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2015/05/26

雪国に広がる小水力発電のパワー、農業用水路や水道設備を生かす【スマートジャパン】

2015年05月26日 09時00分 更新
山形県には太陽光からバイオマスまで再生可能エネルギーの資源が豊富にある。最近では小水力発電の開発プロジェクトが急速に広がってきた。山間部から平 野へ流れる農業用水路を活用できるほか、浄水場などの水道設備にも発電機を導入して、多彩な方式で電力の地産地消を推進中だ。
[石田雅也,スマートジャパン]

東北地方には全国の水田の約3割がある。山から平野に張りめぐらせた農業用水路には大量の水が流れていて、いまや小水力発電の宝庫でもある。山形 県は福島県に次いで小水力発電の導入ポテンシャルがあり、大規模な火力発電所に匹敵する75万kW(キロワット)の潜在量を秘めている(図1)。

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図1 小水力発電の導入ポテンシャル。出典:山形県環境エネルギー部

農林水産省が推進する小水力発電の導入プロジェクトも山形県内に数多く集まっている(図2)。農業用水路の管理施設に水力発電機を導入して、発電 した電力を自家消費するか電力会社に売電する。未利用の再生可能エネルギーを生かして農業用水路の維持管理費を軽減することが狙いだ。

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図2 農業用水路を活用した小水力発電の導入プロジェクト。出典:農林水産省

代表的な例が2014年11月に運転を開始した「野川小水力発電所」である。県南部の長井市を流れる置賜野川(おきたまのがわ)から分岐した農業 用水路に建設した。豊富な水量を生かせるように2基の水車発電機を並列に設置して、最大で198kW(キロワット)の電力を供給することができる(図 3)。

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図3 「野川小水力発電所」の外観(上)、設備の構成(下)。出典:山形県置賜総合支庁、野川土地改良区

春から秋にかけて水田に大量の水を供給する灌漑(かんがい)期には水量が増えるため、最大で毎秒4.4立方メートルを発電にも利用可能だ(図 4)。年間の発電量は108万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して300世帯分に相当する。

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図4 「野川小水力発電所」で利用する農業用水路、出典:山形県置賜総合支庁、野川土地改良区

農業用水路を運営する野川土地改良区は発電した電力を固定価格買取制度で売電する。出力が200kW未満の小水力発電の買取価格は1kWhあたり 34円(税抜き)になることから、年間の売電収入は3670万円を見込める。建設費は4億4000万円かかったが、運転維持費を加えて15年程度で回収で きる見通しだ。
同じ県南部の米沢市でも、農業用水路を活用した小水力発電の導入計画が進んでいる。農業用水路に水を供給するダムを含めて、広範囲に設備を改修す るプロジェクトの一環で実施する。2カ所に小水力発電所を建設する予定で、そのうち「水窪ダム」に設置する発電設備の規模が大きい(図5)。

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図5 「水窪ダム小水力発電所」の建設計画(上)、「水窪ダム」の全景(下)。出典:農林水産省、米沢平野土地改良区

水窪ダムでは取水塔から水を取り込んで農業用水路に流す仕組みになっている。最大で毎秒20立方メートルにのぼる大量の水が50メートルの高さか ら流れてくる。この水力を利用して755kWの電力を供給できるようにする。年間の発電量は348万kWhを想定していて、2016年4月に運転を開始す る予定だ。
もう1カ所に建設する小水力発電所も同時期に運転を開始して、2カ所の合計で年間の発電量は400万kWhに達する。これは米沢平野の農業用水路 の管理施設で消費する電力量とほぼ同じになる。発電所を運営する米沢土地改良区では電力会社に売電してから、管理施設で必要な電力を購入する「振替供給方 式」を採用する方針だ。この方式でも固定価格買取制度で売電することができる。

安定して流れる水道のエネルギー
農業用水路に加えて、自治体が運営する水道設備でも小水力発電の導入が活発に進んでいる。山形県の日本海側に広がる「庄内広域水道」には2カ所の 浄水場と3カ所の量水所がある。浄水場から地域ごとに供給する水の流量を途中で調整する施設が量水所だ。3カ所のうち流量の多い「鶴岡量水所」に小水力発 電設備を導入して2014年11月に運転を開始した。

