルインターナショナルとともに、インドで小水力発電の実証事業を実施する。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」に採択された。システム導入に向けた事前調査の後、設備を設置して実証する。
シーベルインターナショナルの超低落差型マイクロ水力発電システム「スモールハイドロストリーム」の技術を活用する。スモールハイドロストリームはダムの機能を凝縮した形で、従来の水力発電が困難な、落差が少ない農業用水路や上下水道、工場排水などの水流が利用できる。既存の水路を改変する必要がなく工事が容易で3日ほどで完成する。
実証では、インド・ムンバイ郊外にある火力発電所の放流水路を対象に3月から事前調査、設計、設備の取り付けを行い、2016年3月から2年間実証運転して発電電力量などを調べる。定格出力30kWのシステムを12ユニット設置する。シーベルインターナショナルの技術力と、日本アジアグループの小水力事業化に向けた意欲が評価されて採択された。
日本アジアグループは実証事業を2年間進めると同時に、スモールハイドロストリームをインドで生産する体制整備とマーケティング活動を始める。同国は用水路の全長が8万kmあるといわれ、需要が見込まれる。スモールハイドロストリームは標準化とユニット化でコストを抑えたうえ、現地企業も保守・メンテナンスができる設計になっている。
(日経BP環境経営フォーラム)
2015/03/18
東京電力は17日、4月1日付で水力・再生可能エネルギー発電部門、技術開発・知財管理部門、総務・労務人事などの一般管理部門の3部門について、社内カンパニーを設立すると発表した。2016年4月のホールディングカンパニー制(HD制)への移行に備えた体制整備の一環。機能集約によるグループ全体の運営効率化を図った。HD制導入後は福島第一廃炉推進カンパニーなどとともに、持ち株会社内に残される。
3カンパニーの名称は、水力・再生可能エネ部門が「リニューアブルパワー・カンパニー」、技術開発部門が「経営技術戦略研究所」、一般管理部門が「ビジネスソリューション・カンパニー」。リニューアブルパワー・カンパニー・プレジデントに小林功・工務部部長代理兼工務部安全品質担当、経営技術戦略研究所長に岡本浩・技術統括部長兼経営企画本部系統広域連系推進室長(4月から常務執行役)、ビジネスソリューション・カンパニー・プレジデントに壹岐素巳常務執行役が就任する。
「リニューアブルパワー・カンパニー」は、送配電事業の法的分離を見据え、現在パワーグリッド・カンパニーが手掛ける水力・新エネ発電事業の中から、新規電源の開発事業を分離。発電原価低減や水力リパワリングによる収益拡大を図る。
「経営技術戦略研究所」は技術開発、知財管理に加え、各事業共通の土木・建築技術に関わる機能を集約。全面自由化を見据えた経営戦略、エネルギー政策への提言機能なども強化する。「ビジネスソリューション・カンパニー」はHD制移行後の各社共通の総務、労務人事、経理などの一般管理を担当する。
※紙面より転載【電気新聞 2015/03/18 1頁】
2015/03/18
2015年3月18日 夕刊
東京都江東区が扇橋3の横十間(よこじっけん)川親水公園にある水門橋下に設置を進めてきたマイクロ水力発電施設が18日、完成した。発電量はわずかだ が、平たんな都心部での水力発電という意外性は十分。区の担当者は再生可能エネルギーの可能性を考えるきっかけになればと期待する。 (荘加卓嗣)
東京都江東区の横十間川親水公園水門橋下に完成したマイクロ水力発電施設=18日午前10時32分(中西祥子撮影)
江東区内には河川が縦横に走っており、これを生かした環境学習や観光資源にと、職員の提案で二十三区で初めて設置した。治水対策の水門に集水板を取り付けることで最大で一・五メートルの高低差を生みだし、流れ下る水力で水車を回して発電する。
費用は調査費、工事費合わせて約三千五百万円。発電出力は約一キロワットで、電子レンジ一台を動かせる程度。生まれた電力は水門橋の上に設置された発電量や観光情報などを表示するモニターと橋の夜間ライトアップに充てられる。
水力発電は、山間部に大型ダムを設置して高低差をつくり行われるのがほとんど。だが近年、技術の進歩に伴い高低差のあまりない平地の河川などでも小規模 な発電ができるようになった。一般的に発電出力千キロワット以下が小水力発電、そのうち百キロワット以下がマイクロ水力発電に分類される。