浄水場から量水所までのあいだには69メートルの落差があり、最大で毎秒0.39立方メートルの水が流れている(図6)。この水力を使って 199kWの電力を供給できて、年間の発電量は170万kWhを見込んでいる。年間の売電収入は5800万円になり、想定通りに発電できれば建設費の3億 円を10年以内に回収できる。

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図6 「鶴岡量水所」に導入した小水力発電設備。出典:山形県企業局

一方で内陸部にある山形市では、市内に2カ所ある浄水場の1つに小水力発電設備を導入した。水源になる標高573メートルの「蔵王ダム」から市街 地にある標高221メートルの「松原浄水場」まで、途中4カ所で水圧を落としながら導水管で水を流している。最後の4番目の減圧地点から浄水場までの77 メートルの落差を利用して発電する方式である。
発電能力は140kWで2014年9月に運転を開始した(図7)。年間の発電量は100万kWhになって、浄水場で消費する電力をすべてまかなう ことができる。年間に約1000万円の経費削減につながり、さらに余剰電力の売電収入が70万円程度になる。浄水場で自家発電できれば、停電が発生しても 水道の供給を続けることが可能だ。

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図7 「松原浄水場」の小水力発電施設(左)と発電機(右)。出典:山形市上下水道部

農業用水路と水道設備を合わせて、山形県内では震災後に5カ所で小水力発電所が運転を開始している。浄水場と量水所が2カ所ずつ、農業用水路では 野川小水力発電所が最初の事例だ。5カ所を合計すると年間の発電量は440万kWhにのぼり、一般家庭で1200世帯分の電力を供給できる体制になった。
これから運転を開始する発電設備を加えて、固定価格買取制度の認定を受けた小水力発電の規模は全国で15位に拡大している(図8)。2013年末 の時点では1カ所も認定を受けていなかったことから、1年間で大幅に増えた。太陽光と風力も着実に伸びているが、各地域に電力を安定供給できる点で小水力 発電の果たす役割は大きい。

図8 固定価格買取制度の認定設備(2014年12月末時点)

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1505/26/news020.html

2015/05/25

再生可能エネルギーで温泉町の復興を目指す【福島・土湯温泉】【アメーバニュース】

2015年05月25日 09時02分
 福島第一原発事故を受けて、今も11万人以上が避難生活を続ける福島県では、“ご当地電力”の設立が進んでいる。そんな「福島発・エネルギー革命」の今をリポートする。

⇒【前編】“ご当地電力”で福島が日本のエネルギー拠点になる「会津電力」「飯舘電力」http://nikkan-spa.jp/854472

◆再生可能エネルギーで温泉町の復興を「元気アップつちゆ」
 JR福島駅から近い土湯温泉では、16軒あった旅館のうち5軒が廃業した。もともと客足が減っていたところへ、地震で建物が壊れ、原発事故の風評被害で、将来を見通せなくなったためだった。
「このままでは温泉が消滅する」という危機感を抱いた有志らは、’11年末に復興再生協議会を結成。廃業した旅館の跡地を利用し、再生可能エネルギーによる町づくりを進めることにした。豊富な水量を誇る川と温泉を生かし、町の大半の電力を自給する“再エネの町”として生まれ変わる計画だ。
 ’12年には「株式会社元気アップつちゆ」を設立。出力140kWの小水力発電所を建設し、今年の4月に稼働を始めている。並行して、出力400kWの温泉発電の建設も進め、8月頃には本格稼働の予定だ。

※一部抜粋

http://yukan-news.ameba.jp/20150525-31/

2015/05/25

日本アG子会社、小水電力発電をアジア展開=電力メーカーのインド社と提携【時事ドットコム】

日本アジアグループは25日、子会社のシーベルインターナショナル(東京)が水力電力システム世界大手のインド法人・アンドリッツ・ハイドロ(マディア・プラデシュ州)と事業開発と販売で提携したと発表した。アジアなど各国の小規模の小水力発電事業に関し、事業開発と販売の両面で強化する。(2015/05/25-17:06)


http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505/2015052500643

2015/05/25

小水力発電で地域活性化 住民主体の事業続々 地域に新たな収入源【日本農業新聞】

 小水力発電の売電収入を地域活性化に生かそうと、中山間地域を中心に住民が主体となって事業化を検討する動きが出てきた。再生可能エネルギー(再エ ネ)の固定価格買取制度の活用で、施設の導入・運営費を上回る収入が得られるとの判断だ。今年度から発電事業に乗り出した地域もある。全国小水力利用推進 協議会は「農山村の豊富な水資源を生かし、新しい収入源を地域につくり出せるのが利点だ」と注目する。
 棚田が広がる高知市土佐山地区の高川区。同区の自治会は、50キロワット規模の小水力発電施設を整備する方向で検討中だ。初期投資に約 7000万円掛かるが、年間約1000万円の売電収入が見込める。電力会社に固定価格で買い取ってもらう20年間で試算すると、減価償却費や人件費などを 差し引いても、約3000万円を地域に還元できる計算だ。
 小水力発電の事業化には地域の合意が欠かせないため、同自治会は2013年に小水力発電検討委員会を立ち上げ、研究を重ねてきた。自治会総会で発電施設の建設を決定すれば、16年度中にも住民らが会社をつくり、運営していく方針だ。
 自治会長で農家の髙橋幹博さん(64)は「小水力発電ができて地域に定期的な収入があれば、若者を雇用できる。桜の植樹、神社の修繕など地域づくりの幅が広がる」と期待する。
 福島市土湯温泉町。ここでは、新たに小水力発電施設を整備し、4月から稼働に移した。住民らが設立した株式会社が施設の管理・運営に取り組んでいる。
 岐阜県郡上市の石徹白地区には、小水力発電の専門農協がある。14年に農家約100人が組合員となり、発足した「石徹白農業用水農業協同組 合」だ。参事の平野彰秀さん(39)は「水と落差があり、発電できる場所に恵まれていた。地域全体の将来を考えて運営している」と強調する。
 同農協は、16年度から農業用水を活用した発電事業に着手する。その売電収入は、地区の維持管理費用に充てるという。
 新たに小水力発電施設を建設する場合、地域の合意形成や採算性を見極めるための流量調査など、準備に3年以上掛かるケースが多い。このため、固定価格買取制度がスタートした12年7月以降、準備期間が短い太陽光発電は一気に普及したものの、小水力発電は低調だという。
 経済産業省の調査でも、同制度の認定の95%が太陽光発電に集中。特に資金力のある大企業主導のメガソーラーが目立つ。一方、中小水力発電は、ダムを活用した公共事業や土地改良区が発電している事例があるものの、全体の1%にも満たないのが実情だ。

 小水力発電の企画・立案を支援しているコンサルティング会社・地域小水力発電(株)の取締役、藤島和典さん(50)は「太陽光の建設ラッシュが落ち着いてくるこれからは、地域住民が主体となる農山村の小水力発電が広がってくる」と展望する。(尾原浩子)(2015/5/25)


http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=33439

2015/05/24

手作り水車で発電、エコ釣り堀 葛巻・地域憩いの場に【岩手日報】

  葛巻町江刈の六角(ろっかく)竹美さん(66)は、自宅近くで手作りの「六建(ろっけん)釣り堀」を営んでいる。「地元で水車の施設を設けたい」と考えて いた同町葛巻の藤森功一さん(72)とともに、小水力発電施設も設置。釣り堀で使う電気は自前で賄い、「クリーンエネルギーの町」を掲げる地域のユニーク な憩いの場になっている。

釣り堀は「水を使った何かをしたい」と2014年5月、自宅近くの今待川沿いに開設。水車で水を約40平方メートルのた め池に引き込み、イワナやニジマスを放流している。釣り場のいすや子ども用ブランコも手作りで備え、釣った魚をその場で味わえるように炭火の焼き場も設け ている。 六角さんは、かつて取り組んでいた養殖用のため池を使って釣り堀を作りたいと思い、数年前から準備を進めていた。「水車もほしい」と考えていた際に藤森さんと意気投合し、設置を決めたという。

5月から9月末までの土日祝日、午前10時~午後4時に営業。

【写真=「子どもたちが喜ぶような場所にしたい」と願う六角竹美さんと藤森功一さん(右)。左奥は手作りの「六藤水力発電所」】

(2015/05/24)

https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20150524_8

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