都内では、都水道局が六つの浄水場や給水所で導水管の水流などを活用、下水道局が二つの下水処理施設で処理した後の水を川などへ放流する経路の高低差を活用し、小水力発電を行っている。
完成式典で山崎孝明区長は「環境を学び、東京、日本、地球を守る気持ちを、小さいころから刻んでもらえたら」とあいさつ。近くの区立つばめ幼稚園園児が歌を歌って完成を祝った。
区温暖化対策課の担当者は「水は区内の至るところにある。売電まではいかなくても、工夫をすれば都市部でも電気を起こせることを実際に見て知ってもらいたい」と話した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015031802000256.html
2015/03/16
「小水力発電」を通して、自然との共生や地域活性化について考えるフォーラム「いまこそ、地域のお宝を再発見!鳥取の小水力発電」が15日、鳥取市富安のさざんか会館で開かれ、約60人が現状や歴史、課題についての講演に聴き入った。
小水力発電の取り組みなどが紹介されたフォーラム(鳥取市のさざんか会館で)
自然エネルギーの普及などに取り組む団体「市民エネルギーとっとり」などが、環境への負荷が少なく、地域活性化の可能性を持つ小水力発電への理解を深めようと企画した。
中国小水力発電協会事務局で、JA広島中央会の土井崇司・小水力発電担当課長が「中国地方の小水力発電~その歴史と現状~」と題して基調講演。中国地方 に100程度あったとされる同協会会員の小水力発電所は現在53か所まで減少。ほとんどの施設が60年以上稼働し、修繕や改修を行いながら運用しているこ とや、売電価格の安さもあって普及が進まない現状を説明した。
一方、小水力発電を導入した岐阜県郡上市の石徹白(いとしろ)集落の取り組みを支援しているNPO法人・地域再生機構の野村典博副理事長は、集落の住民 が費用を出し合い、自ら建設や維持管理を行っていることを紹介。活動は注目を集め、人口約250人の集落に全国からの視察、若者の移住が相次ぐなど、活気 を取り戻しつつあることを報告した。
参加者からは「小水力発電は、住民に身近で地産地消ができる方法として魅力的」といった声が聞かれた。
2015年03月16日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
http://www.yomiuri.co.jp/local/tottori/news/20150315-OYTNT50226.html
2015/03/12
天龍村で小水力発電所 天龍村は平岡の西原―中央の恵平沢川に小水力発電施設「龍吐水力発電所」を整備し、10日に起動点灯式を開いた。電気は同地区の防災避難施設に指定している天龍保育所で利用し、余剰分は売電する。平岡ダムが象徴する水力とともに生きる村として、自然エネルギー発電のシンボルとする。
西原の天龍小学校西側に取水口を設け、120メートルの導管で中央の保育所東側に設置した発電施設に水を運ぶ。36メートルの落差で水を落とし、発電機を稼働する。
災害に強い自立・分散型のエネルギーシステム導入を支援する県のグリーンニューディール基金1460万円を活用し、総事業費は1970万円。発電量は5キロワット時で、日中は保育所の電力を補い、夜間は売電する。
大平村長が村を象徴する龍に見立て、かつての手動ポンプ「龍吐水」の名称からも引用して「龍吐水力発電所」と名付けた。
点灯式では、大平村長と野竹正孝議長が起動ボタンを押して発電を開始。保育所の園児や天龍小学校の児童らが見守り、設計者から説明を受けた。
大平村長は「村は中部電力の平岡ダムとともに暮らしてきた自然エネルギーと親和性の高い地域。村のシンボルにして、水力をはじめとする自然エネルギーに対する村民の関心を高めたい」と話していた。
村は2011年度に有識者を含めた自然エネルギー普及推進協議会を発足。小水力発電の導入と太陽光発電の普及拡大に向けて研究・調査を進めた。
標高300メートル―800メートルの間に集落が点在する村内では、標高差が大きい地形特性を生かした小水力発電への期待が高く、前年度に複数カ所を候補に調査を実施。水量と落差の条件がそろう恵平沢川を選定し、本年度当初予算に建設費を計上していた。